プロローグ・容易ならざる国エジプト旅の準備も大変だ!関空からいざカイロへ

エジプト縦断旅行記・ナイルを行くー旅の初日編

 古代エジプト象形文字ヒエログリフ


         

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エジプト周遊の旅 「プロローグ」

 エジプト旅行のきっかけ

 今年も私が所属しているNPO法人(通称SSN)の会員仲間と、、海外旅行に出かけることになった。行き先は北アフリカの「エジプト」である。
世界遺産登録第1号 アブシンベル神殿
この「SSN」が数年前から会員サービスの一環として「春の国内旅行」「秋の海外旅行」を実施するようになり、海外の旅では過去3年、シルクロード、ニュージーランド、トルコと実施してきた。
 今年も恒例となった女房と二人で国内各地の桜の名所を巡る10日間あまりの桜旅を終えると、日課である「ダイエットとウオーキング」に勤しんでいた。
 そんな春のある日、前述の「SSN」から全会員に対し10月上旬出発で「エジプトの旅」を企画中との予告メールがネット配信されてきた。

 旅の概要

 エジプトといえば世界四大文明の発祥地であり、世界の七不思議のピラミッドがあるところぐらいにしか知らないまっるきり未知の国である。
 メールに添付されてきた旅の企画書を開くと、「エジプト・バス縦断とナイル川クルーズの旅」のタイトルで10月7日出発で2週間の旅程になっている。悠久5000年のエジプト文明の遺産をつぶさに巡りながらバスと船でナイル川沿いをスーダン国境近くまで南下していく内容だ。
 一般の大手旅行会社が募集しているような有名な観光ポイントだけをさっと巡って帰って来るツアーと違い、歴史好きな私にとっては胸がときめく企画になっている。
 旅行代金は新聞紙面で激安を売りものしたツアーに比べると見た目少々高めだが、その分エジプト査証料、燃料サチャージ料、国内外の空港利用税、オプショナル料金、必要なチップなど全ての費用が含まれており一切、別途徴収されることはない。加えて何より嬉しいのは激安ツアーの○急交通社ように、観光時間を犠牲にして営利を目的とした土産物店に強制連行されないことだ。あくまで観光一本やりで旅の品質を考慮すると決して高くない内容だ。

  カイロからナイル川沿いにバスと船で遺跡を巡りながらアブシンベルまで南下していく

 容易ならざる国エジプト

 行くことを決意すると、まずエジプトとはいかなる国なのか調べることにした。旅のガイドブックを購入し、更にはインターネットのwebサイトで実際にエジプトを旅した人の体験談などを手当たりしだい読んでみた。
 すると歴史的文化遺産には見るべきものも多く、感動を味わえるらしいのだが、何と!それらを見てあるく観光環境の評判が極めて悪いではないか。国を挙げて外国人観光客から金を巻き上げようと、ありとあらゆる手段が横行しているらしい。特に日本人はその態度の曖昧さを狙われ最高のカモになっているようだ。「詐欺まがい」や「ぼったくり商法」の被害、衛生環境、食事、ホテル設備、「繁雑なチップの要求」理解不能なイスラムの生活習慣」等々、場面々で不快な思いした事例が、これでもかというぐらい記述されているではないか!本当か?。とりわけ観光客を悩ませるのが「バクシーシ」という現地人の「おねだり」らしい。読んでいるいるうちに容易ならざる国であることが分かり、少々腰が引けてきた。
しかし、それらのリスクを差し引いても余りある感動を味わえるとエジプト旅行の経験者が言っているので迷いを振りすて旅の準備に入った。

旅の準備と携行品

衛生状態やホテル設備が悪いので携行する日用品
 そんな特殊な国がらということで、インターネットで携行品の情報を集め、まず旅の携行品リスト表を作ることにした。するとこれまでの海外旅行では必要なかった物まで用意せねばならなくなった。一例を挙げると、バスタブの栓、電気ポット、コップ、(ホテルに設備されていない)防虫スプレー、蚊取り線香、除菌ウエットティシュ、抗生物質薬品等々、こんな物まで携行せねばならなくなった。やはりアフリカのエジプトなのだ。
 
 餓死せぬように携行する日本食
更に私の場合、食にこだわりを持っており、美味しくないと評判のエジプトの食事では餓死する恐れがあるので、あれこれインスタント食などを買い求めたら、とんでもない量になってしまった。 加えて禁酒のイスラム教徒国なので、自由に酒を買ったり飲んだりできないというではないか!日々の晩酌が楽しみの私にとって厳しすぎる。何としてでもホテルの部屋で晩酌をするべく、何本ものペットボトルに詰め替えたウィスキーや焼酎なども持参することにした。 これらの品々を重量制限20Kgの旅行ケースに詰めねばならぬのだが、入りきらず出したり入れたり悪戦苦闘することになってしまった。

近所の頼りがいのある、ありがたい主治医

 次に準備するものは薬である。虚弱体質の私にとって薬は食料品同様、海外旅行の必需品だ。 我が家から歩いて5分ほどのところに、便利でとても頼りになる「可愛い名前」がついたクリニックがある。普段2ケ月に1回通院しメタボリック症候群の検診と処方薬をもらってくるのだ。いつも開院直後の朝一番に行くと、待ってましたとばかり待ち時間0分で診察してくれるとてもありがたい医院なのだ。40歳を過ぎたばかりとおぼしき院長と、じっくりコミニケーションしながら診察をしてもらえるのだ。
 このクリニックで、旅先での万が一に備え「下痢止め」「抗菌剤」「鎮痛剤」「睡眠剤」をお願いすると気持ちよく応じてくれた。こんな便利で頼りがいのあるクリニックなので、主治医として死ぬまで利用したいと思い込んでいるいるのだが、気にかかることがある。待合室がガラ〜ンとしており診療患者が少々寂しすぎるのである。診療報酬不足の赤字経営でそのうち廃業せぬかと心配しているのである。何としてもがんばってほしいものだ。
 これで携行品はすべて準備を終え、あとは出発を待つばかりとなった。パンパンに詰まった旅行ケースは出発日の3日前に札幌の自宅から関西空港まで託送しておくことになっている。旅行会社の無料託送サービスで、自宅からは手ぶらで出発できるありがたいサービスだ。

出発当日がやってきた。千歳空港から関西空港へ

 その後、団長のJ氏が家庭の都合で参加をとりやめたが、無事出発当日がやってきた。旅の初日のスケジュールは新千歳空港に16時に集合し、国内線で関西空港まで飛び、乗り継いで23時25分発のエジプト航空で首都カイロまで飛ぶのである。フライト時間は13時間半もあり、狭い座席で長時間辛抱せねばならない辛い旅だ。
空港内の蕎麦屋で旅仲間と夕餉の晩酌
 20名全員揃って無事19時過ぎに関西空港に着いた。空港内で先に札幌の自宅より託送してあった旅行トランクを受け取り、搭乗手続きを終えチケットを受け取ると、まだ搭乗開始時刻まで時間があるということで、しばし自由時間となった。
 それぞれが再集合の時間まで夕食のためレストラン街えと消えていき、私も旅仲間の何人かと晩酌を兼ねた夕食をすることにした。

魚缶の水分が危険物??関空の馬鹿な検査官

 再集合の時間がやってきた。夕餉の晩酌を終えると搭乗待合室に移動するため、機内持ち込み手荷物検査コーナーに並んだ。千歳から関空へのフライトでの手荷物検査では問題なくスムーズにいったので、関空でも問題は無いはずと、背負ったリュックを気楽に検査機に乗せた。
 ところが金属探知機ゲートをくぐり抜けリュックを受け取ろうすると、何と検査官がリュックの中身を見せろというではないか!おかしい何が引っかかったのだ?。
 20Kgの従量制限のあるトランクケースを少しでも軽くするため、リュックの中には食料品を中心に重めの重量の品々がぎっしり入っている。仕方ない!検査官の前の台にリュックの中身を広げた。洗面バック、携帯電気ポット、レトルトご飯、さんま蒲焼缶、鮭筍缶などずらり取り出した。すると検査官がその中から鮭筍缶を手に持ち、隣で手荷物のレントゲン画面を見ている検査官に見せ話し合ってる。そして私に言った!「この缶詰は違反で機内に持ち込みできません!」私が「なぜだ!」というと、「缶詰の中の水分が違反している!」と言うではないか。私が「缶詰の水分がなぜ危険物の燃焼物になるのか!」「缶を開いて中身を見せたらOKか?何なら食べてみせる!」というと、ちょっと待てと言いながら再び隣の検査官と相談をはじめた。するとやっぱり駄目だと言う。
鮭筍缶の中の水分を捨て何とか機内に持ち込んだ!

 私が「きょう千歳から関空への機内持ち込みはOKだった!」「国際線では昨年同じように缶詰を機内に持ち込みしたがOKだった!それなのになぜここでは駄目なのだ!」「この缶詰が燃焼物と思うか?!」と反論したが、検査官は規則だとの一点張りである。この検査官アホとちがうか!規則一点張りで何が危険なのか自分で判断できないようだ!
それなら「さんま蒲焼缶」も危険物で駄目か?と聞くと、さんま蒲焼缶は持ち込みOKだと言うではないか!
馬鹿らしい!アホな検査官と口論する気がなくなった。私が「それじゃ捨てていく!」と言うと、その検査官がポリバケツを持ってきて「この中に缶詰の水分を捨て、中身だけなら満ち込みしてかまいません!」と平然と言ってのけた。こいつ本当に正真正銘の阿呆だ!。 こうなったら意地でも機内に持ち込んでやる!ポリバケツに缶詰の中身の水分を捨て、持参していたポリ袋に口が開いた缶詰を入れ直すと、手にぶら下げ免税売店に向かった。

狭くて硬い座席シートにガタがきた機体

 エジプト航空はイスラムの旗頭国エジプトの国営航空だけあって、機内サービスではアルコール類のサービスは無い。敬虔なイスラム教徒は禁酒なのだ。イスラム教でない私達には関係ないと思うのだがサービスしないのである。アルコール中毒を自任している私にとって13時間半もの窮屈な機内で、酒なしで過ごすことは拷問に等しい。
 どうしても飲みたければ自分で機内に持ち込むことは許されいるのだが、手荷物に酒を忍ばせると手荷物検査で取り上げられてしまう。仕方ないので手荷物検査が終わったあとの最終段階の搭乗待合室へ行く途中の免税売店で酒を購入して機内に持ち込むこととした。
 免税売店に入ると、すでに私と同様に酒なしでは過ごせない旅仲間の数人が購入する酒を物色している。 私はわずかな小遣いを大奮発し、日本酒の大吟醸とワインを買うと意気揚々と機内へと乗り込んだ。

 このエジプト航空について、事前にインターネットで調べてみると、あまりいいことが書かれておらず評判がよろしくない。乗り込むまで少々不安に思っていたが、国内線より狭い窮屈なシートに超満席の機内
案の定、席に着いてガックリした。
評判通りシートの幅が狭く、前席とのピッチも狭いのである、窮屈この上ない。加えて尻部分のクッションが薄く、まるでバスの座席のようだ。
 おまけにリクライニングシートが故障しておりレバーを引くとガクンと倒れたまま戻ってこないではないか。オンボロ機体にメンテナンスが全くされていないのだ。愕然とした!空き座席がないかと機体最後席の方え行きチェックしてみたが、超満席で狭い機内にぎっしり人が座っている。あきらめて席に戻った。
 他社の国際線では座席の背もたれシートに備え付けられている液晶TVも無い。はるか前方のスクリーンでアラブ語に吹き替え、字幕までアラビア語のアメリカ映画をやっている。チンプンカンプン何が何だか100%解らないではないか。ざっと機内を見渡すと客席の大半95%は日本人である。せめて字幕だけでも日本語にしてほしいものだ。これなら吹き替えなしの英語の方がまだましだ。
 23時半、満席の客を乗せた重い機体は、こころなしかヨロヨロしながら関西空港を飛び立った。長い旅の始まりだ。間もなく日付が変わろうとしてる。

尻が痛くて一睡もできぬ機内、カイロに着いた!ナイル川沿いをバスで南下、につづく