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子宮がん検診とワクチンの最近の話題

平成22年4月25日 「子宮がん検診とワクチンの最近の話題」
仙台医療センター産婦人科部長 小澤信義先生の講演より

重要! H25年6月版 厚生労働省からの情報


子宮頸がん


・30〜40代(20代に急増)
・ヒトパピローマウィルスが原因
・免疫、体質関与
・年間約15,000人罹患、約3,500人死亡


20歳(米国18歳)になったら検診を受けましょう!
検診は膣の性交後、およそ3年後からは始めるべきであり、21歳より遅くなってはいけない。 (米国産婦人科学会)


HPVヒトパピローマウィルス


・20代女性の約20〜30%に陽性
・約100種類ある
・低リスク型は性器コンジローマの原因
・高リスク型は子宮頸がんの原因

30〜40種類の型が性的接触などによって伝わる。16,18型が発癌性が高い。


発がん性HPVは全ての年代で検出されますが、特に若い女性で検出率が高くなっています。


Q1: HPVワクチンはどれくらい効果が持続するのですか?


A:
   @ 獲得抗体は自然獲得抗体の11倍以上高い。
   A 獲得抗体は20年以上持続する。 ほぼ一生持続する





Q2: HPVワクチンの子宮頸がんへの予防効果は?


A:
   ・HPV16、18型への予防効果はほぼ100%
   ・日本での16、18型の占める割合は約64%


全年齢の子宮頸がんは、約70%予防できる。20代の子宮頸がんは90%予防できます!




Q3: 何故、16、18型をターゲットにしたのですか?

A: 
   @世界中で最も多い型である。
   A16、18型は早期に癌化しやすい
   B20代の癌の約90%は16、18型が原因


20代の子宮頸がんは、約90%予防できる!



HPV16型・18型に感染すると高度異形成や癌に進みやすい



Q4: HPVワクチン接種対象年齢は?


A: 
   @第1推奨: 11〜14歳の女子
   A第2推奨: 15〜45歳の女性
   B男子は対象外




Q5: ワクチンの安全性はどうですか?


A:
   1.注射部位の疼痛、発熱、腫脹など
   2.重篤な副作用はなかった





Q6: 他のワクチンとの接種期間は?

日本のワクチン接種の原則

   @不活化ワクチン (インフルエンザ、日本脳炎、DPT三種混合など)
    次に違う種類のワクチンを接種する場合は、6日以上間隔をあける必要がある。

   A生ワクチン (麻疹、風疹、MR混合、おたふくかぜ、ポリオ、BCG、水痘など)
    次に違う種類のワクチンを接種する場合は、27日以上間隔をあける必要がある。




Q7: 妊娠予定ですが、ワクチンを接種をおこなってよいですか?


A: 
   @妊娠前であれば、接種してよい。
   A妊娠中は接種を避ける
   B出産後に接種を検討する




Q8: HPVワクチンの費用はいくらですか?


A:
   ・初回、1ヵ月後、6ヵ月後の3回の接種
   ・日本では、約16,000円×3回
   ・ただし、オーストラリア(2007年4月)をはじめ、ヨーロッパ諸国、カナダ、ニュージーランドなどでは、公費負担で無料接種。

   20年以上効果がある!





Q9: 先進国では、なぜワクチン接種に公費が投入されているのですか?費用対効果は?

A: 
   @費用対効果がある。
    −子宮頸がんの発生を73%減らす
    −子宮頸がんの死亡を73%減らす

   A医療費の削除効果が見込まれる
    −社会的損失を190億円減らす




12歳女児に対して子宮頸がんワクチンを接種した場合、子宮頸がんの発生数を約4,000件(73.1%)減らす。


12歳女児に対して子宮頸がんワクチンを接種した場合、子宮頸がんによる死亡数を約1,200(73.2%)減らす。



Q10: 投与する年齢に制限はありますか? (25以上、35以上、45以上、閉経後)

A: 本邦では、10歳以上で上限はありませんが、第2推奨は15〜45歳です。

   @国庫負担や医療保険による公的補助の対象となっている欧米諸国では、キャッチアップ接種対象として若年者(26歳)までに制限しています。公的負担による予防投与である以上、医療資源の有効利用という観点からです。

   A産婦人科医会等では、第1推奨を11〜14歳、第2推奨を15〜45歳としています。費用対効果から、生活の質を維持する社会投資として45歳までは許容されるとの試算が出ています。(今野ら)

   B45歳以上の新たなHPV感染の頻度が低いことから、45歳以上では新たな予防効果も低いと考えられています。 


現実的な対応としては、私は、50代以降の方には、新たな予防効果が低いこと、お子さんがいれば、むしろ娘さんやお孫さんに勧めてほしいと説明しています。ただし、今後再婚予定であるなど、多様なニーズと強い希望があれば自費であり接種してよいとも考えられます。




Q11: 性経験のある人に投与する時、何か検査する必要はあるか?(Pap.smear,HPV test等)

A:
 原則必要ありません。

   @広く普及しているHCU法によるHPV検査では、型は特定できない。
   AHPVの型を証明する検査は、日本では広く普及していない。高額であり、費用対効果が悪い。
   B細胞診も、必ずしも必要ではない。ただし、定期的な子宮癌検診はすすめてください。





Q12: 性経験のある人に投与して効果がありますか?

A: 効果が落ちますが、集団としての有効性はあります。


PATRICIA(Paavonen J,Lancet,2009)のデータでは、15〜26歳の性交有と推定される群(初回時LSILまで含む)に3回接種すると、

   @16、18型に関わるCIN2+の予防効果は98.1%です。

   A全てのHPV型に関わるCIN2+の予防効果は61.9%でした。(性交未経験者群は70.2%)

   B初回時にすでにHSILであった症例を含めると、全てのHPV型のCIN2+の予防効果は約30%です。





Q13: 子宮頸部異形成で病変が消失した人に投与して効果があるか?

A: 効果があります。


過去にHPVに感染して、現在HPVが消失していれば、16,18型に関しては高い効果が期待されます。




Q14: HPV16型、18型以外への効果は?

A:
 
   @16、18型以外は原則効果はない。
   A一部に16、18型以外への追加予防効果があるが、あまり期待できない。(+7%前後)
   B治療効果はない。





Q15: ワクチン接種後も子宮頸がん検診は続けるべきですか?

A:
 
   @検診は継続すべきである。
   AすべてのHPVを予防するわけではない。
   B予防効果は約70%


   (ただし20代の予防効果は約90%)



子宮頸がんは、誰にでも起こる可能性がある。

@ほとんどの大人の女性(約80%)が一度はかかり、ほとんど(約90%)でHPVは自然に消えます。

A約10%は消えずに持続感染し、一部が前がん状態になり、さらに一部が子宮頸がんになる。

Bがん検診をきちんと受ければ、早期発見でき子宮摘出は避けられます。




子宮頸がんは予防できます!
早期発見には検診を!
予防にはワクチンを!
年間15,000人が子宮頸がんになっている。ワクチンで20代の癌は、約90%予防できる。
日本では、1日約10人の女性が子宮頸がんで死亡しています。


子宮頸がんはワクチンで予防できますが、100%ではないので検診をしてください。
子宮体がんも増えていますが、子宮体がんの予防ワクチンはありません。
子宮頸がんと子宮体がんの検査は違うので、子宮体がんの検査もお勧めします。


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