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念願だった子供を出産したのは、おととしの冬のことでした。
産後に体調を崩し、入院が長引いたりしましたが、これからはじまる子供との生活に希望が満ち溢れていました。
しかし、産後二ヶ月もすると、夜も眠れない程おっぱいが痛かったり、しこり、詰まり、発熱などのおっぱいトラブルが増えてきました。まわりにはそんなおっぱいトラブルを経験した人はいませんでしたし、初産ということもあって、相談できるところは産院でしかありませんでした。何度か診察してもらいましたが、お薬を処方されるだけで、相談しても「おっぱいは自己管理。それが出来ないのなら、ミルクにするなり、おっぱいをやめるしかないよ。」返ってきたのは、そんな言葉でした。
どうしても母乳で育てていきたかった私にとって、その言葉は、悲しくもあり、悔しくもあり、到底受け入れることは出来ませんでした。それからというものは、おっぱいが詰まれば、針でつついてみたり、細いストローで吸いだしてみたり・・・。時には、無理をしすぎて、乳首が血だらけになることもありました。しこりができれば、ぐりぐり押して絞る。同じところばかり押して、あざができることもありました。痛いのをとにかく我慢して、力まかせに絞る。そんなことがしょっちゅうで、何時間もおっぱいとにらめっこしているような日々。こうなったら、自分でなんとかするしかないという思いでいっぱいでした。
今振り返ってみると、子供をみているよりもおっぱいを見ている方が多かったように思います。頭の中は、おっぱいのことでいっぱいですし、焦る気持ちとどうしていいか分からない不安で、当時は子育てを楽しむ余裕などまったくありませんでした。
そんな毎日に疲れ、何かいい方法がないかとインターネットで検索していくうちに、ようやく見つけたのはナーシング助産院、笠松先生のホームページ。その時、すでに息子は4ヶ月。トラブル続きのおっぱいと格闘して、すでに2カ月が過ぎていました。
わらにもすがる思いで訪ねたナーシング助産院。
いざ訪ねてみると、何でもっと早くここへ来なかったのだろう・・・。本当に来て良かった・・・。心の底からそう思いました。これからも母乳育児を続けられる希望に溢れ、晴れやかな気持ちで帰ったその日のことは、今でもはっきりと覚えています。
しこり、白斑など、さまざまなおっぱいトラブルのたびに、先生のもとへ訪ねてきました。電話での相談や急なおっぱいトラブルにも対処していただき、本当に助かりました。また、世間では母乳育児に対して誤解が多く、「何度も飲ませるなんて、おっぱいが足りてないのよ。」「一年もなるとおっぱいに栄養はないらしいね。」など、育児を経験している人からもそんな言葉をかけられることがよくありました。
本来なら、そのようなことを言われると不安になるところですが、笠松先生は、毎回おっぱいの正しい知識、おっぱいの大切さなどを丁寧に教えてくださいましたので、私自身が間違った情報を耳にしても、振り回されることはありませんでした。先生のお話は、時に楽しく、励ましと愛情たっぷりで、それがどれだけ励みになり、また勇気づけられたことか・・・。授乳生活が楽しく、日々の育児に自信が持てるようになったのも、先生のおかげです。
息子が1歳の頃には、おっぱいを見るとそれはそれは嬉しそうな笑顔で「パイパイ」とおっぱいをせがむようになりました。それは、母乳育児を続けてきて良かったと思う瞬間であり、このうえない幸せな気持ちになるひとときです。もし、先生に出会わなければ、息子のそんな笑顔を見ることはできなかったかもしれません。
母乳育児の大切さ、先生との出会い、すべてが私の宝物です。母乳育児を通して、息子と深く向き合えたこと、本当に良かったと思っています。また、こうして母乳育児を続けてこれたのは、よき理解者である主人が、家事に育児にと協力してくれたおかげでもあり、心から感謝しています。
トラブル続きのおっぱいでしたが、息子が1歳6ヶ月になり、無事に断乳をむかえることになりました。楽しかった授乳生活とお別れするのは、寂しくもありますが、近い将来、生まれてくる子供もぜひ母乳育児で頑張りたいと思います。
追伸、母乳育児の素晴らしさが、もっともっとたくさんの人に伝わって欲しい・・・私の切なる願いです。
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