TOPナーシング体験談<「おっぱい」のこと。


「おっぱい」のこと。

今2人目の子(2ヶ月)を、ミルクの助けを借りて、4年ぶりに母乳育児をしている。

私が日頃思うのは、あまりにも「おっぱい」に関する情報が少ないと言うことだ。

1人目の時もそうだったが、私のおっぱいはかなりやっかいで、今回もしょっちゅう詰まって腫れたり、乳首が荒れて吸われると激痛が走ったりと早くも苦労続きだ。

2人目なので、「あ〜またか。」という気持ちと、どう対処すればよいのか知識もあるので、少し余裕があるが1人目の時は辛くて毎日のように泣いてばかりいた。

私の場合、人より少し、痛みを強く感じるタイプなのかもしれないが、出産した病院に母乳マッサージに行くと、おっぱいが詰まっただけでも痛いのに、そのデリケートなおっぱいを容赦なくグリグリ揉まれ、あまりの激痛にマッサージしてくれている腕をぐいっとつかんでしまい、その行為に自分でも驚いたのと同時に、どうしてこの辛さを分かってくれないのかという怒りも込み上げてきて、人前ながら嗚咽しながら泣いてしまったこともあった。

そのころはなぜおっぱいが詰まるのか、いったい何が悪いのか、どうしたらいいのかさっぱり分からず、本屋に行って片っ端からおっぱい関係の本を探したが、母乳がどんな仕組みで出るのか、トラブルが起きたときどうしたら良いのかなど、私の疑問に答えてくれる本は一冊もなかった。

また、子育ての先輩である人たちに聞きまくったりもしたが、おっぱいにトラブルがあった人は1人もおらず、「へぇ、そうなんだ。」とか、「大変だね。」と 結局私の辛さを理解してくれる人はいなかった。

妊娠や出産に関することは耳年増になるくらい情報過多なのに対し、なぜか「おっぱい」のこととなるとあまりにも情報が少ない。

そのため、私は自分がいざ母乳を与える立場になるまで、水道の蛇口をひねれば水が出るように、量の差はあっても誰でも母乳は苦労なく出るものだと思っていた。

だが、実際は乳首を吸われる刺激で、涙のようにその時一気に湧いてくるものだと始めて知った。

そして、私のようにおっぱいが詰まったり、扁平乳首などで、授乳に苦労する人など、おっぱいに関していろんなトラブルがあることも始めて知った。

何の問題もなく授乳できた人の場合、そういうトラブルがあることさえ知らない人も多いのではないだろうか。

私の場合、ナーシング助産院のことを知る機会があり、精神的にもおっぱい的にも心底救われることが出来た。

始めてそこを訪れたとき、痛くない手技に驚き、また、お母さん達を心からいたわってくれる温かさに、それまでの暗く憂鬱だった気分が一気に晴れ、これで母乳育児が続けられるかもしれないと言う希望の光が差し込んできたのを、今でもはっきりと覚えている。

そこでは、ただでさえおっぱいトラブルで辛い思いをしている母親に対して、厳しい食事制限も母親なんだから我慢しなくてはいけないなどという威圧的な指導も全くなかった。

そのことがどんなに私を救ってくれたことか。

今回、4年ぶりにまたナーシング助産院を訪れ、ベッドに横たわったとき、見覚えのある天井の模様に気がつき、4年前のことを懐かしく思い出した。

自分でもよく頑張ったなとちょっと誇らしい気分だった。
今回の妊娠中も。

また、産後のおっぱいトラブルがあるのではという不安もあったが、その時には心強い見方がいるという思いが私を支えてくれた。

私は幸運だったが、そういう場があることを知らずに1人で苦しんでいるお母さん達もいるのではないだろうか。

笠松先生のように「おっぱい」の専門家がたくさん力を尽くして下さっていること、そしておっぱいに関することを世の中にもっと知って欲しいし、私自身ももっと詳しく知りたいと思う。

もっと、もっと「おっぱい」の社会的地位が上がって、研究が進み、少しでも多くの人がおっぱいでの苦労が解消されることを心から願う。

だって本来おっぱいは母と子をつなぐ、もっとも幸せな絆なのだから。

J.Oさん(泉区) 体験記
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