確率 あることがらの起こりやすさの度合いを数値で表します。
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目次
1 確率の定義 2 確率の計算 3 独立な試行の確率
4 反復試行の確率 5 条件付き確率
確率は実生活でも役立つ分野といえます。未来に起こりうる事象の割合である確率を学習することは、予知能力を手に入れることだともいわれています。 |
中学でも学びましたが、ここで簡単な例をあげましょう。
1個のサイコロを投げるとき、2以下の目が出る事象Aの確率 P(A)を求めてみましょう。
※P(A)のPは確率を意味するprobabilityの頭文字です
サイコロの目は1~6までですから6通り。
そのうち2以下の目が出るというのは1か2の目の2通り。
したがって求める確立は
P(A)=2/6=1/3 です。これは試行回数を多くすればするほど、
事象Aの起こる割合が1/3に近づくということです。
確率の定義
なんだかややこしい定義ですね。でも、日本語で書いた右辺(起こりうるすべて…)の
考え方は大切ですので、しっかり意識しながら前に進みましょう。
多くの問題を解くことで確率に慣れましょう。
まずは、中学で学習した簡単な問題からやってみましょう。
練1 1個のさいころを投げるとき、次の確率を求めよ。 ① 奇数の目がでる確率 ② 5以上の目がでる確率 ③2以下の目がでる確率 練2 赤玉3個、白玉2個が入っている袋から1個取り出すとき 白玉が出る確率は? 練3 1枚の100円硬貨を2回投げるとき、2回とも同じ面が でる確率を求めよ。 練4 52枚のトランプから1枚のカードを引くとき、引いたカー ドがハートである確率は? (トランプにはスペード♠、ハート💛、クローバー♧、ダイ ヤ♦の4種類があります) 練5 ジョーカーを除く52枚のトランプから1枚のカードを引く とき、次の確率を求めなさい。 ① 7のカードを引く確率 ② 絵札を引く確率 それぞれの絵札カードにJoker Queen Kingの3種類が あります。 練6 10円硬貨1枚と100円硬貨1枚を同時に投げるとき 両方とも表面がでる確率を求めなさい。 練7 大小2個のさいころを同時に投げるとき、目の和が8にな る確率は 練8 A,Bの2人を含む6人の選手がいる。走る順番をくじ引 きで決めるときAが1番目、Bが6番目になる確率は 練9 1,、2、3、4、5の数字のから重複を許して4桁の整数を作 るときに1200より大となる確率を求めよ |
答) 練1) ①1/2 ②1/3 5と6の2通り ③1/3
練2) 2/5 練3)1/2 練4)1/4
練習5) ①4/52=1/13 ②12/52=3/13
練6) 起こりえるすべての結果は4通りであり、
これらは同様に確からしい。そのうち2枚とも表が出るのは1通りで
あるから、求める確率は1/4
以下の表以外に、樹形図を用いてもいいですね。
10円 | 表 | 表 | 裏 | 裏 |
100円 | 表 | 裏 | 表 | 裏 |
練7) 5/36
練8)6人全員の並び方は6! A,B以外の4人の並び方は4!
よって 4!/ 6! 1/30(答)
練9)1,、2、3、4、5の数字のから重複を許して4桁の整数を作るときに
1200より大となる確率を求めてみよう
解説)重複を許すので,千・百・十・一それぞれの位に,1,、2、3、4、5の5種類の数字どれでも
入れることができる。したがって全ての並べ方は5×5×5×5×=5⁴通りになります。
次に、 1200より大となる確率は,1200より小さい確率を出し,1(全体)から引く。
千の位と百の位がともに1のときのみ(例えば1199,1198,1197・・・),1200より小さくなる。
千の位と百の位がともに1のとき,残りの十の位と一の位の数字の並べ方は5²通り。
よって1200より小さくなる確率は,5²/5⁴=1/25 よって求める確率は 1-1/25= 24/25…答
以下、問3も類似問題です。
確率などに強くなるには数多くの問題に接し、慣れることでしょう。
それでは、以下の問いにチャレンジしてみてください。
問1 大人3人と子供4人の中から2人を選ぶとき、2人とも子供である確率は? 問2 赤玉3個、白玉2個が入っている袋から3個の玉を同時に取り出すとき、赤玉2個、白玉1個を取り出す確率は? 問3 1,2,3,4の4つの数字を、無作為に並べて4桁の整数を作ります。 ただし、同じ数字は一度しか使えません。 ①偶数となる確率 ②この数字が2000以上の、偶数となる確率 問4 赤玉4個、白玉2個が入っている袋から、2個の玉を同時に取り出すとき、次の確率を求めよ。 ① 白玉2個を取り出す確率 ② 赤玉2個を取り出す確率 ③ 赤玉1個、白玉1個を取り出す確率 |
答) 問1: 2/7 簡単ですね。考えましょう。
問2: 赤白5個の玉から3個の玉を同時に取り出す方法は 5C3 通り
「赤玉2個、白玉1個を取り出す」事象をAとすると、
事象Aが起こる場合の数は、P(A)=3C2×2C1 =6通り
よって、求める確率P(A)= (3C2×2C1) / 5C3 = 6/10= 3/5
問3 ① (1,2,3,4) で各1回ずつ使う組み合わせは、4!=24通り。
このうち、偶数になるのは、 (1,2,3,4)では奇数と偶数の出現率は同じなので、
4!/2=12通り なので 1/2
②偶数のうち、2000未満になるのは先頭の数が1の場合を引いてみよう。
先頭が1の偶数は1{頭は1で固定}×2{1の位は2or4}×2!{残りの桁}=4
ですから、12-4=8(通り) 8/24=1/3
説明) 2134,2314,3124,3214,3142,3412,4132,4312だけですから。
したがって2000以上の偶数となる確率は、8/24=1/3
問4 赤白6個の玉から2個の玉を同時に取り出す方法は 6C2 = 15通り
① 白玉2個を取り出す事象が起こる場合の数は2C2 = 1 よって、1/15… 答
② 赤玉2個を取り出す事象が起こる場合の数は4C2 = 6 よって、6/15… 答
③ 「赤玉1個、白玉1個を取り出す」事象が起こる場合の数は(4C1×2C1 ) / 6C2 = 8/15
2.確率の基本性質
2.1 積事象と和事象
2つの集合A,Bは以下のようにA∩B、A∪Bで表せる。
A∩B 共通部分 「AとBの共通部分」といい「AかつB」で集合AとBの重なった部分の集合 |
![]() |
A∪B 和集合 「AまたはB」で集合AとBの要素すべて |
![]() |
一般に2つの事象A,Bに対して、
AとBがともに起こる事象をAとBの積事象といい、A∩Bで表す。また、
AまたはBが起こる事象をAとBの和事象といい、A∪Bで表す。
例をあげよう。
1個のさいころを投げるとき、
「偶数の目がでる」事象A {2,4,6}
「5以上の目がでる」事象B {5,6}
AとBの積事象は A∩B={6}
AとBの和事象は A∪B={2,4,5,6}
例)1個のさいころを投げるとき、「3の倍数の目がでる」事象をA 「3以下の目がでる」事象をBとする。このとき AとBの積事象 A∩B と AとBの和事象 A∪B を求めよ。 |
答)A={3,6} B={1,2,3}
積事象 A∩B={3} 和事象 A∪B={1,2,3,6}
2.2 確率の加法定理
排反事象
1個のさいころを投げるとき、「奇数の目がでる」事象をA
「6の目がでる」事象をB とすると
A={1,3,5} B={6}であるから
AとBの事象は同時に起こらない。
このように2つの事象AとBが同時に起こらないとき、
AとBの積事象は空事象であるから A∩B=Φ であるとき
AとBは(A∩B=Φ)は排反事象である という。
例1)各等の当たる確率が以下の表のようなくじがある。
このくじを1本引くとき1等、または2等が当たる確率を求めてみよう。 |
1等が当たる事象をA,2等が当たる事象をB とすると、事象Aと事象Bは互いに排反である。
よって、求める確率 P(A∪B)は
P(A∪B)=P(A)+P(B)=1/10+ 2/10= 3/10
例2) 男子6人、女子4人の中から2人の委員を選ぶとき、2人とも男子、または2人とも女子が選ばれる確率は? |
2人とも男子が選ばれる事象をA、 2人とも女子が選ばれる事象をB とすると、
P(A) = 6C2/10C2=15/45 P(B) = 4C2/10C2 =6/45
2人とも男子、または 2人とも女子が選ばれる事象はAとBの和事象A∪B。
(AとBは互いに排反である)
よって求める確率は P(A∪B)=P(A)+P(B)= 15/45+6/45= 21/45= 7/15
■一般の和事象の確率
P(A∪B)=P(A)+P(B)ーP(A∩B) (下図参照)
例) 1から50までの番号が書かれた50枚のカードがある。この中から1枚のカードを引くとき、引いたカードの番号が4の倍数、または6の倍数である確率を求めてみよう。 |
引いたカードの番号が 「4の倍数である」事象をA 「6の倍数である」事象をB とすると、 A = {4,8,12,16…48} B = {6,12,18,24,…48} n(A) =12 n(B) = 8 |
![]() |
積事象A∩Bは4と6の最小公倍数12の倍数である事象だから
A∩B = {12,24,36,48}の4通り。
n(A) =12 n(B) = 8 n(A∩B) =4 よって、
P(A)=12/50 P(B) = 8/50 P(A∩B) =4/50 したがって、求める確率 P(A∪B)は
P(A∪B) = P(A) + P(B) - P(A∩B) = 12/50+8/50 - 4/50= 16/50 =8/25
問) 1から50までの番号が書かれた50枚のカードがある。この中から1枚のカードを引くとき、引いたカードの番号が6の倍数、または8の倍数である確率を求めよ。 |
カードの番号が6の倍数 n(A) =8 カードの番号が6の倍数 n(B) =6 であるから、
8/50+6/50-2/50=12/50= 6/25…答
P(A∪B)=P(A)+P(B)-P(A∩B)
6の倍数 6,12,18,24,30,36,42,48
8の倍数 8,16,24,40,48 2つ重なる分を引きます。
■余事象とその確率
全事象をUとし、事象Aに対し「Aが起こらない」事象をAの余事象()という。
余事象の確立 P() = 1 - P(A) または P(A) = 1 - P(
)
例) 1から10までの番号が書かれた10枚のカードがある。この中から1枚のカードを引くとき、引いたカードの番号が3の倍数でない確率を求めてみよう。 |
3の倍数である事象をAとすると、3の倍数でない事象は余事象であるので、
P(A) = 3/10 {3,6,9} よって求める確率は
P() = 1 - 3/10= 7/10
問1) 1から25までの番号が書かれた25枚のカードがある。この中から1枚のカードを引くとき、引いたカードの番号が4の倍数でない確率を求めよ。 |
P(A)= 6/25 P() = 1 - 6/25 = 19/25
例) 赤玉3個、白玉4個が入っている袋から3個の球を同時に取り出すとき、少なくとも1個は赤玉である確率を求めよ。 |
「少なくとも1個は赤玉をである」とは、
「赤玉が1個または2個、または3個すべてが考えられる。
そのまま考えたら難しい。そこで、
「少なくとも1個は赤玉である」は「3個すべてが白玉にならない」つまり、
「3個とも白玉になる」取り出し方を求める余事象の考え方で解決する。
「少なくとも1個は赤玉である」事象をAとすると、
「3個とも白玉になる」は(余事象)で、求める確率P(A)は
P(A) = 1- P() で求める。
7個から3個取り出す取り出し方は 7C3= 35通り
このうち3個とも白玉になる取り出し方は 4C3= 4通り
事象が起こる確率 P(
)= 4/35 よって
P(A) = 1 - 4/35 = 31/35
問1) 赤玉5個、白玉4個が入っている袋から3個の球を同時に取り出すとき、少なくとも1個は白玉である確率を求めよ。 <Page44> 問2)当たりくじ3本を含む10本のくじから、3本のくじを同時に引くとき、少なくとも1本は当たる確率を求めよ。 |
問1)9C3 =84通り 赤玉のみは5C3 =10
P(A)=1-10/84= 1 - 5/42 = 37/42 (答)
問2)10C3 =120通り すべてはず7C3 = 35通り
P(A)=1-10/84= 1-35/120 =85/120 =17/24 (答)
■独立な試行とその確率
「一枚の硬貨を投げる」試行と「一個のさいころを投げる」試行において、
それぞれの出方は互いに影響を及ぼさない。
このように2つの試行において、一方の試行の結果が他方の試行の結果に
影響をおよぼさないとき、この2つの試行は互いに「独立である」という。
互いに独立な試行SとTにおいて、
Sで事象Aがおこり、Tで事象Bがおこる確率は、 P(A) × P(B)
例 1個のさいころと1枚の硬貨を投げるとき、さいころは偶数の目が出て、硬貨は裏が出る事象の確率を求めてみよう。 |
さいころで偶数の目が出る確率は1/2
硬貨で裏が出る確率は1/2
2つの試行は互いに「独立である」ので、求める確率は
1/2×1/2 = 1/4
問1 弓道部のAさんとBさんが的(まと)に矢を命中させる確率は、それぞれ1/2,2/3である。2人が続けて弓を射て、ともに的に矢を命中させる確率は? |
1/2×2/3 = 1/3
問2 10本のくじの中に当たりくじが3本ある。このくじをAさんとBさんの2人が順に1本ずつ引く。Aさんが引いて、引いたくじを元に戻してからBさんが引くとき、2人とも当たる確率は? |
引いたくじを元に戻すので、2人の試行は「独立である」
Aさんが当たる確率は 3/10
Bさんが当たる確率も 3/10 よって
2人とも当たる確率は 3/10×3/10 = 9/100 答
問3 8本のくじの中に当たりくじが3本ある。このくじをAさんとBさんの2人が順に1本ずつ引く。Aさんが引いて、引いたくじを元に戻してからBさんが引くとき、次の確率を求めよ。 (1) 2人とも当たる確率 (2) Aさんが当たり、Bさんがはずれる確率 |
(1) 3/8 × 3/8 = 9/64
(2) 3/8 × 5/8 = 15/64
■反復試行の確率
多少難しいかもしれませんが、ここでは、何回もくり返して行う試行での確率を
計算する方法を考えてみましょう。
例 1個のさいころを3回投げるとき、1の目が2回だけ出る確率はどうでしょう |
3回投げるとき、1の目が2回だけ出る事象は下の表のように 3C2 =3通りであることがわかります。
1回の試行で1の目が出る確率は1/6 他の目が出る確率は5/6 1以外の目を×で表すことにします。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 確率 | |
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× | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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× | ![]() |
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× | ![]() |
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復習問題
問1 男子3人、女子2人の計5人が1列に並ぶとき、男女が交互に並ぶ確率を求めなさい。 |
男子を○、女子を▲と置いてみましょう。 ○▲○▲○
この場合、○には男子3人、▲には女子2人しか入れないので、3!×2!=12
男女が交互に並ぶのは12通りあります。
確立は対象の個数/全体ですので、12/120 = 1/10 (5!=120)
問2 男子4人女子3人の計7人が1列に並ぶ時、男女が交互に並ぶ確率を求めなさい。 問3 男子4人女子4人の計8人が1列に並ぶ時、男女が交互に並ぶ確率。 |
問2 男子を○、女子を▲と置いてみます。
【男子4人女子3人の計7人が1列に並ぶ時、男女が交互に並ぶ確率】
○▲○▲○▲○ 右のよう並べばいいので、
その並び方は男子の順番が4! 通り、女子の順番が3! 通り。
あわせて4!×3! = 144 通り
全ての場合の数が 7! = 5040 通り よって確率は
144/5040 = 1/35 …答
問3【男子4人女子4人の計8人が1列に並ぶ時、男女が交互に並ぶ確率】
○▲○▲○▲○▲ または▲○▲○▲○▲〇
どちらかの並び方をすればいいです。
このどちらも、並び方は男子の順番が4! 通り、
女子の順番が4! 通り。あわせて4!×4! = 576 通り
図のようにパターンが二つあるので、あわせて576×2 = 1152通り
全ての場合の数が 8! = 40320 通り よって確率は
1152/40320 = 1/35 となります。
問3 男子2人と女子4人がくじ引きで順番を決めて1列に並ぶ時、 男子2人が隣り合う確率は |
男子を○ 女子を▲で表示します
○○
▲ ▲ ▲ ▲ ①▲ ②▲ ③▲ ④▲ ⑤
上図の①から⑤までのように5通り女子の間に入れます
男子2人が並ぶ 2! 女子4人が並ぶ 4!
全体6人の並び方 6! よって 2!×5×4!
6!/(2!×5×4!) 答
■条件付き確率
例 白球4個、赤球3個が入った袋があり、白球には1から4の数字が書いてあり、赤球には5から7の数字が書いてある。この袋から1個の球を取り出すとき、白球で奇数がかいてある確率を求めてみよう。 |
白球である事象をA Page50
奇数がかいてある事象をB とする。
このとき 白球で奇数がかいてある事象