1節 整式・分数式の計算        戻る


 目 次

  1章 式と証明
     復習 1.複素数   2.2次方程式

  1節 式と計算
    1 3次の乗法公式と因数分解

    2 二項定理

    3 整式の割り算

    4 分数式とその計算

    5.等式/不等式の証明 (相加/相乗平均)

   乗法公式や因数分解の苦手な人はここをクリック  してください。


   3.高次方程式 剰余の定理と因数定理


 複素数

 x2=−1の1つの解 を虚数単位といい、iで表します。
すなわち
  i= つまり  
i2=−1

 さらに、x2−2x+5=0 すなわち(x−1)2= −4 のような2次方程式では
  x−1=±√−4
  x−1=±2i  x= 1±2i
  になります。

 次の式を計算しなさい。

  ①  ②   ③   ④   ⑤ 

 

問1 以下の計算をやってみよう。

  ①2i+3i=   ②2i−3i=  ③−2i−3i=  ④2i×3i

 ⑤2i÷3i=   ⑥
 

 答  ① 5i  ② −i  ③ -5i  ④ -6 ⑤ 2/3

 
    ⑥ 

 問2 次の計算式を簡単にしなさい。
  
   
 

 答 (1)   (2)  (3)  (4)
   (5)   ※ 以下、の有理化と同じ考え方で解けますよ。

    (6)   (7)   (8)



2次方程式  (判別式)
 

 高校2年で二項定理を学習します。
 そのまえに、以下の因数分解を理解しておく必要があります。
 数学の基礎中の基礎で、非常に大切です。マスターしましょう。

 中3で習った乗法公式です。非常に大切な公式なので、忘れた人は思い出そう。
  

 2次の乗法公式(復習)

        展開            ⇆     因数分解
 
  

復習問題1 次の2次方程式を因数分解し、の値を求めなさい。

 

 答
  


  多少難しくなりますが、続けて以下の2次方程式を解いてください。

 復習問題2



 



  
        

 上の式は中学で学習した公式です。思いだして、(1)から(2)まで
 やってみましょう。

   (1)  (2)

   (3) 

 答 (1)(2)  

    (3)  √の中がマイナスになりますね。虚数です。


 判別式と解の種類
     解はどのようなものか、実数解が±の2つなのか、
     √の中が0でしたら±以降が0ですので、実数解が1つになり、
     √の中がーでしたら虚数解になりますね。
     つまり√、根号の中の式の値により解の種類が判別できます。
   
  
  

問1 次の2次方程式の解を判別しなさい。
  

 

問2

  

  答
   問1(1) D=17より異なる2つの実数解をもつ
     (2) D=12 より異なる2つの実数解をもつ
     (3) D=-11 より異なる2つの虚数解をもつ
     (4) D=0より重解をもつ

   問2
       

解と係数の関係

   の解は 

  この2つの解の和と積の関係はどのようになるでしょう。

   

    一般に次の式が成り立ちます。

  公式
    

  例 の2つの解をα、βとするとき、
    αとβの和と積は次のようになります。
     和はα+β= 積はαβ=


 問1 2次方程式 の2つの解をα、βとするとき、
   次の値を求めなさい。
     (1) α2β+αβ2     (2)

  答  (1) 30   (2) 6/5


 

 問2 2次方程式 の2つの解をα、βとするとき、
   次の値を求めなさい。
         (2)

    
              


    
(5) α2β+αβ2

  解答 α+β=2 αβ= より

     = αβ+2(α+β)+4

                         …答


      (2) = (α+β)2αβ=4-3=1 …答

          …答


       …答


   (5) α2β+αβ2
αβ(α+β)=3  …答

問3 2つの数2+√5 , 2-√5を解とする2次方程式を1つ求めなさい。

 解答
   和 (2+√5)+(2ー√5)=4
   積 (2+√5)(2ー√5)=4-5=-1 だから、
         


問4 2次方程式  の2つの解をα、βとするとき、
   α+2,β+2を解とする2次方程式を1つ求めなさい。

    答 



高次方程式

 因数定理
     

 因数定理を用い、具体的な数値でやってみよう。     

例 を因数分解してみましょう。

  まず、  とおきましょう。
    ですので、(-2)が因数になります。よって、
        (-2)(-3)(-1) …答

   今回、P(2)から始めましたが、P(1)=0から始めたほうが楽ですね。

 問 因数分解しなさい
    

 とおく
     ではP()=0にならないね。
     ですので、(-2)が因数になりますね。
      
    …答
         
3つの因数に分解できました。

 例1 以下の方程式を解いてみよう

        

 ヒント に1を代入、NGならー1…。解決する糸口が見えてきます。

      =-1, 2±2√2…答

1節 式と計算
 1 3次の乗法公式と因数分解

  展開の公式

  


 公式を確認してみよう

  を
    のようにして展開し、確かめてください。

 
同様に以下の公式をも確かめてください
   

   
   

  上の式の反対、因数分解はよく使いますので、ここで形として覚えてしまいましょう.。
  問題を数多く解答することで、公式になれることが大切です。


それでは下の公式を展開、または因数分解してみましょう。

 

 解答
 


 
2 二項定理
  二項定理はのような2項の累乗の式、つまり

 を展開をするときに大変便利です。(各項の係数を求めるとき)

 
   
係数で考えてみましょう。

    
の係数は1a、1bで係数は  と  (上のパスカルの3角形でn=1のとき)

    
 の係数は
       ですから 
1 2 1 (n=2のとき)

  
 

      
  係数は1 3 3 1 (n=3のとき)


   係数の変化にある一定の法則が考えられますね。
   
乗で考えてみましょう。以下のようになります。

  において、係数だけを左から (aの次数の高い順に)

  ■ パスカルの三角形

n=0のとき  
n=1  〃  
n=2 〃  
n=3 〃  
n=4 〃  
 

つまりパスカルの3角形から以下の形になります。



  ただ、パスカルの3角形は書くのに大変?
  そこで、以下のやり方をお勧めします。


        1  1
           1  1
        1  2  1      2乗
           1  2  1
        1  3  3  1   3乗
           1  3  3  1
        1  4  6  4  1  4乗


  といった具合に右へ1つずつ移動させるとやり易いですね。

  係数は    1, 2, 1

 =+(2×3)+32  = +6+9
  -------------------------------------------------------------

  係数は     1,3,3,1

 =+(3) ×3 +(3) ×(3) +(3)
 =+9+27+27
  --------------------------------------------------------------

 係数は    1,4,6,4,1

 ×31×3
×3+3
 +12 +54+108+81

  この方法で5、6乗まで解決しますが、10,20乗となれば大変ですね。
 nCrという立派な式がありますが、これはあと(二項定理)で触れたいと思います。
  では、を展開してみましょう。5乗の展開なので
 パスカルの三角形から係数は 1 ,5, 10, 10, 5, 1
  以下のようになります。

  

 それでは以下の問題(展開)にチャレンジしてみてください。

   ①        ② 

   ③        ④

  (+2)3+(3) ×2 +(3)×(2)+(2)
   =+6+12+8

 ②
 ③ (-2)
3-(3) ×2 +(3)×(2)-(2)
   =-6+12-8

 問1 (1), (2) 因数分解、(3)~(6) は展開しなさい

    (1)    (2)

    (3)   (4)


    (5) (3x+2)3   (6) (x-2y)3

 答 公式に慣れることです。そのためには、数多くの問題を解くことです。

  
(1)
  
(2)
      
「3乗の式ですから、まず、64は4の3乗では?」と考えることです。

  
(3)
      
計算ミスに注意

  
(4)

  (5) (3x+2)3= (3x)33×(3x)2×23×(3x)×22×23
       = 27x3+54x2+36x+8 

  (6) (x-2y)3
x33×x2×(-2y)3×x×(-2y)2×(-2y)3
              x3-6x2y+12xy2-8y3

チャレンジ
 前例のパスカルの三角形(図2)はn
rを用いて図3のように置き換えられます。
     

       図2                 図3

を2項定理で展開すると以下のようになります。

 

  この計算の係数 Cがどこからくるのだろうか?


  メモ
 一般に、記号n
rを次のように定めます。

  但し


 次の二項定理が成り立つ

(
a+b)nを展開したとき,

  • an−rbr の係数は nCr になる.(nCr二項係数といいます.)
  • すなわち,一般項は nCran−rbr になる.(r=0n
  • 展開式をすべて書くと
  •   (a+b)n=nC0an+nC1an-1b+nC2an-1b2 + ·········+ nCran-rbr + ··· + nCn−1abn-1+nCnbn

 以下のようにも表せます
    

   

  を計算してみましょう

  


 1章で学んだ以下の公式。大切ですので左辺から右辺へ(展開)、右辺から左辺へ(因数分解)
 スムーズにできるようにしておいてください。

   
 

 例 次の方程式を解いてみよう

  (1)     
    (2)

  
(3)     (4)

  (5)    (6)

 ヒント
  (1) 以下の公式を使いましょう。
    公式を使わなくても解答できますが、できたら公式を使ってください。

         

    答 (1)
(x+2)() に因数分解できますが、
       
 をさらに因数分解しましょう。
              …答
     (2)
 
 をさらに因数分解

     (3)
4を2次式に置き換えてみよう。例えば 2a から 4 a2
       
2a  a=3 ,-1   x2=3, -1より x=±√3 x=i

     (4) x=-1, 3, -1±3i …答

     (5)
問(3) と同じように、 4を2次式に置き換えてみよう。
          と置くと,   

            を元に戻して、2=9, 2=-2

              …答

        (6) から =1,ー1,3

 問 次の方程式を解きなさい。
   (1)     (2)


   (3)

  (1) x=2, -1±√3i  (2) (x-3)3 よりx= 3  (3) x=-1, 2±2√2


 3. 整式の除法 (割り算)
 

例題

 解説
  (1)                  (2) 
      

                              商は  余り 
 (3)解説
     

  この式がどのように成り立っているか、仮に13を4で割った式で考えてみよう。
   13÷4=3 余り1ですね。
    A=13, B=4, Q=3, R=1を代入してみましょう。

      
13÷4=3 余り1 13=4×3+1 で A = B×Q+R ですね。

     
 
    それでは上の例題3を解いてみましょう。

      

          

  別解 なので割る数と商を入れ替えて、
     
÷のように

      そのまま計算しても結果は同じですね。

 問 (1)  をで割りなさい。

  (2) で割ったときの商と余りを求めなさい

 答    (1)              (2)

     


因数定理

例  の方程式を解いてみよう

   とおいて、=1はNG =2もNG =-1はOK
      よって、(+1)を因数にもつ方程式
     
          =  より

       …答

 メモ
   



因数分解の公式(形で覚えよう。数多く問題を解くことで慣れます)

  

 の代わりに、下の公式のようにでもおなじですね。

   

例題 (1)から(2)は方程式を解き、(3)から(5)は因数分解しなさい
   (1)    (2)


   (3)   (4)    (5)

 答 (1)   (2)  より 

   (3) (4)

   (5)

 練習問題1 次の式を展開しなさい。
  (1)        (2)

 (3)  (4) 

 答 (1)   (2) 
   (3)     (4) 

 練習問題2 次の式を因数分解しなさい。
   (1)   (2) 

   (3)   (4)
  (5)   (6)

  (1)   (2)  (3)
 (4)  (5)(6)


 例 の展開式におけるの係数を求めてみよう。

   の展開式の一般項は   ※rは0から始まる

   の項はのときだから 

   よって、求める係数は 



整式・分数式の計算

 例題   を解いてみよう。

 解き方 こうした問題は や複素数の分数式  と同じで

   や  を一つの塊(ブロック)として考えることが大切です。


 
  も同じように  のように、一つの塊として考えましょう。
分母が異なる の計算と同じように、分母を合わせて、

     … 答

問1  次の式を計算しなさい。
      

    

  答 (3)の問いは分母が同じ   それに、
    (1)や(2)(4)の問いは分母が異なる の計算と同じだね。


   (1)   (2) 
  =

    (3) 

   (4) 

 

 

 

解答(1)

解答(2)




式と証明

 等式の証明

a+b+c+d=0 のとき,a3+b3+c3+d3=3(a+d) (b+d)(c+d)
  が成り立つことを証明しなさい。

 まずa3+b3を考えましょう。以下のように(a+b)3 として、過不足を調整します。

 a3+b3=(a+b)33(a2b+ab2)
 
    a3+b3+c3+d3=(a+b)33(a2b+ab2)(c+d)33(c2d+cd2) …①
   a3+b3+c3+d3=(a+b)33(a2b+ab2)(c+d)33(c2d+cd2)
          =(a+b)3-3ab(a+b)+(c+d)3-3cd(c+d)
    条件 
a+b+c+d=0より a+b=-(c+d)
    右辺に代入
     (a+b)3-3ab(a+b)+(c+d)3-3cd(c+d)
     = -(c+d)3-3ab{(-(c+d)}+(c+d)3-3cd(c+d)  
     = -(c+d)3-3ab{(-cd)}+(c+d)3-3cd(c+d)
     = -3ab{(-cd)}-3cd(c+d)
     = 3ab{(c+d)}-3cd(c+d)
     = 3(c+d)(abcd)  …②
    条件 a+b+c+d=0より c=-(a+b+d)  ②に代入
      3(c+d)(abcd)=3(c+d)(ab-(a+b+d)・d
         =3(c+d)(ab(a+b+d)d}=3(c+d)(ab+ad+bd+d2)
       3(c+d)a(b+d)+d(b+d)}
      3(c+d){a(b+d)+d(b+d)}
 3(a+d)(b+d)(c+d)}
       a3+b3+c3+d3=3(a+d)(b+d)(c+d)} が成り立つ



 不等式の証明
   相加平均と相乗平均
   2つの正の実数,に対して

           を相加平均   を相乗平均 という。

   また、相加平均と相乗平均のあいだには、次の不等式が成り立つ。

             あるいは両辺を2倍して
         (等号が成り立つのは のときである)


相加平均と相乗平均の大小関係」
ab のとき,(相加平均)>(相乗平均)・・・・・・①

a=bのとき,(相加平均)=(相乗平均)・・・・・・②
①と②を合わせて,(相加平均)≧(相乗平均)
となります。

  
     

 解説 相加平均と相乗平均の関係(相加平均≧相乗平均)を用いよう。
     であるから
      

   より、

        よって