1節 集合と論証 戻る
1 集合
A∩B 共通部分 「AとBの共通部分」といい「AかつB」で集合AとBの重なった部分の集合 |
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A∪B 和集合 「AまたはB」で集合AとBの要素すべて |
具体的に説明しましょう。
A={1,3,5,7,9} B= {3,4,5,6}について、
A∩B(共通部分) A∪B(和集合)は?
※A,Bの、まず共通部分から見ていきましょう
集合の表し方
集合を表すにはA={1,3,5,7,9}以外に次の方法があります。
A={X|Xは10以下の正の奇数}
例)A={X|X2= 9}のとき A={3,-3}
問)次の集合を、要素をかき並べる方法で表せ。 (1) A={X|-1≦X≦2, Xは整数} (2) A={X|Xは10以下の正の奇数} (3) A={X|-3<X<1, Xは整数} |
答)(1) A={-1,0,1,2}
(2) A={1,3,5,7,9} (3) A={-2,-1,0}
例題1) Uは全体集合 |
例題2) A={X| -2<X<3, Xは実数}、B={X| 0<X<5, Xは実数}のとき、A∩B およびA∪Bを求めよ。 |
答 A∩B={1,2} A∪B={-1,0,1,2,3,4}
例題3) A={X| 1≦X≦5, Xは実数}、B={X| 3≦X≦7, Xは実数}のとき、A∩B およびA∪Bを求めよ。 |
補集合とド・モルガンの法則
例題1)U={1,2,3,4,5,6,7,8,9}を全体集合とするとき、その部分集合 A={2,3,5,7}、B={1,3,5,7,9}について、次の集合を求めよ。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) |
まずA,Bの共通要素から考えましょう
答 (1)={1,4,6,8,9}
(2) ={3,5,7}より ={1,2,4,6,8,9}
(3) (1)の要素と={2,4,6,8}から={1,2,4,6,8,9}
(4) ={1,9} (5) ={4,6,8} (6) ={4,6,8}
ここで前問の(5)(6)の結果が等しいのに注目しよう。
={4,6,8} (6) ={4,6,8}つまり、
① = ② = これが、ド・モルガンの法則です。
ベン図を書いて考えましょう。
①は ②は
例題2) ベン図(1) ベン図(2) 上のベン図は以下の集合(全体集合をUとする。)のいずれを表しているか。 記号で答えよ。 ベン図(1)は( と )ベン図(2)は( ) |
ベン図(1)はまず⑥、⑥からド・モルガンの法則により⑤を導くのが楽ですね。
ベン図(1)は( ⑤と⑥ )ベン図(2)は( ④ )
2命題の真偽と集合
正しいか正しくないかが定まる文や式を命題という。
命題が正しいとき、その命題は真であるという。
命題が正しくないとき、その命題は偽であるという。
それでは以下の命題はの真偽は?
① X=1ならば、X2=1である。
②Xが偶数ならばXは4の倍数である。
③10000は大きい数である。
どうだろうか?①は真、②は偽の命題ですね。
③は正しいか正しくないか決められないので命題とはいえません。
例1)p: -1<X<2、q:-2<X<4として、命題「p⇒q」の真偽を確かめてみよう。ただしXは実数とする。 条件p、qを満たすXの集合をそれぞれP、Qとする。このとき下図からが成り立つ。 よって、命題「p⇒q」は真である。 命題「p⇒q」が偽であることを示すには、 「pを満たしているがqを満たしていない」という例を 1つあげればいい。このような例を反例という。 |
例2)p: -1<X<2、q:0<X<4のとき、命題「p⇒q」は 偽であることを示してみよう。ただしXは実数とする。 下図から はpを満たしているがqを満たしていない。 よって、 は反例であり、 命題「p⇒q」は偽である。 |
練習 次の条件p,qについて、命題「p⇒q」の真偽を答えよ。 また、偽の場合は反例をあげよ。ただしXは実数とする。 (1) p:nは4の正の約数 q: nは12の正の約数 (2) p:1<X<4 q:1<X<2 (3) p: X<ー3 q: X< -2 |
(1)「p⇒q」は偽 反例:X=4 または8
(2)「p⇒q」は真 (3) 「p⇒q」は偽 反例:
必要条件と十分条件
命題「Xが6の倍数ならばXは3の倍数である」は真である。
よって、ある数Xが3の倍数であるためには、6の倍数であれば十分である。
また、ある数Xが6の倍数であるためには、3の倍数であることが必要である。
命題「p⇒q」が真であるとき、
pはqであるための十分条件である。
qはpであるための必要条件である
例1)2つの条件
p:△ABCは正三角形
q:△ABCは二等辺三角形 について、命題「p⇒q」は真か偽か。
正三角形なら二等辺三角形はいえるから、命題「p⇒q」は真。 よって、
pはqであるための十分条件である。qはpであるための必要条件である。
※ 命題「p⇒q」が真であることは、となることと同じである。
命題「p⇒q」と命題「q⇒p」がともに真であるとき、
pはqであるための必要十分条件である。という。また、このとき
qはpであるための必要十分条件でもある。 p⇔qで表す。
3 命題と証明
逆と対偶
命題「p⇒q」に対して「q⇒p」をもとの命題の逆という。
命題「X>5⇒X>2」は真だが、その逆は「X>2⇒X>5」となり
偽である。もとの命題が真であっても、その逆が真とは限らない。
問)次の命題の逆をつくり、その真偽を調べなさい。 (1) nが自然数のとき、 nは4の倍数 ⇒ nは2の倍数 (2) X=3 ⇒ 4X-12=0 |
(1) もとの命題は真である。逆にすると、
nは2の倍数 ⇒ nは4の倍数 偽である。
(2) もとの命題は真である。逆にすると、
4x-12=0 ⇒ x=3 真である。
対偶とは
命題「p⇒q」に対して をもとの命題の対偶という。
「p⇒q」← 逆 →「q⇒p」 「p⇒q」←対偶→ |
例)次の命題の逆、対偶をつくりなさい。
(1) nが自然数のとき
nは4の倍数 ⇒ nは偶数
逆: nは偶数 ⇒ nは4の倍数
対偶:nは奇数 ⇒ nは4の倍数でない
(2) x =8 ⇒ x2=64
逆: x2=64 ⇒ x =8
対偶:x2≠64 ⇒ x ≠8
問)次の命題の対偶をつくりなさい。 (1) nが自然数のとき nは10の倍数 ⇒ nは5の倍数 (2) x >3 ⇒ x2> 9 (3) x2 ≦ 16 ⇒ x ≦4 |
答)(1) nは5の倍数でない ⇒ nは10の倍数でない
(2) x2 ≦9 ⇒ x ≦3
(3) x >4 ⇒ x2 >16
命題が真ならば、その対偶も真である。また、対偶が真ならば、もとの命題も真である。 |
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nが自然数のとき、次の命題を証明する。
命題「n2は奇数 ⇒nは奇数」
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証明)与えられた命題の対偶「nは偶数 ⇒n2は偶数」が真であることを証明する。
nを正の偶数とすると、mを自然数として、nは偶数だからn=2mと表せる。
よって、n2=(2m)2 = 2×2m2
2m2は自然数であるから、n2は偶数である。よって、
「nは偶数 ⇒n2は偶数」は真である。したがって、
対偶が真であることが証明されたので、もとの命題も真である。
まとめ問題 (1) 次の集合を要素を書き並べて表せ。 ① 6の正の約数の集合A ② 1以上20以下の6の倍数の集合B (2) 次の命題の真偽を調べ、偽である場合は反例をあげよ。 ① x=6 ⇒ x2 = 36 ② x2 = 16 ⇒ x=4 ③ -3≦x≦1 ⇒ -5<x<-2 ④ -2<x<-1 ⇒ -6<x<0 (3) 次の条件の否定を述べよ。 ① xは有理数である。 ② x≦4 ③x<5 ④x≧-2 (4) 次の( )の中に「必要」「十分」「必要十分」のいずれか あてはまるものを答えよ。 ① x2 = 9はx=-3であるための( )条件である。 ② x=1はx2 = 1であるための( )条件である ③ x2 = 36 はx=6であるための( )条件である。 ④ x>1 はx>2 であるための( )条件である。 |
答)(1) ① A={1,2,3,6} ② B={6,12,18}
(2) ① 真 ② 偽 反例:x=-1
③ 偽 反例:x=-4 ④ 真
(3) ① Xは無理数である ② x>4 ③ x≧5 ④ x<-2
(4)