日本消化器内視鏡学会甲信越支部

56.消化管出血を伴った胃GISTの3例

飯田市立病院 外科
大上 康広、内野 学、前田 知香、北沢 将人、伊藤 勅子、水上 佳樹、牧内 明子、平栗 学、北原 博人、新宮 聖士、堀米 直人、金子 源吾

胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)には出血が合併することがあり、貧血や吐血を主訴に受診しGISTと診断される症例も少なくない。今回我々は消化管出血を伴った胃GISTを3例経験したため文献的考察を含め報告する。症例1)82歳男性、近医にて貧血を指摘され、上部消化管内視鏡を施行された。胃体中部小彎~後壁にかけて粘膜下腫瘍を認めた。腫瘍の中心部は壊死を伴っており易出血性であった。GIST疑いで当院へ紹介受診され、幽門側胃切除(Billroth 2法)を行った。病理診断では腫瘍は50×45×40mm大でCD34(+)、c-kit(+)からGIST(高リスク)と診断された。症例2)74歳男性、黒色吐物、タール便を主訴に受診され、緊急内視鏡を施行したところ胃体中部に粘膜下腫瘍を認め頂部には露出血管を認め活動性の出血を認めた。同部位に対しクリップ及びHSE局注し良好な止血が得られた。その後、胃粘膜下腫瘍に対し胃部分切除術を施行した。病理診断では腫瘍径は40×30mm大で、CD34(+)、c-kit(+)でありGIST(低リスク)と診断された。症例3)82歳女性、吐血を主訴に当院へ救急搬送された。緊急内視鏡を施行したところ胃穹窿部後壁に5cm大の粘膜下腫瘍を認め、その大彎側にdelleを認めた。同部位から活動性の出血を認めたためクリップにて止血した。その後のCTにて胃底部内腔に56×54mm大の腫瘤を認めGISTが疑われ、胃部分切除術を施行した。病理診断では65×55×50mm大、CD34(+)、c-kit(+)でGIST(中リスク)と診断された。