日本消化器内視鏡学会甲信越支部

45.EUS-FNA施行後遅発性偶発症を呈した2例

信州大学医学部附属病院 消化器内科
浅野 純平、村木 崇、小口 貴也、金井 圭太、丸山 真弘、渡邊 貴之
信州大学医学部附属病院 内視鏡センター
新倉 則和

【背景】超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は低侵襲に病理学的検索が可能な検査である。しかし、その頻度は稀ではあるが、出血・穿孔といった偶発症の報告がある。今回、我々はEUS-FNA施行後遅発性偶発症を呈したと考えられた2例を経験したため報告する。【症例1】70歳代、女性。2010年、胃体上部前壁に径20mm程の粘膜下腫瘍を認め翌年には径35mm程まで増大し粘膜に発赤が出現したため精査目的に当科紹介となった。19Gで20ストローク1回穿刺にてEUS-FNAを施行した。穿刺直後、軽度の出血を認めたが自然止血した。翌日、貧血なく同日退院となり組織学的にGISTと診断された。検査19日後より黒色便が出現し、26日後当科受診し貧血を認め緊急内視鏡を施行した。粘膜下腫瘍頂部に潰瘍形成を認め同部より出血していた。APC焼灼にて止血後、後日、腹腔鏡下胃部分切除術を施行した。【症例2】50歳代、女性。肺癌(cT4N3M1b stage4)にて当院呼吸器内科入院中、血便・貧血を認めた。腹部CTにて骨盤内小腸に径40mm程の腫瘤を認め、出血源と考えられた。絶食補液のみでは止血が得られなかったが全身状態が不良のため外科的治療は困難であった。止血目的の放射線照射・化学療法が必要と考え、病理学的診断のために、経結腸的に22Gで20ストローク3回穿刺にてEUS-FNAを施行した。組織学的にGISTと診断した。穿刺9日後より腹痛が出現し、CTにて骨盤内腫瘤の破裂と診断し、緊急小腸部分切除術を施行した。【結語】EUS-FNAは粘膜下腫瘍に対し病理組織診断を得るための安全かつ有効な検査として確立している。しかし、本症例のように出血・穿孔といった偶発症が遅発性に生じることがあり、留意を要する。