日本消化器内視鏡学会甲信越支部

38.当院におけるIFNβ1日2回投与の試み

長野松代総合病院 消化器内科
新澤 真理

IFNβ1日2回投与はC型慢性肝炎患者のHCV-RNAを低下させる効果に優れるとされている。長野松代総合病院では2012年5月よりIFN導入時に3剤併用療法やRBV併用療法に適さない症例に対し、IFNβ1日2回投与を2週間行い、その後Peg-IFN週1回投与に切り替える治療を開始し、3例の経験を得たので報告する。症例1:56歳、女性。血清型1型、HCV-RNA 5.1 Log IU/mL、F4A3。RBV併用例。IFNβ投与終了時HCV-RNA 2.5 Log IU/mLと低下を示した。Peg-IFNα2bに変更後はHCV-RNA 3.0~2.9 Log IU/mLで推移したが、6週目でうつ症状が強くなり、本人の希望で抗ウイルス療法は中止となった。症例2:74歳、男性。血清型2型、HCV-RNA 5.8 Log IU/mL、F1A1。高血圧症・心不全・耐糖能異常合併例。IFNβ単独投与終了時、HCV-RNA  検出せずとなった。Peg-IFNα2b単独投与に変更後もHCV-RNA検出せずの状態を維持している。症例3:67歳、女性。血清型1型、HCV-RNA 6.8 Log IU/mL、F1A1。RBV併用例。IFNβ投与終了時HCV-RNA 5.1 Log IU/mLと低下した。Peg-IFNα2bに変更し、加療継続中である。IFNβ1日2回投与は65歳以上、高血圧症・糖尿病合併患者や肝硬変進展例などRBV併用療法や3剤併用療法の対象とならないC型肝炎患者の坑ウイルス療法として有効な手段の1つであると思われ、今後も希望者があれば選択したい治療法であると考えられた。