日本消化器内視鏡学会甲信越支部

25.肝Riedel葉を伴う胃癌に対して胃全摘術を施行した1例

山梨大学 第1外科
芦沢 直樹、土屋 雅人、細村 直弘、赤池 英憲、河口 賀彦、藤井 秀樹

症例は74歳の男性。検診にて胃癌を指摘され、当科を紹介された。高血圧、前立腺癌、高尿酸血症の既往がある。上部消化管内視鏡では胃噴門部後壁に白苔を伴う潰瘍性病変を認め、生検では高分化型、中分化型腺癌を認めた。CTでは胃小彎のリンパ節腫大のほか肝右葉の尾側への突出を認め、Riedel葉と考えられた。2012年9月に胃癌の診断で手術を行った。開腹時、胃癌のほか肝右葉に舌状の尾側への突出を認めたが、胆嚢や門脈など脈管のanomalyは認めず、開腹胃全摘術、D2リンパ節郭清、脾臓摘出術、胆嚢摘出摘を施行した。Riedel葉は肝右葉の一部が舌状に尾側に突出する先天的な形態異常であり1888年にRiedelによって報告された。発生頻度は3.3%から31%と報告され、比較的稀な疾患である。今回Riedel葉を伴った胃癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。