日本消化器内視鏡学会甲信越支部

1.家族性大腸腺腫症に併存した若年者H.pylori陰性早期胃癌の1例

新潟大学医歯学総合研究科 消化器内科学分野
高橋 祥史、竹内 学、阿部 寛幸、上村 顕也、佐藤 祐一、青柳  豊
新潟大学医歯学総合病院 光学医療診療部
水野 研一、橋本  哲、小林 正明
新潟大学医歯学総合研究科 分子診断病理学分野
渡辺佳緒里、渡辺  玄、味岡 洋一

症例は20歳代、男性。父・妹が家族性大腸腺腫症(FAP)。平成24年5月FAPの上部消化管surveillanceのEGDにて体上部前壁に径10mm大の境界明瞭な白色調顆粒状軽度隆起性病変を認めた。NBI拡大観察では大小不同の顆粒状・乳頭状様構造を呈し、血管の認識は困難であった。周囲にはFAPに特徴的な胃底腺ポリポーシスを認め、RAC陽性であった。同部からの生検では低異型度腺腫と診断した。なお便中H.pylori抗原は陰性であった。本人・家族に十分な説明を行い、同意を得たうえで同年8月ESDにて病変を一括切除した。病理診断は低異型度高分化型粘膜内癌で胃型粘液形質を呈していた。H.pylori陰性の胃に腫瘍が発生することは稀であり、FAPに伴う胃腫瘍性病変は前庭部を中心とした幽門腺領域に発生する多発腺腫が特徴とされている。本症例は春間らが報告した病理組織学的に腺窩上皮の過形成を呈し、胃底部に多発する辺縁鋸歯状の白色扁平隆起(MWFF:Multiple white flat lesion of gastric fundus)の内視鏡像に類似しているが、隆起の大きさ・NBI観察による不整な表面微細構造が鑑別点になると考え、当科で経験した同様の症例も合わせて報告する。