日本消化器内視鏡学会甲信越支部

25.脾動脈本幹への穿通を認めた出血性胃潰瘍の1例

刈羽郡総合病院 内科
高橋 祥史、佐藤 俊大、林 和直、五十川 修

症例は70歳、男性。平成23年5月、食思不振、口渇感を主訴に当院外来を受診した。血液検査でカルシウムが14.mg/dlと高値であり、腹部CTで多発肝腫瘍を認めたため精査・加療目的に当科に入院となった。精査にてPTH高値を認めたがPTHの産生部位は究明できなかった。このため対症療法でカルシウムを低下させていった。EGDにて胃前庭部後壁に3型胃癌を認めた。遠隔転移があり、外科的治療の適応はなく、TS-1のよる化学療法を開始したが開始後すぐに肝機能が悪化したため中止となった。以後緩和ケアに移行して経過を見ていたが全身状態が徐々に悪化し、7月に永眠された。永眠後家族より病理解剖の同意が得られたため同日病理解剖をおこなった。今回我々は高カルシウム血症を伴う胃癌を経験したので病理学的組織学的検討や文献的考察を含めて報告する。