日本消化器内視鏡学会甲信越支部

36.腹腔鏡にて確定診断しえた悪性腹膜中皮腫の1例

済生会新潟第二病院 消化器内科
高林 瑠美、関 慶一、本間 照、窪田 智之、広瀬 奏恵1、長島 藍子、阿部 寛幸、石川 達、富樫 忠之、吉田 俊明、上村 朝輝
済生会新潟第二病院 外科
関根 和彦、武者 信行、酒井 靖夫
済生会新潟第二病院 病理
石原 法子

症例は60歳代、男性。半年前から腹部膨満感が出現したが放置していた。徐々に増悪し、排便排尿困難となり近医で大量腹水を指摘され入院となった。腫瘍マーカーはCA125が176.8であった。入院後1週間で3回の腹水穿刺を行い合計10800mlの軽度混濁した緑黄色の腹水を排液した。腹水中ヒアルロン酸1550000ng/ml。細胞診はclassIIIで、セルブロックを作成しての組織診断でも悪性とは診断されなかった。その後も腹水細胞診を再検したがやはりclassIIIであった。確定診断のため外科で腹腔鏡を施行した。腹腔内全体に腹壁から腸間膜まで数ミリ〜2cm大の白色結節を無数に認めた。結節の生検病理組織から二相性中皮腫と診断された。ペメトレキセドとシスプラチンによる化学療法を施行した。2コース投与後には血症板数は79万/μl、CRP15mg/dlとなり、中皮腫細胞から放出されるIL-6の増加が疑われた。その後、Grade4の好中球減少、血小板減少、Grade3の口腔粘膜障害が出現したが、投与量を減量するなどして6コース終了しnonCR/nonPDを維持している。