日本消化器内視鏡学会甲信越支部

1. ステロイド内服にて著明な改善を認めた好酸球性食道炎の1例

信楽園病院消化器内科
上村 顕也、大崎  暁彦、菅原 聡、森 茂紀

症例は34歳女性。明らかなアレルギーや喘息の既往なし。平成17年6月に口腔内アフタ、嚥下時つかえ感にて当院初診、上部消化管内視鏡検査にて食道に多発潰瘍を認めた。病理組織学的検索にて著明な好酸球の浸潤を伴っており、血液検査では軽度の炎症反応を伴う好酸球上昇とIgEの上昇を認めたことから好酸球性食道炎と診断した。Th2サイトカイン阻害薬(トシル酸スプラタスト)、プロトンポンプ阻害剤にて症状はやや改善したが内視鏡所見上は潰瘍は残存していた。なお、胃、十二指腸、大腸には明らかな潰瘍性病変を認めなかった。平成18年4月に口腔内アフタと嚥下困難感が再燃し上記薬剤でも改善せず、内視鏡所見上も食道潰瘍の増悪を認めたことからプレドニゾロン20mgの内服を開始した。症状、口腔内アフタは速やかに改善し、ステロイド投与15週後の内視鏡所見でも食道潰瘍は著明に改善していた。ステロイド投与が著効したと考えられ、漸減し5mgで内服継続している。好酸球性食道炎は稀な疾患であり、本例はステロイド投与が著効した1例として若干の考察を含めて報告する。