日本消化器内視鏡学会甲信越支部

39, 膵悪性内分泌腫瘍の1例

佐久総合病院 内科、2
新井陽子、比佐岳史、田中雅樹、米湊 健、森田周子 、堀田欣一、友利彰寿、古武昌幸、宮田佳典、小山恒男、高松正人
同 外科
大久保浩毅

 症例は34歳、男性。平成16年11月、上腹部痛にて近医を受診し、CTにて膵腫瘍が疑われたため当院紹介となった。血液検査では肝胆道系酵素の上昇を認めた。腹部USにて膵頭部に径3cmの境界明瞭な低エコー腫瘤と周囲リンパ節腫大を認めた。また、肝S4に径3cmの低エコー腫瘤を認めた。CTでは膵頭部及び肝腫瘤は造影効果に乏しかった。膵管癌を疑い確定診断のため膵頭部の腫大リンパ節に対して超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を行った。FNA検体では多形性及び紡錘形の腫瘍細胞が索状に配列しており、免疫染色でシナプトフィジン陽性であった。以上より肝・リンパ節転移を伴う膵悪性内分泌腫瘍と診断し、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術および肝部分切除術を施行した。現在化学療法を継続中であり、再発は認められていない。
〔結語〕確定診断及び治療方針の決定に際してEUS-FNAが有用であった。内分泌腫瘍に対しては転移を認めた場合でも、積極的な切除術が症状・予後の改善に有効と考えられた。