日本消化器内視鏡学会甲信越支部

22, 内視鏡的粘膜下剥離術(ESD)にて切除し得た十二指腸下行脚側方進展型腫瘍(LST)様平坦隆起性腺腫内癌の1例

国立病院機構松本病院 消化器科
宮林秀晴、松林 潔
同 内科
古田 清
同 外科
小池祥一郎
清水外科胃腸科医院
清水忠博

 症例は62歳・男性。心窩部痛で他院を受診し、腹部USで胆嚢内結石・大腸内視鏡でS状結腸に腺腫を認め、胆嚢摘出術の適否と大腸ポリープ切除のため当院へ入院となった。ポリペク後ERCPを施行し、十二指腸乳頭の肛門側に約1.5cmのLST様病変を認めた。同病変切除に当初フックナイフを用いたが難渋し、細径スネアで周辺切開した。剥離時も細径スネアを用いて口側から剥離し、最後にスネアリングにて切除した。
 十二指腸下行脚の病変の場合穿孔と出血の危険が高く、内視鏡の繊細な操作と工夫は必要であるが、ESDにより確実な切除が可能であるものと考えられた。