症例は38歳、男性。主訴は吐血。家族歴、既往歴に特記事項なし。現病歴では口腔内の水疱にて当院皮膚科を受診し、尋常性天疱瘡と診断。ステロイド内服治療にて症状はコントロールされていたが、ラーメンの摂食を契機に吐血し、当科入院。上部消化管内視鏡所見で食道入口部より胃食道接合部にいたる広範囲の出血,粘膜剥離を認めた。絶食・輸液管理,ステロイドの静注を行い、入院16病日の上部消化管内視鏡で食道病変は軽快し、生検を実施。食道生検材料の蛍光抗体法で上皮細胞間にC3及びIgGの沈着が確認された。また生検刺激により粘膜の剥離、粘膜下出血が誘発された。特徴的な内視鏡所見と文献的考察を合わせて報告する。