■村上 喜代子(むらかみ きよこ)

 

1943(昭18)年   712日 山口県下関市内日町に生まれる

1966(昭41)年 広島大学教育学部卒

1976(昭51)年 大野林火主宰「濱」に入会・師事

1981(昭56)年 俳人協会会員となる

           同年度、「濱」賞受賞 「濱」同人

1982(昭57)年 大野林火逝去。その後、「濱」主宰 松崎鉄之介に師事

1991(平3)年   第一句集 『雪降れ降れ』 上梓

            同句集により第15回俳人協会新人賞受賞

1994(平6)年  大串章主宰「百鳥」創刊、編集同人となる

            俳人協会幹事、日本文藝家協会会員

1997(平9)年   3回「百鳥」鳳声賞受賞

2001(平13)年 第二句集 『つくづくし』 上梓

2005(平17)年 1月 いには俳句会を創設、「百鳥」退会

2005(平17)年 4月 俳句雑誌 「いには」 創刊号刊行

2009(平19)年 8月第三句集『八十島』上梓

2010(平22年) 自註『村上喜代子集』上梓

2013(25) 6月 第四句集『間紙』上梓

 

その他、NHK文化センターユーカリが丘で

俳句入門A

俳句入門B

 

NHK文化センター千葉で

俳句を楽しむ

 

講座の講師を務める。

 

 

☆第一句集『雪降れ降れ』自選10句

 美しき生ひたちを子に雪降れ降れ

 手拍子も楽器のひとつ雪まつり

 キタキツネゐしてふ二本目の枯木

 ころころときびきびと母龍の玉

 泉まで来て読む母の手紙かな

 寄書のたてよこななめ鳥渡る

 転任の片道切符鰯雲

 十三夜床屋帰りの夫匂ふ

 桔梗の露の重みにかたむける

 長き橋来し涼しさに振返る

 

☆第二句集『つくづくし』自選10句

 豆飯や目覚めて山のある故郷

 蕎麦の花無声映画のごとき村

 焚火して耳が大きくなりにけり

 紙風船突くやいつしか立ちあがり

 末黒野の中の無傷のつくづくし

 東海の松より高く恋雀

 そしてみんな大人になりぬ灸花

 初景色三百年を松に見て

 春の土穴に戻して余りたる

 かげろふにひとりひとりのふたりかな

 

☆第三句集『八十島』自選10

 今年この桜と縁結びけり

 にはとりは天あふぎ飲む桜かな

 草市のものの束ねしままにあり

 椎の実の風なきに落つ風に落つ

 鳴きだして重くなりたる虫の籠

 いには野の月の育てし初氷

 ことごとく神慮と思ふ龍の玉

 花筵重石のごとく母がをり

 土竜塚春へつづいてゐるやうな

 死者はみな呼び捨てにして花の下

 

☆第四句集『間紙(あいかみ)』自選10

 初鏡笑へば笑ひ返しけり

 汐干潟かすかに残る地の起伏

 杜若水を余白にしてゐたり

 原爆忌人の数だけ口がある

 電車にも戸袋のあり鳥曇

 挿木して待つといふことにも力

 間紙のうすむらさきも雛の頃

 おこころといふはいかほど夏祓

 新涼の船より都見てまはる

 初時雨暮しのなかに寺の鐘

 鳴き鳴きて暮色のなかの鴨の数

 (もろ)(がえり)空に従ふ沼の色

 

 

 
last update 2013/09/13