多くの日本人にとってお仏壇は、お位牌と共にご先祖様や亡くなった親族をお祀りし、対話をするためのものでしょ
う。
ですが、「仏壇」の本来の意味は、文字通り、仏像や仏具を飾り、仏様を祀る台のことです。家庭のお仏壇は、寺
院にあるお仏壇(内陣)を小型にして、厨子と一体化して箱型にしたものです。ですから、お仏壇は家の中のお寺
のような存在です。
お仏壇の中央にあるくびれた台の部分は「須弥壇(しゅみだん)」と呼ばれます。これは「須弥山」を表したもので、
これより上は清浄な仏の世界、下は地上世界だと考えることもできます。
須弥壇の上には「宮殿(くうでん)」があります。その中に、ご本尊の仏像・仏画などが祀られています。
お仏壇の各所は、動植物や菩薩・天人などの彫り物や蒔絵などによって荘厳に装飾されています。これらは「浄
土」、つまり汚れのない清浄な世界を表していると言われます。
お仏壇を仏様よりもご先祖様をお祀りするものと考える日本人に対して、仏教への信仰がないといって批判するの
は一つの見識ですが、日本人の伝統的な宗教・習慣である先祖信仰も良いものではないでしょうか。といっても、
お位牌がお仏壇に置かれているということは、先祖様が仏様や祖師様のお力によって浄土に導かれることを祈っ
ている、導かれたことを信じていることを表していますので、やはり仏教なしのお仏壇は考えられないはずです。
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