ミュンヘンクリスマス市 『饗宴』秋の詩話会 500M美術館 2010年「北の詩祭」 高砂明治酒蔵 第九回「山猫座」 積丹水中展望船 詩集『渇く夏』出版 詩人の聲 in 小樽 アルテピアッツァ美唄 |
RESONANCE 森の詩祭 神威岬 銀河庭園 川村カ子トアイヌ記念館 神居古潭駅 神居古潭 プラネタリウムはやぶさ 棟梁―堂宮大工の世界 ラーメン記念日フェスタ 北斎漫画展 |
ミュンヘンクリスマス市は、ホワイトイルミネーションと、クリスマスグッズやドイツの工芸品では、キャンドル、グラスギャラリー、アロマハウスなどの物件が並んでいて、非常に素晴らしいものが多くあった。またシュトレンやビーフシチューなどの暖かい味覚も用意されている。飲食にはリターナブル容器を採用している。とりあえず使用料を払い、食器の返却時に100円が戻ってくるシステムだ。会場内はイベントとしてサンタクロースが歩き回っていた。
そういえば、日本で最初のサンタクロースは133年前の、明治7年の築地居留地の東京第一長老教会(現日本基督教団巣鴨教会)の降誕祭であったという。 原胤昭「天下に無二のクリスマス」『福音新報』1741号 昭和4年1月10日によると、礼拝堂の檜のツリーは、高さ5M40cmで、五色と金銀の色紙で折った折紙や、網の切り紙、色紙短冊、金糸で吊るした花かんざしと、七夕みたいな装いで、サンタクロースの登場にあわせて幕を落とせるような仕掛けも用意。 正面には蜜柑で作った縦横3M60cmの十字架も吊り下げたが、下見にきたスコットランド長老教会の派遣医ホールズが怒り、蜜柑十字架は撤去された。もっとも外にいた子どもは「蜜柑蒔きだ!」と喜んだとか。 電気もガス灯もない夜の会場は、菜種油の灯火、ろうそく、石油ランプなど、カンテラからのすさまじい油煙に包まれたという。そこに日本風のサンタクロースが登場。麻の裃、黒紋付の小袖、頭には黒ビロードで縁どった緋鹿の子の大黒頭巾。腰に大小の刀を差し、両手首を袂に入れて突き袖姿で登壇。会場は「神武このかた、誰も彼も未だかつて見たことのない壮観、拍手喝采、鳴り止まなかった」とのことである。 ほとんどのクリスマス市は11月末の週末から始まり、12月24日までには終わるようだ。主に栄光! |
橋本征子氏に講師をお願いした。今回のテーマは「ポール・ヴァレリイ」である。
ヴァレリイは1871年南フランスのセートに生まれる。故郷は地中海に面しており、パリに20年住んだものの、文化の接点としての地中海に強い愛着を持っていた。『海辺の墓地』の海辺とは地中海のことだ。 フランスは寒い国で、セートの東はマルセイユで北緯43度だがこれは札幌と同じ緯度。セートはスペイン側に位置し、明るいけれど暗い気候で、さびれた街なのだそうだ。また、地中海はコントラストの強いところで、自分の色を立てるとなると逆に疲れる場所でもあるそうだ。その当時の墓地は土葬で、石作りの花を飾るといった、当時の風俗を説明しつつ、日本語訳したものを解説していく。 講師 橋本征子氏 ところでヴァレリイは詩作を進める20代初めに、自分の内面をさらけることに嫌悪感を覚え、その後20年作品を書いていない。その期間は「手帖」として、思索のみを書き込んでいたのだ。 1917年、ジッドの勧めにより詩集『若きパルク』で一躍名声を得た。『海辺の墓地』は1922年発表の『魅惑』に所収されており、つまり50歳の作品ということになる。 フランスの詩はアレキサンドラという12音節が美しいとされる。原文でのヴァレリイは10音節で構成し、古典的な手法で書いている。音としてはかなり美しいとのことだ。なお脚韻も踏むので、その音にあった言葉を探さなくてはいけないわけで、使える単語は限定されることになるのだ。 その後村田譲詩集『渇く夏』の出版会も兼ねての懇親会は、発泡濁り酒で乾杯となったのである。 発泡濁り酒 当日の参加者は、綾部清隆、中野頼子、山口三千香、森永裕爾、今本千衣子、瀬戸正昭、木村淳子、嘉藤師穂子の各氏であった。 |
恒例のアートに触れる、感じる、参加する、札幌地下街大通りからバスセンターまでの通路をアーティストと市民に発表の場として開放する「500M美術館」2010である。
さっぽろアートステージでも、この催しがいちばん好きだ。大通から歩くと何故か、ウッドのパソコンブースがある。彫刻家野又圭司作品「存在の耐えられない軽さ」である。このタイトルはチェコのクンデラの小説からの借用である。一部のパソコンは炎上してもいる。 「存在の耐えられない軽さ」 サラヤ作品「夜空を造る」。よく見かける題材でも内容でもあるのだが、綺麗なものは好きだし…。 「夜空を造る」 映像作家大島慶太郎作品「I open a map.」。こんなところに映像というのは、なかなかみられない。また、目の前にベンチなんかあるから座っているおじさんもいるし。 だが今回いちばんのお気に入りは「アイスホテル備品」と銘打ったこの透明ハンガーである。大好きですね。 「アイスホテル備品」 |
北海道詩人協会の綾部清隆会長の挨拶から始まり、私も「北海道詩集」no.57のグループ合評会に参加する。このところは少人数での意見交換というグループ分けのパターンである。せっかくだから記録をしようとするとグループごとの取りまとめ役が必要となる。その分、協力人数が増えるわけだが成り手が少ないことが問題だ。 今回からシリーズ「北の詩人を語る」と題して、北海道のもしくは縁のある詩人を取り上げてみることにした。模索のなかの第一弾は、”佐々木逸郎「劇場」を読む”である。資料を揃えるという手間を引き受けてくださった東延江氏が解説を。 詩誌「詩の村」 講和を同じ詩のグループ「詩の村」に参加していた吉田徳夫氏にお願いした。またその詩誌も配布いただいたが、17号はA5判中綴じ20p表紙2色、昭和45年発行で125円です。「劇場」の朗読は三村美代子氏と、俳優の中島利克氏にお願いした。 第3回「北の詩賞」受賞 宮脇敦子氏 第三回を迎える「北の詩賞」には宮脇敦子作品「桜、散る」が選ばれその表彰式。また優秀賞ともに作品が朗読された。 自作詩朗読は、まずトップには橋本征子氏のコトバが会場に流れる。つづく矢口以文氏の厚い声を久しぶりに聞いた気がする。森内伝氏、東峰和子氏、森永裕爾氏、石井真弓氏、櫻井良子氏の深呼吸するコトバ。村田譲は作品「灯火」を披露。 東延江氏が旭川の小熊英雄賞のこと。また松原智恵子氏、光城健悦氏もそれぞれにスピーチされたのである。 |
北海道旭川の酒蔵として、大雪山の雪清水を用い、昭和50年に「国士無双」が誕生させた。
蔵の内部 創業は明治32年で、日本最北の旭川の老舗醸造元である。酒蔵は明治42年に建てられ、製造・瓶詰め・貯蔵・販売の一連の作業がなされていた。その当時の作業用具なども展示されている。 今は旭川の歴史的建造物として、一般見学開放を行なっている。にしてもやや売りましょう!気分ののぼりが多すぎると思うのですが…。麹で造る吟醸甘酒とかもあるのだが、なにせ数量がないようで売り切れである。 法螺吹き饅頭 高砂明治酒蔵 |
今回のテーマは「食いしん坊万歳」。なんというテーマ〜と思っていたら、おやつが二つ。そのひとつ、クッキーはお菓子探検家の安部氏の自作であるとか。高橋明子氏も自作の詩、さらに自作の小冊子が付いてくる。「kichen story-ダイドコのお話」だと、ちゃんと会場名まで書かれている細かさ。
配布されたクッキー&小冊子 作品「かぼちゃに耳あり」って、ハロウィンかよ・そこでおやつかな?と思うと、違う。素材であるべき野菜のほうが世界に近いといわれているのだ。次いで作品は「梨」。デンと座っている姿がいいのだとか。 作品「アンチエイジング」。英語には疎くて意味が分からない。そうすると感じ方も変わるものだ。・・・「白いホウロウ鍋とトマト」という作品朗読では、種明かしが文字のカタチにあるのだが、手元の冊子が読めないと聴衆の方から照明の暗さに文句がでる・・・しかし朗読は声ではないか!と思いつつ、アンチエイジングってお化粧のことではないのですね。冊子があってよかったですぅ〜。 朗読 高橋明子氏 次いでミモザの会の工藤ひろ子氏が、藤木雅子作「うどん工場」を声にする。藤木氏の作品テーマは失われた実家であり、ほとんど詩である。非常にスタッカットが効いている感じがして、臨場感に溢れている。特に「木箱」を上の階に放り上げる姿と掛け声。「嵐」で家の屋根が飛び、青いビニルシートを被せざるをえない無念(子供的には帽子だが)さが表されていた作品が好きだ。 クッキーの(!)安部利江氏は「グラタンのある情景」という玉村豊男作のエッセイを紹介。グラタン食べるために海外へといくバブリーなお話。 山内紀子氏はミモザの会所属。宮沢賢治の「注文の多い料理店」である。この作品の面白さは、料理店の注意書き看板であると感じていた。しかし朗読としては考たことがなく、今回の山内氏の注釈に対する朗読がひどく平坦であることに驚きもした。成る程、注釈に感情はなく、オヤブンの感情は看板に書かれることはないのだ。また、知っている作品に触れる楽しさというのは、確かに自作にはない喜びであるということを改めて思いもした。 |
北海道で唯一、海中公園に指定されているという話の積丹半島。その美国では約40分の海上散歩が可能な水中展望船がある。
透明度の高い海と洞窟と 「積丹ブルー」と称されるほどの透明度の高い積丹の海の色。プライベートビーチかと思う入り江や、鳥の営巣する奇岩などが点在し、自然の景観が広がる。ゴメ島、ビヤノ岬、宝島とまわる。宝島というのはかつてのニシンの大群が押し寄せたことからの命名とか。 営巣地(白いのは鳥の糞) また、船の地下にあたる水中展望室からは、海のウニや魚の群れといったものが中心で、海中には奇岩はなく、なんかもったいない。しかし水が濁れば遠くは見えないし…。ということで、カモメにパンをくれてやるお遊戯船として人気が高い。しかしこれが面白い。時々カラスが混じってくるのが腹が立ち、笑えるのだが。 プライベートビーチ? この水中展望船の発着時間は、たくさん人が集まると運行するというアバウトな感覚とのこと。年内は10月末で営業は終了している。来年度の営業は4月中旬とか。 もし時間の余裕があれば、15分で行ける黄金岬への遊歩道(チャシナの小道)を散策し、展望台から積丹ブルーの澄んだ海を見渡すこともできる。 積丹観光振興公社 |
詩集『渇く夏』 村田譲・著(林檎屋・刊)2010.10.15. 第四詩集であり、初出のひとつは1995年の『北の夏の詩人たち』掲載作品の「海霧(ガス)にゆれる影」である。海の霧と書いてガスといいます。なんとも古いものを引きずっておるのだなぁ…と思ったり。ちなみに、この小冊子は、日本詩人クラブ北海道大会が穂別で開催されたときのもの。穂別ってすごいところなんですよ? で、まあ、今回は多少は具象的な作品群であります。こういうのはあまり書かないので、珍しい一冊になるでしょうから、お早めにお求めください。表紙デザインは宮崎摩智子氏。定価 1500円(税別)。 取り扱いは、下記の書房とHP「空への軌跡」。 ○くすみ書房 札幌市厚別区大谷地東3-3-20 CAPO大谷地 (地下鉄東西線大谷地駅隣接) TEL:011-890-0008 営業時間:10:00〜21:00 年中無休 ○古本と珈琲のBookCafe・ギャラリー 「ソクラテスのカフェ」 札幌市札幌市西区琴似2条7丁目メシアニカビルB1F TEL:011-611-7121 営業時間:11:00〜18:00(定休月曜、イベントのある土曜日) ○詩書出版・詩誌 饗宴 発行 「林檎屋」 札幌市中央区北2条西3丁目札幌ビル 樺ゥ日アグリ内 くすみ書房 |
東京から来られる詩人を囲みながら、集まった詩魂を長沼から移設した歴史的な建造物の梁に吹き込まんとしたのは大島龍氏、渡辺宗子氏、長屋のり子氏であると伝え聞く。「La voix de Poetes 詩人の聲」の企みである。その企みに加担する司会は、森れい、嘉藤師穂子の両氏である。
嘉藤師穂子氏 長屋のり子氏 森れい氏の挨拶 小樽に響かせる朗読のトップは恵庭の村田譲で、雨の日ということで朗読作品は「雷鳴」を選択。続いて石井真弓氏が立ち上がる。苫小牧からの参加は入谷寿一氏。司会でもある嘉藤師穂子氏は作品「ゆきがやんだら」で、幼い声のまま投げつける愛のつぶて。紡いでいく軌跡。 熊谷ユリヤ氏は作品「地球物語」。鵺の鳴き声で満ちている意識化の世界で、命がイノチがいのちが満ちていく、ここにいる私。それからゆったりと小池温子氏は作品「そらへ」の声を伸ばし始める。 齋藤えり子氏は未完の詩である、二十歳の原点の作品「さまよえる」、「あなたへ」。時代であり、自分であり、言葉であることに涙を零す。櫻井良子氏は、やんちゃなままにあること、いたこと、そのままのコトバへ。 作品「五月は音が一杯」を朗読するのは坂本孝一氏。七つの海を見渡せば、そこには常に水平線が視界を打ち切るのだが…。東京からの参加、田中健太郎氏、作品「まだ七月のうちに」そう、宿題を終わらせてしまおうか。老獪なる(?失礼)佐藤孝氏は生きてるうちは自分だけの我侭を許し、ゴーカな祭りの宴を張ろうぜと作品「まつり残しの書」をここに残した。 昨日の美唄から声の転戦をしてきた菅原みえこ氏は、着物姿で作品「においたつ」を披露する。長屋のり子氏は作品「蝶」のアオスジアゲハの静かに満ち足りた広がり、夢の葦の揺らめき、命の擦れあう色合いを染めるゆっくりの雲の動き。住み着いたものたちの空気を立ち上げたのは、中野頼子氏作品「ときのにおい」。 朗読 萩原貢氏 萩原貢氏は作品「我が家の月」。我が家は小樽にあるのだが、氷柱が下がる家の周りをグルグルと回るのは酒のせいか、それとも輝ける月の使者の降臨か。本庄英雄氏が作品「雪祭り」で、龍神に祈りを捧げ、雪を降らせる空まで声を掘り進める。伊藤美佳氏は不滅のうた。 彫金家でもある苫小牧の森れい氏は作品「踊る人」で、孔雀色の六色を掴み取らんと情念の指を伸ばす。変化し続ける色を、田仲ハル氏がカウンターへ飛び上がり、頭を壁に打ちつけながらの舞踏で追う。笹原実穂子氏は作品「きれいなべべ」で白い姿を写す。独特な色合いの声を穿ちはじめるのは、森永裕爾氏作品「明輝(めいこう)」。つややかな律動、狂わしくとめどなく沈む音律。求める心と窪んだ官能。翼に焦がれながら。 渡会やよひ氏は元素の音程を振るわせる、悲しみの根っこ。渡辺宗子氏が作品「峠の伝説」、立ち上がるのは誰の馬だ、野生を飼いならすのか、神田日勝の筆。 大島龍氏が青空への嫉妬心をうたい上げた作品「砂男あるいは薔薇」。彗星、松尾真由美氏が雪虫のかすかな震えを伝える。天童大人氏は作品「声のゆくえは」で、忘れえない、王の声を響かせ、さらに作品「ドホニ族の神マンマへ」では、バベルの神話からの声をシリウスにまで届けるのだ。 |
さて、美唄というと焼き鳥ですが、「びばい」はアイヌ語の「ビバイ」、もともとは「ピパオイ」といい(カラス貝の多い所)との意味であると。 まぁ今回は、詩朗読「RESONANCE・森の詩祭」に参加ということで行ってきたわけであります。当初は散策しながら朗読するぞ!ともいわれていたので、早めに現地へ。というか、マイカーでないと市内バスは割りと1時間に1本という便であり、道程は険しい。降りたバスの待機所には「先週熊がでました」との注意書きが…。 しかし緑の草地の厚みがすごく、ふわふわであります。野外には安田侃彫刻あり、大理石の流路が設置されたりとかなり人工的な公園で、屋外には11基の彫刻作品がある。 しかし外での朗読はマイクなしでやると風に飛ばされるのだよね、と思いつつ小高い丘があるので、このうえか〜と思いつつ足を運ぶと、なんと丘の天辺に窪みがある。これは面白い。どうせ声は風に流されるが、丘からの声に姿が見えない。丘そのものの腹からの声というものが可能かもしれない。 閉山とともに閉校した旧栄小学校の体育館をアートスペースにし、校舎の2Fをギャラリースペースに1Fを幼稚園にしている。ということはここの園児は熊と一緒に彫刻で遊んでいるわけだ、いいなぁ。 |
幼稚園が入っている木造校舎の2Fで、石狩市在住の版画家・大島龍氏の版画作品展が開催され、青い色が壁の全面に展示されている。その関連イベントとして、詩朗読「レゾナンス・森の詩祭」は、自然と彫刻に触れて声を伸ばす。 参加者の挨拶が終わった頃、菅原みえ子氏が集合場所である体育館で声をあげる。自由に歩き回りながら、安田侃作品に触れ、子供がともに声を出すなかで、共振する詩の時間を立ち上げる。ひと足遅れて村田譲は作品「古老の河」の音を流しだす。 アルテピアッツァ美唄の体育館 その後公園のなかを散策しつつメイン会場の体験工房へ。工房は向山千晴氏の電子音響が満ちている。今朝海辺まで行って採取してきたものであるとの話から、大島龍氏は作品「森はいま」を音に乗せていく。続いて、三杉和美氏は「笑顔」を明るく笑顔のままに輝かせる。 吃音のことでいじめにあっていたこと子供時代と詩について江原光太氏は、語り、それから作品「ばがぼんど考」。放浪者であり、自由な人、囚われることのない人を。東京からの参加者、田中健太郎氏は作品「深海探偵」。どすぐろい道程、遠い我が家、肩を寄せ合いながら見つめる未来のなか、瞳は何に気付いていくのであろうか。 「五右衛門風呂」を炊いて桜の木の香り、杉の木の香りを流しはじめたのは、長屋のり子氏。森の木々を、あの頃の家族の繋がり。悲しみの青い煙ごと、思い出を沸かして温まる。 札幌の本庄英雄氏は、沈みゆく夕陽の光が大島さんや彫刻作品に移り行く様を言葉に乗せる。渡辺宗子氏もまた、イサムノグチのような石の思いを作品「風になる石」に溶け込ませる。いく千万年を細く伸び上がろうとする、めぐり合う血の温かみ。 サックスの音色の言葉を轟かせるのは、鈴木順三郎氏。その音のコトバに菅原みえ子氏が侃作品の庭を、解ける光のことを、コラボレーションさせていく。 サックス 鈴木順三郎氏 / 朗読 菅原みえ子氏 東京の松尾真由美氏は、肉声をその場に沈めはじめる。幼年期の砂の構築物。生生しく、求めながら、深く滴る思い。あてどのないしかし濃密な風がひとしきり。 ラストには天童大人氏。作品「とおの声」、「ダカールの風」などを朗読。作品「真理」では、纏いつくかのような人々の思い。変わる世紀の内側でありながら、変わらない顔をして阻む人。60億という数が突きつける真実。救いを求める声との矛盾。 途中、くわじまさんという短歌の方が、急遽参戦して声を立ち上げる。村田譲は何年振りかで作品「蝉の樹」を披露したのである。 |
ここの30に亘る様々な庭園は見て鑑賞するだけではなく、歩くことで触れるのである。 チェルシー・茅葺屋根・キャッスルのツリーハウスはおもちゃのようで是非作ってみたい感じがする。木道を散策することも可能で順路を無視して勝手に探す。なかなか歩いていて飽きないというのがすごい。いたるところにベンチがあり、座って楽しむこともできる。 どこかの映画でみたような「メイズ」は迷路の散策路である。札幌豊平館のブルーな色合いの作り「トレリスガーデン」であるとか、小人の家というイメージの「丘の中の家」は木の根が天井から生えているので、そこに鍋をぶら下げる。 「丘の中の家」内部 「ベアガーデン」とは、どこから探してきたのか作ったのだろうね〜、この熊はヒグマかね。「タイガーガーデン」は振り向くと虎の口から出てきてしまったり。「洞窟」では妻がしっかり頭をぶつけたようだ。シークレットガーデンも見つけたが、逆に最初は分からなかった。本は本の中に隠すものということで、隙間を見つけたのに、ドアに気付かないものだ。 にわとり通りの土佐ジローにはひよこが二匹。動物パレードに牧羊犬ショー、アルカパふれあい体験と目白押しである。また、エリア内のサラダビュフェのお店、ここのサラダは超一品!素晴らしく美味しい。 動物パレード えこりん村 |
大正5年に開館した日本最古で、唯一の私立アイヌ資料館である。 上川地方を代表するアイヌの旧家である川村家。その8代目川村カ子ト(かねと)は、明治大正・昭和初期にかけ、天才といわれた鉄道測量技手であり、北海道敷設の測量の大半に携わった。晩年、全私財を投じ、アイヌ文化を後世に伝えるための記念館を設立した。 敷地内に、ササで葺いたチセ(家)がある。旭川ではササを何層にも編みこんで作る。チセの囲炉裏には煙が立ち昇る。本当の火があるというのは、奇妙に生々しいものだ。 記念館内部には、実に色々なものが並ぶ。やや雑然とした感じはあるものの、要は一軒の家にあるものだ。動物の剥製が並ぶが、アイヌにとっては神であり、獲物である。神が人間界に来る姿であるから、魂を神の国に帰す。その儀式がイヨマンテである。 北海道土産として有名な熊の木彫りだが、これは旭川が発祥である。松井梅太郎が、熊狩りで格闘した熊の姿を表現したものである。また敷地内のアイヌ民芸品の売店で聞いたのだが、一本の木から鎖状の彫刻をするのがアイヌ独特の手法である。 鎖状の彫刻 |
神居古潭の吊り橋(神居大橋)で対岸に渡ると、かつて鉄道が走っていた日本国有鉄道函館本線の神居古潭駅(かむいこたんえき)がある。昭和44年の旭川・滝川間の電化・複線化に伴い、廃駅となったわけだが、建設当時の明治43年の姿を残すプラットホームは、異様なほどに長く古く、やや狭い。その足場の部分にアーチ状の隙間があり、川の色が見えそうである。
駅舎 駅舎は復元されたものであるが、明治期の建築物として展示されている。典型的な小規模駅の作りとされる。 またSL機関車が3両静態保存されている。29638、 C57 201、 D51 6であるが、そのうちC57 201 はC57形機のラストナンバー機である。 神居大橋 |
アイヌ語で「神の郷」、カムイ(神)コタン(集落)を意味する。 かつては札幌から旭川への入口にあたる難所であり、原始の面影を残す岩肌と険しい崖。この峡谷を形成するのは、変成岩の一種である緑泥片岩であり、その濃緑色及び黒色質の岩は神居古潭石ともいわれる。約1億年以上の年月を、石狩川による浸食を受けて10KMにわたる奇岩怪石が続く。日本の地質100選にも名前が載っている。 kut-ne-sir(クッ・ネ・シリ=岩崖・になっている・山)を望む 神居古潭はアイヌの人たちの神事が執り行われる聖地である。 地形の関係で川幅が急激に狭くなり、流れが激しく、舟が転覆し易かった。そのためこの地は悪い魔神ニッネカムイの渓谷と恐れられた。大岩を投げ込み、往来するアイヌを溺れさせる。見咎めた山の神ヌプリカムイが岩をどかしたため、争いとなる。英雄神サマイクルカムイが、加勢し魔神を退けた戦い「サマイクル伝説」の話や、フキの下の小人「コロポックル伝説」の話などが語り継がれている。 Para-moy(パラ・モイ=広い・湾) |
月以外の惑星では、世界で始めてサンプルリターンに挑戦したミューゼスC・愛称「はやぶさ」のCG映画「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」が、札幌市青少年科学館で上映された。
太陽系の起源を知るには、地球のように岩が溶岩として溶けてしまっていては無理であるし、月のように風化しているのもよくない。 となると46億年前のそのままの状態である小惑星体に向かい、その石を調べるといい。しかも技術は日々進歩しているのだから、現地で調べるよりも、持って帰って来れるならそのほうがいいわけである。 こうした理由で、太陽系誕生の謎を探る旅に「はやぶさ」は挑戦したということだ。この「はやぶさ」の宇宙空間での冒険を、CGで描くストーリーである。 プラネタリウムのリクライニングシートは映画館と違い、臨場感にあふれるものであった。出発の映像や、スイングバイ、イトカワでの岩石の採取におけるトラブルなど、主に到着までを中心とした構成である。 少しばかりシートの頭部分が硬いので疲れるが…。 9月の土曜・日曜・祝日、1日4回上映 札幌市青少年科学館 |
今回は竹中大工道具館25周年記念の巡回展。堂宮大工の堂とは、寺院。宮は神社のことで、大型で繊細なものを受け持つ特化した集団である。大工というのも国家プロジェクトの工人のトップの称号であったが、中世にその価値が下落したため、あらたに棟梁の名称となった。律令制の16世紀頃のことである。 原寸大の3Mの唐招堤寺金堂の模型が迫力だ。出口のほうには函館奉行所の模型も展示していた。 設計をするようになると原寸大で作ってみる。微妙なそりなどを確認し、様々な曲線の型板をフリーハンドで作る。その乱れを修正するのが、刃物だという。大工は使い込んだ道具しか使わない、とも言われる。法隆寺大工棟梁の西岡常一(1908-1995)は「心のままに道具が切れねばならん。道具はものではなく、人間がものをつくりだす器、自分の手先だと思え」と。 懸魚の飾りは、火に弱い木造構造に対し、水の関係の飾りで魔除けとするのだとか。しかし大工というのは、なんでもするものだ。材料選びから、飾り、計算まで全部だ。なかなか面白いのが曲尺で、表目と裏目で寸法が異なるのだが、1:1:√2で正方形が描けるよう工夫されている。丸い柱は、まず八角に、十六角に、三十二角と加工し最後に丸鉋で作り上げるのだと。 |
日清食品は1958年8月25日に、自社で世界初インスタントラーメンの発売を開始したので、勝手に毎年の8月25日を「ラーメン記念日」と定めている。 ラーメンなんか外でお金を払って食べるものではない!と決めている私であるので、オバQのコイケさんが食べていた「チキンラーメン」が好きである。 左から どんべい 新・ひよこちゃん まるやまん ということで工場見学に行って来た、今は入場料を100円取り、千歳市へ贈呈しているのだとか。が、何も見るところがない…しかし子供づれの多いこと多いこと。すごし!である。ステージを覗くとなんと札幌円山動物園のキモキャラ「まるやまん」登場。 私的には昔の「ひよこちゃん」のほうが好きだった、といっていたら、妻が惑星探査衛星はやぶさの最後の映像である、スミアの生じた映像をもじったソフトを発見し、ひよこちゃんバージョンを作ってくれたので公開(下記URLはそのサイトであるとか)。 ソフト名「はやぶさ地球光」: ひよこちゃんバージョン http://rd.vector.co.jp/soft/win95/art/se484332.html |
葛飾北斎生誕250年とは、まったく知らなかった。1760-1849年の江戸時代の画家である。 さて今回は「漫画展」となっており、なんだろうと思っていたわけだが、いわゆるカリカチュアではなく、”取り留めなし”の意味であるとか。北斎90年の生涯で描いた題材は、風景、風俗、美人、人物、妖怪、博物などなど。確かに取り留めなし・と言えそうである。 しかし木版というのは、随分と保管の効くものである。本版の裏には、発行所の印があり、永楽屋から吉川弘文館へそこから京都の芸艸堂(うんそうどう)に移ったものであると。で、今回の摺りにまで辿りついたとのことだ。 とにかく多色摺りであるのに実に緻密。版ズレがほぼない。今のようにカメラで写して終わりということではない時代の、多色の木版原画の作成というのはすごい。またラインがすっきりしているというのも、見事である。 魚に奇術、相撲、市井風俗、草花、鳥、名所と多岐に亘るわけだが、やはり風景が面白い。風雨の強さを、斜めに切り抜く感じで表していたり、洞窟を突き抜けていく雰囲気がどの絵であったろうとか。きちんと遠近法が使われている。また、妖怪ものがけっこうリアルで楽しいのだ。 北海道立文学館 北斎漫画展は9月5日迄 観覧料:一般/600円 |