空への軌跡 吟遊記
吟遊記 '04.10月〜'05.4月


詩のボクシング旭川予選会
ふしぎな世界
2005 春の詩祭
世界人権宣言パネル展
レゴで作った世界遺産展
五十嵐威暢展
第28回 詩人の広場
開拓の村 再訪
樹憶(きおく)
ヴィクトル・ユゴーとロマン派展
ボッセの会新年会
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挿絵の黄金時代
献寿 2005.1.1
小樽詩話会「忘年会」
えにわ考古学講座
アイヌ語地名を歩く
千歳サケのふるさと館
ミール展示館
丸山隆彫刻展
石山緑地
饗宴 秋の詩話会
北海道開拓記念館・常設展




詩のボクシング・旭川予選会 アピスホール
4月23日旭川で、北海道では3年ぶりという「詩のボクシング」の予選会に顔を出してきた。”詩”と言いながらも割と青年の主張を大きな声で、というイメージがあったので、とにかく見てみようという趣旨。 思ったよりも参加者が少ない。室蘭、帯広からも来ていたがやはり札幌からが多いようだ。出場者18名、聴衆もあわせて30名位は寂しいかな。
ある程度場慣れしていないと難しいかもしれないが、50、60代の男性や主婦が出てくる。ニュースの話題、時事もの、台所話。20代に多いのは異性の話。なぜかアナウンサー系統の希望者が目に付いた。
にしても異業種格闘の雰囲気はいいな。いつもの仲間といつもの朗読・・・とはいかない。ゲームといえど、勝者と敗者に分かれるからだろうか。



主催者挨拶

http://www.asahi-net.or.jp/~DM1K-KSNK/kamiyubetsu.pdf



ふしぎな世界 北海道立旭川美術館
旭川美術館の所蔵品展である。「夜は夜に(船越桂)」など。面白かったのが「いつも道に迷い込む(神山明)」気に入ってしまった。三重のリング状に4つの月、斜面、船、梯子などがぐるぐると並んで、迷い込む楽しさがある。「たしか、このあたりだと思う」も木製の半円に上下に挟まれた地下への道筋が忘れている、記憶の影の断片。
「逃れ行く思念―青空または瞑想(深井隆)」は古い椅子右の肩に金色の翼が生え、開かれた本の上にゴールデンアップル。柔らかさ、読書と本の重さ、想像の翼。これも楽しさそのもので素敵である。
数量としては17点、9作家の作品であるが、木製の首なし人間とか、空想の世界への架け橋がある。
美術館の外は公園で、すぐそばには半円形の上に一群の小人達が並んでる。




美術館前庭

北海道立旭川美術館 旭川市常葉公園内 TEL.0166-25-2577
7月18日まで開催中 第二展示室
観覧料 一般150円 高大90円

http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-asamu



2005 春の詩祭 時計台ホール


札幌時計台

バラエティにとんだ詩祭であった。 嘉藤師穂子氏の「ダンディライオンの部屋で」聞いたことのある某・注文の多い料理店のシェフが案内する夢のテーブル、振り向いたわたしの瞳の内側、扉の中の金色のダンディライオン。
加藤茶津美氏「蠢く」方向感覚の狂いは、のしかかる退廃の、悪もしくは冷たい人の身体、決断の迫りくる時間。あたたかった父のあぐらの中。
こしばきこう氏は突き詰める。一本の義足を作るために来日しなければならなかった少年。そのために募金され替わりにさらし者にされる、肥えた人々の欲求。一本の失われた足のために正当化されるであろう12歳の乱されるキオク。失わせた記憶を、爽やにシュワット紛らわせる幸福なコカコーラの日本。
今回のメインは、佐藤孝氏の「ヨンさま」。繰り返される”ヨンさまぁ”に走る日本的平和。朗読の楽しさと毒がまわる。そして竹津健太郎詩の「打ち上げ花火の音」速度、速度、速度。言い回し、列挙された言葉たちの咆哮。激・激・激、チャウシェシスク!パンツ、パンツ、パンツ!



朗読 斉藤征義氏

斉藤征義氏「八月の父の行方」情念の、まぼろしへの敬礼なのか。乾いた世界のここ春の震動に成仏を、成仏を、成仏を。橋本征子氏は少女の、むくろでもある少女の「春」。今回の主催者、原子修氏の追悼の「奥尻」をギターの調べに乗せて披露する。 村田は解放系の朗読「共鳴館」を。
http://www.geocities.jp/gottuan31/shisai.html



世界人権宣言パネル展 エルフィンパーク
日の丸に手を伸ばす人間の掲げる言葉、第三条:すべての人は 生命 自由及び 身体の安全に対する 権利を有する”。
JR北広島駅駅舎につながる北広島市のエルフィンパークで現在「人権パネル展」が行なわれている。 基本的には、本当にパネル展なのだが、絵と文章で綴る「世界人権宣言」であり、オタビオ・ロス画、小木太法書。




ところどころ、長靴の家がなぜ幸せの家の象徴だったろう、解らない・・・とか。また長い文章を筆文字では読みづらくないかと・・・いろいろ心配するのだが、こんな場所で「世界人権宣言」にあえるというのは楽しい。4月15日まで開催。



レゴで作った世界遺産展 パルコ7F
パルコ新館オープンイベント企画で「PIECE of PEACE」”ピースは多いほうがいい”と題してのイベント。マチュ・ピチュやアクロポリス、がどうも、積み木のおもちゃというところだ。当たり前に仕方がないが・・・。でもピラミッドはいい感じ。なにせ構造物はブロックの集合体であるということがよく解る。



わずかだが”LOVE PEOPLE”のコーナーでは書家、写真家、イラストレイターなどが自由に「未来に残したい私の宝物」というタイトルで作品展示している。”生意気”というアーティストSWEET CRSTALの透明のレゴがなんとなく気に入った。友禅図案家の「山紫水明」も新鮮に感じる。ONE MAN SHOWのベースボール作品はグラフィックデザイナーということだが、広告関係者の発想というものがよく見えて、笑える。
4月5日まで、札幌パルコにて開催中。入場無料。こどもにはいいかな。
物販の収入の一部はユネスコに寄付される。



五十嵐威暢展 ギャラリーアイボリ
「漆黒のミラージュ」と題して抽象彫刻銀座展で発表されたものを含め6点を展示。「vernacular2005」「descending-s2005」「moment2003」など、いずれも同一のタッチの作品。木の表面をバーナーで焼いた面を重ね組み合わせている。握ることがない、ただ左右に伸びていく仏具の独鈷をなんとなく思う作り。
ちなみにこのギャラリーの横のスペースではニット、帽子コサージュ、シルバーアクセサリーなど数名の作家や工房の展示即売も行なわれていた。



五十嵐威暢展は3月13日まで・入場無料
ギャラリー「アイボリー」・札幌市中央区南2条西2丁目 ブロックビル4F



詩人の広場 札幌市教育会館
会長安英晶氏がまず挨拶の後、合評会が6班に分かれて行なわれた。しかし雪の影響と風邪が流行っているせいか、欠席者が多かった。今回は北海道詩人協会50周年記念の特別行事として、スピーチをやめ朗読だけに絞りテーマを「跳ぶ」と「蠢く」のいずれかから選択(「跳ぶ」が12名「蠢く」は9名の予定だった)わたしは詩誌「饗宴」に掲載した”空の距離まで”を朗読。ま、蠢く詩です。
帯広から参加の山下正徳さんの「蠢く」は、”生”をわずか6行に圧縮。短いなかに自分を吹き寄せるイコール呼吸である生命まで辿り着くか、という疑問符と行動を一体で投げかける息使いの朗読法。



朗読 山下正徳氏

ラストは嘉藤師穂子さん、跳びまくりの明るい作品。跳び続けるということが持つ力を象徴していくもので締めくくった。
その後はセリ市、司会は留萌の病み上がりの作家(桜木紫乃)金澤伊代氏と肩凝りと頭痛の続くムラタの最悪コンビ。なんだかいろんなことさせられるのだが、セリ師にはなれそうもなく・・・小樽の萩原貢氏に協力頂いた。
お宝では、木田金次郎の水彩画。黒田三郎の第一詩集「ひとりの女に」直筆サイン入り、S29年の初版本。真壁仁研究(東北芸術工科大学東北文化研究センター)、草野心平著「村山塊多」(日動出版)など。また、北海道詩人協会の詩人のサイン色紙がオークションにかけられた。


萩原貢氏の色紙




北海道開拓の村  
夏に見て回った”北海道開拓の村”を真冬に歩く。 わたしは、はっきりと気が乗らない。なんでだ、と思うが、我パートナー氏は意に介さないのだ。



開拓小屋内部

とにかく「開拓小屋」へと一直線に進む。屋根と壁は茅と葦であり、窓にはムシロ一枚。縄文時代の家の話だが冬用には別棟があり、土を掘ってそこに屋根だけ載せる。そうして隙間風を防ぐのだが、この「開拓小屋」はいつの時代のものだろう。当時の再現用に手を抜いているにしても・・・。果たして当時の蝦夷は希望の土地だったのか、と改めて考えさせられる。
今回は以前見なかった漁村を見てきた。時代が下がると奇妙に懐かしい雰囲気。
冬期間は駐車料が無料。めちゃくちゃ寒いが一見の価値はある。




開拓小屋




樹憶 北広島市芸術文化ホール
基本的にタイトルに曳かれて行く。現地で見た告知のちらしでは”「樹」の形を表現・・・北広島在住・在勤の作家展。”となっていた。わたしはあくまでタイトルにこだわった見方をするが、作品名がわからないので印象から。
ギャラリーの(駅方面からの)入り口近く、松井茂樹氏の作品は素朴。流木などを磨き上げている。樹の断片を切り落としたもので、年輪が刻まれているだろう。そうあってタイトル「樹憶」にもっとも忠実な気がする。
山本祐歳氏、完全に人形を削りだしているし、彩色までされている。掘り出されたものである未来が内包されている、ということか。
ケン・イケダ氏の殻。二枚貝のように、もしくは棘のある種子の中に織り込まれている。場合によっては羽根のように広がる。この発想は、大切な記憶から・という構造なのかも。紐で跡を残すのは、あたかも芋虫の足跡であるかのようだ。




桜井清隆氏はシンプル。花があり、葉があり土の囲いのなかから天井に向けていく。樹はそれ自体、高みへの道だから。
清水ひで子氏は素材である細い木、皮、枝を捻る、編んで、組んでみたり。そのなかに落ち零した円の空間を繋げる。木々のあるべき状況を人間の視点から開いている。

と き:2月20日まで
ところ:北広島市芸術文化ホールギャラリー
   (北広島市中央6丁目2-1)tel.011-372-7667
料 金:入場無料




ヴィクトル・ユゴーとロマン派展  北海道立近代美術館
ユゴー生誕200周年の企画展。 第1部はユゴーの生涯と作品。「レ・ミゼラブル」「ノートルダムのせむし男」と日本では小説家として有名だが、フランスでは詩人・政治家としても名を馳せた。
ナポレオンI世を支持したが、ルイ・ナポレオンは支持せずに帝政がひかれると亡命する。ジャージー島の”亡命者たちの岩”では「自由がフランスに帰るとき、私もまたフランスに帰るであろう」と述べたとされる写真がある。
基本は政治家の言葉なのだろう。ユゴーの父は息子が政治家になってほしかった、母は文学者になってほしかった、といわれる。結果をみると母の勝ちと考えられるし、ユゴーも文学を目指していたのだが。自由という展望があり、分かち合いがある。そうであればこそ「愛するとは行動すること」という精神が喝采を受ける。時代が政治と文学を平行に作り上げている。
にしても自筆校正のゲラ刷りが国宝とは、恐れ入る。




第2部では19世紀フランスの芸術と文化。ウェジーヌ・ドラクロワの初期の作品「収穫の聖母」非常に端正で優しいタッチ。こんな描き方だっけ・・・。
ロマン派の精神を現しているといわれるテオドール・ギュダン「ベリール沿岸の嵐」荒れる波と立ち尽す岩。”黄金の声”を持つ女優サラ・ベルナールの写真。16-18世紀に流行ったポケット版バイオリン”キット”など盛り沢山。

ところ:北海道立近代美術館 札幌市中央区来た1条西17丁目
と き:2月20日まで
料 金:一般 1000円、高大生 600円、小中生 400円

http://www.aurora-net.or.jp/art/dokinbi



ボッセの会新年会 高田屋北3条店
今年の新年会は今村博光詩集「蜘蛛と私と」、橋本征子詩集「破船」、原子修詩集「詩劇・狗」の三冊の出版を記念して催された。室蘭の光城健悦氏が三氏への出版の祝辞を虚構性に触れながら述べられた。
またそれぞれの詩集への言葉を、浅田隆氏、谷崎眞澄氏、こしばきこう氏は急遽の主張のため当日の幹事である石井真弓氏が代読となった。
その後新年会の乾杯を福島瑞穂氏。祝宴のなかで一分間スピーチ、個室ではあるがなかなか難しい部屋で、雑音に声が奪われる。それでも私を含め数名が自作詩朗読を行なった。




尚、今年からはこしば氏のアトリエで勉強会が行なわれる(8月は休会)。



挿絵の黄金時代 三岸好太郎美術館
市民社会の成長期、様々なジャンルの出版物が出回りはじめた大正時代。印刷技術の発達に伴い、新しい雑誌の創刊が目立ち、小説などの挿絵の需要が急速に増大した。童画といわれる子供たちのための口絵なども登場した。そこには従来の浮世絵師とともに、洋画家達が進出し、芸術性の高い評価を受けながら文学との相乗効果を作り上げた。そんな大衆のこころに生きた画家展。




まず「大菩薩峠」の挿絵の石井鶴三。力強さに驚く、墨一色で真剣の刃先を立ち上げる。このシンプルさに勝てるものはいない。河野通勢の「項羽と劉邦」では、歴史好きのわたしにはどこの場面かばかり気になってしまう。
1910〜20年に童画の時代が来るのだが、やはり竹久夢二というのは独特。続く蕗谷虹児は、まつげ長いし目玉キョロンとしてなんだか、今風。
高畠華宵は津村順天堂の中将湯の広告を描いた。それも展示してほしかった。
梁川剛一は油絵で、これは異質に感じる。もっとも江戸川乱歩の「少年探偵団」や伝記「リンカーン」の挿絵なので本としては違和感はなかっただろう。初山滋のアールヌーヴォー調がもう少し見たかったかな。

1月23日(日)まで
三岸好太郎美術館(札幌市中央区北2条西15丁目)

http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-mikmu/



献寿2005 




     飛翔

     非、の文字であらわす
     鳥のかたち
     左右にひらく翼は
     たがいに背くことで
     芯に固め
     突き抜けはなつ尾羽まで
     刹那の紅蓮



小樽詩話会「忘年会」 ラ・フィーユ
12月18日の第932回例会は小樽平安閣1Fにての忘年会。
はじまりの言葉は、函館からの参加者、詩集「Kleinの水管」で北海道文学賞を受賞した木田澄子氏。乾杯の後は全員の「三分間スピーチ」である。タイトルは”冒険”とのこと。今年のこと、今やっていること、長屋のりこ氏は子どもの時の逸話など。萩原貢氏は、先に話すことをおのさとし氏が取ってしまったとぼやいておりました。その中で世話人の下田修一氏が「結婚したことだ」と一言、その横には編集人竹田美砂子氏。おめでたい話になりました。



三分間スピーチの世話人と編集人

ところで今年のスピーチはむしろ歌合戦の様相を・・・木田氏が前振りし、なかの頼子氏がシャンソンを。ついには新妻博氏が”からたちの花”を披露して大喝采、皆さん冒険したんだそうです。
その後に朗読となりました。小樽詩話会41周年記念号からの朗読が多かったのですが、嘉藤師穂子氏はその中でも自作詩ではなく工藤氏の作品を朗読。村田は以前書いた自作詩で冬の作品「約束、あるいは切れたフィラメントのために」を。 今年はセリ市が復活。何故か酒の出品が多かった。新潟の酒一本購入。



えにわ考古学講座 
カリンバ遺跡については国に史跡の申請を提出中せある。カリンバ3の発見以来、恵庭と縄文時代、特に赤い漆のアクセサリーへの関心は高い。
そこで正しい知識の普及と題して講座全4回が開催中である。
1回目・カリンバ遺跡の発見と謎・・・発掘状況の説明があり活発な質問が出ていた。出土した物件について、ビデオ映像中心に説明が加えられた。だが、ねむい。 2回目・縄文時代のエニワ   ・・・は、年賀状作成のため不参加である。




次回は・1月15日 擦文時代のエニワ
4回目・1月29日 現代社会と埋蔵文化財  の予定である。なんだか一番いい縄文の2回目を見逃したような・・・
恵庭市郷土資料館  恵庭市南島松157番地2 Tel.0123-37-1288



アイヌ語地名を歩く 
山田秀三の地名研究の企画展が北海道立文学館で開催された。実際に書き込みのある地図、撮影写真、ファイルなどを使い当時の調査を辿る。
北海道立アイヌ民族文化研究センターに所蔵されている山田秀三文庫の資料を中心に展示された。
山田秀三という人は基本的に趣味で収集して、独自の方法論に至った。企画展には、忍路(おしょろ)の鰊漁唄の録音、釧路のアイヌ川での八重九朗翁の伝承などのビデオも紹介されていた。




行ったのが最終日だったので、再度センターに行かねばならんなあ。

北海道立アイヌ民族文化研究センター
札幌市中央区北1西7 プレスト1・7

http://www.pref.hokkaido.jp/kseikatu/ks-ambkc/hacrc/hp/index.htm



千歳サケのふるさと館 
ここの施設は千歳川の中を直接見ることができ、まだ遡上しているサケがいる。そして十月に遡上してきたサケを捕獲した卵が孵化し始めている。




受精した卵を入れた水槽の、温度と日数を合計したものを積算温度という。サケの場合、その積算温度が240度になると卵に黒い眼ができ、これを発眼卵という。さらに積算温度が480度で孵化する。飼育する水槽の温度を8度に設定すれば約60日で誕生ということだ。オレンジ色のさいのうをつけた稚魚がかたまっている。




千歳市花園2-312インディアン水車公園内
入館料:大人 800円 / 高大 500円 / 小中 300円

http://www.city.chitose.hokkaido.jp/tourist/salmon/



ミール展示館 苫小牧市科学センター内
ロシアの宇宙船「ミール」、どうして岩倉建設が持っていて苫小牧市に寄贈したのかはわからないが。
宇宙ステーション「ミール(ロシア語で平和)」と天体観測モジュール「クパント(量子)」がドッキングしている姿で展示されている。二機のトータルの長さは24.1Mとなり、最大直径は4.15Mである。もともと長期滞在用としてミールには6ツのドッキングポートがあるので、つなげてみてはじめてその状況が垣間見れるということだ。


手前・クバント 奥・ミール

展示機内部にも入ることができる。見学のスペースはたいしてあるわけではないが、不思議な陳列場である。
小さいという気もする。また本機は予備機であるらしいが、同型の宇宙で地球を見つめていたのかと思うと、強く、悲しい気もする。展示機の背後には燃焼実験でボロボロになったロケットエンジンも置かれていた。



展示写真

苫小牧市科学センター (苫小牧市旭町3丁目1-12)TEL.0144-33-9158
            月・祝休み、9:30〜17:00 / 無料

http://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kagaku/index.htm



丸山隆彫刻展 札幌芸術の森美術館
”石山緑地”としてその名前をしっている彫刻家、丸山隆。
展示作品61点のうち名称、「残留応力」が9品、「断層空間」7品、「地殻素子」8品、「不可視コード」19品であり作品名だけでも充分推測できるが、基本的に抽象作家である。(定山渓の「おかっぱ」は例外的なものであろう。)
まず、目をひいたのが「柩」。見た瞬間に作品名がわかったので、逆に?と思ってしまった。黒色の花崗岩で閉じられ、石のロープで締めくくられているのに、ひび割れた隙間から抜け落ちていく。わずか1Mの石柩。



「残留応力」では木製のものが、むりやり捻じ曲げる力の存在、内に秘めた瞬発力、それが不自然でいい感じだ。石ではどうも切り貼りしているだけに思える。しかし「断層空間」における石の歪みは、分かりいい気がする。
作品「Φ1000」はガスボンベを6本ほどまとめてくり貫いただけだが、確かに見る方向で幾らにも変化する様は楽しい。「不可視コード」(作品59)は中に入り込めるが、一晩寝ないと分からないのではなかろうか? しかし作品「住空間再生計画」は馬鹿にしているのかとも、単純化の極みとも言える。直径2M90のジュラルミンの輪を、もちろんくぐって来たけどね。

と き:12月5日まで
ところ:札幌芸術の森美術館 (札幌市南区芸術の森2丁目75)
入場料:一般700円 高大生350円 小中生140円

http://www.artpark.or.jp



石山緑地 
石山という地名は、札幌軟石という約3万年前に支笏湖周辺の噴火によって生まれた建材に適した石切り場からの名称である。



実に露骨に石切り場跡地はある。ここを公園化したアーティストがCINQ(サンク=フランス語で”5”)國松明日香、松隈康夫、永野光一、山谷圭司、丸山隆である。
で、やはり石切り場という非日常の世界がまず、すごい。そのど真ん中にステージがある。単純に山に向かうというよりも、地に向かって立ち止まり思わず見上げる、そんな空間。



圧倒されるだけでなく、声をあげ共鳴せずにいられない。すべてを遮断し尽くしていける。彫刻とは石の命を司ることだと、実感できる。




札幌市南区石山78-24 (冬期間11-4月閉鎖とあるが・・・)



饗宴 秋の詩話会 すみれホテル
講師、工藤知子氏によるイタリア詩。Alda・Meriniの作品を用意してくださったテキストで、イタリア語の響きを読んでみることで実感。さらにビデオを交えてMerini本人の朗読を聞いた。イタリア語はローマ字読みするとそのまんま。例えばこの詩人の名前は、アイダ・メリーニである。
1931年生まれのこの詩人は早熟でありながら、精神に変調をきたし精神病棟に7年近く入っていた。そのためなのか、神に捧げる詩が多いようで、今回紹介してくださったから「その人、人生に不服従をつづけた男は・・・」というのはイエスの詩である。
当時はWW2の最中でもあり精神病棟ではひどい仕打ちを受けていたようだ。そのときの作品「聖地」は生誕地ジェリコに冠しているものであるが、非常に美しい作品であることに驚きを覚える。




第2部は饗宴主催の瀬戸正昭氏による「レクイエム」の話。死者のためのミサ曲であるが、日本語の「鎮魂歌」というのは誤訳で、和式の祟りをなす霊の呪いを鎮めるということではない。キリスト教的には、死者の生前の罪が神によって許されるということなので、まるで異なるのだ。
このレクイエムを聞くということは、欧州のクラシックの歴史を語るに等しくギョーム・ディファイ(1397頃〜1474)但し譜面は現存しないため、最古とされるのはヨハンネス・オケゲム(1410頃〜1497)から初めて2000曲を一気に走り抜けたのである。



北海道開拓記念館 
常設展がいい。入り口すぐに木の根がでんと構えていて、抱きしめるほどの幹の根は人の頭ほどの直径だ。この大きな根っこをまず掘り出すことから始まる。このプロローグが開拓ということなのだ。





アイヌ人の道具に、先に酒をつけて捧げ人の言葉を伝えるとされる「捧酒篦(ぼうしゅひ)」というものがあり興味深いものだった。次いで、戦後の昭和あたりが懐かしさもありで、おもしろい。テーマが一応アイヌ、蝦夷地、近代・明治、戦後など8の設定がされている。少し欲張り過ぎという気もするが、北海道の歴史は1・2階と展示されている。




同時に11月3日まで”北海道の民俗芸能”が特別展として開催中。しかし1フロア、見渡しておしまいという展示の仕方はないだろうと思う。それなりに面だの獅子頭だのあるのに・・・工夫がいるな。

北海道開拓記念館  札幌市厚別区厚別町小野幌53-2  011-898-0456
http://www.hmh.pref.hokkaido.jp/


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