■「当事者の声」から出発 たたかってこそ自由勝ちとれる
札幌市厚別区 佐藤 明人(70)
本書を拝見し、生活保護利用者の「命の叫び」と怒り、感動、たたかってこそ自由が勝ちとれることを学びました。弁護士の尾藤廣喜さんは、本書の始めに“まず、「当事者の声」を聞くことから出発しよう”と述べています。
本書中の「当事者の声」を紹介します。
老齢加算の廃止、母子加算等の削減などがされ、生活保護費を節約しながら生活する大阪の会員さんは、1万円で1か月食べていく生活をしています。1日3回の食事を2回減らす。冷蔵庫は「弱」にして、そのドアの開閉を最小限にする。近所づきあいはお金がかかるので、控えている。トイレの時に毎回水を流さないなど・・・、すべてに渡って節約。
「単に生活上の悩み、節約の在り様という時限ではなく、人としての存在を否定される結果になって残念。無念で情けない限りである」という「声」もありました。
この「心の声」は、私にはよくわかります。自分自身、生活保護基準で生活したら、1週間ともたずにすぐ根を上げてしまうと思います。
わが国においては、年収200万円以下の「貧困労働者」と呼ばれている国民は、1100万人を超えています。自殺者が年間3万人以上の状態が続いています。最近は、2割を超える人が自営に失敗したり病気で生活できなくなって、自殺する人が増えています。
これは、政府や大企業による搾取が、国民のすみずみにまで及んでいるということ。とりわけ、「弱い層」にくいこんでいます。
この本には、生きた「会員の声」があり、苦しみ、悩み、命の叫びが伝わってきます。北海道で私たちは今、「生存権裁判」をたたかっています。“たたかわずして、なんで自由を得られようか”です。
大生連のみなさん438人の生活保護利用者の命の叫び、ありがとう。たいへん学習になり、元気をいただきました。
■10年前と変わらない保護行政
多くの人たちに読んでほしいです
福島市 遠藤定夫(64)
この本を読み終えてまず感じたことは、この438人の方がたと同様な「心と命の叫び」を私自身も体験しており、幾度かつらくむなしい時期をすごしたこともあったので、ひとごととは思えず、同感しました。
“あのとき、生活と健康を守る会にめぐりあっていなかったら、今ごろ、どうなっていたのだろうか”と、この本を読んで生活保護の申請をしに役所に行ったときのことを思い出しました。
「会」の事務所を訪ねたときに、これまでのいきさつを親切に聞かれて、その翌日の朝いちばんで福祉課に連れて行ってもらい、保護の申請をしました。「会」の事務所へ戻る帰りに、久しぶりに栄養のあるおかずを買って妻と食べたことは、決して忘れてはおりません。
「守る新聞」には、生活保護受給者の声として記事には載っていることがありますが、これだけ大勢438人の「命の重さ」や「心の叫び」が本書に載っているのには、驚きました。
本書には、全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)・生活と健康を守る会と行政当局、福祉課長との生なましく、息づまるような切迫した攻防が書いてありましたが、現在もまた、私が10年前に生活保護の申請にひとりで行った時とほとんど変わっていない保護行政の現状に、いきどおりと怒りを覚えずにはいられませんでした。
本書には、これからの保護行政のあり方についても書いてありますので、ぜひ多くの人に読んでいただき、私たち生活保護利用者の実情を理解し、わかっていただきたいです。
生活と健康を守る会活動の中で、生存権保障を定める憲法25条が正しく活用されるよう、我われ生活保護利用者も一人ひとりが、こういった運動の大切さを自覚して、活動の輪が広がっていくことを期待し、私自身も健康に留意しながらがんばっていきたいと思います。
(2008年7月20日付 生活と健康を守る新聞より)
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