大生連サブロゴ
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大阪府生活保護交渉

2010年8月18日 大生連
 8月18日、大阪府庁内にて大阪府福祉部社会援護課と2日目の交渉を行いました。社会援護課は8名が対応。大生連は21単組79名が参加、私の要求アンケート2単組8名分を提出しました。日本共産党府議会議員団から小松議員が激励に来られました。

《小口生活資金について》
猛暑でクーラーなしではすごせない。生活保護世帯にも貸付を認めてと訴え

【大生連】 猛暑が続き熱中症の被害も多い。生活保護世帯はクーラーを買うためのお金がない。貸付をしてほしい。
【大阪府】 生活保護世帯は貸付対象ではない。自立促進のためのものは貸付対象となる場合もある。
【大生連】 生活扶助費のU類をためてというがそのような余裕はないし生活保護世帯はローンもくめない。自立のためなら貸付すると言うが、これは命にかかわる問題。制度の改善を検討してほしい。
【枚方交野】 生活保護を利用し始めたばかりの人で、家にクーラーがなく先日、熱中症で倒れ救急車で運ばれた。気づかれなかったら亡くなっていたかもしれない。生活保護を開始されたばかりの人は保護費をためることもできない。
【松 原】 古いエアコンは新しいものより倍は電気代がかかる。買い換える費用も含めて検討をしてほしい。
【大阪府】 制度上、対象となっていない。生活保護は保護基準の中でまかなってもらう。
【大生連】 厚生労働省は新規申請の場合、家具什器費でのクーラーの購入を特例で認めている。各自治体へは周知しているのか。
【大阪府】 問い合わせがあれば示しているが府から周知はしていない。保護の開始時や長期入院から帰ったときなど個別ケースで判断するが、家具什器が優先される。
【大生連】 制度の改善を検討してほしい。

《アンケートを読んでの大阪府の感想》
【大阪府】 すべての項目で節約し、特売やまとめ買いなど工夫されている。お風呂もシャワーや追い焚きなど苦労されている方が多かった。生活保護は病気、失業、高齢などの理由で受けていて、この不況の中で全国的に受給者も増加、特に大阪は全国と比べても3倍になっている。また、保護を利用し助かった反面、人のうわさなど苦労もあることがわかった。要望になることは、本来国ですべきもの。国へは要望を伝えたい。また、ケースワーカーに対しての不満も書かれていた。研修会などのなかで改善を図りたい。

《前回からのつみのこし》
◆70歳以上の第1類減額と老齢加算について
【大生連】 1級地‐1の場合70歳以上は60歳代と比べて3760円下がる。なぜ下がるのか。また、老齢加算についてはなぜ加算があったのか。老齢加算に対する福岡高裁の原告勝利判決についての見解も聞かせてほしい。
【大阪府】 老齢加算は昭和35年に制定され、老齢者は咀嚼力が弱いため他の年齢層と比べ消化吸収がよく良質な食品を必要とするとともに肉体的条件から暖房費、被服費、保健衛生費等に特別な配慮が必要とし、また近隣知人、親戚等への訪問など社会的費用が他の年齢層と比べ余分に必要になるという理由から創設された。また、廃止の理由としては生活保護制度のあり方に関する専門委員会で単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費実態に基づき加算のあり方が検討された。60歳代と70歳代の消費支出額を比較すると70歳以上の消費支出が少ないことから老齢加算に相当するだけの特別の需要があるとはいえないことや70歳以上の消費支出額と生活保護基準を比較すると生活保護基準の方が大きかったため平成16年から段階的に廃止された。福岡高裁判決の見解については、この以前に東京高裁などで違う判決がでているため、府の見解は控えたい。
70歳以上の第1類の減額については60歳代と比べ消費が低いと言う理由だと思う。消費実態を考慮したうえで厚生労働省が判断し決めている

【堺 市】 老齢加算は、国が必要性を認めてきて昭和35年から導入され、当初千円から18900円まで引き上げられてきた。それを国が勝手な理由をつけて廃止をした。引き続き国へ復活を求めてほしい。

◆生活保護開始までのつなぎ資金について
【大生連】 生活保護決定までのつなぎ資金の貸付は各市で対応がバラバラ。府で統一したものをつくることが必要。
【大阪府】 決定までの処理を速やかにするというのが原則。法の趣旨に則って早期に保護を決定するよう周知したい。つなぎ資金の貸付については府で統一するのではなく、市独自で対応すべきもの。
【堺 市】 堺は財源がないため担当課が民生委員協議会に行き保護申請が増えている状況なども説明しお金を確保している。
【松 原】 松原でもつなぎ資金が必要なので独自に300万円の予算をくんでいる。
【大生連】 自治体まかせではなく府としての役割を発揮してほしい。いくつかの実態がだされたが府として各市の実態を把握してほしい。その経過で後日話し合いもしてほしい。
【大阪府】 必要性は認識しているが、市で対応しているところもありその個別の事業に予算措置はできない。
【大生連】 財源がないのは各市共通の思い。府が補助金を出すなど地方自治体の役割が問われている。

《権利侵害について》
◆松原市の保護決定の法定期限について
【大生連】 申請しても決定までに1ヶ月以上かかり、30日をこえてもその理由も示さない。扶養義務届は、保護費の支給額に関わるかもしれないが、保護の要否判定の特別の事由にはあたらない。松原市に事情も聞き、国へも確認し、どのように指導したか教えてほしい。
【大阪府】 14日を超えての決定が多いため監査でも原因を分析し改善策を講じるよう指導している。
【大生連】 14日を超えて決定する場合の特別の事由とは何か。
【大阪府】 個別ケースで変わる。特段の援助が期待できない場合にその返事が来るまで決定しないのは不適切。扶養義務を保護の申請の要件としてはいけないが、保護を決定する場合に必要な場合もある。
【大生連】 指導を徹底して欲しい。

◆守口市の事例
■申請時の同席について
守口市が突然申請時の同席を認めなくなった。8月9日に交渉を行い、是正を求めて府が出した文書も示したが、検討するといって明確な回答がなかった。
【大阪府】 本人から話を聞きたいので退席を願った。すべての同席を拒否しているわけではないとのことだった。不当な圧力があった場合は退席もありうるが、原則は本人の意思に基づき行うように指導をした。
【大生連】 同席に関する府の文書も示して市には指導してほしい。その結果も教えて欲しい。
【大阪府】 わかりました。

平成21年3月16日、社援第3240号《抜粋》
雇用・経済情勢の悪化に伴う保護の適正な運用について(依頼)
1.相談時の対応について(4)相談に当たっては、相談者本人のプライバシーの保護に十分留意することが必要であり、相談内容がプライバシーに及ぶことを理解の上で、相談者本人が第三者同席を求める意思を示したときは、これを確認の上、第三者同席による相談を行ってください。

■申請権の侵害について
 4月中頃、糖尿病で働けなくなったため自分で診断書を取り保護の申請に行ったがこの診断書ではだめと市の検診命令の用紙を渡された。また、掛け捨ての生命保険の解約と年金免除申請をするようにと言われ、申請はさせなかった。
1週間後、軽労働可と返事があったと連絡があり本人は、生活保護はだめだと思いあきらめた。6月1日頃、2度目に相談に行くとまた検診命令の用紙を渡すのみで申請させず、その後、会に相談があり6月4日に申請。申請前の検診命令や生命保険の解約させるのは法に反する。その後もケースワーカーから「3ヶ月たったら相談しよな」と言われ本人はそれで廃止されると思っている。
【大阪府】 申請前の検診命令はやめるよう指導した。以前も監査の時に是正を求めていた。生命保険の解約は、制度としての説明を行ったもので指導はしていない。本人がそう思い込んだということもあるかもしれない。「3ヶ月たったら相談」については調べて後日回答する。
■他法他施策の活用について
60歳くらいまでの元気な人については、貸付に行くよう窓口で対応している。平成21年12月25日の厚労省通知の関係でどうなっているのか。
【大阪府】 機械的な対応はせず、本人の状況に応じて案内している。強制と受け取られないような対応をしたいとのことだった。

◆茨木市の事例
■申請時の同席について
 貧困ビジネス対策を理由に対応で同席を拒否された。指導してほしい。
【大生連】 守口市も茨木市も同席拒否について、法的根拠が示されていない。法的根拠があるなら教えてほしい。府として文書も出されているが府の見解も教えてほしい。
【大阪府】 確認し、後日回答する。貧困ビジネスにかこつけた同席拒否は適切ではない。
■病院の移送費について
同市の交渉の中で通院費の申請をしたがみんなやりくりして自分で出しているからと移送費を支給していない。平成22年3月12日の厚労省通知からみて正しいのか。
【大阪府】 病院にかかる場合、医療券の発行のこともあるため本人と相談する際に、通院の交通費がかかるようなら支給するよう是正を求めた。
【大生連】 厚生労働省通知は周知しているのか。通知には技術的指導を行うことと府の責任が求められている。
【大阪府】 毎年医療事務に関する研修が行われている。その中で周知したい。
◆貝塚市の事例
■通院移送費について
 路線バスが廃止されタクシーでの通院が増えているが、タクシーを利用する場合の移送費の支給が厳しい。歩けないため3つの病院へタクシーを利用し月に15日通院しており2万円以上かかる。申請すると近隣に病院があるからと1ヵ月後に却下された。
【大生連】 大生連のアンケートでも移送費はほとんど請求されていない。各市の実態調査もし、指導してほしい。
【大阪府】 支給するのに必要な確認書類に時間がかかったが従来はそんなに時間はかからない。
【貝 塚】 出した事例の回答ではない。事実確認をしてほしい。
【大阪府】 後日回答します。

◆摂津市の事例
■辞退届けの強要
 申請を行き受理されたが、その日地域担当ケースワーカーがおらず後日、再度訪ねた。しかし話も聞いてくれないような対応だったため、生活保護はやめておくと言うと辞退届を出すよう言われた。今日は印鑑がないというと取りに帰るのを待っている時間はない下の売店でも売っていると言われた。このような対応でいいのか。
【大生連】 辞退届の強要については、それが違法だということが広島高裁で裁決が確定している。摂津の対応はこれに照らしどうなのか。
【大阪府】 本人はなるべく生活保護を受けたくないということで申請の取り下げの意思を示されたため取り下げの届出の提出をお願いした。強要はしていない。生活保護を利用する前のことで広島高裁の辞退届とはケースが違う。
【摂 津】 取り下げの届出でも強要したのはケースワーカーだ。保護基準以下にも関わらず取り下げさすのは問題だ。
【大阪府】 取下げの強要ととられることのないよう指導する。

◆大東市の事例
■移管の問題(本人の発言)
 リストラされ生活保護を利用している。不動産の売却に伴い大阪市から大東へ引っ越したため移管されることになった。大阪市が移管の処理をしているが大東市から受け取り拒否をされた。理由は就労活動が充分かどうかが判断できないためと言われたが大阪市で利用しているのになぜ大東市ではだめなのか。状況はまったく変わっていない。府から指導してほしい。
【大阪府】 鶴見区と大東市の就労指導の見解の相違でもめたようだ。
【本 人】 鶴見区の時と同条件であれば大東市でも保護が利用できるのか。
【大阪府】 要保護状況であることが確認できれば認められる。
【大生連】 法的根拠を示してほしい。
【大阪府】 移管の法的根拠はありません。
【大生連】 移管届がないと保護が開始できないと言われたが法的根拠がないならこれは誤りだ。指導してほしい。
【大生連】 移管は1日の漏給もないようスムーズに保護が開始されるためのもの。そのことも含めて指導してほしい。
【大阪府】 わかりました。
■扶養援助について
 娘からこれまで3万円の援助があったが仕事が減ったため1万円にしてほしいと言ってきた。ケースワーカーに言うとそれはだめと言われた。扶養の範囲について、回答してほしい。
【大阪府】 具体事例かわからなかった。再度調べて回答する。

◆大阪府財政構造改革プラン《素案》の中でふれられている有期付保護と医療費一部負担について
【大阪府】 大阪府では長年、行財政改革にとりくんできたが雇用や経済情勢が厳しい中で税収が低迷し、今後伸びが期待できない。また、国が決める制度内容にしたがって地方の義務的、恒常的な負担が増えており、年々拡大していく。これ以上改革を進めても財源不足がつづく。これには国の制度にも課題があり、国が決定することについては国の責任で、地方が決定することは地方の責任でという考えの下で、税源移譲を含む構造改革をしなければならないことから、今回財政構造改革プラン《素案》がつくられた。
その中で国への制度提言の1つとして生活保護制度の改革について書かれている。基本的に生活保護制度は国が本来責任を持ってやるべきもので、権限、財源、責任の明確化という観点から生活保護に関する事務的な事業については国が全額負担すべきものと位置づけている。生活保護制度については60年余り改革がない。
厳しい雇用情勢が続く中で、仕事につけず雇用のセーフティーネットが機能しない未就労者の増加が被保護者の増加の要因にもなっている。大阪府の保護率も全国と比べ2倍、大阪市で3倍と高くなっており府内自治体の財政を圧迫し、制度の息切れを起こしている。生活保護についてはライフステージ、課題に応じたきめ細かな制度にせよと提言をし、現状と課題ということで5つに整理をしている。
生活保護からの脱却が困難な高齢者の増加、単身高齢者世帯の生活保護基準を下回る老齢基礎年金、完全失業率の上昇にともなう被保護者にしめる稼動年齢層の増加、生活保護からの早期脱却を促す仕組みの欠如など支援の課題が異なるにもかかわらず一元的な仕組みになっている。
制度そのものを生活保護に陥る前のボーダーライン層のための第2のセーフティーネットという新たな制度と現在の保護制度も新たに構築しなおすこととしている。ボーダーライン層のための第2のセーフティーネットについては、求職者支援を基本に比較的簡易な要件審査とし、求職者支援給付という形で就労支援を行い生活費や住宅費など必要な支援を支給する制度とし、自立を促していく。
生活保護制度については新たに稼動年齢層と高齢者層を区分した仕組みをつくっていく。稼動年齢層の就労支援制度を新たに導入し、自立に向けた自助努力、自立支援プログラムを義務付けて一定期間ごとに効果を評価し、必要に応じて支援を更新していく。また、自立準備積立金制度ということで、従来働いた場合は収入認定をするが、一定額を除外し、自立のための軽費として積立てを行い、自立の際に本人に渡して使っていただくことを提言している。
更新制度としているが、できるだけ自立することが前提の制度のため一般的に考えられる有期保護ではなく、支援していくなかで自立につながらない場合もそこで切るということではない。第2のセーフティーネットと生活保護の稼動年齢層の就労支援については、商工労働部で考えているハローワークの移管を受け、市町村にサテライトを設置して雇用と就労支援、生活と福祉支援を一体的に実施する大阪版ハローワークという形の連携についても想定している。また、高齢者層のための新たな生活保障ということで経済的な自立が困難な高齢者に対しては、生活保障給付という形で給付する。ただ本来の年金制度の見直しも必要と考えるが、生活保護を受ける高齢者の方については、今まで働いて年金をかけていた期間があると思うが、年金の加入期間に応じた加算も検討すべきとしている。
大きく稼動年齢層と高齢者とに分けているが、それ以外の就労困難な方については今までどおりの形にしたらどうかという考えだが具体的な提言の中ではのべていない。医療扶助のあり方についての提言内容は、被保護者の方が適正な受診意識と健康管理の意欲を高めてもらうことが重要。医療費通知の制度化、受診時の一部負担の導入、かかりつけ医療機関限定にした医療証の導入の可能性について国に検討すべきとしている。医療費通知について国民健康保険でも実施されており、生活保護制度の中でも子ども家庭センターや大阪市など何市かで実施している。
一部負担の導入については具体的な内容について提言はしていないが、基準の生活費を削るということではなく、病院に行った際に支払ってもらうが、償還払いで本人に返還する。保険のように何割負担ということまでの検討はしていないが、定額で月に限度額を決めるなど制度の見直しの中で議論されるものと考える。医療費通知や一部負担の導入は被保護者の適正な受診意識を高めるとともに、医療機関に対するチェック機能など不適切な診療行為へのけん制の役割が期待できると考える。医療証の導入は被保護者ごとにかかりつけ医療機関を決めて医療証を利用することですぐに受診ができ、その中で生活習慣病予防のための健康管理や治療が適切に実施できるよう考えている。
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