「行き過ぎた就労指導はやめよ。保護基準の引き上げを国に上げて。大阪市の一時金復活をつよく要望」と二日目の交渉。
交渉2日目、17単組100名参加
12月8日午後1時〜5時、中之島公会堂にて大阪市健康福祉局保護課と2日目の交渉を行いました。当局は岸課長代理、大場、武市係長を含む6人が対応しました。大生連は17組から100人が参加。
〈交渉で出された事例とやりとり〉
◆収入認定について
【鶴 見】 借金で払った高額療養費の返還金を収入認定しないで欲しい。
【大阪市】 本人名義で還付され、息子から借りたという資料がない。本人には説明した。
【 旭 】 交通事故の保証金を全額認定された。再申請に行ったら、窓口で「申請にはまだ早い」といわれた。申請の時期はだれが判断するのか。
【大阪市】 申請の時期は本人の実態に基づく。予定より早すぎるようであれば事情をお聞きすることもあるが、申請は可能。保証金は全額認定ではなく、弁護士費用や診断費用などは控除する。本人から経費をよく聞き、返還額を決める。
【大阪市】 研修について、返還金について
新任ケースワーカーや課長、現任者研修を行っている。いろんなテーマで昨年は60日、今年は30日研修している。基本的なことは伝えている。多重債務のプログラムを作成し、返還金の取り扱いは弁護士と協議している。返還金のどの部分を認定するのか、控除額は本人によく聞く。
保護を廃止されたあと、何日おかなければ申請を受け付けないなどの規定はない。
【平 野】 小学生の子がいたずらされて、示談金50万円が支払われた。子どもが受ける民間のカウンセリング代も控除してほしい。
【大阪市】 63条返還の問題になる。示談成立が資力の発生になる。弁護士費用は控除されるが、カウンセラー代は区と相談する。
◆申請権守れ、申請書はカウンターに設置を
【 港 】 申請の追い返し、たらいまわしについて
【大阪市】 たびたびのことで問題と受け止めた。
基本的事項で港区と意見交換もし、区に確認したところだ。査察として直接本人に話をする。
【大生連】 この受付面接に追い返され、路頭に迷い生健会に相談に来た人が何人かおられる。昭和25年厚生省事務次官通知では「区域内に居住する者の生活実態に細心の注意が必要、保護の漏れない配慮が必要」とした精神が欠落しているのではないか。最後のセイフティネットの役割は福祉事務所が担っていますね。
【大阪市】 うなづく。
【大生連】 厚生省事務次官通知の精神は今も生きていますか。
【大阪市】 生きています。
◆法定期限内に決定をすること
【東 成】 保護の申請をしたら、「決定は2週間以降30日以内に出る」といわれた
【大阪市】 日数を要したことがあったようだ。区の説明は制度の説明としては間違いだ。
【城 東】 法定期限内に決定ができないと言われた。手持ち金がないのにどうやって食べたらよいのか。
【大生連】 行政の都合で決定が延びることは許されない。法律を守ること。
【大阪市】 そのとおりです。スムーズに開始できるよう人員を確保することは組織の問題。
【大生連】 正確な教示をせず、誤った対応で申請ができなかった場合は遡及するか。(回答なし)
◆就労指導について
【平 野】 母子世帯。(母が)高校を中退したため、通信制で資格をとり、取得後高看の学校に行きたい。前任の担当に分離して別世帯にしたらと言われた。
【大阪市】 高看は基本的には認められない。夜間大学と同様にはいかない。準看なら一部認められる。
【住 吉】 就労指導がきびしくて、うつ病になる人もいる。軽労働可と書かれても、現実には仕事がない。軽労働可の基準を示してほしい。
【大阪市】 就労支援員につないだが、ウツ傾向があり、受診を進めたが、本人は病院に行っていない。まず、病気を治すことだ。その後、本人の状況をみて指導をする。
【大阪市】 医師の意見は判断材料のひとつ。トータルの状況は区で判断する。軽労働可の判断で、保護却下とするのは誤っていると区には伝えた。
【平 野】 がん手術3回、抗がん剤で治療中の人に就労指導をされている。軽労働可で仕事に就けるといわれた。酷ではないか。癌とわかって雇う人もいない。
【東淀川】 末期がん、抗がん剤の副作用で毛も抜けている。じゅうぶん歩けない人に「働け、働け」と。うつ病にさせる気か。
【大阪市】 今は癌になっても治る人も多い。治療して仕事に戻っている人も多い。しかし、本人と主治医に病状を聞き、仕事という段階にないのなら、就労指導の対象にはならない。家にこもりがちな人には、外に出ることのアドバイスをすることもある。最低生活費以下の収入であれば、働きながら保護にかかっている人も多い。
【城 東】 病気が悪化し、仕事をひとつにした。「もっと収入をあげよ」と言われる。
【大阪市】 配慮を欠いていると思う。その人にあった状況で働いてもらうことが大事。具合がよくなったら働いてもらうことはある。
【城 東】 ヘルパー養成の学校に6万円かかる。費用を出してほしい。
【大阪市】 生業扶助で相談してほしい。介護については適性があるので、相談してください。仕事=自立ではない。ステップアップを考える。就労指導についてワーカーの指針を出さなければならないと思う。
【大生連】 就労指導についての理解が弱い。現場が疑問なく本人の意思や実態無視で就労指導をしているのは大阪市の責任だ。就労指導については被保護者の権利と義務を説明し、機械的取り扱いをしないよう示されている。大阪市がどのように指導・研修したか内容も示してほしい。
【大阪市】 後日連絡します。
◆あらたな事例
【城 東】 作曲活動のために、音楽家協会会費年間2万4千円がいる。自立のために必要な年間会費と応募するために審査料の費用を出してほしい。
【大阪市】 印税収入をうるための必要経費として認められるが、収入に結びつかないときは認められない。
【住之江】 38歳女性。子宮筋腫で生保申請をした。移送業と78歳の母(重度障害一級)の介護のため車を保有していた。しかし、月賦で支払い中はダメだといわれた。また管理費も第三者の援助が必要と言われた。
【大阪市】 区に確認し連絡します。
◆キャリアカウンセラー派遣事業について
【平 野】 母子世帯。母はうつ傾向にある。生活リズムを把握するため、三か月分のダイエットの用紙を渡され、三度の食事などの調査を求められた。熱が出たので電話をすると「自己管理できていないからや」といわれた。毎日の食事表をつけるのは苦痛だ。この指導は拒否できるか。ケースワーカーにやめたいといったらアカンと言われた。自分で仕事探すのだったら一ヶ月で探せとも言われた。
【大阪市】 就労支援の意欲につながるようキャリアカウンセラー派遣事業を実施しているが、拒否することは可能です。本人の同意を得てから行うのが基本だ。区のケースワーカーが把握した上で本人を指導すべきだ。区で把握し、前段となる生活指導も大事で、心痛を与えているので業務を確認する。
【大生連】 本人の意思に反する指導は保護法27条違反だ。指導指示の権限は誰にあるのか。
【大阪市】 権限はケースワーカーにある。
【大生連】 本人はカウンセラーの機嫌をそこねたらいけないとびくびくしている。自立支援を民間に委託することが間違っている。すぐにやめてほしい。
◆一時扶助を支給して
【住 吉】 8月、引っ越し時にレンジも炊飯器もなく、ケースワーカーから「買ったらどうですか」といわれたが、腰椎症などのため買いそびれていた。松葉杖を借りれるようになったので12月に入って、申し込みに言ったら、担当が代わっていて時間が過ぎているからダメといわれた。
【大阪市】 区に確認する。
◇一時金の復活を、まともな生活をしたい。
●来年70歳になったら、一類が3670円も減らされます。今でさえ苦しいのに、どうやって生活したらよいか。
●冷蔵庫やクーラーがつぶれたら借金をする状況だ。今までは一時金をためて、何とかやれた。
一般世帯の消費水準の七割に達しているというが、一般世帯も下がっている。基準を引き上げ、水道減免も復活してほしい。
●夫は要介護度5、障害一級。介護のために水道代がかさむ。水道料減免制度の復活を!
◇インフルエンザの予防接種を無料にして
●65歳未満は実費負担になる。1回2〜3000円かかる。子どもは2回接種。家族がいたら万の金が必要。無料にしてほしい。
◇生活保護基準の引き上げを! |
【大生連】 老齢加算、老齢者の一類の減などを計算したら、今まで十万円出ていた人が7万8千円に減らされた。なおかつ、大阪市の水道料減免改悪、一時金の廃止が追いうちをかけた。物価があがって、生活が困難な今こそ一時金が必要だ。国ができなかったら市単独で実施してほしい。国にも基準引き上げなどを求めるべきだ。大阪市の考えを求める。
【大阪市】 アンケートは読みました。物価高騰で生活の大変さはわかります。大阪市の裏金問題などの批判は真摯に受け止めたい。二度と起こしてはならない。近所づきあいや食事の回数を減らす苦労は身にしみます。意見は関係機関に伝える。市の厳しい財政状況や市会の議論にもとづいて一時金は廃止した。復活は難しい。国の推移も見る。
【大生連】 コピーを渡して読んでもらったか。
【大阪市】 課長、部長、局長に集計表を渡し、先ほどのコメントをもらった。課長と部長にはアンケートの現物を呼んでもらった。
【大生連】 アンケートを一枚残らず読んで。市長には必ず見てほしい。現下が生活保護の最後のセイフティネットの自覚を持ってほしい。
【大生連】 生活困窮を認めながら市としての姿勢を示さないのか。北海道は福祉灯油を実施し(北海道155市 札幌市は「あったか灯油」最大5万円貸付制度)、国にも基準引き上げの意思を示している。大阪市は基準引き上げについて意見は上げないのか。
【大阪市】 国にはきびしい生活実態であると伝えます。
78条による停廃止、告発件数の資料を請求
キャリアカウンセラー派遣事業
就労指導の指導内容についての資料を請求。 |