◆JP七変化
〜日デU-JP/KC-JP架装例各種〜

※2015.09.09 自家用を追加しました。

 日デJPといえば、中型車の車体長を延ばすことで大型車にした元祖であります。 もともと、こちらで述べている通り、西鉄と西工により西鉄の為に誕生したものであり
また、2000年以降は、西工架装のノンステップ車が各地で採用されたこともあり、西工の印象が強い型式だと思います。 しかし、その間、U-JPとKC-JPでは、富士重工を架装する例もありました。

さて、もとが西鉄向けであるため、他の事業者では合わない部分もあるのか、アレンジが加えられているものもあります。
これは、富士重工架装の車両でも同じで、特徴が出る部分です。
ここでは、各社の導入例、およびその後の移籍事例を見ていきたいと思います。

●秋田市交通局 U-JP211NTN 5台
秋田市
・(2000.10) 右側面はこちらを参照

 富士重工製JPの第一弾として登場したのは秋田市交。1993年10月に5台を導入しました。
型式図通りの前中引戸仕様なのが特徴です。
また、フェンダーは7Eと同じ鋼板タイプ、エンジン開口部もRMと同じ正方形であるなどの点が特徴となっています。

当時は、この車両のように積極策も多かった同局ですが、この後、市営バスは廃止の方向に向かったのは残念なことです。
この車両も、2002年には路線委譲先の秋田中央交通に移管されています。

秋田中央
・秋田中央交通に移管された車両(2002.10)
●京王帝都電鉄(京王バス) U-JP211NTN 30台  KC-JP250NTN 40台
京王 U-JP 京王 U-JP
・U-JP211NTN (2005.11)
京王 KC-JP 京王 KC-JP
・KC-JP250NTN (左:2001.3 右:1999.11)

続いて、車両の低床化を進めていた京王帝都電鉄が1995年4〜6月に、一挙に30台を導入します。
京王は従来、日デの車両を購入していなかったのですが、この型式がきっかけで逆に暫くの間、日デばかりを購入するようになります。
この時、都区内向けの車両は西工架装で登場し、首都圏への同社ボディー本格進出の先駆けとなった記念すべき車両でもあります。
翌1996年には、後継型式のKC-JPを導入し、うち富士架装は35台。また、1998年には分社した京王バスの発注で5台を導入。
あわせて70台と、JP+富士を導入した事業者の中でも、ずば抜けて多い台数を保有しました。
この京王での導入実績が、2000〜2005年あたりに首都圏に日野HRをはじめ「中型ロングボディー」の車が氾濫する原因となったともいえましょう。

逆T字窓で、中扉は狭めの4つ折り戸というのは、JPとして標準的な仕様。
一方、フォグランプが省略されているのが特徴で、これは京王の標準でした。

なお、京王バスには独自発注の5台のほかにも、京王電鉄から移籍し、オリジナルカラーに塗り替えられたものも存在します。
最も、京王電鉄そのものが、バスを京王電鉄バスに分社するなどの結果、両方の色は入り乱れてゆくのですが。
京王バス U-JP 京王バス KC-JP
・京王バス塗装のU-JP211NTN (2007.7) ・京王バス塗装のKC-JP250NTN (2009.8)

廃車後、以下の事業者に移籍しています。
福島交通 関東自動車 福島交通
福島交通 KC-JP250NTN (2012.4) 関東自動車 U-JP211NTN (2013.3) 関東自動車 KC-JP250NTN (2009.9)
美作共同バス 鞆鉄道 宮崎交通
美作共同バス KC-JP250NTN (2018.4) 鞆鉄道 KC-JP250NTN (2011.5) 宮崎交通 KC-JP250NTN (2009.4)
熊本バス 熊本都市バス
熊本バス U-JP211NTN (2008.7) 熊本都市バス KC-JP250NTN (2012.5)
鹿児島交通 鹿児島交通
鹿児島交通 U-JP211NTN (2012.4) 鹿児島交通 KC-JP250NTN (2012.4)

●西東京バス U-JP211NTN 8台 KC-JP250NTN 22台
西東京 U-JP
・U-JP211NTN (1998.5) 右側面の画像はこちらを参照
西東京 KC 西東京 KC
・KC-JP250NTN (左:2001.3 右:2003.5)

 西東京バスも、親会社の京王に合わさせられて、1995年からそれまで縁のなかった日デの低床車ばかりを暫くの間、増備します。
その第一弾は、やはりJPで、導入時期も同じ1995年4月でした。
ただし車両の仕様は異なり、こちらは2段窓なのが特徴です。

続いて、KC-JPも1996〜1997年に合計22台が導入されます。
こちらは、一般的な逆T字窓になりました。

なお、西東京バスもコストダウンのために一時期、その一部を多摩バスに分社していました。
JPの中にも路線移管に合わせ同社に異動し、KC-JPには専用塗装になったものが存在しました。
多摩 KC
・多摩バス塗装のKC-JP250NTN 2003.11

廃車後、以下の事業者に移籍しています。
道北バス 北海道拓殖バス 福島交通
道北バス KC-JP250NTN (2010.8) 北海道拓殖バス KC-JP250NTN (2010.8) 福島交通 KC-JP250NTN (2012.4)
道北バス 九州産交 福島交通
関東自動車 KC-JP250NTN (2011.3) 九州産交バス KC-JP250NTN (2012.5) 三州自動車 U-JP211NTN (2012.4)

●東栄自動車 KC-JP250NTN 1台
東栄自動車
・(2007.7)

 これ以降はKC-JPのみ導入した事業者になります。
東栄自動車は埼玉県飯能市で主に特定輸送を行う事業者。
このJPは1996年3月製であり、KC-JP+富士の採用第1号車となりました。
 窓は2段窓、フェンダーがU-JPと同じ形状になっています。

市内の施設送迎用に使用されていましたが、現在は任を解かれ、塗装も同社の標準の緑系になっているようです。


●北陸鉄道 KC-JP250NTN 2台
北鉄 北鉄
・(2004-5)

 それまでUDの導入事例は高速や貸切だけだった同社が、1996年10月に路線用に初導入?したものです。
前面の左側面側に安全確認窓を取り付けたのが特徴で、これは翌年以降各地に登場するKC-UAノンステップ車に受け継がれることになります。
また、中扉のワイドドアは中型車用の幅狭のものではなく、通常の大型車が取りつけている幅広のものを採用しています。

この後、北鉄の日デ路線車はRNを中心に増備が進んだため、JP+富士の増備はありませんでした。
なお、柳橋営業所に所属していましたが、同営業所の分社化に伴い、ほくてつバスの所属になります。
その後、更に能登半島の分離子会社に異動し、のちに廃車となりました。

●関東バス KC-JP250NTN 10台
関東バス 関東バス
・(左:2009.1、右:2009.5)

 関東バスが当型式を導入したのは1996年11月。
この年は、それまで同社の特徴だった3扉(または前後引戸)仕様を、低床化推進のために前中扉仕様に改めた年でした。

 仕様の特徴は、軸距を400mm縮めていること。狭隘路線が各所にあり、その道路環境に合わせたものと言われます。
各営業所に2台づつ配置され、スロープ付きバスとして活用されたものの、
一時期的に路線車両の新製が途絶えたため、その後の増備はありませんでした。

廃車後、以下の事業者に移籍しています。
道南バス 北海道拓殖バス 福島交通
道南バス(2010.8) 北海道拓殖バス(2010.8) 福島交通(2009.12)

●横浜市交通局 KC-JP250NTN 13台
横浜市
・(2007.11)

 横浜市交通局では1996年度に低床化推進の為にこの型式が導入されました。
京王と同じく西工と富士重工の2本立てでしたが、磯子に配置された西工製が通常サイズなのに対し、
滝頭や港北ニュータウンに配置された富士製は関東バスと同じく短軸を4000mm短縮しているのが特徴です。
これもやはり、路線環境が考慮された結果だったと思われます。
(日デU-UAの場合、磯子は軸距5.24m、滝頭と港北NTは同4.72m)。

 横浜市交の場合、日デ車の増備がCNG者主体となったこともあるのか、
やはり増備はありませんでした。

廃車後、以下の事業者に移籍しています。
岩手県交通 熊本都市バス
岩手県交通 (2010.9) 関東自動車 (2010.8)
美作共同バス 熊本都市バス
美作共同バス (2018.4) 西肥自動車 (2013.5)

●新京成電鉄 KC-JP250NTN 2台
新京成
・(2002.5)

 1997年8月にまず1台が導入されました。
2段窓を採用、クーラーはデンソーのビルトインタイプのため屋上の出っ張りがなくなるなど、若干雰囲気の異なる車両になりました。

 ほぼ同じときに通常の大型車(KC-UA460LSN)でも、ワンステップ車が導入されているためか
1998年3月に1台増備されただけでm後が続きませんでした。
何故導入されたのか 疑問の残るところです。
なお、新京成は2003年に営業所別の分割分社を行ったため、以降はは習志野新京成バスに所属となっています。

廃車後、以下の事業者に移籍しています。
鹿児島交通
鹿児島交通 (2014.7)

●新潟交通 KC-JP250NTN 10台
新交 新交
・(2013.7)

 1998年8月、同社の電車線(東関屋〜白根〜月潟)を廃止する(1999年4月実施)に当たり、その代替路線用車両として登場しました。
この車両はJPの中でも最も異質な存在です。
積雪を考慮して通常の大型車用タイヤを履かせたため、前扉は極狭幅化、
後輪はフェンダーもろとも車体から大きくはみだす、奇妙な形状になりました。
更にJPでありながら引戸・2段窓、さらにデンソーのビルトインクーラーを採用したため、一見すると車種がわからない「ぬえ」のような車両です。
車内は、座席が更に一段上げられており、座席はハイバックシートが並ぶ新潟交通らしい仕様です。

 このような特殊装備を行ってでもJPの導入となった背景には、狭隘路と堤防道路を昇り降りするというも、当時の路線環境があると推測しています。
後に、この代替路線には通常の大型車が運用されるようになり、これらは子会社の新潟交通観光バスに異動。新発田、五泉等でのローカル運用が中心となっています。

●宮城交通 KC-JP250NTN
宮交
・(2004.8)

 この車両は宮城交通の自社発注ではなく、デモ車で1996年6月製。
関東、横浜市と同じ短尺車です。
詳細は、こちらを参照
●(自家用) KC-JP250NTN 1台
 日デJP+富士8Eは、大半が乗合用として世の中に出て行ったのですが、ただ1台だけ当初から自家用車となったものがあります。
広島県立の養護学校用がそれで1997年8月製造。北陸鉄道向けと同じく中扉の4枚折戸は、通常の大型車が取りつけている幅広のものを採用しています。
当然ながら側面の方向幕は無し。車内はハイバックシートが並んでいます。

廃車後は官公庁オークションにかけられ、広島県内の個人運営の自動車教室で使われていたようです。
その後、2014年に更に転売され、石垣空港に隣接するレンタカー営業所の送迎車になっています。
なお、塗装は、広島県の頃から変わっていません。
自家用 自家用
・(2015.9)

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