◆ボルボ-富士重 B10M (連節車)
左側面 右側面
京成電鉄 B10M

<概要>
 ボルボ製(スウェーデン)のシャーシを利用して富士重工が製造した大型連節バスで、1998年に製造された。

 日本における連節バスの運行は、1985年に茨城県で開催された「つくば科学万博」のアクセス用として、常磐線万博中央駅〜万博会場間で行われたのが第1号である。
この時は、ボルボ製B10M+富士5Bが100台製造・使用された。万博終了後は一般使用も検討されたが、結局道路交通法をクリアできず19台が東京空港交通に移籍して、
特例措置を受けた上で東京〜成田空港のリムジンバスで運行された以外の80台は、オーストラリアに輸出されてしまった。
 その後、1990年代になり千葉市の幕張新都心(幕張メッセ=千葉県が開発した大規模ビジネス・イベント地域)と幕張本郷駅を結ぶ路線では、
朝ラッシュ時やイベント開催時など旅客が集中する時間帯には、大型長尺車(日野U-HT2MPAA+日野車体)を1分間隔で走らせても輸送力が逼迫する状態だった。
このため、同路線を運行する京成電鉄は、その打開策として連節車の導入を決定した。
しかし、道路交通法による規制は残っていたままだったので、その緩和までなお暫らく時間を要した。

 導入に当たり万博時での実績から、ボルボのシャーシと富士重の車体の組み合わせになった。
またエンジン配置は、低床化の観点から後部車輌の後輪駆動方式(プッシャー式)も考えられたが、操縦安定性や走行軌跡等の問題を勘案した結果、
前部車輌の後輪を駆動する方式に落ち着いた。このためシャーシは万博時と同じB10Mになり、前部車輌だけをみると富士7E唯一の
センタアンダフロアエンジン車(軸間にエンジンを配置)でもある。
 1998年11月19日に10台を納入、船橋営業所茜浜車庫に配置され、同年12月10日より幕張本郷駅〜幕張新都心間で運行が開始された。
朝ラッシュまたはイベント開催などのロードピーク時には、期待通りその輸送力を如何なく発揮した。

2010年に、ベンツシターロに置き換えられて廃車。
このうち4台が、ジェイアールバス関東に移籍し、福島県の白河市内で主にJR東日本の施設送迎で使用されている。
また4台が鹿児島交通に移籍したもの、使用許可がおりない状態が続いていたが、2019年4月にクルーズ船利用者の埠頭内での移動に限り使用することになり、3台が営業用ナンバーで登録された。
左側面
ジェイアールバス関東 B10M

なお、東京空港交通の連節バスは、1990年に成田空港ターミナルビルへ鉄道が乗り入れた後は、空港内のランプバスとして使用、1998年迄に廃車になるが、
計3台が旭川電気軌道(北海道)に移籍し、国内4例目の連節バスとして、冬季の朝ラッシュ時として使用された。

旭川電気軌道
(参考)旭川電気軌道 B10M +富士5B

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