これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.82〜 2012.7

亀井堂の狛犬

                  乃木神社(港区赤坂8-11)


乃木神社社頭に強面(こわおもて)の狛犬が一対。
台座の銘文は「奉納 
神戸市亀井堂 松井佐助
      「昭和三年六月吉日(1928)」
      「
彫刻原型 長谷川栄作 石工 滝山善太郎」と刻まれている。
奉納者の松井佐助は「瓦せんべい」でお馴染みの亀井堂の創業者です。


神戸の亀井堂総本店は明治6年2月8日(1873)、松井佐助によって創業されました。
明治5年、政府の「忠君愛国」政策により神戸市に楠正成を祭神とする湊川神社が造営されました。
明治6年に創業された亀井堂は瓦せんべいに楠公の姿を焼き付けて販売、神戸の名物となりました。

なお瓦せんべいの形は、創業者の松井佐助の趣味である古代瓦の収集からヒントを得たそうです。
また亀井堂は楠公と同じ菊水の紋を使用しています。
亀井堂は明治23年(1890)9月に東京上野広小路にのれん分け1号店を開設しまた。


因みに狛犬を奉納した昭和3年が亀井堂にとってどの様な意味があったかは不明ですが、世は大正12年の関東大震災からの復興の明るい兆しが見えてきた頃でした。
現在は4代目松井佐一郎氏が営業を継承しています。
狛犬の原型は乃木希典の甥の彫刻家長谷川栄作が作り、それを元に石工滝山善太郎が彫ったもので、一風変わった雰囲気があります。
でもなんとなくタラバガニに雰囲気がにていますね、失礼ながら。


 (文・写真 山田敏春)