これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.46〜 2009.7

日光修検行の狛犬

輪王寺行者堂(栃木県日光市山内)

日光東照宮の裏手に創立年代は不明ながら役小角(えんのおずぬ)を祀る輪王寺行者堂があります。
ここは日光修験行の山の入り口です。

日光修験行を総称して三峰五禅頂(さんぶごぜんじょう)といいます。
春・夏・冬の峰修行を三峰(さんぶ)と云い、秋の峰修行は五禅頂(ごぜんじょう)といいます。
行者堂を経て入山するのは秋の峰修業で、8月14日〜22日まで行います。
一行はまず四本龍寺に集合し、行者堂から入山、女峰山を目指し、さらに峰々を踏破しつつ男体山に至り二荒山神社中宮、中善寺を経て四本龍寺に戻ってきます。
天下泰平・国土安泰などを山の頂にある小祠に祈願しながら修行を行うのだそうです。

狛犬は俗世から山伏にでもなった記念に奉納したものだろうか。
それとも修行が無事済んだ御礼だろうか。
狛犬は腹下を残している。
いわば耐震構造となっているわけで、お陰で200年以上経た今も元気です。
そしてその部分に字を彫っています。

銘は
「享和三亥年十二月(1803)□生随正 下野国都賀郡友沼村住 俗称 杢原弥太良」

小振りな作品ですが 、顔付きは複雑で深いものがあります。
修行を終えて下山した自分の顔をモデルにしたのかな…?

この狛犬に会いに来るだけでかなり息が切れます。
まだ修行の入り口だと云うのに、情けない。

                                   (写真・文/山田敏春)