これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.115〜 2015.5

三人の石工・兜木

    平川天満宮(千代田区平川)、氷川神社(新宿区下落合)、山縣有朋記念館(栃木県矢板市)


石工名で最も印象深いのは兜木(かぶとぎ)であろうか。
年代順に、まず千代田区平河1丁目の「平河天満宮」の狛犬で「兜木熊次郎」とある。
銘文によれば享和元年(1801)に造られた狛犬だが嘉永三年(1850)に被災したので嘉永五年(1852)に修復したという。


その次が新宿区下落合2丁目の氷川神社の獅子山で、銘文は
   「奉献 氏子中 慶應元乙丑歳六月吉日(1865)石工 
兜木文蔵」と刻まれている。
特筆すべきは尾の形状である。
狛犬の尾は背中に付いた「尾付」から「尾立」、そして腰の下方に流れる「尾流れ」の三種類とされている。
獅子山の獅子の尾は背つきと尾流れが合わさったようなものだが、この獅子の尾は空に向けて立ち上げて、鯉のぼりの吹き流しのようになびかせている。


平河天満宮の狛犬は狩野派の描いた獅子・狛犬を参考にしたというが、氷川神社の獅子も狩野派描く獅子の尾を参考にしたと思われます。

3人目は栃木県矢板市上伊佐野にある山縣有朋記念館の前にいる中国獅子の台座に名を刻んでいる。
この獅子は日清戦争後に天皇に上覧した三体の一つで、靖国神社参道に一対、一体を山縣有朋が賜った。
 
銘は「海城三学寺石獅 第一軍凱旋時献焉 聖上分賜其一即是也」
   「明治二十八年十月(1903)山縣有朋識 石工 
兜木岩次郎」である。

                            (文・山田敏春、写真・山田、阿由葉)