子どもが輝けば、学校も家庭も地域も輝く
平成21年7月10日
人吉市立田野小学校


 皆さん、こんにちは。中川です。よろしくお願いします。校長先生から身に余る紹介を戴きました。校長先生とは上益城郡甲佐町立甲佐小学校で一緒に仕事をしました。そのときのご縁で、本日お呼びいただきました。
 私は、「有紀」とかいて「ありとし」といいます。先日、ある研修会でグループでの話し合いがありました。そのとき、グループに誰が属しているかが分かるように所属所名と氏名がレジュメに示してありました。5人グループでした。グループには、男性4人、女性1人がいました。司会を担当した人が怪訝な顔をしています。「名簿ではこのグループには女性が2人いるはずなのに、1人しかいらっしゃらない。おかしいなと思っているのではありませんか?」と尋ねました。「そうです」とおっしゃいます。「あなたが女性と思っている名前の人は、私です。このように書いて『ありとし』と読みます」と自己紹介しました。「そうですか。大変失礼しました」と言われました。
 その方は、私の名前を「ゆうき」または「ゆき」と読み、女性とばかり思っておられたのですね。もう一度言います。「ありとし」です。
 私は66歳になりました。66年も前にこのような名前をつけてくれた父に感謝しています。父を尊敬しています。そして、この名前に誇りを持っています。「紀」は「年」を意味します。「有」は「保有する」の意味です。「年を重ねて、年相応の成長を」という願いを込めて名前を付けたと父から聞きました。
 今、自分なりに年相応の人になるよういろいろと努力はしているつもりですが、今は亡き父の願になかなか届きません。生涯努力し続けるつもりです。
 皆さん方も、子どもさんやお孫さんが生まれたとき、家族全員で喜び合って、いろんな思いをこめて名前を付けられたことと思います。その名前に託した親や家族の思いを誕生日ごとに子どもさんに語ってください。
 そのときは、手を取り目を見つめ、お子さん誕生の時の感動を思い起こしながら語ってください。きっと、子どもさんは自分に対する家族の思いを知って更に自分の名前を誇らしく思うようになると思いますよ。
 子どもが小学生の頃はそうではありませんが、中学生の後半から高校生位の歳になると、道を外れそうになることがあります。違う道へ行こうとすることがあります。そのとき、「ほら、あなたが小さいときあなたの手を取って、あなたにはこんな人になって欲しいとの願いから名前をつけたと話をしたでしょう」と言ってください。きっと、本来の道に戻ると思います。
 先ほど校長室で校長先生から、学校のことをいろいろとお聞きしました。
 学校教育目標に「ふるさとを愛し、自ら学び、心豊かにたくましく生きる子どもの育成」と掲げてありました。また校訓は「かしこく ゆたかに たくましく」とありました。
 「ふるさとを愛する子」、これは学校、家庭、地域が一体となって子育てに当たらねばできるものではありません。本日は、保護者の方ばかりでなく地域の方もお出でと聞きました。このように地域ぐるみで学校を支援する体制ができているからこそ「ふるさとを愛する子」が育っていると思います。
 私は、上益城郡退職校長会のお世話もしています。昨年100歳をお迎えになった方のお祝いに行きました。その方は、「近頃愛国心が強く言われているが、愛国心は押し付けてできるものではない。自分が生まれ育った我が家庭を愛し、我が学校を愛し、我が地域を愛することが愛国心につながる。だから、家庭・学校・地域の良いところを見つけさせ、それを守り育てようとする心を子どもたちに持たせること」と話されました。まさにその通りのことを本校では実践されているようですね。
 本日は「子どもが輝けば、学校も家庭も地域も輝く」という演題にしました。
 「子どもが輝く」と聞いて皆さんは子どものどんな状態を「子どもが輝く」ととらえますか?
 少し考えてみて下さい。両親で来ていらっしゃるところもあるようです。お二人で話し合われても良いですよ。
 発表してもらいましょうか。
 「生き生きと生活している」
 「自信を持っている」
 「楽しく生活している」
 「目当てに向かって努力している」
 「一生懸命がんばっている」
 いろいろありますね。こんな時、子どもが輝いていますね。
 では、子どもはどんな言葉かけで、あるいはどんな生活環境でこのように輝くでしょうか?
 もう一度考えてみて下さい。
 よかったら考えたことを教えて下さい。
 「ほめる」
 「みとめる」
 「がんばれと励ます」
 そうですね。いろんな言葉かけがありますね。今学校では、「認め、褒め、励まし、伸ばす」を合い言葉に教育が展開されています。この「認め、褒め、励まし、伸ばす」は学校だけの専売特許ではありません。家庭でも、地域でも子どもたちをよく見守って「認め、褒め、励まし、伸ばす」を心がけていきたいと思います。
 突然ですが、お子さんの良いところを5つ挙げて下さい。欠点、直した方がよいと思うところを5つ挙げて下さい。(30秒程度)
 どうですか? どちらがすいすい思い浮かびましたか?
 長所がすぐに思い浮かんだ人?
 欠点の方がすぐに思い浮かんだ人?
 直したいと思うことの方がすぐに頭に浮かぶでしょう?
 私たちは、案外子どもの長所より欠点の方をいつも見ているのです。長所や善い行いをしたことを認め、褒めてやりましょう。
 私は、子どもが輝くキーワードは、「一生懸命」と「自尊感情」だと思います。一生懸命はその通りですのでここでは触れません。
 自尊感情という言葉を初めて聞かれた方はいらっしゃいますか?
 最近は、あちこちでこの言葉が出ますのでよく聞いておられるでしょう?
 「自尊感情」とは、自分自身をかけがえのない存在として認め、自分自身を好きだと思う気持ちのことです。
 そこに示しているのは、福岡県立社会教育総合センターのホームページから取り出したものです。
読んでみますね。


 自尊感情というのは、自分に対する肯定的な感情のことを言います。自分はそれなりの能力と、良い面をもった大切な存在なのだという気持ちのことです。自尊感情の高い子は、精神的に安定し、何事にも積極的です。自分を律し、自分を大切にした生き方ができます。志をもって前向きに生きる子であるための最も重要な条件と言ってよいでしょう。
 ところが、最近の子ども達はこの感情がとても低い傾向にあります。福岡県(2001)の調査によると、「自分は何をやってもダメな人間だという感じが『よく』『時々』ある」という子が小学6年生で48.4%もいます。この数値は外国の子どもと比べて非常に高いものです。因みに私の教え子のグリシェンさんが同じ調査を中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの小学5・6年生に実施した結果では、半分以下の19.9%でした。日本の子ども達は 「あなたの良いところは?」と尋ねられてもあまり言えません。それが「良くないところは?」と聞くとたくさん出てきます。自分を肯定的に捉えることができないのです。最近の子ども達の様々な問題行動の背景にはこの自尊感情の低さが考えられます。

 ここで、一区切りして読み直してみます。
 「自尊感情の高い子は、精神的に安定し、何事にも積極的であり、自分を大切にした生き方ができ、志をもって前向きに生きる」とあります。皆さんが輝いている子どもの状態として挙げられたことそのものです。
 これは福岡県の調査ですが、「自分は何をやってもダメな人間だという感じが、ある」という子が小学6年生で約半数もいることは大変問題であると思います。おそらく熊本県でも同じような結果が出ることと思います。同じような調査で中国のウルムチの子どもたちは約2割と言うことです。
 私は、退職してから妻と二人で新疆ウイグル自治区を何度か旅しました。ここにあるウルムチには5回ほど行きました。ある年のことです。ウイグル人街で靴の修理の合間に、娘に熱心に文字を教えているウイグル族の父親がいました。彼は「娘は6歳だが学校に行っていないので、ウイグル語は自分が教えている。勉強をして立派な人になって欲しい」と言いました。子どもは、父親の傍らでウイグル文字を一生懸命練習していました。父親の期待に応えようとする子。このようなことが積み重なって自尊感情が高まっていくのです。
 次を読んでみましょう。


 なぜ自尊感情が低いのでしょうか。それは、体験すべきことを体験していないからです。例えば、遊びのなかには仲間をリードしたり、難しい課題にチャレンジし、それを克服して自信をつけたり、仲間から尊敬されたり、認められたり、様々な体験が含まれています。ところが、その遊びが今ほとんどありません。親の手伝いをしたり、幼い子の面倒をみる体験も欠けています。欠点を指摘されることはあっても、人の役に立って誉められる機会はめったにありません。これで自分が有能な、大切な存在だという感情が育つでしょうか。

 私はこれらの体験に加えて「自己決定」体験が不足していることを挙げたいと思います。自分の問題を自分の力で解決してこなかった結果、誰かに頼り依存感が強まり、自信をなくし、自分自身を好きになれなくなっていることが指摘されています。その通りですよね。何かを自分で決定しないで、親とか先生とか周りの人に決定してもらうのですから自分は何も考えなくても良いのです。これは、日頃から子どもの行動を指示し過ぎることが原因の一つであるようです。今大学で教授に、「何を勉強して良いか分からないので宿題を出して下さい」という学生がいるそうですよ。大学というところは、自分で課題を見つけ、自分で学び考え、判断することろでしょう。それを先生に「宿題を出して下さい」とは。驚くばかりです。
 次を読みます。


 子どもの自尊感情を高めるのに特別の方法があるわけではありません。遊びや手伝いや何か良いことをして認められるといった、何気ない日々の生活体験の積み重ねが大切なのです。児童期は自尊感情が育つ大事な時期です。せめて休日は友達と十分遊ばせてください。自分のことはもちろん、家の手伝いもきちんとさせてください。そして、勉強のことだけでなく、子どものちょっとした良さや伸びに目を向け、心から誉めてやってください。

 「子どもの自尊感情を高めるのに特別の方法があるわけではありません」とありますが、「特別の方法があるわけではない」というより「特効薬はない」と読んだ方が良いでしょう。自尊感情を高める方法は、毎日の生活の中にあるのです。
 突然ですが、今は、子どもの自尊感情のことを話題にしています。私たちはどうでしょうか?
 ローゼンバーグの自尊感情の尺度の一つをお配りしました。自分に当てはまるものに○をつけてみて下さい。


        ローゼンバーグの自尊感情の尺度

 私は、自分に大体は満足している

 私は、自分がだめな人間だと思うことがある

 私は、いくつもの長所があると思う

 私は、たいていの人と同じように物事ができる

 私には、自分に誇りと思えることがほとんどない

 私は、役立たずな人間だと感じることがある

 私は、少なくとも他の人と同じ程度には価値ある人間だと思う

 私は、もう少し自分自身を大切に出来たらと思う

 私は、いつも後悔することが多い

 私は、自分に前向きな態度をとっている

 いくつくらい○がありますか?数はお尋ねしません。これからのご自分の「精神の健康」を計るバロメーターにしてください。人間ドックなどに行くと、問診でこんな質問項目があるでしょう?
 先ほど、「子どもの自尊感情を高める特効薬はないが、高める方法はある」と言いました。その方法を考えてみましょう。
 一つは、「規則正しい生活」を送らせることです。 
 ある方が保護者に「睡眠・食事・運動のうち何を一番大切に考えていますか」と尋ねたところ、約6割の人が「食事」と答えたそうです。「睡眠」と答えた人が2割強だったそうです。食事か睡眠かを選ばねばならないようなときは、睡眠を選んで下さい。睡眠は脳の発育にとても影響するのです。成長期の子どもたちは、夜寝ているときに成長ホルモンが出ます。大人の都合で子どもたちに夜型生活をさせないことです。睡眠を十分とると、食欲も出てきます。睡眠時間が十分取れている子は自尊感情も高いのです。
 次は、子どもが「自己実現を体感する機会を増やす」ことです。自己実現とは、自分自身の存在感を実感したり、自分もみんなのためになっているという自己有用感を実感したり、自分自身が持っている力に気付いたりして満足感・充実感を持つことです。
 今私は、公民館事業の一つで子どもたちにそろばんを教えています。4年生から6年生を中心に25名程度がそろばん学習をしています。先日のことでした。5年生の子が「俺もたいしたもんばい」とつぶやきました。というのは、今、5級の練習をしています。5級と言いますと、見取り算が4桁の足し算引き算、かけ算が3桁×3桁、割り算が5桁÷3桁程度の問題です。30分間で見取り算10問、かけ算と割り算をそれぞれ20問計算します。得点が300点満点のうち210点取れれば合格です。練習で初めて合格点が取れたときのつぶやきです。今、4年生がかけ算の勉強に苦労しています。彼も1年前はかけ算の仕方が分からず苦労したのです。何度も何度も計算の仕方を聞いてかけ算ができるようになりました。1年間でかなり上達したなと実感したこと、そして、5級の合格点がとれたことで思わず「俺もたいしたもんばい」が出たのです。私はこれを聞いて「すごい」と思いました。「俺もたいしたもんばい」は、彼の自尊感情が表に出たのです。こんな実感を子どもたちに味わわせたいものです。
 子どもたちの「情動体験」を増やすことです。私は心を強く動かされる体験を「情動体験」と言っています。今の子どもたちには、心を強く動かされるという体験が案外不足しています。身近な人の生や死、美しいものを見たときの「うわぁー」という感動、怖いものに出会った恐怖など。
 夏の夜空を彩る花火大会、感動しますね。ある年、熊本市の花火大会で目にした光景です。小学1年生くらいの親子連れでした。「うわー、きれい。うわー、音が大きい」と母子で手を取り合って喜んでしました。尺玉といって大きな音がし、空一面に拡がる花火があるでしょう?同じ感動でも2人が共感しあうと、それが増幅するのです。少し移動して人混みの中に来ました。やはり小さな子どもとお母さん。子どもが「うわー、きれい。」「うわー、大きな音」と言うと、「せからしか、静かに見切らんとね」とお母さんが言っています。
 花火を見るという体験でも、どちらが強く心を揺り動かされ、いつまでも心に残るでしょうか。
 朝日の出を見て厳かな気持ちになる、夕日を見てきれいと思う、自分が育てた生き物を見て喜ぶ、悲しむ、このような「心を揺り動かす体験」数多くさせてください。それが豊かな感性を育て、自尊感情を高めることに繋がるのです。
 「手を離して、目は離さずに」も大切な子育ての視点です。
 「手を離して、目は離さずに」が大事なこととは皆さん分かっているのですが、案外私たちはこの逆のことをしています。手は離さずに目を離していることが多いのです。皆さん、金曜日に子どもさんが上履きを持ち帰るでしょう。洗うために。
 上履きは子どもさんが洗っていますか?
 お母さんが洗っていますか?
 子どもさんに洗わせて下さい。少し汚れが落ちていなくても良いのです。特に、靴の奥の方は洗い方が難しいので汚れが落ちないかもしれません。先生から「あなた上履きは洗ってきたのですか?」と質されることがあるかもしれません。そのとき、「洗ってきました。自分で洗いました」と言えば、先生から褒められるはずです。褒められることによって、「私にもできる」と言う自信が生まれます。それが自尊感情を高めます。
 子どもが何かをして、うまくできなかったときや失敗したときは、能力不足のせいには決してさせないでください。子どもは能力不足にした方が一番簡単です。何も悩まなくてすみますから。しかし、そこからは反省はありません。前進もありません。能力不足ではなく努力不足、やり方の間違いに気付かせてください。それが、次に生きてきます。今度はがんばるぞという意欲が生まれます。
 青少年補導を担当している警察の方から聞いた話です。熊本市内の繁華街で補導した子の保護者に「お子さんを補導したので引き取りに来て下さい」と言うと、「そんなことはない。子は2階の自分の部屋で勉強している」と言い張る保護者がいたそうです。「だったらお子さんの部屋をのぞいてみて下さい」と言われ、子ども部屋をのぞいて初めて子どもが補導されたことを受け入れたという信じられないような話もあります。これはある日突然、補導されるような行動をとったのではありません。子どもをよく見ていれば子どもの行動のおかしさに気付くはずです。「違う道へ行こうとしているな」と気付いたときに指導することです。
 先ほども触れましたが、学校では「認め、褒め、励まし、伸ばす」視点で教育活動がなされています。資料に添付しています私の熊日新聞への投稿文、「子供をほめて自己実現増幅」を読んでみます。一緒に読んで下さい。


                        子供をほめて自己実現増幅

 小学校1年生の孫が通知票を持って来た。通知票には、学習の様子、係の役割、出席状況、身体の様子、そして子どもの学校での暮らしぶりが所見として担任の先生の心温まる言葉で、実に丁寧に書き記してある。
 所見を声に出して読み、「うわー、2学期は1日も休まなかったんだね。体が丈夫になったね。『計算ができる』や『本読みができる』は、三重まるになっている。勉強もがんばっているね。係の仕事も一生懸命している。お友達とも仲良く遊んでいる。すごいぞ!」とほめると孫は、はにかみながらもうれしそうに「学校は楽しいよ。」と声を弾ませて応える。家族一人ひとりに通知票を見せながら、学校での様子を話している。その得意げな顔。瞳が輝いている。
 自分がしたことを人から認められたり、ほめられたりすることで存在感や有用感を実感する、いわゆる「自己実現」を味わっているのであろう。この自己実現が、現在はもとより生涯にわたっての学習意欲をかきたてる源であるという。公民館講座やカルチャーセンターなどで学んでいる意欲旺盛な人のほとんどは、小中学生時代に「自己実現」を実感する機会が多かったようだ。
 子どもたち一人ひとりの学習や生活の様子などつぶさに観察し、通知票にまとめて保護者に伝えることは大変な労力であろう。先生方のご苦労に頭が下がる。心を込めて作られた通知票をもとに家庭でも子どもたちを認め、ほめ、励まし、伸ばしたい。このことが子どもたちの「自己実現」を増幅させ、学習意欲旺盛で主体的に生きる人づくりにつながるはずだ。

 孫娘は、私からこんなに褒められるとは思っていなかったようです。それを褒めましたのでとてもうれしがりました。そして、瞳が輝きました。
 新潟、富山、石川県などがある北陸地方は生涯学習が盛んなところです。公民館講座やカルチャーセンターなどで学ぶ人が多いところです。新潟県にある上越教育大学の新井郁夫という先生が、公民館講座等で学ぶ人に対してアンケートをとられました。その結果、公民館で学ぶ人の大部分が小学校4年生頃から中学校2年生頃にかけて、先生や友達、家族から褒められた経験を数多く持っていたということがわかりました。つまり、小学校高学年から中学校にかけて褒められた経験が多い人は学習意欲が旺盛であるということが分かったのです。この学習意欲は、高齢になってからだけでなく、現在の学習意欲につながります。この学習意欲が子どもたちに自己有用感、自己存在感、自己肯定感などをはぐくみ、自尊感情が高まるのです。
 「してはならないことをしたときは、厳しく叱る」ことです。規則を守る、人がいやがることはしない、これは社会生活の基本です。 
 「親子のスキンシップとコミュニケーション」が子どもの心を育てます。
 「家族とよく話す」「悩みを相談できる相手がいる」という子は、自尊感情が高いようです。親は親子の会話があると思っていても子はそう受け取っていないこともあります。それは、親子の対話ではなく説教である場合が多いからです。子どもの話を聞く姿勢を持ちたいものです。子どもが「私の親は私の話をよく聞いてくれる」と実感したとき、親を大事に思い、自分自身を大事にするようになります。これが自尊感情です。
 いろんなことを話しましたが終わりに、みなさんの家庭でのルールはどうなっていますか。
 あてはまるものに○をつけてみましょう。


          家庭でのルール点検表

 くつはそろえてぬぐ
 
 テレビは2時間以上見ない

 夕食は家族がそろう

 新聞・紙や本をまたがない

 おやつは決まった時間にし、間食をしない

 ジュ−ス、コ−ラよりお茶、麦茶、水にする

 睡眠時間を、8〜9時間はとる

 朝食は必ず食べる

 寝ている人をまたがない

 家族で「おはよう・おやすみ・ありがとう」を言う

 どうでしょう。当てはまるものが6〜7個以上ありますか?
 この家庭でのルール点検項目をこれからの子育ての参考にして下さい。
 時間の都合で触れなかった資料がございます。ドロシー・ロー・ノルトの「子や親の鏡」、福沢諭吉の「日々のおしえ」、県教育委員会が策定しました「家庭教育10箇条」、桑原律さんの「心のかがやき」、そして新聞の切り抜きはおうちでお読み下さい。
 おわりに、イギリスの教育哲学者ウィリアム・アーサー・ワードの言葉を紹介して終わりにします。
 「凡庸な教師(親)はただしゃべる。ちょっとましな教師(親)は理解させようと努める。優れた教師(親)はやってみせる。本当にすぐれた教師(親)は心に火をつける。」
 「心に火をつける」が子どものやる気を起こさせること、子どもの自尊感情を高めることです。
田野小学校の子どもたちが、自信を持って生き生きと生活できる子になりますことを念じて話を終わります。 
 ご静聴ありがとうございました。


                  田野小学校家庭教育講演会アンケート結果

感想

 ・わかりやすく話をしていただき、ありがとうございました。(30代女性)

 ・自分で考えて自分で決定させる、自己決定の場面をもっと増やしていきたいと思いました。(40代男性)

 ・大変勉強になりました。(40代男性)

 ・子育ての大変良い勉強になりました。ありがとうございました。(40代女性)

 ・とてもわかりやすく楽しかったです。また聞きたいです。(40代女性)

 ・大変為になりました。家庭でできることは、子どもの様子を見ながらやって行けたらと思いました。(40代女性)

 ・自尊感情の大切さ、これをどう育てるかをこれから考えていこうと思う。子育てが終わってからの仕事もあることを知りました。(50代男性)

 ・先生の講演内容につきまして、もっと早く拝聴することができたら良かったのにと感じました。孫は、一人しかいませんけどもう成人しています。近い時期に話をしたいと思いました。(80代女性)