6年生 修了式講話 |
「額に汗して努力すること」 8名の6年生の皆さん、6年生の修了をお祝いします。 本日の修了式、そして明日の卒業式は、皆さんにとって大切な節目の時です。どうか、この節目をこれからの人生のために大切に考え、生かす努力をして欲しいと思います。そのためには、皆さん一人一人が6カ年の小学校生活を静かに振り返ってみることが必要です。そして、何よりも皆さんを今日まで精魂を傾けて深い愛情をもって育ててくださった、ご両親をはじめ家族の方々、地域の方々、先生方に感謝し、その恩に報いる心を強く持って欲しいと思います。 常に感謝の心をもつ人こそ、明るく道を歩くことができるのです。自分の道を自分の足でしっかりと歩いてください。 歌人若山牧水は、「人生は旅である」と言いました。 人生は長い道なり 平らだといいのに 登りもあれば くだりもある 広いところもあれば せまいところもある ただ ひたすらに 己の道をいく という詩があります。この詩は、皆さんの歩きゆく道そのものであると思います。 皆さんは、物質豊かな社会や家庭に育ち、ご家族の方々の慈愛につつまれてはぐくまれてきました。日本は豊かな国となり欲しいものはたやすく皆さんの手に入る状態になっています。しかし、物質の豊かさに反比例して、日本人のすばらしい心が失われたともいわれています。この心の貧しさは、皆さんの心の中にも巣くっているかもしれません。豊かさの中で育ち、貧乏で苦しむことを体験したことのない人は、苦しさに耐えて努力することを避けてしまいます。 これからの皆さんの中学校生活では、「希望」と「耐える力」と「額に汗して努力すること」が必要です。 ここ七滝小学校で培った力を発揮して、七滝小学校の卒業生として胸張って中学校生活を送ってください。 皆さんのがんばりに期待しています。 |
「我 以外 皆 我が師」 今日は、6年生の修了式です。 明日は、小学校卒業という、長い一生のうちの1つの大きな区切り目を迎えます。竹でいうと「節」にあたります。竹にはこの節があるから強いのです。 この節目の時に、改めて自分自身の生き方を振り返り、立ち止まってしっかり考えてみることが大切です。そして、あなたの節を太く強くして欲しいと思います。 皆さんは吉川英治という作家を知っていますか。「宮本武蔵」とか「新平家物語」などをお書きになった方です。 吉川さんは小さい頃から大変苦労して勉強され、文化勲章をもらわれるほどの立派な作家になりました。 この吉川さんがいろいろな作品を通しておっしゃていることの一つに「我以外皆我が師」という言葉があります。 我とは、私のことです。師とは先生のことです。つまり、私のほかは皆私の先生だという意味です。 皆さんが学校で、家庭で、社会で接する人はすべて先生というのです。どんな人からもこちらが自分にないものを教えてもらうという気持ちで接すれば、皆先生になります。友達からも下級生からも幼稚園・保育園に通っている子どもからも教えられることがあります。歴史上の人物ももちろん我が師です。大地にしっかり根を張って生き続ける木からも悠々と流れる川の流れからも生きる力、生きる知恵を学ぶことができます。本も花も小鳥も山も海もすべてが我が師です。 大事なことはいつも自分自身を高めたいという素直な謙虚な気持ちを持ち続けることです。自分はいつも正しい、何でも知っていると思ったらもうそこには進歩はありません。中学校生活、そしてさらに続く生活の中でいつも「我以外皆我が師」を心に前を向いて前進してください。 と同時に、我が師に対する報恩感謝の心も忘れずにいてください。これまで皆さんは、保育園、幼稚園、そして甲佐小学校でたくさんの先生方から国語や算数の学習をはじめ、いろんなことを教えていただきました。我が師の恩に対して、心から「ありがとうございました。」と言いましょう。 最後に、お願いがあります。今日家に帰ったらおうちの人に「おかげさまで明日は小学校を卒業することになりました。」とはっきりお礼を言って欲しいことです。 人間は動物と違って親が子を愛するとともに、子は親を大切にします。両親の恩、家族の恩を感じない人は人とはいえません。これまで育てていただいたご恩を忘れず、恥ずかしがらず「ありがとうございました。」とお礼を言ってください。 明日は、あなた達一人一人が主役の卒業式です。6年間の学習の成果を2時間の式の中で力一杯表してください。 |
「時間を大切にし、充実した毎日を過ごしましょう」 隣の国、中国が宋といっていたころの学者、朱熹がつくった「偶成」という漢詩があります。 漢詩を詠う方法の一つに詩吟というのがあります。私はこの漢詩を小学校6年生の担任の先生から習いました。 今から吟じます。聞いてください。 「偶成」 朱熹 少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず 未だ覚めず池塘春草の夢 階前の梧葉巳に秋声 少年はあっという間に年をとり、学ぶべきことを学ばずに終わってしまう。時間を無駄にしてはいけませんよ。池の端で草が春の夢をまどろんでいるうちに、庭先の桐の葉は黄色く染まってしまい、すでに秋です。 という意味です。 サッカーなどのスポーツの世界では、ゴールデンエイジという言葉がよく使われるようになりました。ゴールデンエイジとは10歳から13、4歳ころの年齢の子どもたちのことです。この時期に基本的な技術を技として身に付けるかどうかがその後の成長を大きく左右するといわれています。この時期に身に付けた技は生涯忘れることなく自分自身を作る素地となるのです。 つまり、皆さんくらいの年齢から中学生の頃が、人間の一生の中でもっとも学力や運動能力などのすべての能力が開花し、身に付く頃なのです。 この時期を大事に過ごしたいものです。 高校サッカー選手権で2大会連続得点王、そしてアテネオリンピックをめざしたU−23のエースストライカーとして活躍した平山相太さんは、厳しい環境で甘さをなくすために親元離れて国見高校に入学したそうです。走るフォームが悪いと指摘されると、陸上部に混じりもも上げ走を繰り返したということです。手を使う反則が癖になりかけ、両手を後ろ手に縛って練習したこともあったそうです。 サッカーばかりではありません。国語の先生に「お薦めの本は何ですか」と聞いて回り、読書にふけっているそうです。平山さんはJリーグの誘いを断り筑波大学へ進むそうです。 皆さんも毎日毎日を大切にして、大いに学び、大いに遊び、大いに議論して、自分を高めてください。大きく羽ばたいてください。 皆さんの限りない成長を願って、6年生修了式の講話とします。 |