人は家庭で育ち、学校で学び、地域で伸びる
平成14年2月
福田公民館

1 はじめに
 私は、旧秋津村沼山津生まれです。小学校は秋津小学校、中学校は益城中学校卒業です。また、川内田には少しばかりの山がありましたので小中学生の頃は親父が引く馬車に乗ってよくこちらまで来ていました。また、年末は正月飾りのウラジロを取りに来ていました。それで益城町を第2の故郷のように思っています。
 長年教員生活をしていましたが、益城町には縁がなくこれまで1度も勤めることができなかったのですが、昨年4月益城中央小学校に赴任しました。
 今、516名の子どもたちを30名の職員と保護者の皆様、地域の皆様とで心豊かな子どもに育てる教育を展開してしています。
 本日は、学校教育ばかりでなく、社会教育に少しばかり携わって学校・家庭・地域の連携の必要性を痛感してますので、「人は家庭で育ち、学校で学び、地域で伸びる」というテーマで学校、家庭、地域の連携の必要性を考えてみたいと思います。

2 新しい教育のキーワードは「生きる力」
 いよいよこの4月から新しい学習指導要領による学校教育が実施されます。新しい教育のキーワードは「生きる力」の育成です。この「生きる力」を育てることを目指して、学校では「総合的な学習の時間」が、そして学校週5日制がスタートします。私はこれを家庭・地域週2日制と思っています。
 学校週5日制は、子どもたちがより主体的に社会に関わり、「生きる力」を持った人間、つまり、もう一回りも二回りも豊かさやたくましさを持った人間に育つことをねらったものです。大人の責任で次世代を担う子どもたちを心豊かでたくましい人間に育てていこうとするものです。
 「生きる力」については、文部科学省は次のように述べています。
 一つは、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、よりよく問題を解決していく資質や能力です。
 二つは、他と協調し、思いやる心などの豊かな心。人権感覚豊かな心です。
 三つは、生きるための健康と体力です。
 この「生きる力」の育成が提唱された背景は、一言で言えば、どこの学校に行ったかを重視してきた結果生まれた悪い影響を改めることです。
これまでいわれてきた悪い影響とは、次のようなことです。
 @学校教育が受験競争社会に巻き込まれて、社会問題にまでなっていること。
 A多くの知識を教え込む知識重視の教育に偏っていること。
 B子どもが自然や地域社会の中で体験活動を体験するなどの時間を持てなくなっていること。
 C受験用の知識はあるが日常生活や社会生活の中で学んだことを生かす力が乏しいこと。
 D人々と共に生きる心や社会性、人間関係づくりなどが身に付いていないこと。
このようなことを踏まえて、「生涯学習」という考え方から「生きる力」を育てることを教育改革の基本に掲げたのです。

3 生涯学習について
 生涯学習とは、一言で言いますと、生涯にわたって自ら学び続けることです。生涯学習とはフランスのポール・ラングランという人が提唱したものといわれていますが、日本には以前から生涯学習の考えがありました。そのいくつかを紹介します。
 江戸時代の儒学者、佐藤一斉は「言詩四録」の中で次のようなことばを残しています。
「少にして学べば、即ち壮にして為す有り。壮にして学べば、即ち老いて衰えず。老いて学べば、即ち死して朽ちず。」正に生涯学習の心髄を述べています。これは、明治維新の推進者、西郷隆盛の座右の銘でもあったといいます。
 武者小路実篤は「桃栗3年、柿8年、達磨は9年、俺は一生」という有名な言葉を残しています。皆さんもご存じのことと思います。
 この他、生涯学習にはいろんな考えがありますが、ここでは、今述べましたような考えで話を進めていこうと思います。

4 新しい学力について
 「学力とは何か」という考え方も変わってきました。明治以来、世界の国に追いつけ、追い越せの20世紀の学力は知識詰め込みで、知識の量を学力と捉えていました。
 ところが、変化が激しい今日では、せっかく覚えた知識が直ぐに使えなくなってしまうようになりました。役に立たなくなっています。
 例えば、ガス器具などを買い換えるとしますと、昨日まで使っていた使い方では使えないでしょう。今はやりのパソコンなどは、季節ごとに新しい機能をそろえたものを売り出しています。このようなものの進化に対応する知識を覚えようとすると、知識の量は膨大なものとなります。そして、先ほど話しましたようにせっかく覚えた知識が使えなくなってしまうのです。昔は「十年一昔」という言葉がありましたが、今では一年一昔でしょうか。そこで、知識の量をいかに持っているかを計る学力から、生涯にわたって自ら学ぶのに必要な基礎基本や学び方、学ぶ意欲や力などを学力と捉えようとする考えが21世紀の学力についての考えです。
 今、世間では学力低下の問題がクローズアップされています。知識の獲得量、つまり20世紀型の学力をこれまで通り学力と捉えるなら、確かに学力は低下します。それは、新しい学習指導要領では学習内容を3割も減らしてしまったのですから。
 しかし、急激な社会の変化、国際化時代、これまで人類が経験したことのない時代に生きる子どもたちは、人が生きる上で必要な最低限の知識や技能を確実に身に付け、それを基に自ら新たに知識を創造し、生きる知恵に変えていく力が必要になるのです。つまり、何かの課題や困難にぶつかったとき、自ら考え、自ら課題を解決する力が必要となります。これが21世紀型学力と私は捉えています。

5 学校経営の基本
 そこで、今益城中央小学校では、次の4つのことを徹底して指導をしています。
 @自分を好きになる、自分を肯定的に見る「自尊感情」の醸成です。
 A昔からいわれ続けた「読み、書き、計算」などの基礎的基本的事項を繰り返し指導し確実に身に付けさせることです。
 B自ら学ぶ学習方法を身に付けさせることです。
 C自ら学ぶ意欲や態度を養うことです。
 私は学校で学んだ知識や技術を、その後の自分の生活、例えば学校での勉強に生かすこと、家庭や地域社会での生活に生かすこと、このことによって知識や技術が生きる知恵に変わると思っています。また、家庭や地域での生活で生じた新たな疑問や課題を解決するために学校で学ぶようになります。これが、学んだ知識や技能を生活に生かすことです。このことで、学習と生活が結びつき、生きる力が育まれていきます。
 このような考えで、学校では、総合的な学習の時間という新たに設けられた学習で子どもたちが活動しています。学校週5日制が来年4月からスタートします。
 学校・家庭・地域がこれまで以上に手を取り合って益城町の子どもを心豊かな子どもに育てていこうではありませんか。土曜・日曜日に地区公民館などで、地域の方と子どもが談笑したり、ものを作ったり、清掃活動をしたりする光景が見られるようにしたいと思っています。
 このようなことを願って益城中央小学校では、学習の場や子どもたちの生活の場で地域の方のお力添えをいただいています。
 婦人会の方々による「益城育ち」の踊り指導、これは運動会の全校ダンスに取り入れました。環境を守るための廃油石けんづくり、EM菌を使った堆肥づくりにも挑戦しています。、益城おじゃめの会の方とのおじゃめ大会は1年生、2年生がとても喜んでおじゃめに挑戦しました。手話サークルの方の指導によるボランティア委員会の手話体験活動。農園での農作業体験。地域のおじいさん・おばあさんとのコマまわしなどの伝承遊び体験。竹細工・わら細工。PTA主催のどんどやの実施。読書ボランティアの方々の本の読み聞かせ等々、たくさんの支援活動をお願いしています。
 地域の方との学習で、子どもの目が輝きます。地域を見る眼が違ってきます。地域のよさを発見します。地域を誇りに思うようになってきます。

6 校長室便りから
 これまで述べたような思いから、私は校長室便りを発行しています。これからは、配布しています校長室便り「木山川」をもとに話を進めます。
 益城中央小学校のあるべき姿を次のように描きながら平成13年度の教育活動を展開しています。読み上げてみます。 
 学校は、在校生にとっては楽しい学習と生活の場です。卒業生にとってはなつかしい思い出の場です。保護者の皆様にとっては我が子のよさや可能性を最大限に育ててくれることを期待し、それを託す場です。地域の人にとっては「おらが学校」です。
 次のような学校を目指します。
一 心のふるさとである学校
 学校には、楽しい思い出、苦い思い出、うれしい思い出、悲しい思い出など様々な思い出があります。人生の節目のとき、決断のとき、感動したときなど母校を思い出したり、訪れたりしたいときがあります。このような心のふるさとにふさわしい学校を目指します。
二 親しみのもてる学校
 校庭の草花をながめたり、施設を利用したり、校長と話をしたり、気軽に出入りのできる親しみのもてる学校を目指しています。
三 生涯学習の基礎をつちかう学校
 学校教育完結型の発想を変えて、小学校教育を生涯学習の基礎づくりと捉えます。自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力育てる学校を目指します。
四 互いが助け合い、人権を尊重する学校
 子どもたちが共に学び合い、共に活動する中で、自分がかけがえのない一人の人間として大切にされ、存在感と自己実現の喜びを実感できる学校を目指します。
五 自然に親しみ、環境に優しい学校
 ふるさと益城町の自然に親しみ、ふるさとのすばらしさを体感し、豊かな感受性や識見を持ち、環境保全活動を地域に発信する学校を目指します。
六 地域と協力した学校
 地域の自然や歴史、人材など学校外の教育力を導入して子どもに新鮮な知識や技能に触れさせる学校を目指します。
七 教育機能を地域に提供する学校
 教師が持つ知識や技能を積極的に地域に提供する学校を目指します。
八 情報を公開し、発信する学校
 学校が持つ教育に関する情報を地域に発信する学校です。この「木山川」も学校の情報発信の一つです。
九 情報化した学校
 コンピュータ、ワープロ、視聴覚機器などを駆使して教育活動を展開する学校です。学校には、パソコン室があり、1年生からパソコンにふれています。高学年の子どもの中には、インターネットで調べ学習をする子がたくさんいます。
十 教職員の協働体制が整った学校
 教職員一人一人が自己の役割を自覚し、教科指導、生徒指導に全職員で臨む学校です。
 このような考えのもとに教育目標を次のように定めています。
 私は学校と家庭が同じ目標のもとに、子育てにあたることで子どもたちはより健やかに成長すると信じています。そこで、教育目標に対する理解と協力をお願いするためにごらんのように教育目標を全家庭に配り、周知しています。
 教育目標は、「人間尊重の精神を基盤とし、人間性豊かな人格の形成を目指します。このため、知育・徳育・体育の調和がとれた、社会性を身に付けた心身共に健やかな児童を育てます。」としています。
 校訓、学校教育目標を子どもたちが意識して過ごすためのスローガンを「すすんで なかよく たくましく」としています。これは、ここ数年同じものです。
 こんな子どもであって欲しいという目指す児童像を次のように定めています。
○よく考え、進んで勉強する子ども      校訓の「すすんで」に対応するものです。
  ○心豊かで、思いやりのある素直な子ども 校訓の「なかよく」と対応しています。
  ○互いに協力し、ねばり強くがんばる子ども 校訓の「たくましく」に対応しています。
 益城中央小学校の教育活動を展開していく上で職員と共に次のことを考えました。
 変化の激しい社会に子どもたちが主体的に生きる「生きる力」を身につけるために、
@教師と子ども、子どもと子どもが共に生き、共に育ちあう教育を推進します。(共生)
 Aすすんで学び合い確かな知性を育みます。(共学)
 Bなかよく触れ合い豊かな人間性を育みます。(共感)
 Cたくましく鍛え合いたくましい心身を育みます。(共励)
 教育活動の根底には、これまで述べてきました「生涯学習の視点に立った学校教育」を推進することを主眼においています。
 その第1が生きる力の育成です。2つ目が基礎的基本的事項の定着を図ることです。3番目は心豊かな人間の育成です。熊本には「熊本の心」「助けあい 励ましあい 志高く」があります。この精神を職員も子どもも持ち続けていきたいと思っています。
 さらに、人権尊重の視点に立ち、すべての子どもが自己有用感が実感できる楽しい学校・楽しい学級づくりに努め、子ども一人一人の居場所のある学校を目指しています。
 時間の都合で以下の点については、後刻読んでいただければ幸いです。
 今年の教育活動キーワードに、子どもには「自分の力で」「自分で」を求め、大人には「手を離して、目は離さずに」を求めていこうと思っています。
 冒頭お話ししましたように教育の成果を学校だけでは上げることは不可能です。家庭と一体となって初めて効果が上がると思います。

(3)家庭に期待するもの
 学校教育を支える力は家庭教育です。学年はじめにあたり、「規則正しい生活」の習慣化を全家庭にお願いしました。その具体的なことです。
 学習効果を上げる基礎は、規則正しい家庭生活と基本的生活習慣の定着です。その視点をいくつか並べます。子どもを見守ってください。
一 「早起きは三文の得」といいます。
 朝起きは、少なくとも学校の始業時刻(8時20分)の1時間30分前にすることです。脳の活動は、目覚めから1時間30分以上経過後といわれていま す。
二 「一日の始まりは家庭での元気なあいさつから」。
 あいさつは人と人とのコミュニケーションをとる一番の手段です。と同時に大きな声での朝のあいさつは一日をさわやかに過ごさせます。
三 「朝の食事は一日のエネルギー源」です。
 最近の子どもたちの中には朝食抜きの子どもが多くなりました。朝食抜きでは判断力、集中力、記憶力が減退します。学習の基本は食事です。
四 「朝の排便は大切な生活リズム」をつくります。
 いま、生活リズムが壊れている子が増えています。人は朝食を食べたら大便がしたくなるは、大切な生活リズムです。腸のぜんどう運動の機会を逃さないようにすることです。
五 「明日の準備は、自分の手で」。
 キーワードのところで示しましたように「自分で」がとても大切です。学習予定表を見て必ず自分で準備させるようお願いしています。忘れ物は届けないで、忘れ物が無くなるよう指導をお願いしています。
六 「家庭学習は、学年×15または20分を目安に」。
 テレビ視聴の時間が多く、家庭学習の時間が少なくなっています。また、「宿題がないと勉強しません。宿題を出してください。」という要望が保護者からあります。宿題ばかりでなく、自ら進んで学習する習慣を身に付けさせることは生涯学習の推進の上からとても大切なことです。本を読むのも大事な学習の一つです。読書をさせてください。本好きな子に育ててください。
七 「集団登校は、集合時刻の五分前に集合場所へ」。
 今、1学期は集団登校を実施しています。集団で登校するのは人間形成の上からも、安全確保の上からもとても意義あるものですが、高学年の子どもたちはとてもいやがっています。集合時刻を守ることは集団生活を営む上での基本です。休むとき、遅れるときは必ず登校班長へ連絡をする習慣をつけさせるようお願いしています。
八 「適度のテレビ視聴時間を」
 子どもたちにテレビ視聴時間を聞いてみると、1日で3時間とも4時間とも答える子がいます。家庭生活の大半をテレビとともに過ごしているようです。そして、夜更かしへとつながります。そこで、テレビの視聴時間や視聴時間帯、そしてテレビゲームのしすぎが生活リズムをこわします。家庭で子どもとよく話し合って決定し、決めたことは守るように指導をお願いしています。
九 「十分な睡眠時間を」
 成長期の子どもの睡眠時間は9時間〜10時間といわれています。ところが、11時、12時に床につく子がかなりいます。中には翌日の1時近くまで起きている子もいます。昔から言われているように「寝る子は育つ」です。十分な睡眠時間の確保と早寝早起きの習慣を付けさせ、規則正しい生活リズムが定着しますようにお願いしています。
十 「服装や頭髪は学びの場である学校にふさわしいもので」
 言うまでもなく、学校は勉強するところです。ところが、学びの場にふさわしくない服装、頭髪の子が数人います。たとえば、寝間着ではなかろうかと思うような服、海水浴場にいるのではかかろうかと思うような服を着た子、髪を染めている子など。他校の話ですが、ある校長から聞くところによると、「少し強く注意すると、大人も髪を染めている人がいます。先生の中にも染めている先生がいます。大人は良くてどうして子どもはいけないのですかと言う子がいる」そうです。本校ではそこまで言う子はいませんが、「大人は良くても子どもは良くない」ことが理屈抜きでたくさんあるはずです。親の中には「子どもの個性を伸ばしているのです。頭髪を染めてなぜいけないのですか」と言う親もいます。大人は自己責任で生活できます。子どもは発育途中で、自己責任を負うことはできません。人としては大人も子どもも同じ人間でありますが、大人と子どもを同列に見ることは子どもの成長段階から見て良くないと私は思っています。だから、理屈抜きで子どもを指導する場合があるのです。いま、このようなことを強く求めています。
 これまで、いろいろと学校の様子を紹介しました。いろんな事件や新聞・テレビの報道で今の学校はとんでもないところだと思われるかも知れませんが、決してそうではありません。子どもも、保護者も、職員も一致団結して子どもの教育に当たっています。その成果が至る所に現れています。その子どもの生活の様子を少しお話しします。
 私は子どもの行動について見たり聞いたりしたことを「子どもの風景」としてその都度紹介しています。
 16日朝、4年生のH君が手に大きな板切れを持って登校してきました。登校班の子どもたちは「校長先生、H君がゴミを拾って登校してきました。」と私に話しました。H君は登校の途中、道路に落ちていた板切れの他にもお菓子の包み紙などのチリを拾い、ポケットに入れて登校してきたのです。
「うわァ、ゴミを拾って来たのだね。道路がきれいになったね。」と声をかけました。
「道路に落ちているゴミを拾う」すばらしいことです。
 前任校の甲佐小学校では、毎週火曜日の登校時が「校区クリーン作戦」でした。通学路に落ちているゴミを登校班全員で拾いながら登校するのです。それを班長、副班長が持つビニル袋に入れて学校に持ち寄り、ゴミ収集に出していました。
 この子どもたちのボランティア活動が地区の話題となり、「大人も子どもに負けちゃおられんバイ」と大人まで動かしました。
 H君のゴミ拾い登校が児童会で取り上げられ、益城中央小学校全員に広まることを期待しています。
 次は「解散の号令」です。
 5年生のKさんは、校門を入ると登校班員に「解散」と号令をかけ、登校班を解きます。
 集団登校は、隣近所の子どもたちが集まって登校する集団です。
 登校班長の胸には、集団の長として集団をまとめ安全に登校するためにいろんな思いがあることでしょう。
 「ここは車が多いから左右をよく見て安全を確かめないといけない」
 「ここは自転車がよく飛び出してくるので注意」
 「低学年は歩くのが遅いので少し速度を遅くして」
 「○○さんは元気がないみたい。声かけて元気づけよう」
 「忘れ物がないか全員で確認しよう」
 「大きな声であいさつするように声かけよう」などなど。
 また、班員は「登校班長のおかげで、安心して登校できる。ありがとう」の気持ちや、集団としての意識を持って登校しています。
 「解散」の言葉を聞いて、「登校班の集団をここで解きます。これからは一人一人で教室に行きましょう。自分の責任で生活するのですよ。楽しい学校生活にしましょう。」とKさんが登校班員に語りかけているように私には思えました。
 5年生のOさんも「解散」と声をかけて登校班を解いています。
 すべての登校班が集団としての規律を持って登校できるようになりたいものです。
 児童クラブの先生から聞いた話です。
 児童クラブの子どもたちが遊んでいるとき、2年生が数人、トンボの羽をちぎってとばして遊んでいたそうです。死んでしまったトンボをそのまま放置してあったのを見た3年生のK君の言葉です。
 「トンボにも命があるとぞ。羽をちぎって遊ぶなんてダメ。」2年生に教えていたそうです。
児童クラブの先生は、「私が教えようとしたことをK君が先に教えていました。心優しい子どもです」と話してくださいました。
 このように命の尊さを教える子どもが益城中央小学校にいることを誇りに思います。
 終わりは「校長先生 お話しがあります。」と1年生が言うのです。
 1年生は、校舎探検をしています。学校にある各教室、校長室、職員室、事務室、音楽室、パソコン室などの場所の確認やその働きなどを自分の体で調べています。
 その学習の後で、1年2組のかわいいお客さんが数人、校長室を尋ねてきました。
 「校長先生、入ってもいいですか。」
 「お話ししてもいいですか。」
 目をきらきら輝かせながら私に話しかけてきます。
 「学校は楽しいですか。」
と聞くと、みんな一斉に「楽しいです」と答えます。
 入学して3ヶ月になりました。学校生活にも慣れ、学習が楽しくてしかたがないという顔をしています。
 子どもたちがいつまでも「学校は楽しい」と思う学校づくりを職員全部でがんばっています。
 かわいいお客さんのなぞなぞです。考えてみてください。
 「上は工場。下はゴミ捨て場はなーに。」

7 おわりに
 これまで益城中央小学校の取り組みの様子をお話しして参りました。
 終わりに、学校、家庭、地域社会で子どもを育てる観点からお願いがあります。
 地域での子どもの生活で気付いたときにはどしどし指導して欲しいことです。我が家の孫でもよその子どもでも、良いことは褒め、悪いことは厳しく指導してください。そしてそのことを学校に情報をいただきたいのです。学校ではそれらの情報を元に再度指導できます。必ず子どもの心に残ります。
 私はこのことが「人は家庭で育ち、学校で学び、地域で伸びる」ととらえています。
 校長室ドアーはいつも開けています。ぜひおいでください。いろいろお話しを聞かせてください。お待ちしています。
 長らくのご静聴ありがとうございました。