公民館活動と地域づくり |
公民館設置運営の要綱 1 公民館の趣旨及目的 これからの日本に最も大切なことは、すべての国民が豊かな文化的教養を身につけ、他人に頼らず自主的に物を考え平和的協力的に行動する習性を養うことである。そして之を基礎として盛んに平和的産業を興し、新しい民主日本に生れ変ることである。その為には教育の普及を何よりも必要とする。わが国の教育は国民学校や青年学校を通じ一応どんな田舎にも普及した形ではあるが、今後の国民教育は青少年を対象するのみでなく、大人も子供も、男も女も、産業人も教育者もみんながお互に睦み合い導き合ってお互いの教養を高めてゆく様な方法が取られねばならない。公民館は全国の各町村に設置せられ、此処に常時に町村民が打ち集って談論し読書し、生活上産業上の指導を受けお互いの交友を深める場所である。それは謂はゞ郷土に於ける公民学校、図書館、博物館、公会堂、町村集会所、産業指導所などの機能を兼ねた文化教養の機関である。それは亦青年団婦人会などの町村に於ける文化団体の本部ともなり、各団体が相提携して町村振興の底力を生み出す場所でもある。この施設は上からの命令で設置されるのでなく、真に町村民の自主的な要望と努力によって設置せられ、又町村自身の創意と財力とによって維持せられてゆくことが理想である。 |
昭和21年の通知ではありますが、現在にも当てはまるものだと思いませんか?集い、学び、え合う公民館活動の原点です。
公民館は、地域の人々にとってもっとも身近な学習や交流の場として、活力と潤いのある域社会実現のため大きな役割を果たしてきました。世界に類を見ない「共助・互助」の精神日本国民は身につけてきました。
これからは、この公民館が子どもや若者、働き盛りの世代を含め、地域住民が気軽に集え場へと変わることが求められています。
ところで、社会教育を揶揄した戯れ歌に「地域を忘れた社会教育は裏のお山に捨てましょうかというものがあるのをご存じでしょうか。これは、文部省が平成初期に生涯学習の推進を図際に、「カラオケも生涯学習」と奨励したものですから、公民館講座が住民の要求課題、つまり趣味・稽古事に関する講座が多くを占め、利用者は、特定の住民に限られてしまい、地域全から遊離したものとなってしまったことを揶揄したものです。
公民館講座に、住民が学びたいものを取り入れることは大切なことなんですが、行政とし学んで欲しいこと、これを行政の必要課題と称しますが、住民の要求課題と行政の必要課題のバランスをとった講座開設が大切であると思います。もっとも、住民の要求課題が町おこへと繋がった例もあります。宮崎県に南郷村という村がありました。現在は合併して美里町いうそうですが、ここには、百済の王族が朝鮮半島から逃れて住んでいたという百済伝説ありこの百済伝説から公民館講座で「韓国語講座」を開設していたそうです。韓国語を学んでいるたちが「自分が学んでいる韓国語は韓国の人に通じるだろうか。試してみたい。」と韓国に行き韓国の人と交流する中で、キムチづくりを学んで帰り、村でキムチづくりを始めたと言うこを聞いたことがあります。これは、住民の学習要求が村おこしまで繋がったというすばらし例です。(講話では、「南郷村」ではなく「綾町」と紹介しました。お詫びして訂正します。)
また、最近では、社会教育がは地域社会のことを忘れて学校教育の支援に走ってしまっていると理解違いもありますす。このような理解違いが起きますのは、「学校支援地域本部事業」でありますか、「放課後子供教室」、「地域未来塾」などと学校を支援する事業を社会教育課が次から次に行ってることからかと思います。しかし、これら学校教育を支援をしているのは、学校を支援する人々が供たちとふれあうことによって笑顔や生き甲斐を見いだし、地域の活性化に繋がること、地域の人から見守り支えられている子供たちが、生まれ育ったふるさとを誇りに思い、愛着を感じ、我が町将来を背負って立つ人材を育成するためです。これは、新たな地域づくりを目指した事業であり、会教育行政そのものだと私は思っています。
この3月、社会教育法が改正され、これら学校を支援する活動が、「地域学校協働活動」として明記されました。
社会教育法 第5条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。 1~12 (略) 13 主として学齢児童及び学齢生徒(それぞれ学校教育法第十八条に規定する学齢児童及び学齢生徒をいう。)に対し、学校の授業の終了後又は休業日において学校、社会教育施設その他適切な施設を利用して行う学習その他の活動の機会を提供する事業の実施並びにその奨励に関すること。 14 青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること。 15 社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して学校、社会教育施設その他地域において行う教育活動その他の活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること。 16~19(略) 2 市町村の教育委員会は、前項第13号から第15号までに規定する活動であつて地域住民その他の関係者(以下この項及び第九条の七第二項において「地域住民等」という。)が学校と協働して行うもの(以下「地域学校協働活動」という。)の機会を提供する事業を実施するに当たつては、地域住民等の積極的な参加を得て当該地域学校協働活動が学校との適切な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるよう、地域住民等と学校との連携協力体制の整備、地域学校協働活動に関する普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。 第6条 都道府県の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、前条第1項各号の事務(同項第3号の事務を除く。)を行うほか、次の事務を行う。 1~5(略) 2 前条第2項の規定は、都道府県の教育委員会が地域学校協働活動の機会を提供する事業を実施する場合に準用する。 第9条の7 教育委員会は、地域学校協働活動の円滑かつ効果的な実施を図るため、社会的信望があり、かつ、地域学校協働活動の推進に熱意と識見を有する者のうちから、地域学校協働活動推進員を委嘱することができる。 2 地域学校協働活動推進員は、地域学校協働活動に関する事項につき、教育委員会の施策に協力して、地域住民等と学校との間の情報の共有を図るとともに、地域学校協働活動を行う地域住民等に対する助言その他の援助を行う。 |
法に明記されましたように、地域学校協働活動とは、学校の授業の終了後又は休業日において学校、社会教育施設その他適切な施設を利用して行う学習その他の活動を地域住民が学校と協働して行う活動のことです。これは公民館活動そのものです。
社会教育法には公民館の目的や公民館が行う事業をを次のように規定しています。
社会教育法 第20条(公民館の目的) 公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。 第22条(公民館の事業) 公民館は、第20条の目的達成のために、おおむね、左の事業を行う。但し、この法律及び他の法令によつて禁じられたものは、この限りでない。 一 定期講座を開設すること。 二 討論会、講習会、講演会、実習会、展示会等を開催すること。 三 図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること。 四 体育、レクリエーシヨン等に関する集会を開催すること。 五 各種の団体、機関等の連絡を図ること。 六 その施設を住民の集会その他の公共的利用に供すること。 |
法の記述からもおわかりのように、公民館の今日的役割は、まず、地域の学習拠点としての機能を果たすことです。その機能には、多様な学習機会の提供でありますとか、自発的な学習活動の支援、学習成果活用の場の配慮、学習情報の提供、相談機能の充実等が挙げられます。
この中で、学習成果の活用については、山都町が他にさきがけて取り組まれました。旧矢部町時代の老人大学で学んだ成果を生かした「通潤橋案内ボランティア」の創設です。旧矢部町には日本に誇る「通潤橋」があります。熊本県内はもとより県外からたくさんの見学者があります。特に小学4年生が社会科の勉強として通潤橋見学に来ます。その度に、通潤橋の案内を教育委員会に求めていました。教育委員会の社会教育課の職員の方は、自分の仕事を押しやって通潤橋の歴史的背景や水を通す橋としての仕組み等を説明していました。それにより仕事が滞るので、誰か通潤橋の案内をしてくれる人はいないかと思案していました。一方、老人大学で町の歴史を学んでいる人々の中には、「自分たちは町の税金で学ばせてもらっている。何か町に恩返しできないか」と思っていました。この両者の思惑がぴったり一致して始まったのが通潤橋案内ボランティアです。まさに、学んで得た成果を利用した社会参加活動です。高齢の方々が生き生きとした表情で通潤橋の案内をしておられます。
平成7年、阪神淡路大震災の後でのことです。熊本市内から来た小学生が説明を聞いた後で、次のように質問したそうです。「この通潤橋は、今年起きた阪神淡路大地震のような大地震にも耐えることができますか?」と。ボランティアの人は、これまでの長い間にはきっと大地震があったに違いない。それでもこうして立派に残っているから耐えることができるに違いない。「耐えることができます」と答えようと思ったそうです。しかし、自分は通潤橋と地震の関係は勉強していない。子供たちは勉強に来ている。自分の思い込みだけで答えてはならないと思い直して、「私はこの通潤橋が大地震にも耐えられるかの勉強はしていません。後で調べてから学校に伝えると言うことでいいですか?」と言うと、子供から「よろしくお願いします」と返ってきたそぅです。それから、町の図書館や県立図書館で古文書を調べていると、「通潤橋が完成してまもなく、安政南海大地震が起き、布田保之助が畳石にわずかのズレもないことを確認した」という資料を見つけることができたそうです。それで、このことを手紙にしたため学校に送ったと聞きました。
これは、学習して得た成果を活用してボランティアすることによって新たな学習課題を見いだす。その新たな学習課題の解決に向けて、また学び直し、それをまた社会に還元するという「学び 社会参加活動 新たな学習課題 学び そして社会参加活動」と学びと社会参加活動が循環していることを通潤橋案内ボランティアの方が身をもって示されたことです。このことを平成20年、中央教育審議会は、「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」~知の循環型社会の構築を目指して~と題して文部科学大臣に提言しています。その中には、目指すべき施策の方向性として、国民一人一人の生涯を通じた学習の支援を行い、国民の「学ぶ意欲」を支えること、その際、「個人の要望」を踏まえるとともに「社会の要請」を重視することとしています。また、今後必要とされる力を身につけるための学習機会の在り方について検討しなさい。子供たちにとっては、「生きる力」を身につけるプログラム在り方を検討しなさい。成人にとっては社会の変化に対応できる総合的な力を身につけるプログラムについて検討しなさいとも述べています。
これが、冒頭述べましたように公民館講座は、住民の学習要求と行政としての必要課題を勘案した公民館講座を開設しましょうということです。
今、住民の学習要求と行政の必要課題とがぴたりと一致した学習課題があります。それは、家庭教育支援です。核家族化と言われて久しいのですが、若いお母さんたちが子育てについて悩んでおられる例が非常に多いことは皆さんご存じの通りです。子育ての悩みを聞いて欲しい。子育てのヒントが欲しいと思っている人がいます。私たちが小さい頃は、3世代同居が当たり前でした。また、地域のおばあさんたちが子育てについてはよくアドバイスしていました。今は、そういう環境にありません。子育てについて悩み、それが引き金となって児童虐待となるケースもあります。これは大きな社会課題の一つです。熊本県では、「親の学びプログラム」と言って、教育事務所の社会教育主事の先生方を中心に地域の親の学びトレーナーと言われる人たちと、保育園、幼稚園、学校などで、保護者を対象に参加体験型形式で、子育ての在り方について学習しています。このような子育ての支援、つまり、地域の家庭教育支援拠点としての機能を公民館に持って欲しいと思います。
子育て中の若い保護者が、公民館に集い、互いに悩みや自分の実践を語り合う。そこに、子育てを終えた方が集って、自分の経験を語る。これらによって住民同士に新たなつながりができます。これは、新たな地域づくりです。つまり、公民館は、地域活動の拠点としての役割が、今求められています。
また、社会が複雑多様化するとともに、学校だけで教育をする時代ではなくなりました。学校の先生方からの要請で地域住民による学習支援活動が近年増えてきました。益城町では、この活動が、公民館講座で学んだ人たちを中心に広がりました。昨年の熊本地震の影響で、現在、公民館講座は休止していますが、一昨年までは、公民館の主催講座が16講座ありました。そろばん教室、習字教室、絵手紙教室、ペン習字教室などです。さらに、公民館講座を卒業した方たちが自分たちで学習サークルを立ち上げた自主講座というのもあります。このような講座で学んだ人たちが、小学校の学習支援をしています。その中の一つ、そろばん教室で学んだ人たちがどのようなことをしているかを紹介します。
小学3年生と4年生でそろばんの学習をします。それぞれ、年間3時間程度の学習です。こんなに少ない時間で、3年生の子供たちは、2桁の足し算・引き算を学習します。4年生は、9桁の数をそろばんに入れたり読んだり、また、3桁の足し算・引き算、さらには少数の足し算・引き算までします。そろばん学習をしたことのある方はおわかりと思いますが、そろばんで一番難しいのは、「7+6」のように、5玉を使う足し算です。この計算は、「6はあと4で10になるので、5から4とると1残る。残った1を入れて、5払って10の位に1入れる」と計算します。これをそろばんで計算するときの指遣いは、1玉を入れるときは、親指、5玉を入れるときと5玉や1玉をとるときは人差し指を使います。これらそろばんを使った計算方法と指遣いを学級担任の先生一人で子供に教えるのは至難の業です。そこで、公民館講座で学んだ人たちが先生方の指導の支援をしています。今日も広安西小の4年生の学習に8人が支援に行きました。
また、益城町では、5つの小学校すべてで放課後子ども教室を実施しています。放課後子ども教室は、放課後の子供たちの安全安心居場所づくりで始められたものです。甲佐町の乙女小学校でも「まつやま塾」と称して、体験活動を中心に子ども教室を実施しておられます。益城町では、子供たちの計算力の向上につながって欲しいとの思いからそろばん中心の子ども教室を実施しています。この放課後子ども教室でもそろばん教室で学んだ人たちが指導者として子供たちにそろばんを教えています。そして、町の商工会と連携して全国商工会の珠算検定試験を受けさせています。レベルは、珠算連盟の試験とほとんど変わりありません。この試験に、これまで、2級合格者が2人出ました。指導者の人たちは、子供たちが検定試験に合格すると我がごとのように喜び、合格できない子供には、「惜しかったね-・次は頑張ろうね」と我が子を励ますように声をかけています。指導者と子供たちのつながりが深くなっています。昨年の熊本地震で広安小学校体育館で避難生活をしていた放課後子供教室ボランティアの人が、「家は全壊で、広安小学校に避難していたもののこれからの生活を思うと不安で不安で仕方ありませんでした。そんなとき、後ろから『そろばんの先生、大丈夫でしたか』と子供教室で学んでいる子供から声をかけられました。この一声で前を向いて生活していこうとの意欲が沸きました」と涙ながらに私に話してくださいました。子供たちと指導者がつながっていることを実感しました。
そろばん学習を支援している人たちは、ほとんどが熊本地震の被災者です。仮設住宅や見なし仮説に住んでいる方が大勢います。中には、菊陽町の住んでいる人もいます。この人たちの1週間の予定を聞きますと、「学校をはしごしています」と言います。○付けであったり、習字指導の支援であったり、読み聞かせであったりと、1日2校支援に出かける人もいます。
皆さんご存じのように、
今、小学校では、登下校の安全見守り、読み聞かせ、○つけ、学習支援等々。中学校では、職場体験、福祉体験、保育体験等々。地域の力をお借りしなければできない教育活動が一杯です。そこで、文部科学省では、「地域と共にある学校づくり」を進めています。
皆さん、コミュニティ・スクールという言葉を聞かれたことがあるでしょう。これには、2つありまして、法律に基づいて設置されたコミュニティ・スクールと熊本県教育委員会が独自に提唱してる熊本版コミュニティ・スクールがあります。山都町では、現教育長が就任されると同時にできるところからできる範囲で熊本版コミュニティ・スクールを立ち上げるようにとの指導の下、ほとんどの学校でコミュニティ・スクールが立ち上がりました。甲佐町、嘉島町でも教育長が熊本版コミュニティ・スクールの立ち上げを指導されていますのでたくさんの学校で立ち上がっています。御船町では、いち早く七滝中央小学校を「御船版コミュニティ・スクール」に指定しました。現在は御船町教育委員会指定熊本版コミュニティ・スクールとして地域と協働した教育活動を展開しています。益城町では、益城中央小学校が上益城で唯一の法に基づくコミュニティ・スクールです。他の学校も益城版コミュニティ・スクールの立ち上げに動いています。
このコミュニティ・スクールは、学校運営協議会という組織があり、この組織が一時的なものではなく継続するように規約、もしくは会則があることを前提としています。この学校運営協議会は、保護者、地域住民、その他学校が必要と認める人で組織するようになっています。皆さんの中には、どこかの学校の運営協議会の委員という人もいらっしゃることと思います。この学校運営協議会というのは、学校運営について、学校と保護者、地域住民が話し合い、学校教育の在り方を協議して、学校を運営していこうとするものです。保護者や地域の願いを学校運営に活かしていこうという考えです。先ほど、法律に基づくと言いましたが、正式には、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」というものです。先ほど、社会教育法がこの3月に改正され、地域学校協働活動が法に明記されたこと、その推進体制を整備すること、そして地域学校協働活動推進員を委嘱することができることに触れました。この社会教育法の改正を受けて、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」も改正されたのです。それは、地域学校協働活動推進員を委嘱している教育委員会は、学校運営協議会の委員にその人も加えなさいというものです。
また、学校には、ご存じのように学習指導の指針であります学習指導要領というのがありますが、これが、小学校では平成32年度から、中学校では平成33年度から新しい学習指導要領に基づく学習指導が行われます。この新しい学習指導要領に「社会に開かれた教育課程」という言葉が登場しました。これは、地域の自然・文化・歴史・産業・人材等を活用した学習指導を展開しなさいということです。この社会に開かれた教育課程が実現できているかの判断の視点について、次のように述べています。「子供たちの主体的・対話的で深い学びを実現するためのアクティブラーニングの視点として、子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを拡げ深める対話的な学びが実現されているか」と。
つまり、地域の人との対話や先哲の考えを学習するなどして、よりよい社会づくりに自分にはどんなことができるかなどを学習する学習課程を創りなさいと言うことです。
学校では、「社会に開かれた教育課程」を媒介に、「地域とともにある学校づくり」、そして「学校を核とした新たな地域づくり」を目指しています。このような学校教育の動きの中で、公民館は、これらの活動、学校づくり、地域づくりを支える地域学校協働活動の実践者を発掘養成することが重要な役割の一つとなっていると思います。本日の演題を「公民館活動と地域づくり」としましたが、公民館の地域づくりは、とりもなおさず学校づくりと直結するものと思います。
今後、上益城の公民館が学校教育課をはじめ首長部局、教育委員や社会教育委員、地域づくり協議会や社会教育関係団体、福祉活動団体、NPO等と連携して学校づくりまでも視野に入れた地域づくりに励まれることを期待します。
皆さんは、若い頃、「次郎物語」をお読みになったことがあると思います。作者の下村湖人は、この次郎物語で、「白鳥蘆花に入る」という言葉を使っています。これは、真っ白い葦の原に白鳥が舞い降りると、どこに舞い降りたか分からないが、白鳥の羽風がやがて葦原一面に広がるという意味です。
皆さん方、お一人お一人の考え、行動で、地域に新風を送り込んでください。
おわりに、島津日新齋の「いろはうた」
いにしえの 道を聞いても唱えても 我が行いにせずば 甲斐なし
を紹介します。
島津日新齋とは、鹿児島県島津藩の中興の祖と言われている人です。このいろはうたは、島津藩武士の行動の指針となったと言われています。
その最初のうた、「いにしえの 道を聞いても唱えても 我が行いにせずば 甲斐なし」は、学習の成果を生かして行動に移さなかったら意味がないということです。
学びを通しての地域づくりを進めましょう。学校づくりを進めましょう。
公民館がその先頭に立ちましょう。
ご静聴ありがとうございました。