公民館講座で学んだ知識や技能を生かして子どもたちを支援しましょう
平成20年4月23日
益城町文化会館


 桜の季節も終わり、新緑が萌える季節となりました。春風が心地よく感じられます今日この頃です。
 1年のうちで、最も暮らしよい季節です。
 江戸時代の儒学者 佐藤一斎の言葉「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」実感する季節です。
 ところで、3月から4月にかけて茨城県、岡山県、福岡県、そして2日前は鹿児島県で若者が通りすがりの人を殺めるという誠に悲惨な事件が相次ぎました。それも「誰か人を殺したかった」「誰でも良かった」などと言っているそうです。人の命をなんと考えているのでしょうか。命に対する畏敬の念が消失しているように思えます。どんな育ちをしてきたのでしょうか。
 皆さんが子育てをしておられたときは、「うそをつかない」「人のものを盗まない」「無益な殺生をしない」の3つをいつも言って聞かせてこられたでしょう。この3つは今でも子育ての3原則だと思います。地域ぐるみで、してはいけないこと、しなければならないことを厳しく教え続けようではありませんか。命の尊厳をきっちりと受け止め、命への畏敬の念を育てる家庭教育、地域教育をつくりあげたいと強く思います。
 3月末に配付しました、益城町の生涯学習情報誌「きらめき」のおしどり夫婦で紹介しました○○さんは、「益城町に転居して10年、初めは隣近所の方もよく知らなかったが、公民館講座で学ぶようになって、知り合いが増え、新しい友だちができ、学びの楽しさを実感でき、充実した毎日を過ごしている。もっと、もっとたくさんの町民の皆さんが公民館講座を学んで欲しい」と話されました。
 公民館講座は、自分自身の学習欲求を満たすとともにこのように新しい仲間を作ることができます。その仲間の輪が地域づくりにつながります。公民館講座を通して、住民の連帯の輪を拡げましょう。そして、生涯学習のまち「益城町」を私たちの手で創りあげようではありませんか。
 昨日は、全国一斉学力テストが実施されました。子どもたちの学力の低下が社会問題となっています。とくに、学んだことを実生活に生かす応用力、つまり「生きた学力」が今求められています。学校では、総合的な学習の時間でありますとか社会科などの時間に地域学習を進めています。地域の人材の助けで学習の幅や質を拡げたり、地域教材を使って身近な生活の中で生きた学力を身につけています。
 文部科学省は、子どもたちの学力向上はもとより、先生方がもっと子どもと向き合う時間を確保したり、地域の皆さんが公民館講座など学習で得た知識や技能を生かす場を提供したりする「学校支援地域本部」事業を今年度から始めました。
 益城町でも、益城中央小学校でこの事業を進めることになりました。
 言い換えますと、この事業は「地域全体で学校教育を支援していきましょう」「地域教育力の活性化を図りましょう」「学習成果の活用の機会を拡げましょう」というものです。
 この事業の先取りの形で、公民館講座「そろばん教室」の人たちと小学3年生のそろばん学習のお手伝いを2年前から始めました。今年は、広安西小学校、飯野小学校、益城中央小学校でそろばん学習のお手伝いをしました。
 先生がそろばん学習の基本を指導され、各自が計算方法を練習する時間に私たちがお手伝いするのです。先生もたいへん喜ばれました。子どもたちも、日頃は休み時間になるとすぐに運動場へ跳んでいくところが、「おばちゃん、教えて」「おじちゃん、教えて」とそろばんの練習に取り組んでしました。
 そのことを熊日読者の広場に投稿したものです。読んでみます。


                    知識や技能で子どもを支援

 「今日はそろばん名人さんと一緒に学習します。」先生の巧みな指導でそろばん学習が始まった。公民館講座「そろばん教室」の受講生6人が授業を手伝った。
 先生の丁寧な指導で、子供たちは1珠や5珠の意味、数の読み方す直ぐに理解できた。1珠を入れるときは親指、1珠を取るときと5珠を入れたり取ったりするときは人差し指を使うことも理解できた。
 個別学習になり、私たちボランティアの出番がきた。子どもが珠を入れる様子を観察すると、親指で入れるか、人差し指で入れるかを一生懸命考えて入れる様子が手に取るように分かる。珠を入れたところで、「よくできたよ」と頭をなで褒めると笑顔が返ってくる。1時間の授業があっという間に終わる。授業が終われば、運動場に飛んでいく子どもたちが、「おじちゃん、教えて」とさらに難しい問題に挑戦する。
 授業後短時間ではあったが、子どもの学習について先生と情報を交換した。先生は、日頃見えない子どもの良さが見えて大変良かったと話された。本年度から地域で学校教育を支援する文科省の学校支援地域本部事業が始まる。公民館講座で学んだ知識や技能を生かし、子供たちの更なる成長を側面から支援していきたい。

 このお手伝いの後で、子どもたちからお礼の手紙をもらいました。その中から2人の手紙を紹介します。


                    そろばんの先生へ

 この前はそろばんを教えてくれてありがとうございました。さいしょは、(珠の)動かし方も知らなかったけど、先生たちの話を聞いて、1だまや5だま、位などのしくみがよくわかりました。先生たちはぼくたちがたった3日でくわしくわかるように教えてくれてすごいです。
 さいごのよみあげざんは、ひっさんのぼくたちもおいつけないくらいはやくてびっくりしました。
 これから先生に教えてもらったことをつかってそろばんをがんばります。

                    そろばんの先生へ

 そろばんを教えてくれてありがとうございます。
 さいしょはそろばんとかおもしろくないと思っていたけど、教えてもらううちにだんだん楽しくなってきてよかったです。
 家にそろばんがあるかられんしゅうしています。だから、これからもっといろんなことをおぼえていっぱいみにつけていきたいです。     

 学校支援には、今紹介しました小学校3年生算数のそろばん学習他、小学校図画工作や中学校美術での竹細工や木工、陶芸。書き方の時間の毛筆や硬筆の学習。幼稚園や保育園、小学校での絵本の読み聞かせ等いろんなものがあります。
 本町では、既に、陶芸教室の方が学校で陶芸のお手伝いをしたり、施設で粘土細工を教えたり、囲碁を教えたりしている方たちが大勢いらっしゃいます。
 さらにたくさんの方々に、公民館講座で学んだ知識や技能を生かして施設での療育や学校の教育のお手伝いをして欲しいと願っています。
 皆さんに学校支援ボランティア募集用紙を配付しています。どうぞふるって人材バンクにご登録ください。
 また、隣近所にこんなことを教えることができる名人さんがいらっしゃるという方をご存じでしたら、そのような方も推薦してください。
 益城町公民館講座がますます充実・発展しますとともに、町全体が生涯学習のまちとなりますことを念じています。