お題……『STEP』(WIN)
言わずと知れた……というか、ここの対談読んでくださってる方なら今さら説明の必要もないでしょうけど、乙女ゲームブランド、アメデオの新作………
なんだよ、乙女18禁ゲームって?(笑)
何やら、微妙に違和感を覚えますがそれはそれ。
まあ、例によって例の如くごく平凡な女子高生、彼氏いない歴イコール実年齢の秋野みのりが主人公。
舞台は当然のように並木町、並木学園で……季節は冬。
これまでのアメデオのゲームの対談を読み返しつつ、クリスマスに向かってレッツゴーな展開と思っていただければ、それほど説明を必要とするゲームではないかと。
高 任:「もう、2年が過ぎたのか…」
ラオウ:「いきなり何の話よ?」
高 任:「いや、『ペット探偵』の対談のラストで、『また2年後にお会いしましょう』とかいうネタを飛ばしておいたような記憶が(笑)」
吉 井:「あれって、ネタだったの?(笑)」
高 任:「まあ、きっちり2年後でしたし……いや、ゲームが発売されたのは去年の12月で、今は3月だったりするわけですが」
吉 井:「結局、高任君がこれ買ったの2月ですか?」
高 任:「いや、例によって例の如く、12月発売予定から何ヶ月か伸びるんだろうなあ…などと失礼な想像していたのもので(笑)」
ラオウ:「確かに失礼だ」
吉 井:「まあ、作品の時期が12月ですし。そこは外せなかったのではないかと」
高 任:「というか、もう、忙しくて忙しくて、それどころではなかったというあたりに主原因が」
ラオウ:「去年の12月に一度遊びに行ったんですが、倦怠期の夫婦でももうちょっと会話あるだろ…ぐらいにすれ違いましたからね」
吉 井:「なんか日記で書いてましたね」
ラオウ:「ところで…なんかパッケージには、アメデオのゲーム第五弾とか書いてあったんですが」
高 任:「気にするな」
吉 井:「それはきっと誤植です。このゲームが4作目ですよ(笑)」
ラオウ:「いや、でも…」
高 任:「4作目だよ」
吉 井:「4作目です」
ラオウ:「そうか…まあ、深くは追求しまい」
吉 井:「しないでください」
高 任:「乙女的18禁ゲームってなんか違和感覚えませんか?(笑)」
ラオウ:「いや、乙女ってのは基本的に二つの意味があるからして……年の若いという意味で言うなら何の問題もないと断言できるぞ(笑)」
吉 井:「なるほど……なんか違う意味ですごく大問題のような気もしますが」
高 任:「まあ、それはそれでいいんだけど……」
ラオウ:「……」
高 任:「……いいんだけどさ」
ラオウ:「吉井さん、とりあえず耳をふさごうか(笑)」
吉 井:「言われなくても(笑)」
高 任:「……」
ラオウ:「こらこらこら、いきなり部屋の真ん中にちゃぶ台をおくなっ!」
高 任:「いや、二人共に耳をふさがれたら、とりあえずこれをひっくり返してからでないと対談できないだろ?」
吉 井:「ひっくり返さずに始めようよ、お願いだから」
ラオウ:「この男は放っておくとマジでひっくり返しかねんからな」
高 任:「まあ、ご飯とかみそ汁が並んだちゃぶ台をひっくり返すのは人としてどうかと思うが、ただのちゃぶ台ひっくり返してもただのちゃぶ台がひっくり返るだけだからかまわんだろ」
ラオウ:「俺の方に向かってひっくり返すんじゃなきゃな(笑)」
高 任:「吉井さんの方に向かってひっくり返すわけにもいくまい(笑)」
いきなり脱線。
高 任:「このゲームの制作メーカーAMEDEOって書いてあるけど、実は読み方が違って、アメデオとは別メーカーとか言うオチはないんですか?」
ラオウ:「おいおいおいおい」
高 任:「違う、これアメデオのゲーム違うっ!」
ラオウ:「子供かお前は」
吉 井:「高任君、現実逃避はいけないよ」
高 任:「現実から逃避したくなるぐらい忙しい状況からやっと解放されて、さてアメデオのゲームでもやりますかね……で、これなら、現実逃避もしたくなるよ」
ラオウ:「んー」
高 任:「いまさら説明する必要もないと思いますが、俺がアメデオというメーカーに要求するハードルは高いです。それは俺自身も承知ですが……このゲームをプレイして、がっかりしたってのが正直なところで」
吉 井:「……なんか最近の対談って、まず結論から入ってない?(笑)」
高 任:「ゲーム全体の出来云々の問題じゃなくて……いや、問題でもあるんだけど、18禁がどうとかいう問題でもなくて……こう、あれだ。敢えて18禁にしたのは、18禁じゃないと描き出せないドラマを描きたかったからじゃないのか?とか思うわけで」
吉 井:「…というと?」
高 任:「早い話……このゲームは、というか…このシナリオは18禁にする必要があったのかなあ?プレイし終えて、まずそれが頭に浮かんだというか」
ラオウ:「つまり……高任君が言いたいのは、18禁にしたのは目的のための手段であるべきだろうと思っていたのに、ゲームをプレイしてみたらただの目的か、惰性によるモノとしか思えなかったと」
高 任:「ありがとう、心の友よ(笑)」
吉 井:「ラ、ラオウさん…」
ラオウ:「いや、つきあい長くなるとこのぐらいは(笑)」
高 任:「まあ、ゲームの出来が酷いとかじゃないですけどね……なんか、こう…俺の嫌いな…その…なんちゃってエロゲーの気配が(爆笑)」
吉 井:「んー」
ラオウ:「んー」
高 任:「この二人、笑ったくせに、発言なしでいい子ちゃんになろうとしてやがる」
ラオウ:「いや、地雷を踏むのは高任さん。これは昔からのお約束だから」
吉 井:「お約束なら仕方ないですね」
ラオウ:「や、吉井さんも時々踏んでますからね、自覚ないみたいですが(笑)」
高 任:「ラオウさん、地雷は誰かが踏まなきゃいけないんだよ(笑)」
ラオウ:「うむ、だからお前が踏め。俺は黙ってそれを応援してるから(笑)」
ちょっと脱線。
高 任:「それにしても……並木町って東京の武蔵野だったんですね、ちょっとショックですわ(笑)」
吉 井:「は?」
高 任:「いや、イメージ的に静岡か、新潟か福岡あたりかなあ……と思って設定を詰めていたので(笑)」
ラオウ:「なんの設定よ?」
高 任:「気にするな」
ラオウ:「そうか、なら気にしない……でも、実在する地名には一切関係ないとかいうぐらいなら、別の名前つけろよとは思ったが(笑)」
高 任:「主人公が、『静岡から東京に引っ越してきました』とか言った瞬間、正直固まりましたね」
吉 井:「主人公が転校生……と言っても、子供の頃住んでた場所だから、高任君の好きな幼なじみシチュエーションはばっちりだけど」
高 任:「なわとびが出来なくて泣いていた主人公を見かねて、縄を引きちぎり、『泣くな、俺強かったろ』の一言。心温まる思い出です(笑)」
ラオウ:「全然違うわっ!」
吉 井:「縄引きちぎるって……すごいやな子供だよ(笑)」
高 任:「縄跳びって、何で冬になるとやらされたんでしょうか?二重飛びとかやってて、縄が耳に当たると地獄の苦しみですよね。あれは、タンスの角に小指をぶつけるに勝るとも劣らない(笑)」
ラオウ:「そうだなあ…マラソンとかは、夏にやると子供がばたばた倒れますからわかるけど…」
吉 井:「……苦痛はともかく、怪我をしにくいからでは?」
ラオウ:「なるほど…確かに」
高 任:「しかし、浩太にいちゃんはあの時何歳なんですかね?」
ラオウ:「……高校だろ?」
吉 井:「主人公は、小学校に上がるかあがらないかぐらい……かな?確か、十数年ぶりとか言ってましたし、高校2年ですよね?」
ラオウ:「まあ、普通に考えると十数年ってのは、12、3年を指すし…主人公は高2で17歳だから、浩太にいちゃんは今30手前ぐらいか」
高 任:「待て待て待て」
ラオウ:「何?」
高 任:「いや、これ18禁ゲームだから。高2でも主人公は18歳以上だよ(笑)」
吉 井:「ああっ、言われてみれば(笑)」
高 任:「いや、ゲーム起動してなんか変だな……と思ってたんだけど、このゲームって、登場人物は全員18歳以上です……の但し書きがないよ、多分」
ラオウ:「えっと…あれって、必要なんだっけ?」
高 任:「男性向けというか、18禁ゲームでは、外見が誤解を招く絵柄だったり、登場人物が学生だったりする場合はそういう但し書きをつける……的な指導はされます。今はどうか知らなんけど」
ラオウ:「なるほど」
高 任:「まあ、そんな話はどうでもいいやね……というか、ゲームの中で主人公の母親が、弟の浩太に作らせたバレンタインチョコを手に、今の旦那さんにアタックした……みたいな会話があったやん」
吉 井:「……あったね」
高 任:「あの思い出の中で仮に、主人公が6歳で浩太にいちゃんが17歳だったとしよう」
ラオウ:「……おや?(笑)」
高 任:「主人公の母親って、小学生の弟にバレンタインチョコ作らせて、それ持ってアタックしたわけでしょ?この母親って、結構えげつないと思ったのは俺だけですか?(大爆笑)」
吉 井:「いや、そんなこと気づくのは高任君だけだよきっと」
ラオウ:「……電撃結婚、即妊娠とかじゃない場合、小学生にあがったばかりの弟に……というケースにも(大爆笑)」
高 任:「ひどいっ、ひどいや姉さん(爆笑)」
吉 井:「その台詞やめて。某サ〇エさんの顔が主人公の母親の顔に固定されちゃう(笑)」
ラオウ:「(しみじみと)そうか、マ〇オさん海外赴任か…(爆笑)」
吉 井:「やめてくださいってば(笑)」
ちょい脱線。
高 任:「まあ、何にせよ浩太にいちゃんのシナリオというか、テキストは他のメンツより気合いが入ってたように感じましたが……『シエスタ』あたりから察するに、こういうシチュエーションが好きなんですかね?(笑)」
吉 井:「ですかね」
ラオウ:「つーか、白鳥先生怖くない?」
高 任:「は?」
ラオウ:「いや、今ひとつ状況がつかめなかったんだけど……主人公が、帰宅した浩太に抱きついた…のを、ドアの隙間から見ていたって…」
高 任:「ああ…」
ラオウ:「主人公と親戚というか、兄弟云々は隠してたわけだから……浩太が白鳥先生を連れてくることはまずないし、そもそも浩太にいちゃんの住所ってアパートなわけだろ。とすると……ストーカーやん、この女」
吉 井:「む、むう…」
高 任:「なんか、俺の求めているのとは違う意味でドラマティックな内容やな(笑)」
ラオウ:「まあ……ラストのあの伝言内容は、二人を思いとどまらせるための嘘ですよね、おそらくは」
高 任:「だよね、筋通らない以前に……養子をもらった、実の姉相手に『息子の浩太も小学生になりました』という文章の書き方は普通しませんし」
吉 井:「え?」
高 任:「いや、『息子の』って表現は、養子を貰った姉に対しての…とは思えないですし。ただ、養子云々は本当かも知れないですね。遠い親戚ならともかく、ごく普通の親戚づきあいしてる相手なら、わざわざ『息子の』とか書かずに『浩太も小学生になりました…』的な書き方にするでしょう。『息子の』という表現に、養子ではなくと自分たちの子…という切実な想いが滲み出ているってのはありそうですし」
吉 井:「え、いや…だったらなんでそんなうそをつく必要が?」
ラオウ:「世間体の問題では?」
吉 井:「むう…」
ラオウ:「浩太の名字が楢崎で、主人公の名字が秋野、で、手紙の主の名字が麻生……つまり、あれが真実だとしたら昔浩太は楢崎浩太から、麻生浩太になり、で、楢崎浩太に戻ったわけだよね」
高 任:「浩太にいちゃん本人としては、麻生浩太から楢崎浩太になった記憶が残ってる…と」
ラオウ:「……一度養子に出した子供を養子として引き取るってのは、確か財産相続で悪用されるケースがあるから、出来なかったような…いや、調べたわけじゃないですが」
高 任:「財産相続上の悪用を防ぐ云々の理由なら、父親および母親の再婚相手とは結婚できないってのが有名ですが……それを考えると、養子がらみでもそのケースはおおいにあり得るな」
吉 井:「一度養子に出して…実子として引き戻しただけでは?」
ラオウ:「いや、養子に出した時点で戸籍上は無関係になるんじゃなかったかな?だから、もう一度自分たちの子供に…という手続きが必要だったような。だから、実子として戻るかどうかはまあ、調べてみないとわからないけど」
高 任:「それよりも、浩太にいちゃんの他に男兄弟がいるってのが前提ですよね?ナンセンスとか言われるかも知れませんが、主人公の母親の名字は秋野だから嫁に行ったわけですし……仮に浩太が一人息子だった場合、養子には出さないと思うな……俺は田舎出身なので、この手の考え方は通用しないかも知れませんが」
ラオウ:「他にも不自然な部分はありますが、普通に考えるとあの伝言は二人を思いとどまらせるための虚言で、何故そんなことをしたかというと、近所に住む人間にとっては浩太は楢崎家の息子なわけで……やっぱり世間体を気にしたんじゃないか、と解釈するのが一番自然な気がします」
吉 井:「え、あれ…なんか丸め込まれてるような…」
ラオウ:「18禁ゲームだからといっても、何でもオッケーじゃないのは知ってますよね?例えば、近親相姦ネタなんかは規制の対象になりますし……そこから逆算すると、血のつながりはないんですよこの二人(爆笑)」
高 任:「いや、その論理は、まず前提が間違ってないか?(笑)」
ラオウ:「まあ、正直なところどっちでもいいですけどね(笑)」
高 任:「それは確かに……『かまわない』の選択にロマンを感じる方なら、その設定を信じればいいし、自分たちの世間体を大事にして、嘘で二人を引き裂こうとする……というシチュエーションが好きな人ならそっちを信じればいいですよね(笑)」
吉 井:「だったら、何故わざわざそんな…(笑)」
高 任:「いや、物語って二面性を持ってますから(笑)」
ラオウ:「というか、こういう見方も出来ますよ……という、別の視点を与えるきっかけになるかと」
吉 井:「なるほど…」
高 任:「それにしても……なんというか、『山をなめるなっ』てのは男なら一度は言ってみたい台詞ですな(爆笑)」
ラオウ:「高任さん、『男』でひとくくりにしないように」
吉 井:「というか、服装からして、浩太にいちゃんも結構山をなめてますよね(笑)」
ラオウ:「まあ、それはグラフィックの問題ですし……わざわざ登山服なんか描きたくないでしょう」
吉 井:「それでも雪山でワイシャツ(胸元あき)と薄い上着はあんまりだと思います(笑)」
高 任:「しかし、主人公が雪山に行って……こう、雪庇を踏み抜いて危機一髪のところを…とかいうシチュの方が俺は好みなんですが。というか、プレイしながら、雪崩かな、滑落かな…とワクワクしてたのに(笑)」
ラオウ:「…せっぴと言うと?」
高 任:「ああ、雪の庇というか……こう、実際の地面よりも庇のように張り出しちゃうわけですよ、雪が。そこに人間の体重がかかったら…崩れて滑落しちゃうわけで」
ラオウ:「なるほど……道の真ん中を歩けばいいんですね(笑)」
吉 井:「さすが一休さん(笑)」
高 任:「いや、そうじゃないです、風向きなどの要因によってどっちかに偏ったりするわけですよ。右の方がちゃんと地面で、真ん中から左は全部落とし穴状態、もしくはその逆みたいなケースもあるわけで。だからこう、ここは大丈夫かな…と、地面をつつきながら、一歩一歩足下を確かめながら雪山登山は行くわけです」
ラオウ:「一休さんダメじゃん(笑)」
高 任:「ぽくぽくぽくちーん…で、『真ん中を渡ればいいんだ』とか言って歩き出した瞬間、山の斜面を滑り落ちていく一休さん(爆笑)」
ラオウ:「それはそれで、ちょっと見てみたいが(笑)」
吉 井:「山は怖いよ…」
高 任:「まあ、それはそれとして…こう、滑落しかけたのを何かに捕まって、身動きできない状態に陥って……あ、もうダメだと思った最後に『浩太にいちゃーん』とか大きな声で叫んで手が離れた瞬間、颯爽と現れた浩太にいちゃんが主人公の腕をしっかりと握って…」
ラオウ:「ふぁいとーっ?」
高 任:「いっぱーっつ…って、違うっ!(爆笑)」
吉 井:「ラ、ラオウさん……ナイスタイミング」
ラオウ:「(意外そうに)というか、このネタのためにこういう話題をふったのでは?」
高 任:「アメデオのゲームの対談で、そんなネタふるかよ」
脱線。
ラオウ:「しかしあれですな……『大きくなったら浩太おにいちゃんと結婚する』ってのは微笑ましいエピソードですが、逆だったらめちゃめちゃ問題になるよな(笑)」
高 任:「へ、逆…って、いつか殺すとか?」
吉 井:「高任君、それ嫌すぎる(笑)」
ラオウ:「じゃなくて、『大きくなったらおにいちゃんと結婚しような、みのり』…という感じの(爆笑)」
高 任:「そ、そうですね……それから十数年経って『ずっと好きだった…』とか言われると、かなり問題あるかも(笑)」
ラオウ:「……主人公は浩太にいちゃんに対してアレでしたが……浩太にいちゃん、主人公に惚れるの早すぎません?ひょっとして…(笑)」
吉 井:「ラオウさん、浩太にいちゃん汚すのやめてください(笑)」
高 任:「まあ、浩太にいちゃんのことばっかり話してても仕方ない……といっても、やっぱり浩太にいちゃんシナリオの出来が一番いいんだが。キャラとしても好きだし」
ラオウ:「ん…」
吉 井:「じゃあ、上から順番に(笑)」
ラオウ:「幼なじみの夕君ですか」
高 任:「……」
ラオウ:「どうしました?」
高 任:「いや、地雷を踏むのは俺の役割なのか?」
ラオウ:「役割というか天性というか…(笑)」
高 任:「じゃあ……夕君、いきなり主人公縛るし(大爆笑)」
吉 井:「ま、まあ、手首だけだから」
ラオウ:「いや、十分だろそれ(笑)」
高 任:「屋上でも結構無茶を(笑)」
ラオウ:「ふむ、アレは何というかアレだな……夕君の、主人公に対する良い意味での甘えの感情表現なんだよ多分」
高 任:「そりゃまあ、主人公以外にはやらんだろうさ」
吉 井:「そんなことよりもっと大事な問題が」
ラオウ:「ん?」
吉 井:「夕君、高2なのに車乗ってます。18歳にならないと、免許もらえませんよね。バイクなら16歳でオッケーですが」
高 任:「吉井さん。さっきも言ったけど、高2だけど18歳以上ですから(笑)」
吉 井:「ああ、そういえば…」
ラオウ:「でも、ライセンスか国際免許なら確か17歳でも…」
吉 井:「ラオウさん、考えすぎ」
高 任:「……というわけで、氷のプリンスこと、雨羽夕君です」
ラオウ:「会話の流れ的に、全然説得力ないな(笑)」
高 任:「まあ、氷のプリンス云々は、回りの女子が勝手に言ってるだけのことですし……でも実際は…パターンのはずなんですが、後半部分になると、ボーイズラブにありがちな眼鏡キャラに成り下がってしまっているように感じるのは俺だけですか?」
ラオウ:「ボーイズラブにありがちな、と言われても(笑)」
吉 井:「ありがちな…と言えるほど何をやってるのか高任君(笑)」
高 任:「新鮮な感性を感じられたりすることもありますし。なんちゃってギャルゲーとかやらされるよりは……つーか、まあ、高校から大学にかけて知り合った大きなお姉さんの洗脳が上手だったのかも知れません(笑)」
ラオウ:「いや、話逸れてるから」
高 任:「……まあ、言ってみれば浩太にいちゃんと同じく幼なじみキャラというか、昔なじみキャラなわけですが……こう、浩太にいちゃんと比べると情報の少なさが明らかですよね」
ラオウ:「家の中というか、日常生活に絡んでくる率が少ないからな」
高 任:「その分、キャラとしての書き込みというか、掘り下げが甘いように俺は思えました。その影響か、後半の展開もどことなく上滑りしてるような感じで……まあ、『シエスタ』の繰り返しになるからそれ以上は言わないけど」
ラオウ:「あ、そういえば…」
高 任:「ん?」
ラオウ:「砂浜に二人で腰を下ろしたらやっぱり夕日が沈むんですね」
高 任:「当たり前じゃないですか。『ペット探偵』で言ったでしょ?」
吉 井:「(ぼそぼそと)……この人達は、何で無駄に記憶力がよいのだろう…」
ラオウ:「家を出たの9時なのに……なんか唐突に夕日で、なるほどこれがお約束なのか、と(笑)」
吉 井:「いや、渋滞にはまって、車が故障して、それを調べて…うーん?」
高 任:「別に考えなくても。砂浜だと、腰を下ろせば夕日。ねっころがれば星空。それでおっけー(笑)」
吉 井:「な、なるほど…」
ラオウ:「なんか高任さんに言われるとそれでいいような気がしてくるよ(笑)」
高 任:「しかし、夕君も知的でクールなキャラ云々はいいんですが……個人の趣味もあるでしょうけど、知的でクールなキャラの醍醐味と言えば、主人公に対してただけクールでいられなかったり、主人公より格上と見られるライバルをさらりと流し、主人公の手を取って、『そろそろ気づいて欲しいな、僕は他の誰でもないキミがいいんだ』みたいな台詞と共に手の甲にキスをする…みたいな、あれじゃないんでしょうか?(笑)」
ラオウ:「さらりとすげえ事言うな、お前」
高 任:「つーか、このシナリオって……夕君にとって、主人公がいい…というあたりが弱いような気がしませんか?そりゃ、その手の台詞はぽろぽろ出てきますけど、いかんせんぽろぽろだしすぎるとひとつひとつの台詞が弱くなるというか……そんでもって、後半は、夕君の母親とか父親の展開があって、そのあたりが霞んでしまうと言うか」
吉 井:「むう」
高 任:「そりゃ、つまるところは個人の趣味に帰結しますけどね……シナリオの山と谷ってあくまでも二人の恋愛にとっての山と谷であるべきでは……と思うんですよ。そういう意味では浩太にいちゃんのシナリオは、もう、教師と教え子云々なり、白鳥先生なり、ダイレクトに二人の恋愛に対する障害であって……なのに、夕君のシナリオの場合は、もちろん間接的にはそうなんですが……あのシナリオでいきたいのなら、あくまでも主人公の役どころは、夕君を暖かく包み込む……的なポジションじゃないと、と俺は思うんですが、どうでしょう?」
ラオウ:「ごめん、どうでしょう?と言われても(笑)」
高 任:「まあ、このゲームの主題がどこにあるか……で話は変わってくるんですけどね。素敵な初体験云々ならシナリオ構成はまた別物ですし……ただ、ゲーム全体を通してみると、初体験云々も、恋愛というかその過程に関してもちょっと中途半端じゃないかな、と思わざるを得ないと言うか。そういや、初体験より、妙にキスシーンに魂入ってるように感じましたが、俺は(笑)」
吉 井:「高任君の言うこともわかるけど、今作のタイトルって『STEP…二人の関係は一歩ずつ』だし」
高 任:「と、言いますと?」
吉 井:「山あり、谷ありの従来のシナリオだと、二人の関係は一歩ずつじゃなくて、空中3歩半でいきなりゴールにたどり着いたりしてしまうような(爆笑)」
ラオウ:「懐かしいですね、空中3歩半」
吉 井:「名は体を表すというケースは多くないけど、少なくともそういう意図が含まれてのタイトルだろうし、シナリオではないかと」
高 任:「……4人が4人とも、『一歩ずつ』というシナリオ展開じゃなかったような気もしますが(笑)」
吉 井:「で、鬼頭君ですか」
高 任:「はやりと言うことでツンデレキャラ採用ですか」
ラオウ:「……」
吉 井:「……」
高 任:「……な、何か変なこと言いましたか俺?」
ラオウ:「あ、いや……なんというかツンデレキャラと言われると、無意識に女性キャラを連想してしまったもので」
吉 井:「い、言われてみると、そうだね…鬼頭君、ツンデレだよ」
ラオウ:「さすが高任さん。俺らとはものさしの大きさが違うよな」
高 任:「なんかすげえ馬鹿にされてるような気がするのは気のせいか?」
ラオウ:「気のせいだ」
高 任:「そうか、気のせいか…だったらいいんだ」
吉 井:「そ、それはそうと……なんかこのキャラのシナリオって、微笑ましいままエンディングを迎えてしまった…みたいな気がしません?(笑)」
高 任:「まあ……ある意味、もっとも乙女18禁シナリオだったような気がしないでもない(笑)」
ラオウ:「つーか、このキャラのバッドエンドって、バッドの感じがしないよね……つーか、エンディングがないだけだし」
高 任:「……ふう」
ラオウ:「何故ため息?」
高 任:「このキャラあるよ、バッドエンド。しかもとびきりのバッド」
ラオウ:「あれ?」
高 任:「まあ、CGとかあるわけじゃないですが……確かに、ちょっと条件は面倒くさいかも」
吉 井:「あれ?」
高 任:「吉井さんもデスか……まあ、浩太にいちゃんや夕君と違って、残りの二人のバッドは本気のバッドエンドで、しかも条件がややこしいったら……えーと、セーブデータありますから……」
確認作業中。
ラオウ:「なんというか……鬼頭君、本気でバッドエンドやな(笑)」
吉 井:「昔のゲームの瞬殺トラップぐらいバッドエンドですね」
高 任:「いや、多分、主人公にプレゼントしてもらったマフラーが風で飛ばされて…」
ラオウ:「マフラーは風でとばんだろ(笑)」
高 任:「編み方が下手だったから、交差点でいきなりぱらぱらぱらっとほどけだして…」
吉 井:「ああ、それならありそう」
高 任:「うーん……個人的には、鬼頭君で、18禁じゃないシナリオってのを見てみたかった気がするんですよね。主人公と趣味や好みがまるっきり同じ、何でも話せる、何でも分かり合える……こう、そんな二人がするっとすれ違ってしまう展開なんかを想像するとワクワクするです(笑)」
ラオウ:「そうか」
高 任:「つーか、その5歳年上の女とかシナリオに出せばいいんとちゃうの?なんでも分かり合えると思っていた分、自分と相手の間にある溝の存在を知ったときのショックはでかいだろうし、その上でまた分かり合えたときの感激もひとしおだろうし……何故そういうシナリオにしなかったんですかね?」
ラオウ:「さあ?」
高 任:「というか、俺の知る限りこれまでのアメデオはそうしてきたし、そうしたはずだと思うんですが……まあ、鬼頭君のシナリオはこれはこれで『おおきくなったら結婚しようね』的な子供同士の約束的な微笑ましさを感じましたが、なんかこう、注文した料理とは違うモノが出てきた感じですな」
吉 井:「溝を作りかけても、『うん、信じるよ』と『俺はお前が好きなんだ』だけで乗り越えちゃったし(笑)」
高 任:「そりゃ、信じることは大切ですが、なんかこのシナリオの相手を信じるって軽いですよね。なんかこれ以上考えたくないから……信じる、みたいな」
ラオウ:「まあ……自分たちは似てるから…で、思考が止まってるのは確かですな」
高 任:「本当に理解し合って…という風には思えなかったから、プレイしながら二人の行く末に危ういモノを感じてワクワクしてたのに、そのまま終わっちまったよ(爆笑)」
ラオウ:「破局を予想してワクワクするなよ」
高 任:「別に破局というわけじゃなくて、さよならは再び会うまでの遠い約束なんだよ。ほら、夕君のバッドエンドもそんな感じだし(笑)」
吉 井:「……」
ラオウ:「どうしました?」
吉 井:「もしかすると、夕君のバッドエンドも見てないかも(笑)」
高 任:「あれは…見ておいた方がいいかも」
ラオウ:「バッドエンドと言えば…アメデオらしいと言えばそれまでだけど、マフラーの色間違えただけでエンドにたどり着けないのは勘弁して欲しいな(笑)」
高 任:「まあ、上から順に白、青、黄、グレーだからすぐに想像はつきましたが……どのキャラのCGにもマフラー色違いがあるから、ゲームクリアしてチェックしたら、『あれ?なんか見逃してる』とか慌てちゃいましたよ(笑)」
吉 井:「全部そろえたの?」
ラオウ:「愚問ですよ、吉井さん」
高 任:「まあ、それはそれとして……俺が思うに、このゲームのシナリオは全体的に軽いというか、キャラの発言なり行動にあまり重みが感じられないと言うか。主題が素敵な初体験だったとしても……こう、なんか軽いノリだね、と」
吉 井:「んー」
高 任:「だから、そういう意味でも、何のための18禁なのか……という疑問が心の中でぐるぐるぐる、バターになってしまいそうな勢いで(笑)」
ラオウ:「いや、いっそ疑問をバターにしてしまえば、悩まなくてもすむのでは?(笑)」
高 任:「さすが一休さん(笑)」
ラオウ:「うむ、真ん中を渡ればいいのだよ」
吉 井:「わけわかりません(笑)」
高 任:「さて……電車某もですが、なんでここまで痛いキャラにする必要があるのかと思ったりしませんか?」
ラオウ:「それはね、痛いキャラにしとかないと洒落にならないからだよ(笑)」
吉 井:「俺らもオタクですし」
高 任:「というわけで、はろーこと、八口君ですが」
ラオウ:「八口一(やぐちはじめ)ではろー…うむ、シンプル。名字と名前を合計しても全部で6画(笑)」
高 任:「高任の高だけで越えちゃう(笑)」
吉 井:「それにしても、みずほの『あなたが幸せなら…私は何も言わないよ』って台詞は冷静に考えると結構失礼な気が(笑)」
ラオウ:「まあね」
高 任:「言葉の9割は人を傷つけ、残りの1割が暖かい気持ちにさせるといいますし」
ラオウ:「1割もあるかな?(笑)」
吉 井:「さらりと黒い台詞を」
高 任:「それにしても……初体験が野外ですか(笑)」
ラオウ:「まあ、車の中の夕君といい勝負と言えばいい勝負で」
高 任:「夕君との2回目観覧車やし、夕君の勝ちでしょう」
ラオウ:「勝った方が、本当の意味では負けてるのかも」
吉 井:「(しみじみと)主人公っていい娘ですよねえ(笑)」
ラオウ:「何ですかいきなり」
吉 井:「いや……浩太にいちゃんが山のロッジで、夕君が車、鬼頭君がラブホテルで、八口君が公園ですよ」
高 任:「……」
ラオウ:「……」
吉 井:「……」
三 人:「おいおいおいおいっ!(大爆笑)」
高 任:「いいのかなあ、乙女18禁ゲームってこれでいいのかなあ?(笑)」
ラオウ:「よ、吉井さんに言われるまで、気づかなかった…」
吉 井:「高任君、山のロッジってどんな感じ?」
高 任:「どんな感じと言われても……ホントに登山客用の山小屋だったら、部屋なんかないですよ。というか、あれは、雪山にあるペンションみたいなモノと理解してたんですが」
ラオウ:「つーか、ケーブルカー止まったら雪道しかないって…山小屋では?」
吉 井:「うーん…」
高 任:「そういや余談ですが、シティホテルみたいな普通のホテルって防犯上、ドアの下部が空いてるから部屋の中の声、丸聞こえというか」
ラオウ:「そりゃそうだろう」
高 任:「ホテルで部屋取って……ってのは、ある意味見知らぬ人間に聞かれまくりなので、そもそもムードもへったくれもないだろうと」
ラオウ:「何の話か(笑)」
高 任:「何故女性はわかってくれないのか……と、知人が昔嘆いてたよ(笑)」
吉 井:「一人暮らししてる大学生とかならさておき、高校生にとって、どこで……ってのは結構問題かもね」
高 任:「まあ、それはそれとして…八口君の話に戻しましょうよ」
ラオウ:「と言ってもな……ちょっと無理めのシナリオというか。高任さん風に言えば、なんちゃって電車某ストーリー以外の何物でもないというか」
吉 井:「ラオウさんそこまで…」
高 任:「つーか、ラオウさんの性格からしてこのキャラが嫌いなんだと」
ラオウ:「まあな……つーか、さっきバッドエンド見てさらに嫌いになったよ(笑)」
吉 井:「あれは酷いというか……アメデオらしからぬバッドエンドというか」
高 任:「まあ、あれはね…」
ラオウ:「自分が白鳥であることに気づいた、みにくいアヒルの子はああなってしまうんだろうか…(笑)」
吉 井:「哲学ですね」
脱線。
高 任:「俺がちょっと気になったのは、主人公がみずほに『無理してない?』とか言われますやん」
吉 井:「うん」
高 任:「まあ、趣味があわねえというか、共通する話題がないあたりはさておき……主人公が無理してるというか、合わせてるのと同じく、八口君も『無理してる』わけですよね?服買って、髪型変えて…とか。そのあたりをきちんと掘り下げて、その上で主人公にどう行動させるかを書き込んだらなんちゃってじゃないシナリオになったような気がするんですけど」
吉 井:「なるほど」
高 任:「人間、変わらなきゃいけない部分はもちろんありますが、変わっちゃいけない部分もあるでしょう……八口君シナリオの場合、主人公って基本的に相手のことをあまり考えてない節がありますよね。多分、主人公が年上のケースで……という狙いはあるんでしょうけど、あれれれ?って感じを受けました」
ラオウ:「まあ、オタクってのは、本質的に相手に合わせないからオタクなんですけどね……高任さんがいい例だ(爆笑)」
高 任:「まあな……そういう意味では、八口君はオタクじゃないよね。単純に経験不足というか、過剰なまでに気を遣ってるわけですし」
吉 井:「オタクの定義そのものがあやふやですから……っていうか否定しないんだね、高任君(笑)」
ラオウ:「そういえば……八口君と一緒にいることで、主人公もそういう扱いを受ける……的なシナリオにはならなかったのな」
高 任:「そうだね……で、それに気づいて八口君が主人公から距離を取り始める…的なシナリオは当然ありですよね。ただ、いじめ云々がからむと、違う意味で話が重くなりすぎるから」
吉 井:「でも…その展開はちょっと興味あるかも」
高 任:「浩太にいちゃんはさておき……誤解を承知で言うと、今作の男キャラってあんまり王子様らしいところを見せてくれなかったんじゃないかと」
ラオウ:「ん?」
高 任:「うまく言葉で言えないけど……劇的なシーンがないよなあ、と。夕君とか鬼頭君とか……まあ、穏やかな恋愛模様ってのが主題なら無い物ねだりに過ぎませんが」
ラオウ:「ふむ」
高 任:「でも、個人的な意見を言わせて貰えば、乙女ゲームってのはリアルじゃイカンのとちがうの?」
二 人:「リアルじゃなダメなのか?(笑)」
高 任:「それこそ、あれ…『シエスタ』の『誰もが一度、シンデレラになる夜』だよ。必要なのはリアルな嘘であって、現実としてのリアルじゃないだろう……と、声を大にして言いたいのですが」
ラオウ:「な、なるほど……言いたいことはわかる。ゲームでリアルな学生生活を送っても意味がないって話だな」
高 任:「まあ、ベクトルの違いであって、ゲームとしての出来とか評価とは別次元の話になるんだろうけど……でも、アメデオの掲げる『乙女』ってのは、そもそもそういうベクトルから出発したんじゃないの?それとも俺の勘違い?(笑)」
ラオウ:「いやあのな、同じベクトルでゲームを作り続けるとつらいんよ。たまには違うベクトルでいかんと大変なんよ……と、昔高任君から聞いた記憶があるんだが(笑)」
ちょっと脱線。
高 任:「そういや、裕香とバリーをはじめ……過去の作品からぼろぼろと名前だけとはいえ、でてきましたな」
吉 井:「本当に名前だけだけど(笑)」
ラオウ:「過去の登場人物が全部出てきたら最終話だよ」
高 任:「……そういう…可能性もあるか」
吉 井:「考えすぎ」
高 任:「しかし、瑞穂が気になったんだけど。俺はてっきり、全員クリアしたら隠しキャラが出てくるか、それとも瑞穂シナリオが始まったりするのかなあとおもってワクワクしてたんだけど」
ラオウ:「ワクワクしっぱなしやな、お前」
高 任:「いや、そのワクワクがほぼ全部裏切られたからがっかりしたんですが」
吉 井:「なるほど」
高 任:「というか、瑞穂が気になる。一体どんな状況になってるんだ、瑞穂(笑)」
吉 井:「彼氏じゃない男とデートとか、なんかすっごい修羅場っぽい状況に陥ってるとしか思えないし(笑)」
ラオウ:「やっぱりおまけシナリオとかないの?」
高 任:「いや、あるのかも知れないけどわからない。4人のグッドエンド、バッドエンドクリア、CG全部クリア、その上で最初からゲームを始めてみたけど、新しい選択肢が増えたりもしないし」
ラオウ:「な、何がお前をそこまで駆り立てる…(笑)」
高 任:「結局、18禁の要素というか、初体験という要素が加わったせいで、シナリオ構成をこれまでにない2段構えにせざるを得なかったってのが、中途半端なイメージをユーザーに与える大きな原因だと思うんですよ」
吉 井:「と…言うと?」
高 任:「これまで作品の場合、王子様と出会う……で、色々あって最後は抱き合ってキス…で、エンディングの流れだったじゃないですか」
ラオウ:「はしょりすぎだろ、それ(笑)」
高 任:「そうじゃなくて、この場合、山場はひとつというか、最後のキスシーンなり告白シーンにむかって盛り上げるだけでいいわけですが……今回の場合、出会いからまあ付き合うことになる…で、一山。で、そこからさらに初体験に向かってもう一山作らなきゃいけないわけで」
吉 井:「うん」
高 任:「ゲーム期間はいつもと同じ1ヶ月ほど……なのに、山場を二つ作らなきゃいけない構成。ただ、例外的に浩太にいちゃんのシナリオは、主人公が告白しても色々な問題があってのびのびになり、結局は、付き合うプラス初体験がほぼ同時期になって、山場がひとつのシナリオになってますよね。しかも血のつながりと教師と生徒というひとつの主題でシナリオを押し通せたわけですよ」
ラオウ:「ふむ」
高 任:「このゲームで、浩太にいちゃんのテキストに込められた気合いはさておき、シナリオ構成に関してはこれまでの作品と同じ方法で良かったわけです。多分そのあたりが完成度の高さにつながってるのではないかと。それに比べて、他の三人の場合は、付き合うまでの障害と、つきあい始めてから初体験までの流れで、別のベクトルで山場を作ろうとして、シナリオの流れそのモノがばらばらというか、ちょっと違和感を覚える出来になったんだろうと」
吉 井:「なるほど…夕君なんかはその典型だと」
ラオウ:「まあ、早い話ゲーム期間にあったシナリオボリュームじゃねえと」
高 任:「もちろん、タイトルの『一歩ずつ』ってのは、付き合うまでのステージと、それから初体験までのステージ…という2ステージ構成を意識したモノだとは思います。ただ、これまでと違う構成になったんだから……やっぱり、シナリオの練り不足なんだろうなと」
ラオウ:「うん…まあ、そんなとこだろうな」
高 任:「だから、結局は何で18禁なのか……に行き着くわけですよ。初体験云々を書きたかったなら、その上でどういう構成にするか、ゲームシステムにするか……あたりを考えなきゃいけないのに、2ステージ構成にして、後はこれまで通り……で、やっちゃってるようなイメージが」
ラオウ:「……俺が気になったのは別のところなんだが」
吉 井:「どこですか?」
ラオウ:「これまでの作品における王子様に告白するというか告白される……の盛り上がりというか重要度の伝わってくる度合いを考えると、こう、この作品の初体験に対しての重要度ってのが今ひとつユーザーに伝わってこないような気がする」
高 任:「というか、つきあい始めるのも弱いと俺は思いますが」
ラオウ:「そりゃ、そもそも俺らは男であるからして、女性にとってはそんなもん説明するまでもない事なのかもしれんが……そのあたりの重要度がユーザーに伝わらない限り盛り上がらんだろうと」
吉 井:「ん、確かに」
高 任:「浩太にいちゃんのぞけば、18禁シーン抜きでもこのシナリオって成立するんですよね……趣味とか関係なく、敢えて18禁シーンが必要な、乙女シナリオを期待した俺としては、はあ?と首を傾げるしかないです」
吉 井:「ハードル高いよ、高任君」
高 任:「というか……18禁でこそ、『シエスタ』のアランみたいなキャラの出番じゃないんですか?『好き?好きってのは結局こういうこと?』とか言いながら主人公の目の前で他の女とキスしたりとか、アランと誰かのエッチシーンを目撃しちゃったりとか……別に主人公の18禁シーンにこだわる必要ないけど、紆余曲折を経てアランが主人公を震えながら抱きしめて…主人公が、『震えてる…の?』『知らなかった…好きな女の子を抱くって、こんなに怖いことだったんだな』とか…主人公が『大丈夫、大丈夫だから…』とかいって抱きしめ返したり…」
吉 井:「高任君ストップ(笑)」
ラオウ:「またスパークしてんな」
高 任:「つーか、基本的に18禁ってことはこれまでよりシナリオの自由度が上がるわけでしょ?なのに、わざわざ不自由なシナリオにしてるような……だったら、そもそもなんで18禁にしたんだか……と」
ラオウ:「まあ……確かに、そこに行き着くんだよな。何故18禁なのか」
吉 井:「ですよねえ…シナリオ的には、18禁シーンのための18禁としか」
高 任:「乙女ゲーってのは、こう、リアルな嘘で無駄にキラキラしてなきゃいけないんじゃないんですか?」
ラオウ:「む、無駄にキラキラか……なんとなくイメージは伝わるな(笑)」
高 任:「エンター〇レインに続いて、アメデオにも裏切られたら、俺はどうすればいいんでしょうか(爆笑)」
吉 井:「た、高任君…」
高 任:「まあ、裏切られたってのは言い過ぎですが……うーん」
ラオウ:「まあ、結論も出ないだろうし……そういえば、アメデオのゲームって体育会系キャラって出てこないのな」
高 任:「無理。そもそも本当の体育会系は恋愛なんてやってる暇ないもん(笑)」
吉 井:「ほ、本当と嘘があるんだ…」
高 任:「俺の母校じゃないですが、某高校野球部部員の一日はこんな感じ…朝の6時に起きて学校へ行って授業始まるまで自主トレ…授業終わって夜の10時や11時まで練習…1年はグランド整備があるから、帰るのは12時前。休日は朝の9時から夜の10時まで練習で、整備……それが1年365日続きます」
ラオウ:「アメリカ海兵隊かよ(笑)」
高 任:「授業中に寝ないと、睡眠時間確保できねえって言ってたし」
吉 井:「野球部は例外で」
ラオウ:「でも、俺の母校のテニス部もそんな感じでしたね。列車が動いてない時間から朝練だから、朝の4時半とかに自転車乗ってて補導されたり(笑)」
高 任:「あ、それ聞いたことある」
ラオウ:「これから朝練なんです…とかいっても警察信用しねえの、夜遊びで朝帰りかなんかと決めつけられて、学校に連絡が(大爆笑)」
吉 井:「大変ですね」
高 任:「そういや、全国常連校の女子バレーの選手が男子に交際申し込まれてね、『でも、私朝は何時に起きて、夜は何時まで練習。年に休みはお正月だけ……そんな私と付き合って何するつもりなの?』と答えた伝説が(笑)」
ラオウ:「なんて男前な(笑)」
高 任:「いや、実際男前でしたが(笑)」
吉 井:「確かに、何するつもりなのと言われたら(笑)」
ラオウ:「何も出来ないよな」
高 任:「…というわけで、本気と書いてマジな体育会系には恋愛なんぞしてる暇は物理的にないわけで」
吉 井:「ほろりと来る話だね」
ラオウ:「別にそこまで本気な体育会系キャラを出せとは言わないが(笑)」
高 任:「体育会系は本気だから体育会系なんだが……本気じゃないなら、体育会系違う」
高 任:「…なんつーか、あんまりお勧めできる出来ではないですね」
吉 井:「悪くはない出来とは思いますが……まあ、悪くはないだけで」
ラオウ:「んー」
高 任:「ラオウさん『んー』だけですか(笑)」
ラオウ:「いや……なんというか、今思うとすごかったよな、『ファーストライブ』って(笑)」
お買い得度…… 5
操作性………… 7
音 楽………… 8
再プレイ度…… 5
絶対値評価…… 1
魂が乗り切れていないのではなく、そもそも仏つくって魂入れずなのでは……と心配になってしまうような出来映えで。
まあ、シナリオ云々はさておき……鬼頭君というキャラはちょっと漫画ならともかくゲームとしてはちょっと新鮮で、これからの可能性を秘めているような。
繰り返しになりますが、何で18禁なんだか…。
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