お題・・・『蒼天の白き神の座(くら)』(PS)
1998年に発売された山登りゲームです。このゲームの存在を教えてくれた大学の後輩に感謝してもしきれないぐらいの感謝の念を抱いています。
・・・よくぞここまで、作り上げてくれました。このゲームの制作者達に幸多からんことを・・・。
吉 井:「・・・いつかは絶対に持ってくるとは思ってたけど・・・。」
ラオウ:「とうとうこの男はお題に持ってきやがったか。」
高 任:「さあ、『蒼天の白き神の座(くら)』・・・(以下『蒼天』)です!しかし、このゲームについて今更何を語ることがあるのでしょうか?傑作です!」
吉 井:「じゃあ、やめようか?」
ラオウ:「語ることがないならやめよう。(笑)」
高 任:「言葉のあやだというに・・・。みんなちゃんとゲームは購入してるじゃないすか。」
吉 井:「誰かさんに強烈に勧められてね。」
ラオウ:「同じく。」
高 任:「いや、俺なんか保存用にもう一本買おうかなと真剣に悩んでますし。今持ってるのはかなり使い込んだせいか、ディスクが熱で焼き付いているようになってて。」
吉 井:「そこまでやり込んで貰ったら、制作者達も幸せでしょう。」
ラオウ:「先にゲーム機の方が壊れるぞ普通。(笑)」
高 任:「しかし残念なのは、購入したのがちょっと遅かったのでランキングコンテストに応募できなかったことですよ。」
(注・・・『カムコルス杯』と言うのがあったんです。もう、鬼のようなスコアの人々が一杯いました。上位30名は全員満点だったし。)
ラオウ:「このゲームが希にみる傑作なのは俺も認める。・・・けど、多分あんまり売れてないぞこれ。(笑)」
吉 井:「出来が凄いということは間違いない。でもやっぱり、ゲームとして一般的にはどうだろう?」
高 任:「・・・つまりこれはゲームというレベルを超えた芸術作品なんだな?」
ラオウ:「・・・悪い意味でそうかもしれない。」
吉 井:「見てるだけで満足。(爆笑)」
ラオウ:「そうそう、そう言う感じ。もう、オープニングから、映像、音楽、効果と全ての点であふれんばかりのセンスが迸ってて圧倒された。」
吉 井:「その結果、いざゲームするときには気力が残ってない。」
高 任:「それじゃあ、だめだあっ!(笑)」
ラオウ:「俺なんかゲームの中で一度しか山に登ってないから。」
吉 井:「二回だけ。」
高 任:「・・・」
ラオウ:「オープニングとか映像は結構見たけどな。」
吉 井:「そのへんの素晴らしさはやっぱり桁が違う。そこらの秀作と言われる程度のゲームでは絶対に太刀打ちできないレベル。」
高 任:「ゲームをやれよ。(笑)」
ラオウ:「いやいや高任さん。ゲームを買った人間がそれをどういう風に楽しむかは個人の自由じゃないかね?少なくとも俺はこのゲームを買って、値段分は充分に楽しんだぞ。」
吉 井:「買って良かったあ。(笑)」
高 任:「真夏の炎天下のビルの屋上で、山登りの服装をしたスタッフがピッケルを振り回したりした苦労はそのためなのかなあ?」
ラオウ:「流した汗だけ報われるなんて考えるのは日本人の悪い癖・・・これって高任さんの口癖やで。」
吉 井:「・・・ゲームの操作が結構面倒じゃない?」
高 任:「そんなこと無いって。」
ラオウ:「高任さんがプレイしてるのを見てたら、まるで格闘ゲームをしているかのような目にも留まらぬ指さばきなんだよ。(笑)」
高 任:「そのぐらい機敏に判断しないと、みんな死にます。(爆笑)」
吉 井:「怖いよー、山は怖いところだよ。」
ラオウ:「やっぱり、山に登る資格というのは存在すると俺は思うな。」
高 任:「いや、現実的な意見を持ち出されても困るんですが?大体、ゲーム的な難易度は本来あるべき姿より低めだと思うけど?」
吉 井:「そうかあ?開始20秒で雪崩に巻き込まれて登山の継続が不可能になった事があるんですが。」
高 任:「二回しか登ってなかったのでは?」
吉 井:「そのうちの一回です。(爆笑)」
ラオウ:「強風にあおられて滑落・・・現在位置を見失って、捜索に行かせた隊も遭難した。後はみんな死んでいくまでの環境ソフト。(爆笑)」
高 任:「君ら、全然登頂してないやん!」
吉 井:「プロローグでは隊のメンバーを一新して新しく生まれ変わったはずなのに、次の年にはまた生まれ変わってたりして。(爆笑)」
高 任:「あうー、だめざんすよ。ちゃんとハレー彗星とかのイベント見なきゃ。」
吉 井:「イベントと言えば・・・『隊長、寒くて寝られません!』が大好きだけど。」
氷点下20度・・・テント内ではプラス20度の補正があるので外気温が−40度の時に起こるイベント。
これに対して隊長(つまりプレイヤー)の返答が『何とか頑張るんだ!』もちろん、状況は変わりません。(笑)
高 任:「大体、雪崩や落石でがたがた言うのはまだまだ子供。このゲームでの真の敵は凍傷です!」
ラオウ:「でもそれは・・・実際の登山だって、登頂した人は大体指の2本や3本切り落とすから無理もないんと違う?」
高 任:「いや、このゲームって障害が発生したら頂上アタックが強制的に中止させられるから。頂上まで後2メートルとか言うところで『アタックを断念します!』とか言われても。(爆笑)」
ラオウ:「後3歩か。でも、酸素不足とかで一歩が凄い時間がかかるらしいからなあ。」
吉 井:「先輩のYさんとかがこういうの詳しいよね。あの人も高任君と同じくらいはまってたから・・・」
ラオウ:「やっぱりこのゲーム、登山に興味ある人間でないと入りこめんのと違う?」
高 任:「んなことないでしょう。俺は山に登ったりしないし。」
吉 井:「『クライマー列伝』とか『世界山岳史』とか読んでる人間はそんな台詞を吐いてはいけない。(笑)」
『クライマー列伝』・・・傑作です。もう、20年近く昔の漫画ですけどね。
ラオウ:「やっぱり危険が多すぎてこのゲームは難しいでしょう?」
高 任:「それは違う!だって登山そのものが危険なんだもん。このゲームではその危険がゲームとして楽しめるように大分緩和されてるから。」
吉 井:「(ぽつりと)・・・修行ゲー。」
高 任:「ある程度難しくしないと、登頂したときのイベントの達成感が台無しに。」
ラオウ:「いや、高任さんがプレイしたときに見たけど感動したよ、うん。(笑)」
吉 井:「うわ、むっちゃ投げやり。」
高 任:「君たち、嫌いや。(笑)」
ラオウ:「そういや、最初に見たとき思ったんだけど・・・なんかパソコンゲームのように感じたなあ。」
吉 井:「開発がパソコンだったのでは?」
高 任:「いっそパソコンだったらシナリオディスクとか出たかもしれないのに。」
ラオウ:「ああ、あったね、そういうゲーム。」
吉 井:「コンシューマーでは数が出ないとね。実際の所このゲームって話題になったのかな?どう考えても『知られざる天才達』の雰囲気がぷんぷんしてるけど。(笑)」
高 任:「このゲーム大学の後輩が教えてくれたんだけど・・・あいつよくこんなゲームに手を出したなあ。俺にとっては幸運だったけど。」
吉 井:「え、Y君?じゃあ、彼がいなかったら多分このゲームを知らないままに人生をおくってた可能性が高いんだ。」
ラオウ:「・・・要するにそれぐらいひっそりと売られてたゲームか。その割には攻略本が2種類出てたぞ。」
高 任:「ソフトと同時発売だったか?確かに攻略本があるとポイント稼ぎには有利かも。」
ポイント・・・開拓ルート、作戦成功率等で点数が加算されていく。ゲーム本来の楽しみ方ではないような気がしますが、これを争ったコンテストはすさまじいの一言です。
吉 井:「作戦成功者割合って非現実的ですよね。普通、登頂者は二人か三人でしょう。参加者全員を登頂させるんだったらわざわざ大人数で行かないって。」
高 任:「大人数でサポートして二人や三人を登頂させる方法を否定する人間もいますから。あくまで単独登頂、もしくは協力者無しこそ登山の神髄であるとか言って。」
ラオウ:「ま、それこそ人の勝手やろ。自分の価値観の上で頂上を目指す訳なんだから他人のやり方を批判するのがナンセンス。」
高 任:「それはともかく、このゲームシェルパが出てこないんですよ。」
ラオウ:「しぇるぱ?」
高 任:「現地で雇う登山ガイド兼荷揚げ役といったところでしょうか。そこの『クライマー列伝』でも読んでください。(笑)」
吉 井:「そういうマニアックな要求は多分制作者が切り捨てていった要素だと思うよ。だってこの制作者が見落とすなんてあり得ないもの。」
ラオウ:「多分ゲーム性を重視したんだと思うぞ。あくまで商品を作る立場だからね。まあ、もうちょっと報われてしかるべきゲームだとは思うけど。」
高 任:「・・・いろんな資料に目を通せば通すほどこのゲームのすごさが理解できたからなあ。確かにそうかも。」
吉 井:「・・・資料って?ひょっとして同人誌でも作るつもりでしたか?」
高 任:「・・・あの頃は若かった。(爆笑)」
高 任:「買ってくださーい。このゲームをやらないと人生損しますよ。登山に興味のある人なら間違いなくはまると思います。」
吉 井:「多分、ゲームも面白いです。(笑)でも、それよりもこのゲームは見なきゃ損します。」
ラオウ:「・・・なんと言えばいいのか?まあ、オープニングとかは見て損はしない。悪いけどゲームに関しては俺はよくわからん。良くできたゲームが面白いかと聞かれれば答えはノー。結局は登山について興味があるかないかである程度評価が分かれるだろう。」
お買い得度・・・・・10(敢えて)
操作性・・・・・・・ 7(慣れるまでが一苦労)
音楽・・・・・・・・ 9
芸術性・・・・・・・10
再プレイ度・・・・・ 9(ルート選択はほぼ無数にあります)
絶対値評価・・・・・ 5
こんな高得点つけていいのでしょうか?(笑)
いや、自分でもダメな人間にはとことんまでダメなゲームだと思ってるんですよ。それでも語らずにいられないぐらい自分で熱狂してしまったゲームですから。ここまでの熱狂というと下手をすると『がんぱれ』を凌いでますからね。
ある意味山に登る以外の目的がないゲームでここまで熱狂した(している)のは奇跡に近いことだと思うんですが、それだけに受け口そのものは狭いのかもしれません。
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