お題……『処女(おとめ)はお姉さま(ボク)に恋してる』(PC版)
日本屈指の規模を誇る鏑木財閥の御曹司である瑞穂は、やや気が弱く優柔不断なところがあるものの、文武両道、容姿端麗(笑)で、国内トップクラスの進学校に通う高校3年生。
そんな瑞穂の元へ、ある日顧問弁護士と、幼なじみで、いわゆるお嬢様女学校に通う御門まりやが訪れます。
『瑞穂様…これは、先だって亡くなられたおじいさまの遺言なのですが…』
顧問弁護士の告げた祖父の遺言……それは、瑞穂を驚愕させるだけでなく、生活そのものを一変させる内容だった。
私立聖應女学院。
明治19年に創立された由緒ある女学院。日本の近代化に合わせ、女性にもふさわしい教養を学ぶ場が必要だ、という理念に基づいて創立される。
英国のパブリックスクールを原型として、基督教的なシステムを取り入れた教育様式は現在まで連綿と受け継がれている、いわゆる『お嬢様学校』である。
戦後再建時に幼稚園から女子大学院までの一貫教育施設となるが、その基本的なスタイルは現在も変わらない。
モットーは慈悲と寛容。
年間行事には奉仕活動や基督教礼拝など、宗教色も色濃い。それにくわえて日本的な礼節、情緒教育も行われているため、普通の義務教育機関とはいささか趣が異なる点が多い。
生徒の自主性を尊重するため、服装規定等校則もゆるいが、徹底した情緒教育によるモノか、生徒内自治がある程度効果を上げており、大幅な校則違反はほぼ見受けられることはない。それだけに若干世間から隔絶した感もある。(以上、ゲーム内文章から抜粋)
「何で僕が女子校に入らなくちゃいけないのっ!?」
「お祖父様の遺言だからに決まってるでしょ」
などと、明らかに面白がっているまりやと、真面目で誠実な顧問弁護士の涙ながらの説得(4時間)によって、ついに瑞穂は……以下略。
そして5月末。まりやによって女装を施され、慣れぬスカートにとまどいながら編入先の女学校へと向かう瑞穂。
だが、運命のいたずらは瑞穂にさらなる試練をかすのであった……。
女性もうらやむ容姿、成績優秀、運動もまかせてちょーだい(そりゃ男だからな)……の瑞穂は、転校直後だというのにまりやの画策もあって、なんと、全校生徒あこがれの的『エルダーシスター』に選出されてしまい、全校生徒のお手本となる生活を強いられるのである。
……などと書くと、『ああ、エロゲーでは割と良くある、男が女装して女ばっかりの中でいろんなハプニング満載のああいう内容だろな…』などと思われそうですが。
はたして、これはどうだったのか?
ラオウ:「……何やら、来月からアニメになるそうですが(笑)」
注…対談時はさておき、文章に書きおこしている時点で既にアニメ始まってるんですけどね。(笑)
高 任:「だとすると、声優さんとか入れ替えですか?」
吉 井:「と、いうか……PC版からPS2版に移植されたときに声優入れ替わったんじゃなかったかなあ?」
高 任:「しかし……エロゲーって、移植されたり、アニメになったりするとなんで声優変更されるんですかね?」
吉 井:「まあ……色々事情があるんじゃないでしょうか(笑)」
高 任:「個人的には、変える必要ないやン、と思ったりしますが」
ラオウ:「わかってていうなよ(笑)」
高 任:「いや、俺は聞き分けが悪い人間だから、わかってても言うぞ、何度でも言うぞ(笑)」
ラオウ:「この男、タチわるいな…」
吉 井:「ラオウさん、今さらそんなこと」
高 任:「……」
ラオウ:「……」
吉 井:「…え?」
高 任:「あ、いや(苦笑)……大抵の場合、主題歌まで変更しますよね?もちろん、変更された主題歌の方が良いケースもありますが…どれとは言わんが(笑)」
吉 井:「いや、それは人それぞれと言うことで…(笑)」
ラオウ:「聞き分けの悪い人間には何度でも説明してやるのが人の道なのか……そのあたりは資本主義の大人の事情って奴だ。終わり(笑)」
吉 井:「大人の事情なら仕方ないですね(笑)」
高 任:「……聞き分けの良い大人のフリをした人間のせいで、いろんなモノが間違った方向に…」
吉 井:「それはさておき……アニメでは、どのシナリオをいくんですかね?貴子か紫苑あたりが本命でしょうか?」
ラオウ:「……まあ、本命…かなあ?(笑)」
高 任:「アニメだからちょっと話変えてくるでしょうし、まりや…かも」
吉 井:「いや、意表をついて君枝がヒロインになったりしませんかね(笑)」
高 任:「や、個人的にあの眼鏡娘はちょっと…」
吉 井:「まあ…某シナリオでは、眼鏡外して、髪解いて、『これが、私?』みたいな展開かましてたけど……とりあえず、あのシナリオ書いた人は眼鏡属性じゃないよね(笑)」
高 任:「ないでしょうねえ(笑)」
ラオウ:「おいおい」
高 任:「いや、まあ眼鏡娘について言及するのは、季節の挨拶のようなモノだから」
ラオウ:「季節の挨拶ですか…」
高 任:「じゃあ、挨拶が終わったところで本題へと…(笑)」
ラオウ:「まあ、本題がどのあたりにあるのかはさておき……こう、なんというか珍しいゲームだったね」
吉 井:「珍しい…というと?」
ラオウ:「まあ、エロゲーというか、漫画でも小説でもなんでも良いですが、男が女装して女子校に通う、もしくは女子寮で生活する、はたまた女性ばっかりの会社とか……(以下略)……ってなお話は、ある意味よくある話ですが」
高 任:「少女漫画の方にいくと、逆があるけどな。女の子が男子校に通ったり、男子寮で生活する羽目になったり」
ラオウ:「いや、そういう細かいネタじゃなくて……本来そこにいるべきではない人間がそこにいる…という設定において、男が女装して…の場合、大抵はそれがばれそうになるのを切り抜けるというか……基本的に、その設定に絡めた事を、ギャグにするってケースがほとんどじゃないですか」
高 任:「ああ、なるほど……このゲーム、確かにそういうイベントはありますけど、基本的にそれらはシナリオの本質じゃなくておまけ的な要素ですよね」
ラオウ:「うん、そう……こういう設定であるにもかかわらず、シナリオの主題がこれまでのパターンとは全く別のところにあるのよ。主人公の成長がどうのこうのとか、登場キャラの背景がどうのこうのとか……そういう意味で非常に珍しいゲームというか、シナリオだなあと」
吉 井:「……なるほど」
ラオウ:「で、本来そういうことやると……じゃあ、この主人公女子校に通う必要ないじゃん……ってな事になりがちなんですが、まあ、ライターの腕で、そのあたりはきちんとごまかして、最後までやっちゃったなあと(笑)」
高 任:「……というか、おまけシナリオからして、『マリ〇様がみてる』の世界らしきものを書きたかっただけ…もしくは、ユーザーにそういう需要があると見込んで書いただけでは?」
吉 井:「高任君、それはみもふたもないよ(笑)」
高 任:「おまけシナリオのタイトルが『まりやとかがみてる』だし。まあ、あの手の理不尽な瞬殺トラップは懐かしいというか、今となるとすがすがしい(笑)」
吉 井:「ドアあけた瞬間、問答無用で死亡……そうだよ、昔のゲームはこうだったよ…とか(笑)」
ラオウ:「そういや、結局俺って『マリみて』は見てもないし、読んでもないんだけど、どういう話なん?」
高 任:「同人誌買ってなかったか?(笑)」
ラオウ:「あれは別物(笑)」
吉 井「大人だ、ラオウさん大人だ…」
高 任:「日記でもちょろっと書いたけど…俺にとって、『マリみて』はホラーです(笑)」
ラオウ:「ほ、ホラー?」
吉 井:「また、さらりと敵を作る発言を…」
高 任:「つーか、個人的にはマジで怖いです、あれ……つーか、とにかく怖い。怖いってばよ、あれ(笑)」
ちょっと脱線……つーか、元々脱線してるわけですが。
ラオウ:「まあ、なんにせよ……ライターの腕があったので良かったね、というゲームですね。これで、ライターがへっぽこだったら目も当てられない出来になってますよ、多分」
吉 井:「それを言うなら……これ、エロゲーにする意味あんまりないですよね?だから、移植の話をきいて、最初からそっちで良かったんじゃねえの…などと(笑)」
高 任:「眼鏡教師の話なんか、もろエロゲーによるエロゲーのためのエロゲーの話ですよね(爆笑)」
吉 井:「お米の国の大統領が涙するような言葉だよ…(笑)」
高 任:「他のキャラに関しても……まあ、18禁シーンにそれなりの必然性を感じるのはほとんどないですよね」
ラオウ:「そういう意味では……基本的にこのゲームって、なんちゃってエロゲー以外の何物でもないです(笑)」
高 任:「パソゲーだから、エロを入れた…と、言われても仕方がない(笑)」
吉 井:「まあ……それを言うと、あんまり18禁の意味ないエロゲーは多いですし」
ラオウ:「誤解しないでほしいんですが…なんちゃってエロゲーという意味でも、このゲームは珍しく良くできてるなあと(笑)」
吉 井:「いや、別に俺だってこのゲームをけなすつもりはありません。良くできてますもん」
高 任:「俺は普段から対談で『パンチ力が足りん』とか、『絶対値が必要なんじゃよ〜』とか叫んでますが、こういうある意味無難な作りで、きちっと仕上げるのは難しい……ってのはちゃんと理解してるつもりです」
ラオウ:「…なんか文脈がおかしくないか?」
高 任:「いや、なんというか…無難な作りのゲームって無難な評価になりがちなんですが、こう、このゲームは高い平均点を確保した上でのそつのなさというか。このゲームのどこがいいか……と、問われると、総合力…という感じの」
ラオウ:「つまり、一言で言うと対談に向いてないゲームだと」
高 任:「うん、そう(笑)」
吉 井:「らーおーうーさーんー(笑)」
ラオウ:「これまでに、枕を涙で濡らすぐらい経験してきたじゃないですか。無難に良いできのゲームって対談に向かないですって。シナリオのネタばらしするわけにもいかないし(笑)」
吉 井:「そ、そこを何とかするのが…高任君とラオウさんの腕」
高 任:「吉井さんの腕はどこに…?」
ラオウ:「……まあ、基本的に面白対談をするのが目的だからなあ(笑)」
高 任:「え、隠れた名作を取り上げるのが目的なんですが?」
ラオウ:「それはそれとして……読み手にとって面白いとか、ためになるとかの理由がないとまず読まれないわけですよ。つまり、こちら側の『こんなゲームがあるよ』と不特定多数の人に紹介するという目的達成のために、読み手を楽しませるというのが最低限の条件なわけで」
高 任:「ラオウさんが、どこぞの編集みたいなこと言ってる(笑)」
ラオウ:「いや、そのあたりはリアルと一緒で。どんなに素晴らしい作品でもまず読まれなきゃ話にならない……例えば、日本人小説家に限った事じゃないが、ノーベル文学賞貰うための必要最低条件知ってるかね?」
高 任:「英語に翻訳されることだろ?」
ラオウ:「おや、知ってるのか(笑)」
高 任:「正確には、西洋文明圏に紹介されること…だと思うが」
吉 井:「そーいう、薄汚い話はよそでやってください(笑)」
ラオウ:「つーか、このぐらいの薄汚い話は義務教育で教えないとね(笑)」
高 任:「同感……つーか、そんなもん、子供のウチに周囲の大人が教えるもんだろ。俺の家なんか、小学生の俺に脱税の仕方とか語ってましたよ(爆笑)」
ラオウ:「おいおい」
高 任:「脱税ってやっちゃダメなんじゃ…とかいうと、あっ間違えたね、これは節税って言うの…とか(爆笑)」
吉 井:「……子供が成長する過程において、周囲の大人達の言動が子供達の方向性を決定することが多く…」
高 任:「吉井さん、何をマイクに向かってぶつぶつと」
吉 井:「違う…何か、これは俺が望んでいた対談とは違う…」
ラオウ:「ああ、このゲームって吉井さん推薦ですか?」
吉 井:「しくしくしく…」
ちょっと休憩。
高 任:「ま、それはさておき……これまでの傾向で分類すると間違いなくクソとかダメに行くはずのジャンルなんだけど良くできてる……それはある意味すごいことなんじゃないかと(笑)」
ラオウ:「……つーか、小説や漫画ならさておき、ゲームでこの手のシナリオは難しいんです」
高 任:「というと?」
ラオウ:「いや、ゲームってゲームとしての前提というか、特にギャルゲー関係はプレイヤーが選択して話変わっていくってデザインが主流ですが、それだと主人公の性格は基本的に優柔不断系に収束していかざるを得ないんですよ。だとすると、シナリオ構築時に、ゲームデザインというか、システムがどうかを考慮に入れないと、シナリオのあるべきベクトルと、主人公の行動ベクトルというか性格ベクトルとの間にずれを生じさせて……あっという間にクソゲーのできあがりという寸法なわけで(笑)」
吉 井:「ラオウさーんっ」
高 任:「彼の今の発言は全てフィクションであり、実在する人物およびメーカとは一切…(以下略)」
吉 井:「よし、それさえ言っておけば大丈夫」
ラオウ:「…そうか?」
高 任:「まあ……別にラオウさんに言われるまでもなく、シナリオ担当は、シナリオ考えるだけじゃなくて、ゲームのシステムを理解した上でシナリオいじる必要ありますからね。シナリオ担当以外の人間がそれを理解してないだけならまだしも、シナリオ担当そのものがそれを理解していないことがあったりすることがあるとかないとか(笑)」
吉 井:「でも、パターンというか……ギャルゲーで、いわゆる良作と呼ばれる作品って、ほとんどゲームシステム同じだよね?ここ数年に限った話だと特に」
ラオウ:「まあ、それはそれで良いんですが……大事なのは、『こういうシステムだからこのシナリオ』という事を理解した上で、制作に臨んだかどうかで。それを理解してないと、新しいことに挑戦しても失敗するのがオチで、結局、これまでの成功パターンを踏襲した作品しか出てこない……イコール、作品数は増えても、世界そのものは縮小していく……と」
高 任:「……冒険が許されるほど、今のゲーム業界というか、ギャルゲーおよびエロゲージャンルに余裕があるようには思えませんが(笑)」
吉 井:「エロゲーはともかく…かどうかはいまいち判断しづらいですが、少なくともギャルゲーの将来は暗いよね」
高 任:「暗いですねえ」
ラオウ:「暗いのか…まあ、暗いだろうな。この後の『キミキス』の対談が楽しみだよ、いろんな意味で(笑)」
高 任:「その流れの全てを否定するわけではないけど、PCのエロゲーの移植はとどまるところを知らぬというか……ゲーム屋行って、ギャルゲーの棚のぞいたら、おいおい、知ってるゲームばっかりだよ、とか思っちゃいません?(笑)」
吉 井:「まあ……リスク回避というか(笑)」
ラオウ:「大人の事情だからな」
高 任:「うおおっ、忙しくてゲームやる暇ないけど『キミキス』買いに来たぜぇぇっ…と、棚をみると、これだったり『つよキス』だったり……なんか良さそうなオーラでてるのあったら、ついでに買おう…とか思ってても、ダメじゃんっ!知ってるゲームばっかりじゃんっ!知ってるゲームだと、オーラが見えないんだっ!(爆笑)」
ラオウ:「いや、普通は知らないゲームは買わないから、特に最近は(笑)」
吉 井:「まあ、基本的にパソゲーでそれなりの支持を受けたゲームが移植されることが多いわけですし」
高 任:「多い…じゃなくて、最近はそれしかないとも言いません?」
ラオウ:「まあ……ギャルゲー主体のゲーマーにとって、もはやコンシューマーはほとんど用無しですな」
吉 井:「移植されて面白くなった……という話は、ほとんど聞きませんし。いや、あるんかも知れませんけど」
高 任:「『ほとんど』というところに、吉井さんの保身が見えますね(笑)」
吉 井:「ゲームの評価は人それぞれだから(笑)」
ラオウ:「色々と変更点があったり、イベント増やしたり新キャラが増えたりってのはあるだろうし、それに楽しみを見いだせる人はそれで良いんでしょうけど……ゲームというか、シナリオとしての本質は、そのまま移植されるしかないですからね」
吉 井:「そりゃ、移植ですし(笑)」
高 任:「……という流れを受けて、PS3買う気がしません(笑)」
吉 井:「いや、俺は買うけど……買えれば(笑)」
高 任:「買えないでしょう(笑)」
ラオウ:「対談でやるゲームが出てきたら…かな?」
高 任:「つーか……PS3の金額って、新しいパソコン組めますよね(笑)」
吉 井:「組めるよ」
高 任:「だったら、そのお金でパソコンのエロゲーやってた方がマシですよね?どうせ、コンシューマになんちゃってギャルゲーとして移植されるわけだから」
ラオウ:「やさぐれるな、やさぐれるな(笑)」
高 任:「それはそれとして……声を大にして言いたいんですが……エロゲーとギャルゲーは違うんですよっ!エロなんてのは歳を取ったら誰にでも平等ですが、こう、中学生とか高校生とか、いちゃいちゃするのは歳を取る前じゃないと出来ないんですよ…(以下略)」
ラオウ:「ちょっと落ち着け(笑)」
高 任:「つーか、たとえは悪いけどアレなんよ。20歳になったら誰でも酒は飲めるけど、20歳になる前に飲む酒と、20歳になってからのむ酒は全然別物なんよっ!ギャルゲーとエロゲーも同じなんよっ!恋愛の中にエロがあってそれを分けるのはナンセンスとかいう意見があるけど、そこを敢えてわけるのがいいんだっ!」
吉 井:「高任君、高任君…」
ラオウ:「何やら、えらく鬱憤が溜まってるようだが…」
高任がちょっと遠いところにいってしまったので脱線。
高 任:「で、何の話でしたっけ?」
ラオウ:「お前が言うな(笑)」
吉 井:「でもまあ、高任君の怒りもわからないこともないけど……こう、昔は棚をみても知らないゲームがいっぱい並んでましたよ。それが今は、どれもこれも…」
高 任:「で、仕方ないから、知らないゲームがいっぱい並んでる、女性向け恋愛ゲームの棚に手をのばしてしまうわけだが(爆笑)」
ラオウ:「のばしてるのか…」
高 任:「まあ、乙女ゲーというか、女性向け恋愛ゲームなんかも最近は数が増えてきたせいか、当たりはずれの差がでかくなってきたみたいで……まあ、そのあたりはギャルゲーの歴史を見事に踏襲してますな。そういう歴史的な意味でも興味深いというか(笑)」
ラオウ:「うむ、歴史は繰り返されるからな」
高 任:「やがて競争が激しくなり、昨日興った会社が明日には倒れ、二つに分裂し…」
吉 井:「どこかで聞いたようなフレーズだね(笑)」
ラオウ:「まあ、市場が育つと、食い荒らす連中が出てくるのは、ゲームに限った事じゃなく」
高 任:「というわけで、ゲームの話に戻るけど」
ラオウ:「自分一人で散々引っかき回しておいて、さらっと戻すかこの男(笑)」
高 任:「というか、ゲームの話を全然してないことに気づいたから(笑)」
吉 井:「このネタの対談始まってから、もう何分経ったと…」
注……かつて雑談に走りまくり、雑談と本ネタの割合が8対1になった事あり。(笑)
吉 井:「……なんか、まともにゲームの対談になってないような気がするのは俺だけですか?(笑)」
高 任:「何やら、前回から吉井さんが冷静なツッコミ役になってますな」
ラオウ:「まあ、一年も経てば人間は変わるからねえ(笑)」
吉 井:「何故かほんのりと悪役風味ですか、俺」
ラオウ:「……というか、吉井さんに限らず俺ら3人の呼吸というかスタンスというか、やっぱり以前とは違うモノがありますな。なのに、以前のイメージが残ってるせいか、ちょっとぎこちない感じというか」
高 任:「つーか、さっきも言ったけどこのゲーム対談に向いてないんじゃよ(爆笑)」
ラオウ:「まあ…アニメになるというのなら、シナリオばらしても支障はないような気もしますが」
高 任:「シナリオ云々でいうなら、70年代少女漫画系で、こう、王道シナリオ一直線ですな。久々に、妙な変化球の混ざってないシナリオを堪能したというか」
ラオウ:「70年代少女漫画系と言われてもなあ…(笑)」
高 任:「まあ、個人的主観ですが……70年代云々は、マー〇レット系、80年代は、花と〇め系、90年代はもう雑誌ごとでぐちゃぐちゃで……アメデオは、90年代のデ〇ート系だと俺は思ってますが」
ラオウ:「余計わからんというに(笑)」
高 任:「いや、ラオウさんならちょっと読めばすぐわかると思います。最近はアレですが、少女漫画って、雑誌のカラーが鮮明だったんですよ。ベテラン云々はさておき、基本的に少女漫画の作者って若いからなのか…70年代に始まった集〇社システムというか、編集者が、コマ割、シナリオまでかなり丁寧に指導する事が多いらしく……それがよいか悪いかはともかく、雑誌ごとで新人はみんなシナリオのアクセントのつけかたが同じです…というか、昔は同じでした(笑)」
吉 井:「な、なるほど…」
高 任:「もちろん雑誌にもよりますよ……まあ、新人満載の分厚い読み切り系なんか……楽しかったですね。でも、同じだからこそ、あ、こいつは出てくるな……ってのがある程度わかるというか」
ラオウ:「ああ、昔高任さんが、少女漫画の短編集コミックスを買いまくってたのはそのあたりか?」
高 任:「ですね…個人的に少女漫画の神髄は短編にありと思ってますので。暴論を承知で言うと、連載は長く続いても少女漫画で本当の意味での長編は少ないです。基本的に、あるパターンのイベントが繰り返されるだけ、結局短編と短編をつなげただけの話が結構多いですから。つっても、最近はほとんど読んでませんから、状況は変わったかも知れません」
吉 井:「方向性はさておき、それでこそ漫画研究会OBだよ、高任君」
ラオウ:「いや、普通漫研は漫画を描く人間が集まるのでは(笑)」
高 任:「いや、漫画研究会と言うからには、普通は漫画を研究するモノでしょう(笑)」
ラオウ:「そりゃ、漫画だろうが小説だろうが、自分に描くにしろ、既存の作品なり、傾向を分析するのは当たり前ではあるんだが」
吉 井:「…あんまり当たり前でもないと思いますが(笑)」
高 任:「つーか、ネタが少女漫画だからそう思うだけで、ジャ〇プ、マ〇ジン、サ〇デー、チャン〇オン各誌の、年代ごと代表作を例に挙げ、雑誌の傾向の変遷を述べよ……ぐらいなら、普通に漫画を読んで育ってきた人間は大抵答えられるんとちゃうの?」
吉 井:「いや、それはどうだろう?(笑)」
ラオウ:「…というか、盛大に話が横滑っているような気がするんだが」
脱線。
吉 井:「さて、今度こそ(笑)」
高 任:「敗者が最も好む言葉、それこそが『今度こそ』である(笑)」
ラオウ:「敗者って(笑)」
高 任:「つーか、後はキャラについて語るしかないじゃないですか」
ラオウ:「ですねえ」
高 任:「そういや、ユーザーマニュアルで紫苑の身長が153センチになってましたが、あれって誤植なんですよね?……えーと、これ」
吉 井:「え?」
高 任:「いや、CG的には、主人公と紫苑はほぼ同じ身長のようだし、テキストというか、会話の中で紫苑の身長が高い的なモノもありましたし……マニュアルで主人公というか、瑞穂の身長が173センチってなってたから、多分本当は173センチだったんじゃないかと」
ラオウ:「(マニュアルを眺めながら)なるほど…」
高 任:「だからどうしたというわけでもないですが……しかし、ゲームの扉絵が主人公と紫苑のツーショットって事は、紫苑がヒロインなんですかね?まあ、ヒロインにふさわしい、王道ッぷりシナリオでしたが」
ラオウ:「……病弱、お嬢様、意に添わぬ許嫁……まあ、お腹いっぱいの要素だよね(笑)」
吉 井:「高任君の言葉で言えば70年代テイスト?(笑)」
高 任:「ただ、欲を言えば……このゲームって、1話から5話が各キャラ共通で、選択肢によって6…正確には7話以降でそれぞれのキャラシナリオへと移行しますよね」
ラオウ:「うむ」
高 任:「その、共通シナリオで描かれた紫苑のキャラと、紫苑シナリオに移行してからの紫苑のキャラが、やや不一致かなと。もちろん、それなりの背景はあるんだけど……ちょっと苦しいなあ、という部分が」
吉 井:「うん、まあそれは…」
高 任:「共通シナリオにおけるお茶目部分というか、明るさというか……こう、根っこにある家庭の事情という呪縛に対しての抵抗と諦めのバランスが今ひとつのような気がします。主人公と交換したキリンの消しゴムなんかも、いつどこでというか……主人公サイドじゃなくて紫苑サイドの動機付けが、こう…なんというか……ラストは設定にキャラを合わせてしまった感じですか…個人的にはアレが惜しい」
ラオウ:「自分もできんくせに、注文細かいな(笑)」
高 任:「ほっとけ」
ラオウ:「まあ、高任さんの言いたいことはわかるよ。要するに、共通シナリオで紫苑のキャラは受け身じゃないのに、紫苑シナリオにはいるととたんに受け身だけのキャラになってしまう……そうならざるを得ない部分に対しての説明不足、もしくはベクトルのずれの存在ってことだろ」
高 任:「うむ、まさにそう(笑)」
吉 井:「……まさにそうって(笑)」
ラオウ:「あれは、紫苑というキャラのギャップを狙ったけど説明にもたついたか、もしくは共通シナリオを進める上で紫苑というキャラを便利に使いすぎてバランスが狂ったかのどちらかでしょうね」
高 任:「前半部分にもっと伏線をちりばめるか、各キャラのシナリオ分岐がもっと早く始まるか……なら、問題は起こらなかったんでしょうね。後半の後半でシナリオが分岐するというシステムにシナリオがプレッシャーをかけられたんじゃないでしょうか」
ラオウ:「そんなとこかな……めちゃめちゃ失礼な想像のような気もするけど(笑)」
吉 井:「貴子は……まあ、見事なツンデレっぷりでしたね(笑)」
ラオウ:「そりゃ、ツンデレラのヒロインですから……マニュアルにカラーで10ページ費やす必要があるのか、あれ(笑)」
吉 井:「貴子と主人公のクロスカウンターが見所ですね(笑)」
注…『ツンデレラ』はDVDフルボイス(主人公のボイス付き)初回版に、付いてるらしいです。
高 任:「かつて、毛沢東が貴子を指さして『ツンデレだ…』と宣言したとかしないとか(笑)」
吉 井:「高任君、それわかる人はあまりいないんじゃないかと(笑)」
ラオウ:「わからん」
高 任:「貴子は紫苑の反対で……共通シナリオと貴子シナリオのギャップが多分良い方向にプラスになってるというか、ギャップを必要とするキャラなわけで。多分、このキャラは人気出たんじゃないでしょうか」
ラオウ:「まあ……ある意味書きやすいキャラですし(笑)」
高 任:「つーかもう、自爆キャラ好きですからね、俺は」
吉 井:「好きだよねえ、高任君」
ラオウ:「好きだよなあ、高任さん」
高 任:「ラオウさんも好きだろ?自爆キャラ」
ラオウ:「うん、嫌いじゃない」
高 任:「しかしあれですな……俺なら、主人公が誘拐されそうになった貴子を助ける…それで、主人公が貴子の親に招待されて……ってな感じのストーリーにもっていきますが」
ラオウ:「それはそれで面白そうだが、基本コンセプトとして学校内の出来事……ってのがあるだろ、このゲーム」
吉 井:「たしかに」
ちょい脱線。
高 任:「で、まりや……は、なんというか…」
ラオウ:「んー……一見、それっぽくまとまってたけど、何がやりたいのかってのが不明だったような。個人的にはこのキャラのシナリオは失敗してると思う。最初アクティブなキャラという印象をユーザーに植え付けてるのに、イベントでまりやじゃなくて紫苑を動かす事が多かったから……こう、キャラの方向性とシナリオとの齟齬というか、ある意味一番割を食ったキャラではないかと」
吉 井:「本来まりやのあるべきポジションを紫苑が占めてましたよね…」
高 任:「とはいえ、まりやを動かすと紫苑の印象が薄くなるはずで……結局、まりやは出番が多い割に……というキャラになってるような」
ラオウ:「うむ」
高 任:「個人的には、シナリオライターが意図していたところを充分に出し切ったまりやというキャラには興味がありますね…だから、ちょっとこのゲームのまりやは残念です」
吉 井:「そういえば、まりやってなかなかクリアできなかったんですが」
高 任:「あ、多分…貴子の好感度が必要なんですよ、あれは。まりやだけ追いかけてはいけないと言うか……確か、紫苑の場合は奏の好感度が必要だったような…」
ラオウ:「なるほど」
吉 井:「……全国1200万人が待っていた、ちびっこの奏ですが」
高 任:「や、少なくとも俺にとってちびっこってのはイコール結花ですから。あれは結花の別称であって、カテゴリーじゃないです(笑)」
ラオウ:「ぬう…」
高 任:「で、まあ……なんというか、それなりにいい話でしたね、という印象しか(笑)」
ラオウ:「そ、そうか……(マニュアルを眺めつつ)身長もほぼ同じのようだが、何故にそこまで(笑)」
高 任:「身長が問題じゃない」
ラオウ:「じゃあ、眼鏡?」
高 任:「…むう」
ラオウ:「考えるなよ、頼むから」
高 任:「いや、というか……こう、こういうタイプのキャラにはどういう眼鏡がフィットするのかなあと」
吉 井:「ああ、そういえば身体が小柄で眼鏡キャラってのはある意味少ないですし」
ラオウ:「……」
注…奏(かな)は眼鏡キャラではありません。
高 任:「セオリーでいうなら、こう、金属系の細いフレームってのは子供向きじゃないですよね……だからといって、オモチャっぽいカラフルフレームだとこのキャラにはどうかと思いますし」
吉 井:「うーん…」
高 任:「近所のスーパーで見かける5歳ぐらいの男の子と女の子が眼鏡かけてるんですが、なんかサイドだけアクセントのついた…」
ラオウ:「戻ってきてください、二人とも」
ラオウ:「由佳里はまあ……なんというか、眼鏡教師と連動させたかったのかな?」
吉 井:「というか、シナリオの流れでしょう」
高 任:「元気で、でも繊細で……考えてみたら、このキャラもまりやとかぶってるんだよね」
吉 井:「いや、そのあたりは仕方ないんじゃないのかなあ?貴子と君枝がそうだし、後輩へと引き継がれていく想い……みたいな、ほのかなテーマを漂わせたかったみたいですし」
ラオウ:「いや、それはわかるんですよ……でも結局、主人公が女子校に来て成長すること、を筆頭に、こう…基本的に良い話を書こうとして、全体としての統一感はちょっとアレかな、と」
高 任:「個人的には、奏もそうだけど後輩二人のキャラにはあんまり魅力を感じなかった……というか、想像なんだけど、この二人に関してはシナリオ担当者は、キャラを書こうとせず、単にシナリオを書こうとしたような雰囲気があるかなと」
ラオウ:「それは…あるな、確かに」
高 任:「最近はキャラ重視のゲーム増えてますけど、このゲームでキャラをまともに書こうとしたのは貴子ぐらいかなあと思うんですよ。さっき珍しいゲーム云々をいいましたが、キャラではなくシチュエーション重視ってのもある意味珍しいんじゃないかなと」
吉 井:「あ、あぁ…言われてみると」
高 任:「個人的には、どのキャラともエンディングを迎えずに卒業する……という流れでのみ、ストーリーおよびキャラのベクトルがうまいこと収まるような気がするんですよ。このゲームの場合、誰かとのシナリオに分岐することによってベクトルのずれが生じてるような気がしませんか?」
ラオウ:「……えっと、要するに主人公が卒業する、その後のキャラとかをエピソードで語り……というイメージか?」
高 任:「うん、そう」
ラオウ:「(ちょっと考えながら)……なるほど、確かに言われてみると、それが一番シナリオ的に収まりが良いかもしれん」
吉 井:「いや、ギャルゲーですから(笑)」
ラオウ:「だとすると……このシステムとシナリオは、ギャルゲーというか、エロゲーにはやや不向きだったという事に」
高 任:「む、むう…そこまで言うつもりはないが」
ラオウ:「この流れだと誤解されそうだから一言断っておくけど、このゲームのシナリオのレベルは高い。でも、レベルが高いから見えてくる粗もあるわけで」
高 任:「このレベルまで批評できる作品もそんなにあるわけでもないですし……というか、幽霊の一子さん忘れてるよ(笑)」
ラオウ:「ああ、そういえば…まあ、幽霊だからな(笑)」
高 任:「幽霊ですからね、一子さん(笑)」
吉 井:「何故、『さん』付け」
高 任:「いや、なんというか一子さんって感じですし」
ラオウ:「わけわからんぞ」
高 任:「個人的には結構好きなキャラなんですが……なんというか、バッドエンド扱いのような気が(笑)」
吉 井:「いや、バッドエンドでしょこれ」
ラオウ:「扱い的にはそんな感じかと」
高 任:「というか……あのエンディングでちょっと不安になったのは俺だけですか?(笑)」
吉 井:「不安…というと?」
高 任:「いや、こいつらこれからどうなるのかなあ…という感じの、漠然とした不安」
ラオウ:「まあ、それはギャルゲーなりエロゲーには良くあることだし」
高 任:「……というか、一子さんは自分の両親とかはどうでもいいのかね?エンディングでやっと学校の外に出られるようになって…そのあたりほのめかしたりするのかなと思ったら、そのまんまですし」
吉 井:「地縛霊というよりは、人に縛り付けられてるというイメージじゃないかなあ?結局、主人公が行くところだけ移動できるというか」
ラオウ:「場所じゃなくて人に……守護霊?(爆笑)」
高 任:「なるほど、一子さんのエンディングって、実は一子さんが主人公の守護霊に昇格したのか(笑)」
吉 井:「すごく頼りになりそうな、頼りにならなさそうな(笑)」
ちょい脱線。
高 任:「んー、冷静に考えると……このゲーム、そもそも、ギャルゲーというか、エロゲーというか……キャラとのエンディングを目指すゲームじゃないような気がする」
吉 井:「え?」
高 任:「こう、なんというか……もちろん、ゲームとしてのエンディングはあるんだけど、女子校というか、ある世界観を示すために重点をおいて作った……のかなあ、と」
ラオウ:「あぁ……そういう部分はあるというか、感じられるなあ」
高 任:「そういう意味だと……厳密には、なんちゃってギャルゲーですらないんだよね。いや、悪い意味じゃなくて……ギャルゲーみたいな分類であれこれ批評すること自体が間違ってるかもしれないなあ、と」
ラオウ:「外国の文化を紹介するテレビ番組のイメージ?(笑)」
吉 井:「外国の文化って…(笑)」
高 任:「つーか、学生寮の先輩に後輩が一人ついてお世話する……って、イギリスの某名門男子校のシステムでしょ?(笑)」
ラオウ:「そういや…そうか」
高 任:「まあ正直、男子校のネタは色々知ってるけど、女子校のネタはあんまり知らないから」
吉 井:「高任君、ずっと共学だろ(笑)」
高 任:「いや、某男子校の知人とかいましたし……このゲームでは日本語でしたが、寮の食事の前には英語で神への感謝を捧げてたそうです」
ラオウ:「え、マジで?」
高 任:「たしか…『ゴッドイズグレート、ゴッドイズグッド、レットアスサンクヒムフォーアワフード…』ってな感じだったか?何となく覚えてるけど」
吉 井:「……(笑)」
ラオウ:「吉井さん、今さらこの男の発音にツッコミを入れても……というか、高任さん。今の英語で書けるか?」
高 任:「さすがにそのぐらいは書けるよ(笑)」
ラオウ:「そうか」
高 任:「というか……飯を前に、全員がそれを呟く光景って、想像するとめちゃめちゃ不気味(笑)」
吉 井:「異文化をばっさり切り捨てるのはやめようよ(笑)」
高 任:「いやまあ、日々の恵みに感謝する心を否定するわけじゃないですが」
ラオウ:「まあ、日々の恵みと言ってもなあ……世界ってのは、苦しみや哀しみも含めてあらゆるモノを恵んでくれるわけだし(笑)」
高 任:「うむ、哲学だね(笑)」
ラオウ:「哲学も何も事実だし」
吉 井:「悟ってますねえ…」
高 任:「まあ、ちょいと話が逸れたけど……主人公が『この学校はイベントが多い』とか言ってたけど、そうでもないよね?」
ラオウ:「まあ、降誕祭やらダンスパーティーは、普通の学校にはないだろうよ」
高 任:「そういや、運動会がなかったな…」
吉 井:「主人公が転校したの6月ですし…5月にやっちゃったのでは」
高 任:「でも、俺の母校は結構特殊でしたよ……つーか、歴史だけはある学校だったし」
ラオウ:「ああ、キミんとこはT県で一番古いんだったっけ?高専の流れというか…」
高 任:「……いまので、わかる人間には俺の母校ばれましたね(笑)」
吉 井:「いや、わかるのはT県の人間だけでしょ(笑)」
高 任:「まあ、生徒会の権限はほとんどありませんけど……朝、校門に並んで声掛け挨拶とか…(略)…あ、でも生徒総会とかはそれなりに面白かったけど」
吉 井:「高任君、生徒会やってたの?」
高 任:「まあ、高校野球でそれどころじゃなかったので、それなりに…のレベルで」
ラオウ:「……なんか、高任さんはわりと学生生活を謳歌したような感じだな」
高 任:「まあ、勉強、部活、生徒会……つっても、中学の時は生徒会やってないです」
ラオウ:「あれは…」
吉 井:「なんか楽しげなエピソードが?」
ラオウ:「生徒会長の選挙があって、次点は副会長、3位は何らかの役職にというのが俺と高任さんの中学のセオリーだったんですが、この男はどうも教師達の猛反対で、生徒会役員からはじかれたらしいんです」
吉 井:「は?」
高 任:「いや、正確には俺が役員に就任したら生徒会長になった奴が何も出来ないだろうと教師達が判断したらしく……って、選挙の意味ねえっ!(爆笑)」
ラオウ:「つーか、高任さんなら一人で生徒会回すだろ」
高 任:「やる気さえあれば、会長も書記も会計もいらねー。もちろん、頭数が必要な時もあるだろうけど、基本的に俺一人でやった方がマシ(笑)」
ラオウ:「つーか、生徒会長に立候補する人間って、能力的に優れてるから……じゃなかったもんな(笑)」
吉 井:「ラオウさんは生徒会とかは…?」
ラオウ:「そんな事に時間費やすほど暇人じゃないです」
高 任:「でも、生徒会の劇の手伝いとかしてたやん」
ラオウ:「してたんちゃう、させられたの(笑)」
吉 井:「生徒会の劇…なんか、このゲームみたいですね(笑)」
高 任:「あれ、生徒会って……普通、そういうことやるでしょ?だから、俺はこのゲームやってて、ふーんってかんじに違和感なかったですけど?」
吉 井:「そ、そうかな?」
高 任:「中学はともかく、高校では生徒総会があって、このゲームのあれほど派手な出来事は経験してませんが、質疑応答みたいな感じで色々と生徒同士のやりとりが……」
吉 井:「……」
ラオウ:「……」
高 任:「……あれ?」
ラオウ:「いや、だからキミんとこの学校は高専の流れだからちょっと特殊だってば」
高 任:「学期の終わりごとに、生徒総会はあったよね?」
ラオウ:「あったけど……原稿読んでハイおしまい…みたいな(笑)」
吉 井:「高任君、楽しい高校時代を送ってたようだね」
高 任:「いや、降誕祭とか、ダンスパーティーはなかったよ?」
ラオウ:「公立の進学校で、多分それはない」
吉 井:「……」
高 任:「どうしました?」
吉 井:「いや……基督教系男子校とかでも、ダンスパーティあるのかなあ、と(爆笑)」
高 任:「そ、それはあれですか?各々がパートナーを見つけて、男カップルがゾクゾクと集まってくるわけですか(笑)」
吉 井:「そうそう、女性のステップを覚えた生徒は、白い制服を身につけて(笑)」
高 任:「他薦によるホスト役…じゃなくて、ホステス役がずらりと並んで(笑)」
吉 井:「いや、ここは敢えてホスト役の方が(笑)」
高 任:「それは絵になるようなならないような」
ラオウ:「君ら…脳味噌が腐女子化してない?」
高 任:「ノリ悪いな、ラオウさん」
ラオウ:「すまん、ちょっと参加するタイミングを見失ったから、ツッコミしか残されていなかった(笑)」
高 任:「まー、真面目な話…ミサとかはあったような話は聞いてるけど、ダンスはなかろう……というか、そもそもダンス云々社交界のたしなみというか…」
吉 井:「どうしたの?」
高 任:「いや…考えたら高校の体育でダンス習いませんでした?簡単なワルツとか、ステップとか」
ラオウ:「習った……か?」
高 任:「習いましたよ、俺は」
吉 井:「なんか、高任君の母校って…(笑)」
高 任:「あーそういえばK女学院。確か、ダンスの授業があるって聞いたことがある。体育でちょっと…とかじゃなくて、結構真面目に」
ラオウ:「そ、そうか…まあ、このネタはやめようか」
高 任:「まあ、なんというか……ゲームとしての完成度は高いと思うんだけど、結局このゲームのウリってなんだろうとか考えると悩みませんか?」
吉 井:「……女子校?(笑)」
ラオウ:「ゲームのパッケージにはラブコメって書いてあるけど……ラブコメ…かなあ?」
高 任:「話の合間にコメディがあるってのはラブコメじゃないよね?あくまでも恋愛がらみのネタでコメディがないと……このゲームのコメディって、結局キャラだのみの割合が高かったですし」
ラオウ:「そういや……サブキャラにしては演劇部の部長…えーと」
高 任:「小鳥遊圭(たかなし・けい)」
ラオウ:「あ、それ…わりと印象に残るキャラだったかな。下手したら、まりやが食われてる」
吉 井:「ラオウさん、名前忘れてましたが(笑)」
ラオウ:「うむ、印象深いキャラだったな」
高 任:「説得力0です、ラオウさん(笑)」
ラオウ:「名前は覚えていても内容を忘れているゲームと、内容は覚えているのに名前が思い出せないゲーム……ゲームとして正しいのは後者ですよね」
吉 井:「何やら、ラオウさんには珍しくごまかそうとしてますね……言ってることは間違ってないと思いますが」
高 任:「……そういう意味で言えば、このゲームって何年も経ったら、主人公が女装して女子校通うことになってエルダーシスターになるゲーム……ってとこになるのか?」
ラオウ:「……すごく正しいような気がするけど、それってこのゲームの紹介にはならんよな(笑)」
高 任:「むう……結構悩ましいゲームだよな、これ」
ラオウ:「まあ、やってみて損はないと思うが……作りがしっかりしてるから、大抵の人間は受け入れることが出来ると思う」
吉 井:「ただ…力一杯ギャルゲー風味を期待してる人にとっては……」
高 任:「まあ、一言で言うと平均点の高い、隙のないゲーム」
ラオウ:「……あ、そういえば」
高 任:「何よ?」
ラオウ:「いや、エルダーになった主人公は、全校生徒数百名のお姉さまになったわけだよな」
高 任:「今さら何を?」
ラオウ:「うむ、それはつまり…」
吉 井:「?」
ラオウ:「主人公には妹が数百名(一同大爆笑)」
吉 井:「ラ、ラオウさん…(笑)」
ラオウ:「すごいわこれ、人数の上では完全にシスプリ凌駕してるやん。妹ゲームとして、史上最大規模だろ間違いなく(笑)」
吉 井:「いや、それは…」
高 任:「吉井さん、そっとしといたげ(笑)」
お買い得度…… 9
音楽…………… 9
操作性………… 8
再プレイ度…… 5
絶対値評価…… 4
なんだろう、何が足りないんだろう……間違いなく後一押しで、傑作のレベルに達するゲームのような気がするんですが。
うむむ…。
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