お題……おかえりっ!…夕凪色の恋物語…(WIN/PS)
 
 ちょうど去年の冬にパソゲーとして発売され、そして約一年遅れた12月にプレステのお手ごろ価格ゲームとして発売されました……ゲームの出来からして、あまりにお手ごろ価格過ぎやしませんかなどと高任は首をひねりましたが。(笑)
 
 主人公がかつて幼い日々を過ごした離島、姫神島……その島には親から子へ、子から孫へと語り継がれてきた悲しい伝説がありました。
 それはこの島がまだ別の名前で呼ばれていた頃の昔話……天より舞いおりた姫と、漁師である島の若者という異なる世界に住む二人の悲しい恋の物語。
 
 などという、いかにもなオープニングで始まりますが、あくまで伝説は伝説なので特定のキャラ以外はあまり気にしない方がいいです。(笑)
 まあそれはともかく、主人公は大学生であり、教育実習生として懐かしいこの島に帰ってくるところから物語は始まります。
 昔と変わらぬ風景、変わらぬ幼友達(ただし、一部は大変身)……しかし、島は主人公の見えないところで確実に変化しつつありました。
 教育実習生として忙しく日々を過ごしながらも、島に渦巻く諸問題に巻き込まれていく主人公。
 1人の人間として……あなたは誰の側で力を貸してあげたいですか?
 という感じに、実にハートフルなシナリオがユーザーを別世界へと連れて行くような感覚が得られます。
 それは、ある人にとっては故郷を連想させるものであったり、また祖父母の話の中で聞いた世界であったり……
 
 つまり、一言でいうと『ええ話』なんですわ。
 
 
吉 井:「とりあえず、この場を借りて一言いわせてもらいます
高 任:「な、なんですか一体?」
吉 井:「ときメモ3』は面白いよ
ラオウ:「なるほど、じゃあ、本来の対談を始めましょうか
高 任:「そうですね
吉 井:「うわ、お茶漬けより軽くさらっと流しやがったよこの2人(爆笑)」
高 任:「そんなこと言っても、『ときメモ3、マッシモ!』とか口にすると非常に嘘臭いんですが(爆笑)」
ラオウ:「『マッシモ』ってなんだよ?」
高 任:「確か、イタリア語の比較級を表す単語の1つだったような気がするけど……他にはグランテとか…」
ラオウ:「(やけに熱心そうに頷きながら)…ほほう?」
吉 井:「巧みに話題をすり替えないでいただきたい(笑)」
高 任:「……ふう。吉井さん、アンタ漢だよ!(笑)」
ラオウ:「ナイアガラの滝を1人で受け止めようとするその心意気はあっぱれですな(大爆笑)」
吉 井:「プレイしていない2人に言われたくないです」
高 任:「確かに……これは失礼」
ラオウ:「……でも、ねえ?(笑)」
吉 井:「そりゃ2人の言いたいことはわかりますが、なんであんなに評判が悪いのかわかりませんよ。プレイしてると実にまったりとしてイイカンジなんですから…」
ラオウ:「まったり…?(笑)」
 
 などと吉井さんが『ときメモ3』を熱く語りだしたのでいきなりちょっと脱線。(笑)
 
高 任:「……吉井さん、話を戻していいですか?
吉 井:「面白いと思うけどなあ……?
ラオウ:「(無視するように)……で、何故に今更このゲームを?」
高 任:「いや、プレステでこの前発売されたから……というより、あまり話題にのぼっていないみたいなので、ここらで本来の対談の目的『隠れた名作をとり上げる』をいう趣旨を前面に押し出して……」
吉 井:「最近はもっぱら『辛口叩き系』ですからね……そういうのが続くと、読んでいる人もそうでしょうけど、俺らだって神経がささくれ立ってきますって。この前のゲームとか特にささくれまくりですし(大爆笑)」
ラオウ:「吉井さんはともかく、高任さんはそんなタマじゃないですよ(笑)」
高 任:「アンタもな(笑)」
吉 井:「(ぶつぶつと)……この2人の存在が叩き系なのでは?」
 
高 任:「ラオウさんと僕はパソコンでしかプレイしてないんですけど……プレステ版ではどこか変更とかあったんですかね?」
吉 井:「と言われても、プレステでしかプレイしてないから(笑)」
ラオウ:「それ以前に、もう一年も昔だから俺の記憶が残っていない(笑)」
高 任:「おいおいおいっ!」
吉 井:「自分の記憶からも隠れた名作にレベルアップ!(大爆笑)」
高 任:「それ、多分名作と違います(笑)」
ラオウ:「いや、いい話だったなという明確な記憶はあるんですが(笑)」
吉 井:「せめてヒロインの名前ぐらいは……」
ラオウ:「いや、ヒロインのシナリオ自体はほぼ完全に覚えてます。ただ名前を思い出せるのは………主人公が洋平でしたっけ、なんとなく『よーへー先生』という台詞が記憶にありますが?」
高 任:「ええ、その通りです。ま、シナリオを覚えているなら問題はないですが……対談に合わせてプレイし直す時間もないほど仕事が忙しいのか?」
ラオウ:「はっきり言って、めちゃめちゃ忙しい(爆笑)」
高 任:「それはすまないことをしたね……」
吉 井:「申し訳ない」
ラオウ:「まあ今日は用事もあったし、それに、来月の末になると奴らがやってくるからな…」
吉 井:「は?奴らと言いますと……」
高 任:「吉井さん、『黄色い悪魔』です(大爆笑)」
吉 井:「(なんとも言えない表情で)……あー、大変ですね(笑)」
ラオウ:「いや、俺なんかはスギ花粉にしか反応しない花粉症だからまだまし……とでも思わないとやっとれませんが。またアナウンサーがにこやかに笑いながら『今日の花粉情報!』とかふざけたこと言い出すんやな…喧嘩うっとるんか!(笑)」
 
 などと黄色い悪魔の悪魔たる所以を熱く語り出すラオウさんのおかげで大分脱線。
 どういうことを語ったかは、ラオウさんのエッセイ『黄色い悪魔』を読んでくだされば大体の想像は付くかと…(笑)
 
高 任:「……なんか脱線ばかりしてるような気がするけど、これは良いゲームですよね?」
ラオウ:「うむ」
吉 井:「確かに」
高 任:「じゃあ、何故話題にのぼらなかったか?
吉 井:「地味だから(大爆笑)」
高 任:「吉井さん、ものすごい容赦なく本質をつきましたね(笑)」
ラオウ:「そうかなあ?それに関して俺は違う意見を持ってるけど……」
吉 井:「……と言うと?」
ラオウ:「つまりね……男性ユーザーの場合『パソゲーは18禁じゃないと見向きもされないから(一同大爆笑)」
高 任:「ん、んー、同じ男として否定したいところだが、ゲームの発売本数データを見る限りでは明らかだからなあ……(笑)」
吉 井:「パソゲーとして出る一般ゲームで市場が確立してるのって、歴史シュミレーション系統のゲームぐらいかもしれない…」
ラオウ:「つまり、このゲームは市場戦略を間違っていたんだな……最初にコンシューマーとして開発していたら違った結果になったかも知れない」
吉 井:「いや、やっぱり地味だから駄目だと思います。はっきり言って、地味ゲーと言われるTLSシリーズよりこのゲームは遥かに地味です(爆笑)」
高 任:「でも良いゲームなんですよ?
吉 井:「高任君、良いゲームは必ず売れるなんていう幻想は持ってないよね?
高 任:「そりゃ、持ってはいませんけど本音としては持ちたいですね」
ラオウ:「それは同感ですけど、気を取り直して隠れた名作を……」
吉 井:「ヒロインの名前も思い出せないラオウさんに言われても(爆笑)」
ラオウ:「ゲームのキャラの名前ってのはそんなもんじゃないですか?一年もたてば覚えている人の方が珍しいと思うけど?」
高 任:「ラオウさん、シスプリの妹の名前12人全部言えます?
ラオウ:「当たり前じゃないですか、そんなこと
吉 井:「……」
高 任:「……」
ラオウ:「く、9月までアニメもやってたし…あれはゲームだけじゃないよね?(笑)」
高 任:「まあ、そういう事にしとこか(笑)」
吉 井:「……そろそろゲームの対談しません?」
高 任:「何故かは知りませんが、吉井さんにそれを言われるととっても複雑(笑)」
 
吉 井:「ところでこのゲームって……ヒロインは何人?」
高 任:「イベント的には4人なんでしょうけど、シナリオ回想とゲームのマニュアルを読む限りでは、渚・澪・晶の3人がヒロイン扱いらしいですね」
ラオウ:「……渚っていうと、『お兄ちゃん』キャラのあれか?(爆笑)」
高 任:「ラオウさん、そういう発言を繰り返してると人格疑われるぞ?(笑)」
ラオウ:「……高任さんが作為的にある種の発言を強調するからだと思うのだが(笑)」
吉 井:「……」
高 任:「ちなみに、晶は不良少女っぽく振る舞ってるキャラで、澪は島の実力者の跡取り娘……」
吉 井:「不良…かなあ?」
ラオウ:「……ああ、思い出してきた。後は、島の診療所に勤める波美先生とか、幼なじみの時夫と、島を調べに来ている学者の娘は……光だったか?」
吉 井:「おお、もうばっちりですね……非常に重要なキャラが抜けている以外は(笑)」
ラオウ:「え、抜けてる?……教え子とかじゃなくて、そんな重要なキャラがいましたか?」
高 任:「いや、ゲーム的には重要じゃないんですけど、我々にとって重要なキャラと言った方が…個人的にはどうでもいいんですが(笑)」
ラオウ:「……ああ、眼鏡娘ですか?」
吉 井:「眼鏡娘ですとも!
ラオウ:「船着き場の売店のお姉さんですね……でも、あのキャラってエンディング無いでしょう?」
吉 井:「きっとあるはず!」
高 任:「CGが抜けてるからはっきりとは言えないんだよね……大体、時夫エンディング(しあわせのかたち)なんてCG1枚っきりだし(爆笑)」
吉 井:「……時夫って男だよね?(笑)」
高 任:「ひらひらのワンピース着て、髪はポニーテール、外見は全く少女で……しかも設定切り替えで女性ボイスに含まれてるけど男です(一同大爆笑)」
吉 井:「クリア条件は?」
高 任:「ヒロインにある程度かまいつつ第二ステージに突入して、時夫に会いに行き続ければ……顔を赤らめた時夫に『僕で、いいの?』とか囁かれますから後は自力で頑張ってください(一同大爆笑)」
吉 井:「頑張ってみたいような、頑張りたくないような……(爆笑)」
高 任:「いや、エプロンつけた時夫が夕飯を作りながら主人公を出迎えてくれますし、CGを見る限りでは実に幸せなカップル風景です(笑)」
ラオウ:「まあ、あれは製作者のお遊びだと思いますが…」
吉 井:「全てのキャラを無視して、売店のお姉さんに通いつめたらあっという間にゲームオーバーになるからなあ……」
高 任:「最初の一週間が第一ステージだとすると、そのステージで4人のヒロインキャラのうち誰か1人と3回か4回会わないと次のステージに進めないんですよ……少なくともパソコン版では…」
吉 井:「んー、そこらはプレステでも変わってないと思う……」
ラオウ:「……吉井さんはどのキャラからクリアしたんですか?」
吉 井:「いや、ごく自然な流れとして渚ですけど?ちょっとラスト展開が強引だったのが残念っていうか、あのシナリオって凄く地味ですよね(笑)」
高 任:「……バッドエンドは見ましたか?」
二 人:「こらこらこらっ!」
高 任:「いや、あのシナリオに関してはバッドエンドの方が流れとして綺麗に収まるんですよ。展開的にちょっと強引なのはハッピーエンドと同じですけどね」
ラオウ:「実は本当の兄妹だった……という疑惑云々はともかく、そこに至るまでのぎこちない展開に少し不満が残ったな」
高 任:「全体的に良くできてるシナリオですからね……不満と言っても、ちょっと気になる程度の問題だから一カ所ぐらいは仕方がないかと(笑)」
吉 井:「しかし、天然記念物の花を売るなんて可能なんですか?」
ラオウ:「は?」
高 任:「……ああ、吉井さんはまだあんまりクリアしてないんでしたっけ?」
吉 井:「てへ(笑)」
ラオウ:「はあ、またですか……って、プレステで出たのはいつですか?」
吉 井:「『ときメモ3』と同じ日です(一同大爆笑)」
高 任:「そりゃ終わらないでしょう……時間がかかるのも確かですが、吉井さんの場合『ときメモ3』にかかりっきりだったでしょうし…」
ラオウ:「じゃあ、ネタばれするとまずい部分……って、どのキャラも大概まずそうですが?(笑)」
高 任:「シナリオの根幹に関わらないのはサブキャラだけ……ってこともないな、すいません、忘れてください」
吉 井:「むちゃむちゃ気になりますって…」
ラオウ:「ときメモの合間にプレイしたらどうです?」
吉 井:「いや、最近は『君が望む永遠』もプレイしてまして…眼鏡娘に調教されていく主人公がなんとも…(爆笑)」
高 任:「なんか、吉井さんがこのままこのゲームをプレイしないような気がする……(大爆笑)」
吉 井:「な、何を失礼な……」
高 任:「うーん、そうなんだよね……一刻も早く続きをしなければとか、違うキャラを攻略してみたい、とかの爆発的な瞬発力に欠けるのがこのゲームの弱いところなんですよね……」
ラオウ:「物語の構成としては良くできてるけど、ゲームとしての構成から考えると、プレイ時間の割にシナリオの波がラストに集中してるのが原因だろうね……」
高 任:「9月から始まって最初の一週間が第1ステージ、次の一週間が第2ステージと考えたら……シナリオの8割までが残りの一週間ちょっとの最終ステージで語られますからね」
ラオウ:「その前半部分が退屈と考える人は……やっぱりいるでしょうね」
吉 井:「終わってみればいい話……なんですが(笑)」
ラオウ:「俗っぽいたとえで申し訳ないけど、B級映画が観客の中だるみを防ぐために中盤にお色気シーンを持ってくる様な配慮に欠けてた……のかな?俺はのんびりしたゲームって好きだから別に問題はなかったけど」
高 任:「穏やかな日常にこっそりと忍び寄る黒い影……はっきりとした騒動が起こるまでは、比較的のんびりした展開になるのも仕方がないと思う」
吉 井:「それはまあともかく、お2人がパソコン版ゲームをいくらで買ったのかは知りませんけど、プレステでの初売りが1500円ってのはゲームの出来からして破格の値段だと思いますが」
ラオウ:「……」
高 任:「……」
吉 井:「どうしました?」
高 任:「1500円……
ラオウ:「複雑な気分ですな……
 
 そうか、このゲームが1500円か……そりゃ間違いなくラッキーだよな。(笑)
 
ラオウ:「しかし、教育実習ってどんなコトするのかね?」
高 任:「まあ、このゲームの中で出てきたのと同じようなことですよ。毎日毎日レポートと授業計画を提出して、上につく先生にもよるけど結構大変らしいです」
吉 井:「……そういや高任君って教員資格持ってたっけ?」
高 任:「いえ、教育実習以外の単位は取りましたけど。ちなみに、教育実習に行くための手続きって結構面倒で、前年度に申請しておかないと駄目なんですよ……だから大学4年にそれをやろうと思ったら3年生のうちに手続きをしなきゃいけないので、決して思いつきでいけたりするもんじゃないんですけどね…」
ラオウ:「……とすると、教育実習の申請届けを提出しても断られることもあるってこと?」
高 任:「そりゃもちろんですよ。受け入れ側の体制や人数の都合もありますし……大体は自分の母校ってのが多いですけど、この主人公みたいに引っ越した場合ってのが結構やっかいでしてね。卒業生じゃないケースの申請って、学校側に断られる事が少なくないらしいです」
吉 井:「そうか……実習先で最低でも2週間ぐらいは宿が必要なわけだし、実家が引っ越しとかしてたら母校以外に申し込まざるを得ないケースもあるんだな……」
高 任:「そういうことです……と言っても、あくまで俺が学生の頃のあれですから現状はまた違ってるかも知れませんけど」
ラオウ:「ま、何はともあれ高任さんが教師になったら世も末だよね(爆笑)」
高 任:「自分にその資格がないことぐらいわかってますって(笑)」
吉 井:「そうかな?…また堅苦しく考えてない…?(笑)」
高 任:「……他人から与えられる資格と、自分が自分に与える資格の2種類が存在すると思ってますから」
ラオウ:「あれ……そういや何故単位を?」
高 任:「どういう基準であんなクソ教師が大量生産されてるのか興味がありましてね……他の大学の教職課程授業にも潜り込んだんですけど……まあ、世も末ですな(爆笑)」
吉 井:「そういうことに関しては相変わらず辛辣だねえ…(笑)」
ラオウ:「どうせなら教育実習もやってみれば良かったのに」
高 任:「だーかーら、いくら実習だろうが俺にはそんな資格ありませんって!」
吉 井:「まあまあ……しかし、このゲームの学校のように1年生から6年生までが同じ教室で勉強してる学校って現実にもあるんでしょうけど、先生って大変でしょうね」
高 任:「吉井さん、吉井さん。僕の母校は……って言うか、数年前に廃校だか休校だかがほぼ正式決定されて(一同大爆笑)」
吉 井:「うわあ、涙で目の前が見えないっす(笑)」
高 任:「いやあ、地区にすむ親御さんが生徒数の少ない母校を敬遠して、隣町の小学校や別地区の小学校に入学させたものだから余計に生徒数が減少した挙げ句のことらしいですが……全盛期の明治時代には全校生徒150名を数えたというのに……」
ラオウ:「全盛期が明治時代かよ…何故そんなことを知っている?(笑)」
高 任:「いやあ、子供の頃は愛校心に燃えてたから。その手の昔の資料は大概目を通したよ(笑)」
吉 井:「……全盛期でも150名(笑)」
高 任:「修学旅行なんて、隣の小学校がチャーターしたバスの隅っこに小さくなって分乗でしたからね。だからこのゲームの中に出てくる学校の雰囲気ってのは非常に良くわかります」
ラオウ:「わかるからどうしたという話もあるが(笑)」
吉 井:「普通に考えると、このゲームの島って結構大きいよね。小学校だけじゃなくて中学校もあるんでしょ」
ラオウ:「いや、それは離島とか山の中等の状況下にある場合良くあるケースでして、規模に関わらず設置されることが……だから、ニュースとかでたまにあるでしょ、『一人きりの卒業式』とか」
高 任:「俺はちゃんと校歌を歌えるし、弾けます。そう、僕の母校は卒業生の心の中に生き続けるんです(一同大爆笑)」
ラオウ:「もういいから、黙れお前(笑)」
吉 井:「はあ…自然の豊かな所で育ったんですねえ」
高 任:「そういうところで育つと、中学校に上がって教室の中に40人からの人間がひしめき合うのに慣れるまではどうも息苦しくて…」
吉 井:「ははあ……」
高 任:「で、今度は高校に行くにあたって『汽車』に乗って街に出るわけでしょ?それが過ぎたら今度は大学で都会に出て……これだけの人間がどこに隠れていたんだ!って感じで進学するたびにカルチャーショックですよ(大爆笑)」
ラオウ:「そういうこと考えると、逆に都会からこの島にやってきた……晶はまあ大変だろうねえ」
吉 井:「……これまでの自分の生活を構成する要素が全て失われたわけですから(笑)」
高 任:「とすると、晶と対極的な位置にいるのが澪ですよね……純粋培養された深窓のお嬢様(笑)」
ラオウ:「んで、小さい頃主人公の後ろを付きまとっていた渚……しかしふと思ったんだが、そんな小さな頃からずっと主人公のことを思い続けて……なんて都合のいいことあるのかあ?(大爆笑)」
高 任:「や、ラオウさん…それ言い出すと『センチメンタル・グラフィティ』なんてどうなるんですか?
ラオウ:「あのゲームは元々どうにもなってないでしょう。あれは、オープニングを見て悶えるためのゲームです!(一同大爆笑)」
吉 井:「水死体…(爆笑)」
高 任:「俺なんか、あのオープニングのためだけに持ってもいなかったサターンのソフトを購入しましたからね」
吉 井:「あのゲームもなあ……幼なじみが12人。日本全国に散らばってるのはともかく妹が12人より遥かにリアリティはあるよね(爆笑)」
高 任:「いや、吉井さん。俺、幼なじみなんて男を合わせても12人もいません(一同大爆笑)」
ラオウ:「そんな特殊な例を持ち出されても…」
高 任:「いや、だからこのゲームの中ではこれがノーマルなんですよ!つまり、俺が基準!(爆笑)」
吉 井:「受け口狭っ!(笑)」
ラオウ:「別に、田舎出身じゃないと理解できないという話でも……第一、田舎というなら『果てしなく青い、この空の下で…』の方がよっぽど田舎ですって(笑)」
高 任:「いやいや、それを言うなら『ポヤッチオ』が一番田舎でしょう。なんせ、村の人間が25人しかいない。仕事で村の外に出てる人間を合わせても40人足らずのはず(笑)」
吉 井:「俺らは一体何の話をしてるんですか?田舎の話ですか、それとも、『おかえりっ!』というゲームの話ですか?(爆笑)」
高 任:「……なんか、理由はわかってるけどこの対談は脱線が激しいねえ(爆笑)」
ラオウ:「3人とも心の中ではわかってるんでしょうなあ……(笑)」
 
高 任:「で、吉井さんは今のところ由美子にお熱ですか?(笑)」
ラオウ:「お熱って……また、時代を感じさせる表現を(笑)」
吉 井:「しかし、本当にエンディング無いんですか?なんせ、眼鏡娘で自転車に乗って主人公に後ろから激突ですからね……そこまで狙っておいてエンディングが無いとは信じられないのですが?(爆笑)」
高 任:「うーん、無いとは言いきれないですけどね……なんせ、アルバムモードを全部埋めたわけじゃないので。とりあえず、回想モードは渚と晶と澪の3人だけしかないですけど…(笑)」
ラオウ:「相変わらずチェックが細かいねえ……と、波美先生はサブキャラ扱いですか?確かCGの大部分はその4人のシナリオで埋まったはずですけど?」
高 任:「……考えてみると、波美先生って言うか亜紀のシナリオですよねあれって。それに、あのシナリオは島の伝説をより深くユーザーに伝えるためのシナリオで、その意味でヒロインはいないと判断したのでは……って吉井さんにはわかりませんか?(笑)」
吉 井:「わかりませんね(笑)」
ラオウ:「開き直ってますね…」
吉 井:「高任さんのお気に入りは?」
高 任:「摩耶ですが?(大爆笑)」
ラオウ:「エンディングがない事が確実な上に、小学校の教え子ですけどいいんですかそれで?
高 任:「いやあ、この気が強い所がいいですよね。はっきり言って登場キャラの中では一番好感が持てました……澪シナリオを何度もやり直して摩耶のエンディングを探しまくりましたよ(一同大爆笑)」
ラオウ:「明らかにエンディングが無いことがわかるって…」
高 任:このキャラ一番可愛いですよ……亜紀もそうだけど、将来はきっと美人になるでしょう(笑)」
吉 井:「いつからそんな守備範囲が広くなったんですか?(笑)」
高 任:「ふう、これでゴールデングラブ賞はいただきだな…(大爆笑)」
 
(注)・ゴールデングラブ賞…プロ野球のセ・パ両リーグの各ポジションにおける守備で最も活躍した人……という前提なのだが、実際は守備機会や失策率よりも選手個人の総合的な成績が影響された賞となって久しい。
 
吉 井:「そろそろまとめてみます?」
ラオウ:「一言でいうと、良くできてるゲーム(爆笑)」
高 任:「ラオウさん、それはあまりにも一言過ぎ(笑)」
ラオウ:「……」
吉 井:「……」
高 任:「……はっきり言うと、このゲームって全体的に非常にバランス良く仕上がってるからこれという売りが無い!(爆笑)」
ラオウ:「何を今更…(笑)」
吉 井:「それと、ギャルゲーと言うよりは、なごみゲーですよね
ラオウ:「……ゲームのシステムとかは全然違いますけど、雰囲気的には『ポヤッチオ』に似ているような気もする」
高 任:「……そうかなあ?田舎でのんびりした感じはその通りかも知れませんが」
吉 井:「なんとなくですけど、良いゲームなのに話題にならないという作品の傾向が見えてきましたね(笑)」
ラオウ:「まあ、ゲームって基本的に娯楽だし……どっちかというと刺激的なモノに購買層が固まっていくのは自明の理かと」
高 任:「プリズムコートは?(爆笑)」
ラオウ:「あれは例外……と言うか、受け口が狭すぎる(一同大爆笑)」
吉 井:「実は『良いゲームだと思ってるのが我々だけ』という可能性は…?」
ラオウ:「……吉井さん、他人の意見を参考にするのはともかく、他人の意見で自分の意見を曲げてはいけません(爆笑)」
高 任:「俺が法律、ってやつですか?(一同大爆笑)」
ラオウ:「そう、俺が法律!ユーザーの数だけ法律がある。だからやな、いくらよそのホームページで『アメリカンセクシーチャンネル3』が良いゲームとか紹介されてても、俺は決してあのゲームを認めない!(爆笑)」
吉 井:「……何かあったんですか?」
高 任:「あのゲームのレビューをネットでいろいろと読んでショックを受けたらしいです(笑)」
ラオウ:「メーカーを甘やかせたらアカンぞほんま……」
高 任:「子育てみたいモノですか?」
吉 井:「最近の流行は、『誉めて育てる』らしいですな…」
ラオウ:「子供は誉められるとひねくれて成長すると思う……そりゃ、例外はあるだろうけど…」
高 任:「……ちなみに僕が小学生の頃、テストで100点取ったから得意そうに母に見せたんですよ」
吉 井:「どうなりましたか?」
高 任:「『学校で教えることがテストに出るんだから満点取るのが当たり前』って怒鳴れましたね。そんな風に叱られて育ったものでこんなにひねくれましたが?(大爆笑)」
ラオウ:「心が温まるいい話ですねえ…って言うか、ひねくれたのを親のせいにしてはいけません(爆笑)」
吉 井:「……何の話でしたっけ?」
高 任:「俺が法律って話でしたが…」
ラオウ:「そう、ユーザーは独りよがりでも全然構わない……それを気にしなければいけないのは製作者サイドだから(笑)」
吉 井:「じゃあ、同人は?」
ラオウ:「あれは、自分の法律に賛同できる人はこの指止まれ的な活動だと思ってるから別に…(一同大爆笑)」
高 任:「なんつーか、ラオウさんってそういう部分が本当に醒めてますなあ(笑)」
吉 井:「とすると、このゲームなんかでも、気に入ったキャラとかはいないわけですか?」
ラオウ:「いや、特には……あ、そうだ高任さん、ここで一言いっておくけど、『俺はシスプリのコンセプトがお気に入りであって、特定のキャラが気に入ってるわけじゃないんだ覚えとけっ!』(一同大爆笑)」
 
 そお?(笑)
 
吉 井:「なんか、まとめるどころか話が拡散してませんか?(笑)」
高 任:「……凄く誤解されそうだけど、あんまり話すことないんですもん(大爆笑)」
ラオウ:「『良いゲームだ、良いゲームだね』で会話が終わってしまいそうなのが恐いですな(爆笑)」
高 任:「実にオーソドックスなノベルタイプのシステムで、シナリオも、キャラも丁寧に作り込まれてるし、暖かなストーリーで心が和む……良いゲームだよね?(笑)」
吉 井:「否定して欲しいんですか?」
高 任:「いや、決してそんなことは…」
ラオウ:「しかし、PS版で1500円でしょ?そりゃ、買わないと損でしょう……誰彼』とか『メモオフ2』とかのゲームに高い金払うこと考えたら、100億倍は有意義だと思いますが(笑)」
高 任:「マイナスの有意義を100億倍してどうするんですか?(大爆笑)」
ラオウ:「アンタが言うなよ…」
吉 井:「……でも、PS版はかなり品薄というか出荷数が少ないという噂なので結構入手困難かも?」
高 任:「…って言うか、俺はPS版のソフトが売られてるのを見たことがありません」
ラオウ:「今となっては、パソコン版も幻のゲームとなりつつありますが(笑)」
高 任:「むう、これが本当の隠れそうな名作なのか?(笑)」
 
 
 お買い得度…… 8(これが1500円で買えるなんて、果報者ですよみなさん!)
 操作性………… 6(テキストスキップや、画面の切り替えが遅い)
 音楽…………… 8
 再プレイ度…… 5(だるく感じるかも)
 郷愁度(笑)… 8(え、都会出身?そりゃ失敬!)
 絶対値評価…… 4
 
 
 和みました。(笑)
 シナリオの展開によっては、主人公が命が危険な状況に陥ったりするんですけど、何故か和みます。
 多分それは舞台が田舎だからと言うのじゃなくて、このゲームの根本に流れるのが人の善意だからと思います。
 悪意の塊みたいな人間が偉そうなこと言うじゃないか、と笑われそうですが……高任は人間の悪意の存在を信じることで善意の存在も信じてます。
 まあそんなことは抜きにして、陳腐な表現しかできない自分がもどかしいですが、良いゲームです。おそらくは非常に大きな意味で。
 是非プレイして欲しいですね。


[ *対談についての補足 ]
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