お題……『キスと魔王と紅茶』(WIN)
 
 
 私立、秋零(しゅうれい)学園。
 伝統と格式を重んじる、ミッション系の名門校。
 全寮制にすることで自立心を養う教育と、高いセキュリティの両方を実現……するための代償ではあるのだが、その広大な敷地には、緑あり、プライベートビーチあり、ショッピングモールに、ゲームセンターまで存在する。
 許可さえ取れば学園外にも出られるが、基本学園内で用事は事足りるため、入学した生徒は長期休暇の里帰り以外は、ほぼ全ての時間を学園の敷地内で過ごすことになる。
 一見、生徒達に不便な思いをさせぬように……という学園側の配慮が行き届いているようにも思えるが……多くの生徒達にその自覚はないものの、この学園はある意味で閉鎖された空間と言えよう。
 
 さて、秋零学園の生徒に配布される生徒手帳には、珍しい記述がある。
 魔王、の存在についてである。
 
 教会公園……通称、安らぎ公園の花の色が青から赤に変わるとき、魔王が現れる。
 
 イベント好きだった初代理事長が仕込んだネタ…などと噂され、魔王の存在は学園七不思議の1つとされているが、わざわざ校則に明記されていることは、やはり異質なモノを感じさせる。
 さらに、魔王が現れたときは勇者部を結成し……などと、細かなルールが存在しているのにも関わらず、これまで勇者部が結成された記録は皆無である。
 
 主人公、相葉憩一。
 ごくごく普通の(自称)男子生徒。
 まあ、取り巻く友人が、みなひと癖もふた癖もある連中で、彼らをその不思議な求心力でまとめているところは、少しばかり普通ではないのかも知れないが。
 幼い頃、両親を事故で失い……叔母さんに世話になっているのだが、叔母さんには叔母さんの幸せをつかんでもらいたいと、成績優秀枠で秋零学園に進学。
 昔からの友人3人に加え、秋零学園で再会したかつての幼なじみの少女……二年の夏休みを前に、主人公憩一の人間関係に、新たな変化が訪れようとしていた。
 
『貴方は…魔王の話を知っているかしら?』
「まお、う……小説とかゲームの話ですか?」
『くすっ。そうね、そうよね…そう思うのが普通よね』
 
『馬鹿馬鹿しいかも知れないけど、魔王は実在するのよ』
 
『魔王は、ここにいるの』
「まさか、自分が魔王です、とか言うつもりですか?」
『いいえ』
 
『そうね、信じてもらえないでしょうから、出てきてもらうことにするわ…』
 
『魔王は、キスをすると、本当の姿を現すの』
「へ?キス…?」
 
 月明かりが差し込む部屋の中、少年は唇を奪われ…。
 
『魔王は貴方です、相葉憩一様……今この時より、我が君に、私の全てを捧げます』
 
 魔性の美を備えた少女は、恭しく少年の前にひざまずいたのだった…。
 
 
高 任:「なんというか、男の夢と希望がぎっしりと詰まったゲームだったね(笑)」
ラオウ:「…詰めすぎのような気が、微妙にしないでもない」
吉 井:「もう、ヒロイン5人が……一人除いて、甲斐甲斐しいったらもう(笑)」 
高 任:「なんというか、日常シーンはともかく、気恥ずかしいイベントというか、イベントシーンは、体重がしっかり乗ったテキストでした」
ラオウ:「ま、まあ、言いたいことはわかる(笑)」
高 任:「ストーリーで不足(?)分のエロは、サイドストーリーで補充。いっそすがすがしいな、ここまで来るとっ」
ラオウ:「でも、部屋の中でスイカ割りやってて、目隠しご〇仕プレイに移行、挙げ句の果てにゲーム機のコードが身体に絡まって拘〇プレイって…(爆笑)」
高 任:「男と言うより、スタッフの誰かの、夢と希望がぎっしりと詰まって、清々しいな、あのサイドストーリー(笑)」
吉 井:「この手のゲーム、冷静になったら負けですね、いろんな意味で(笑)」
高 任:「バニーさんとか、主従プレイとか、今自分たちが作っているのがエロゲーなんだという、自覚のひたむきさに好感が持てます」
ラオウ:「まあ、なまじ本編に組み込まなかったあたりは、賢明だと思う(笑)」
 
 ちょい脱線。
 
ラオウ:「多少、お嬢様特集からはずれてるような気もするが」
吉 井:「更紗とリセの二人でじゅーぶんでは」
高 任:「いや、チョコ先生も一応お嬢様設定ですから」
ラオウ:「設定だけはな(笑)」
高 任:「まあ、お嬢様特集と言うより、全寮制というか、閉鎖された学園つながりの方が良いのかな、『アトリ』も含めると」
ラオウ:「まあ、対談するに値するゲームという意味で、どうでもいいですが」
高 任:「ふむ」
ラオウ:「ただ、一部を除いたいろんな面での完成度の高さは認めるが……魔王の設定をぬきにしても、シナリオの構成そのものには疑問が残った」
吉 井:「結局、そこですか(笑)」
高 任:「まあ、制作者の方にも自覚はあったと思いますよ……だから、こう、ぺたぺたと穴をふさごうとした部分や、魔王という設定から離れてシナリオを進めた部分やら、散見できましたし」
ラオウ:「『魔王になりやすい』って表現は、多分最初からじゃなくて、ゲーム開発を進める上での穴ふさぎの一環だろうね」
吉 井:「なんか、ものすごい独断と偏見で話を進めてませんか?」
ラオウ:「吉井さん」
吉 井:「はい?」
ラオウ:「テキストというか、文章には流れがあります。ある程度のレベルを超えると、後から付け足した部分ってのは、きちんとケアしないとかなり目立つんですよ」
高 任:「多分、記憶云々の部分も付け足しでしょうね」
ラオウ:「あれもくさいな……多分、最初に更紗のシナリオを作って、次にリセ、その次に優菜…の順番ではないかと推測する」
高 任:「順番の正誤はともかく、少なくとも、リセのシナリオと優菜のシナリオは、お互い影響し合ったのは間違いないですね」
ラオウ:「うん」
吉 井:「つばさと、チョコ先生は?」
ラオウ:「魔王という設定上、あの二人はヒロインではないでしょう……特につばさは、優菜のシナリオがある程度できあがった後で、友人のつばさも攻略対照にしませんか……みたいな感じで増やされたときいても、俺は驚かないです」
吉 井:「も、ものすごい独断と偏見だ…」
高 任:「まあ、ゲーム開発では良くあることです(笑)」
ラオウ:「体験版で人気投票やってみたら、意外と人気のあったキャラをヒロインの一人にしてしまおうとか(笑)」
高 任:「原画というか、キャラデザの人にラフをあげてもらったら、それがシナリオ担当にとってストライクで、ついシナリオを拡張してしまったとか(笑)」
吉 井:「はあ」
ラオウ:「別にそれが悪いと言ってるわけではないです」
高 任:「体験版でヒロインの一人、眼鏡娘がぶっちぎりの不人気という結果になったら、シナリオ全改か、キャラ変更などというのも、メーカーとしては…仕方のない…うう、仕方のない行為ですよ」
ラオウ:「なにやら、俺の知らないトラウマを抱えているようだが…」
吉 井:「体験版でいた眼鏡娘が、正式版で消えていたゲームというと…?」
高 任:「いや、ただの演技です」
ラオウ:「……」
高 任:「演技だってば」
 
 脱線。
 
ラオウ:「まあ、魔王が現れると花の色が変わるというか、魔王の存在によって花の色が変わるとか、生体反応とか、抗体とか……正直、ツッコミどころは多すぎるけど(笑)」
高 任:「ただ、結局魔王云々の設定は、ゲームの本筋にはほぼ関係ないですからね」
吉 井:「それは…」
ラオウ:「いや、物語への導入を除けば……はっきり言って、本質的に魔王はどうでもいい存在ですよ?(笑)」
吉 井:「……ですよね」
ラオウ:「で、わりと魔王の設定に絡めてるっぽい、優菜のシナリオは、正直まずいだろう、と。多分リセのシナリオの影響とは思いますが」
高 任:「都合良過ぎというか、設定の穴ふさぎで開発者が慌てまくった姿が目に浮かぶなあ(笑)」
ラオウ:「ひょっとしたら、開発者自身も最初から設定の破綻を気づいてたんだろうな……魔王という設定を、基本的に舞台を提供するだけの役割しかもたせなかったわけだから」
高 任:「まあ、そうですね。更紗の登場によって、主人公の前に非現実が突きつけられ……だったら、ファンタジーアクションに向かいそうなもんですが、勇者部の結成というか、そこに集められたメンバー内で、まったりとして、ちょっとだけシリアスな学園物語が語られる……ですし」
吉 井:「まあ、確かに基本はお気楽学園モノですね」
ラオウ:「……細かいこと言うと、つばさはつばさで……紅茶アレルギーとかの症状が出てもおかしくないはずなんだけどな(笑)」
高 任:「そもそも、あの花の某成分に対して抗体が出来るということと、なんというか、魔王ウイルスというか、それに対する抗体を持つって事の間には、深くて大きい川が流れているはずで」
吉 井:「まあ、それは…」
高 任:「『魔王が現れるのと同じぐらいの奇跡』っていう更紗の台詞で大爆笑しましたよ、俺(笑)」
ラオウ:「更紗の台詞だったか、それ?……まあ、それはどうでもいいけど、あれは、開発者の『血涙混じりの命乞い』ですよね(笑)」
高 任:「そっかー、奇跡なら仕方ないや…と、俺はアレで色々許せましたよ」
ラオウ:「まあ、あそこまでされたら、さすがに追撃しようとは俺も思いません。逃げと言えば逃げなんでしょうけど、それ以外の部分に目を向ければ、ものすごく真面目に作ってあるのはわかりますからね」
高 任:「ですね」
吉 井:「今ひとつアレですが、とにかく良しと?」
高 任:「100メートル競争で世界記録出した人間が、ドーピングしてたり、推進装置を仕込んでたりしてたら認められませんよね」
吉 井:「そりゃ、まあ…」
高 任:「でも、ユニフォームに政治的なメッセージを仕込んで走った…とかなら、これは怒られるかも知れませんが、記録そのものの価値を失わせるわけではないですよね」
吉 井:「……?」
ラオウ:「まあ、早い話……このゲームのシナリオって『魔王』じゃなくても構わないんですよ。そう考えると、魔王の設定の破綻は、シナリオを本質的な破綻に導くモノではないというか」
吉 井:「はあ…?」
 
 
高 任:「それにしても、チョコ(千夜子)先生は、某猫型ロボット扱いでしたね」
ラオウ:「話を展開させる、収束させる、ギャグを混ぜる……などと、あらゆる役割を担ってたな、確かに」
吉 井:「天才で、大人な子供で、子供な大人で」
高 任:「そのあたりは、嫌みなキャラにならないように、精神的な子供というか、そういう手法でしょう」
ラオウ:「つーか、ちびっこは、金髪でツインテールという決まりでもあるのか(笑)」
高 任:「決まりはないが、暗黙の了解となりつつあるな(笑)」
吉 井:「たしかに」
高 任:「夏休みは一緒に遊びまくり、新学期では球技大会で勝利を目指し…そして、いつしか二人の間には…」
ラオウ:「魔王、まったく関係ねえっ!(爆笑)」
吉 井:「まあ、全くってことも…」
ラオウ:「まあ、それはそうですが……魔王とか勇者部とかなくても、この二人は自然にくっついたのではなかろうかと思ってしまうぐらい、魔王設定がほったらかしで、ものすごく安心できましたよ(笑)」
高 任:「安心かよ(笑)」
ラオウ:「いや、この前にリセとか優菜とかクリアしてたからな」
高 任:「『あのなー先生なー』の、台詞が、俺は大好きなんですが」
ラオウ:「『だからなーやめたー』(笑)」
吉 井:「まあ、現実問題、あんな教師がいたらクビですよね」
高 任:「つーか、18禁シーンになると、ひときわ外見が幼く…」
ラオウ:「誰かの夢と希望が詰まって、清々しいよな(笑)」
吉 井:「シナリオじゃなくて、多分原画の人(笑)」
ラオウ:「まあ、個人的にはこんな教師いらないですが……嵐の日に、スク水着て、屋上で避雷針タイプの充電器設置して『ひゃっほー、これで電気代気にせずゲームやりまくりだぜ』などと転げ回っているお馬鹿さんは遠慮したい(笑)」
吉 井:「さっきの対談でまり〇がでたから、つぎはナ〇お嬢様ですか」
ラオウ:「ああ、言われてみるとそうですね(笑)」
高 任:「そもそもラオウさん、お馬鹿さんな教師も何も、現実において教師そのものを必要ないと思ってただろ」
ラオウ:「まあな。勉強を誰かに教えてもらう必要性を感じたことはないし、他の役割なんて、現状というか今も昔も教師という職業に出来ることはほとんどないだろ」
高 任:「吉井さん、こいつものすごくむかつくんですけど?」
吉 井:「長年のつきあいで、なんとか耐えてください…」
高 任:「いや、それはお互い様と思うので(笑)」
ラオウ:「まあな(笑)」
高 任:「笑顔で肯定しないで?」
ラオウ:「まあ、それはおいといて……ちびっこじゃなくて、チョコ先生の頭を主人公がやたらなでるあたり、キミとはいい友人になれるんじゃないかこのシナリオ書いた人」
高 任:「いや、それは別に俺に限ったわけではなく…つーか、背の低い知人に聞いてみ?やたらなでられる…みたいなことは話してくれると思うから」
吉 井:「なるほど」
高 任:「あと、丸坊主な……触らせて、とかいって、頭なでてくるやつの多いこと」
吉 井:「ああ、なるほど」
ラオウ:「中学が強制丸坊主だったからなあ…」
高 任:「右肘の手術する前に、ギプスで固められたら髪洗うのとか面倒だなと思って丸坊主にしたんだけど、いやこれが、みんながよってたかって……多分、そんなもんだ、あれは(笑)」
 
 
ラオウ:「まあ、チョコ先生が、一部の男性の夢と希望をぎっしり詰め込んだキャラだとすれば、更紗は多くの男性の夢と希望を…(以下略)」
高 任:「容姿端麗、成績優秀……などと、四字熟語には事欠かない少女が、『我が君に、私の全てを捧げます…』などと服を脱ぎ始める……まあ、多かれ少なかれ男性は思春期にこういう想像を経て成長してきたんじゃないでしょうか(笑)」
吉 井:「男って馬鹿よね(笑)」
高 任:「そこで悲鳴を上げて逃げ出せた主人公……尊敬に値するな」
ラオウ:「そうか…そもそもその前に、ナイフで刺されてるんだぜ?」
吉 井:「ギャグなら、『いえ、心配ありません』などと涼しげな顔で更紗がナイフを抜いて、そのまま主人公が倒れて動かない…なんて展開ですね(笑)」
高 任:「更紗が冷静に、『あら、魔王ではなかったようね』と呟いておしまい」
ラオウ:「じゃなくて……もちろんここで主人公は、魔王について過去の記録、しかもこれまでに1人しかいないという事を知るよしもないんだけど、主人公が魔王ということを証明するために、腹をナイフで刺す……この行為に至る、更紗の異常性というか、幼い頃からの教育による洗脳のおぞましさの片鱗は感じ取れるはずなんだわ」
吉 井:「ああ、言われてみれば確かに…」
ラオウ:「主人公が『ちち、しり、ふとももーっ』なキャラならともかく、ここで更紗の誘惑というか、誘いに引き込まれるなら、それこそ主人公の人格が異常としか言えないだろう」
高 任:「ごめん、俺は馬鹿な男でいいや(爆笑)」
吉 井:「やってしまわれますか(笑)」
高 任:「いや、俺の好みは…などとロープで縛り上げてから逃げる(爆笑)」
ラオウ:「おいおいおいっ」
高 任:「だって、普通に逃げたら、追いかけてくるに決まってるじゃんっ…まあ結果として、追いかけてこなかったけど」
ラオウ:「縛るぐらいだったら、いっそのこと始末しろよ」
高 任:「結果として、自分はナイフで刺されても平気だったわけだから、その下僕と名乗る更紗を殺しても、死なないかも知れないやん」
ラオウ:「心臓に杭を打ち込めば…」
吉 井:「ヴァンパイアですか…」
ラオウ:「あれ…回復力が高まる云々はさておき、生体活動そのものは変化しないとすると……窒息させるとか、血液の循環を止める方法だと、魔王は死ぬって事か」
高 任:「無〇の住人ですね(笑)」
吉 井:「じゃあ、とどめに、キャンプファイヤーで」
 
 脱線。
 
高 任:「オープニングから全然対談が進まないよっ!?」
ラオウ:「いや、考えてみたら……あそこで更紗を抱くことなく逃げ出した瞬間、主人公は魔王にはならない選択を選んだとも言えるな」
高 任:「なるほど、あそこで素直に更紗とやってしまうという選択を選べることが、魔王の資質だったと」
吉 井:「いや、無理に深読みしなくても…」
ラオウ:「まあ、オープニングは置いといて……会話の面白みを狙ったイベントなんだろうけど、校内放送のあれは、更紗のキャラとしては不適当だよね」
吉 井:「初〇験は、小学2年の時に公園でってやつですか」
高 任:「初めて自転車に乗りました(笑)」
吉 井:「男子生徒総立ちから、総着席(笑)」
ラオウ:「あれをやるなら、もうちょっとお茶目な資質が必要というか……後半ならともかく、前半部分であのイベントは違和感しか覚えないというか」
高 任:「それは確かに…というか、後半の設定に引きずられたイベントのような気がします」
吉 井:「主人公との仲に関する質問で、優菜がからっぽのティーカップをスプーンでかき混ぜ続けるのが可愛い(笑)」
高 任:「まあ、何にせよ……幼少期からの洗脳というか教育というか、下僕という立場を崩そうとしない更紗に対して、主人公は、九曜更紗本人の気持ちはどこにあるのか…と問い返し続けて、いつしか更紗は…という黄金シナリオですが」
ラオウ:「一言でまとめたか(笑)」
高 任:「と、いうか……初代の魔王が誕生したと思われる地域を、ハンドレッド家に奪われた九条家が、いつか現れるかも知れない魔王とコンタクトを取るために更紗を学園に送り込んだのはいいんですが」
ラオウ:「まあ、毎年というか、最低でも3年に1人、更紗のように孤児を集めて英才教育でふるいにかけて……九曜家の養子として送り込み続けてきたわけですな(笑)」
吉 井:「ああ、今気づいた」
高 任:「そういう意味ではね、更紗のポジションというか……学校の教師であるのが設定としてはベストだと思うんですよ」
ラオウ:「確かに」
高 任:「そもそも、魔王の力を欲するという意味で、九曜家と学園を経営するハンドレッド家は対立関係にありますよね。そこに、九曜家の養子である更紗というか生徒を送り込んで……なんて、現実味がないでしょう。というか、ダミーの存在として使った方が良いのは明らかで、その裏で九曜家の息がかかったというか…白衣で眼鏡の女性教師が、主人公の前に現れるという方が…」
ラオウ:「個人的な夢と希望を詰め込みすぎてないか?(笑)」
高 任:「生徒達のいろんなデータに自然に触れるという意味で、保健の先生というか。だとしたら、ごく自然に白衣だろう。ここまで、何か問題あるか?」
ラオウ:「ないな、そこまでは(笑)」
吉 井:「と、いうか…言われてみると、養子とはいえ九曜家の子供を受け入れるってのはアレだね」
高 任:「いや、それは…魔王と九曜家がつながるなら、学園に受け入れるメリットはありますよ。少なくとも、ハンドレッド家には、魔王とつながる手段に関して九曜家よりは劣ってますから」
吉 井:「なるほど、逆の意味でおとりとして使うと」
ラオウ:「まあ、少なくとも、生徒である更紗が……ってのは、ちょっと無理あるな。正直、俺は本命というか本当の下僕キャラが出てくるもんだと思い込んでたよ」
高 任:「別のキャラは出てきましたが(笑)」
 
 脱線。
 
高 任:「まあ、何はともあれ正体は知られたくないという主人公の希望を入れて……魔王を追う勇者部の一員でありながら、自分が魔王という日常が始まるわけですが」
ラオウ:「基本的に夏合宿以降は、主人公と更紗がいちゃいちゃラブラブしてただけだからなあ(笑)」
吉 井:「それは、更紗のシナリオに限らず…」
高 任:「そういや、台風から植物園を守ろうとする園芸部のイベントとかありましたよね」
ラオウ:「ああ、あれか……あれって、わざわざ魔王が悪人役を演じる意味あったのか?」
高 任:「ですよね……『ぐははは』とか、リセを人質にとって園芸部の人間を追い払った後で、植物を守るため、1人でその作業をする主人公……その次の日、学校内の魔王の悪口の中、更紗だけが『私だけが、本当の理由を知ってます…』などと、慰めるけど……結局、あれって、周囲の誰からも理解されないけど、更紗だけはわかってくれているという状況を作りたかったがための、無理イベントのような」
吉 井:「九曜家の手前、魔王が良い人を演じるわけにもいかなかったのでは?」
ラオウ:「それは、更紗が言うことですよ。主人公のキャラとしては、園芸部員の危険を回避するために魔王の力を使う……という流れの方が自然だと思います」
高 任:「魔王として助けにいこうとする主人公に対し、更紗が『それは、九曜家に対し…』と口を出し、その結果、ああいう行動を取る…そのうえで、次の日に更紗が『申し訳ありませんでした…私が、余計なことを言ったせいで、憩一様を…』などと、涙と共に言わせるイベントでいいいんとちゃうの?」
ラオウ:「更紗の立場を守るために、悪名をかぶった……ほうが、シナリオとしてはメリハリがつくと思います」
吉 井:「た、確かに…」
 
 中略、というか…
 
『二人っきりの部屋で、彼女の方から鍵をかけるシチュって、最高ッス』
『消しゴム落としてテーブルの下に潜り込んだ主人公の目の前でわざわざ足を組み替えるって、どんな小悪魔だよっ!?』
『偏った教育を施された割に、やたら乙女だよな更紗はっ!』
『つーか、嫉妬深さはむしろ魅力的っす!』
『魔王の下僕として……みたいな、男心をがっちりつかむ特殊教育を施されたんじゃないでしょうかっ!』
『アトリもそうだけど、いいよね黒髪!』
 
 ……などと、馬鹿トークが延々続いたと思っていただきたい。(笑)
 
高 任:「で、チョコ先生の活躍と、ものすごい奇跡もあって、主人公は魔王になる体質を改善し、更紗と幸せな未来に向かって歩き始めるのでした…」
ラオウ:「……」
吉 井:「……」
高 任:「一見綺麗にまとまっているように思えるけど、ここって、つっこんだら負けですか?」
吉 井:「負けだよ(笑)」
ラオウ:「ここは『カワイイは正義』で乗り越える場所ではないかと」
吉 井:「多分、チョコ先生は、ポーカーフェイスの達人ですね(笑)」
高 任:「確かに。まあ、実際更紗可愛いし、かなりの人間がやられたとは思うし、俺も結構やられてるんだけど……なんというか、こう…与えられた設定で、ぴしっとあるべきモノがあるべきところに収まったシナリオというか、エンディングを見たいと思うのは俺だけですか?」
吉 井:「やべえ、更紗可愛すぎ…などと思ってる人間は、そういうとこまで頭が回らないよ高任君(笑)」
高 任:「いや、それは違いますよ。やべえ、更紗可愛すぎ……だが、もっと彼女を輝かせる事が出来るのではないかっ!?……と、さらなる高い空を見上げて生きる、そんな人に私はなりたい(笑)」
吉 井:「ダメ人間スキルと紙一重のような…」
ラオウ:「そういう意味では、キャラゲーなんだろうな…これも」
吉 井:「許せるとか言ってたじゃないですか、2人とも」
ラオウ:「60点なら良いところが目がいき、80点を越えると悪いところに目がいく…そういうもんです(笑)」
高 任:「それは真理ですな」
吉 井:「対談の流れ的に、否定的な対談になってるような気が…」
ラオウ:「打算と裏切り、それだけを教育されてきた更紗には、主人公の存在はただまぶしく……という感じのインプリンティング恋愛感情なのは明らかですが、ある意味精神的に、更紗のプリンセスメーカー的な部分があるよね」
高 任:「源氏物語ですな」
吉 井:「何を唐突に…」
ラオウ:「(時計を指さしつつ)いや、更紗だけで何十分話してるんだよって話で…(笑)」
吉 井:「うお」
高 任:「テーマ的なモノを語り始めたら、それはエンディングの合図です、吉井さん」
 
 
高 任:「さて更紗の後にもってくるのはちょっと不憫な気もしますが…優菜」
吉 井:「……優菜ですか」
ラオウ:「むう…」
高 任:「なにやら、俺から先に言え的な雰囲気に満ちあふれてますが……優菜は、何がしたかったんでしょうか?」
ラオウ:「かつての幼なじみというか、家庭の事情もあって、友達すら望めなかった優菜にとって、最初の……友達ですね」
吉 井:「引っ越した後も、かけがえのない存在であることは変わらず、主人公に会いたくなってというか、一目見るためだけに、同じ学園に進学する……けなげですね」
高 任:「くそう、この2人、物語の根幹に関わる設定を避けて説明しやがった(笑)」
ラオウ:「ま、砂山の棒倒しみたいなもんだな(笑)」
高 任:「つーか、言わないと説明できないというか、対談できないですよね」
吉 井:「その名誉は、高任君に譲るよ(笑)」
高 任:「まあ、いいや……勘の鋭い人なら、予測はつくはずだしな」
吉 井:「そ、そうかな?」
ラオウ:「ちなみに、高任さん、どこで気づいた?」
高 任:「詳細はともかく、勇者部を結成したあたりかな……あと、『主人公にこれ以上迷惑をかけられない』という台詞で、ほぼ予測がついた」
ラオウ:「むう、それは……何人目のクリア?」
高 任:「更紗の次だから、二人目」
吉 井:「いや、それは…リセの次ならまだしも」
高 任:「こういうシナリオは、これまで腐るほど経験してきたんで(笑)」
ラオウ:「経験値の差だけとも言えんだろ、それは…」
高 任:「というわけで、優菜は初代魔王の子孫です……かつて、正体がばれることを恐れた優菜の両親に言われて、優菜は主人公の記憶を消したはずだったのですが、完全には消えてませんでした(笑)」
吉 井:「大丈夫かなあ、ばらして…」
ラオウ:「まあ、謎と言うほどの謎ではないし、シナリオそのものに占める重要度もそれほど高くないですから」
高 任:「基本、夏合宿以降は、主人公といちゃいちゃラブラブしてるだけですからね(爆笑)」
吉 井:「つーか、ベッドの下のモノを拾うため、パンツ見せて」
ラオウ:「あれで誘ってないとしたら、どこかのゲームキャラに言わせると、アホの子だな(笑)」
高 任:「アホの子でした(爆笑)」
吉 井:「いやいや」
高 任:「まあ、それは冗談ですが……優菜シナリオをクリアした上で、他のキャラのシナリオをプレイすると、ひょっとして優菜というキャラはものすごく黒いのではないかと…」
ラオウ:「それは俺も思った……つーか、優菜は最初から魔王の正体が主人公ではないか、と気づいているふしがあるよね」
吉 井:「それが自分じゃない…とすると、過去からして、まさか主人公が……と連想するのは自然でしょう」
高 任:「いや、その上で優菜の台詞を追うとね……黒いよ、多分(笑)」
ラオウ:「黒いよね」
吉 井:「それは、2人が黒いからだと思います」
高 任:「つーか、リセのシナリオなんか、あれは主人公の代わりに優菜がやって、そのままみんなの前から姿を消す……ってのが、あるべきシナリオのような」
ラオウ:「自分以外の女を選んだ主人公のために、働いてやるいわれはないわ、ぺっ、みたいな(爆笑)」
高 任:「いや、さすがにそこまでは…」
吉 井:「……って、あ、そうか。あれって、主人公がやらなくてもいいんだよね?」
高 任:「そうですよ…主人公に迷惑はかけられない、主人公のためなら何でもする……とか言っておきながら、スルーですよ、優菜さん。エンディングとか、うわ、こいつ親切面して、あわよくば傷心の主人公をリセからとっちまおうと思ってるんじゃねえだろうな…などと、口元半笑いでしたよ、俺は(笑)」
ラオウ:「まあ、別の意味で、他人を信じるな…という更紗とよく似た教育を受けて育ってきてるからなあ……自分のため以外に動かないのは、設定通りなのかも」
吉 井:「ま、まあ言ってることは理解できますが、解釈が黒すぎです、2人とも」
高 任:「魔王の力を求める勢力やら、魔王に協力してくれる人やら……優菜のシナリオでは、無意味に風呂敷広げたのか、設定の穴埋めなのか、謎の部分が多いですな」
ラオウ:「基本的に、最強のバカップルシナリオですからな(笑)」
高 任:「まあ、ひたすらキスしっぱなしですからね(目の色が変わっても大丈夫なように、特殊なカラーコンタクトを装着済み)……つーか、ひたすら『遊んで、遊んで』の犬キャラですね。そのあたりで好みは分かれると思います」
ラオウ:「個人的には、ここまでされるとちょっとうっとうしい(笑)」
吉 井:「なんか、2人の中で優菜は黒いキャラという先入観がはびこっているような…」
高 任:「まあ、魔王であるが故の永遠の孤独というか……歯止めがきかないとかそういう設定なんだろうなってのはわかりますし、それなりに可愛いなとは思うんですが…」
吉 井:「本気でいちゃいちゃラブラブしてるだけのシナリオですからね(笑)」
高 任:「だが、それがいい…とは言えないな、さすがに。そもそも、更紗シナリオで血液検査受けて大丈夫なのかよ優菜(笑)」
ラオウ:「エンディングは、『みんな良い人ばっかりで良かったね』的な、お気楽エンドだしな」
高 任:「個人的に、ひざまくらは『花の慶〇』方式でお願いします(笑)」
吉 井:「いや、無理矢理話をつなげなくても(笑)」
ラオウ:「高任さんが最初に言ったけど……結局優菜というか、このシナリオって何がやりたかったんだろう、と」
吉 井:「……思いっきりスルー(笑)」
高 任:「優菜がサブヒロインで、他のキャラを全員クリアした後のおまけで、優菜の物語が語られる……なら、いけたと思うんですけどね」
吉 井:「高任君は高任君で、さらっとついていくし」
ラオウ:「んー、それもありなんだけど、結局は構成のミスというか、魔王の設定を組み込んだせいで、シナリオそのものの行き場をなくしてるんだよなあ」
高 任:「夏合宿の際、おぼれた優菜に人工呼吸して、主人公が魔王だったことがばれました。そして優菜も自分が魔王だったことを告白しました……わ、だったら問題ないねとつきあい始めました。ひたすらいちゃいちゃラブラブしました。最後で、みんなにも自分たちが魔王であることをばらしました。みんな認めてくれました、めでたしめでたし」
吉 井:「……」
ラオウ:「……」
高 任:「まとめるとそういうことでしょ?」
吉 井:「ま、まあね」
ラオウ:「あのイチャイチャラブラブで、プレイヤーの理性ゲージが削られてないと……正直、ものすごいお粗末なシナリオでしかないんだよな(笑)」
高 任:「ですね。せめてさ……このいちゃいちゃラブラブを発展させて、シナリオに組み込むとか…」
吉 井:「ど、どうやって?(笑)」
高 任:「いや、バカップルぶりをひたすら描写するんだけど……本人達が気づくんですよ。ちょっとでも離れていると落ち着かないというか、お互いを求め合う気持ちが異常ほどに強くなってるとか」
ラオウ:「……?」
高 任:「だから、主人公が魔王になる体質になったのは、そもそも優菜が主人公の記憶を失わせた行為……首筋にかみついて、その人間の動脈に自分の唾液というか魔王因子というか、ウイルスを流し込む……が、原因ですよね、魔王になりやすい体質とか、逃げを打たれて明言はされてないけど」
ラオウ:「まあ、そうだね…」
高 任:「主人公を魔王たらしめているウイルスは、そもそも優菜からもらったモノというか……つまり、主人公と優菜という2人の身体に分かたれた魔王ウイルスそのものが、再び1つに戻ろうとして、宿主というか、2人をそう行動させている…みたいな」
ラオウ:「おう、なるほど…さすがに、そういう抜け道というか、言い訳を考えさせたらうまいなお前は」
高 任:「お褒めにあずかり、恐悦至極」
吉 井:「つまり、2人のバカップルぶりは、魔王ウイルスによるもの…と?」
高 任:「ええ、その上で優菜あたりに『私のこの気持ち…憩ちゃんを好きで好きでたまらない気持ちは…私のモノじゃ、ないのかな…』とか言わせるんですよ」
ラオウ:「ふむ」
高 任:「そんな優菜を、ぎゅっと抱きしめて……『今からそれを確かめよう…でも、俺は信じてるよ』みたいなことを言って、2人は魔王ではなくなる治療を受ける……ほうら、簡単に山場ができた。この展開ならちゃんとオチもつくよね」
吉 井:「なるほど…」
ラオウ:「……記憶を失わせる行為とか、時間の壁あたりの問題さえクリアできたらいけるな」
高 任:「スイッチが優菜と主人公のキスでいいんとちゃうの?ほら、離れていた魔王ウイルス同士の邂逅だから……うむ、ロマンだ」
 
 
高 任:「さて、つばさ」
ラオウ:「奇跡の娘ですね(笑)」
高 任:「ご都合主義の申し子とも言う(笑)」
吉 井:「いや、キャラに罪はないですよ」
高 任:「罪を憎んで人を憎まずってことですね」
ラオウ:「制作者を憎んで、その創造物を憎まず…」
吉 井:「いやいやいや…」
高 任:「優菜ほどじゃないけど、基本、いちゃいちゃラブラブしてました(笑)」
ラオウ:「というか、球技大会…じゃなくて体育祭だったか…それまでちょっと青春もして、つきあい始めました……という感じでは?」
吉 井:「……で、終わっちゃいますね、このキャラ」
高 任:「更紗シナリオでは、ひょっとすると命が危ないかも知れませんが(笑)」
ラオウ:「まあ、治療とはいえ、ばれると更紗に命を狙われかねないねえ」
高 任:「主人公が好きなことを優菜に告白するけど、その時優菜が『うん、2人ならちゃんと応援できる気がするよ…』って言うけど、優菜の眼鏡にかなわない相手だったら……」
吉 井:「なんか、優菜に対してネガティブキャンペーンはってない?(笑)」
ラオウ:「チョコ先生風に説明すると、『あのなー、つばさはなー、きまじめでなー、素直になれなくてなー、でも本当は優しくてなー、おわりー』という感じで(笑)」
高 任:「ん、『胸が大きい』ってのと、『ポニーテール』って要素は外しちゃいけないのでは?」
ラオウ:「なるほど」
吉 井:「さすが高任君、きめ細かい心配り」
高 任:「なんだろう…少し馬鹿にされてる気配が(笑)」
ラオウ:「まあ、それはさておき…優菜と主人公はある意味最初から両思いみたいなもんだったけど、つばさの場合は2人の心が近づいて、つきあい始めるまで……みたいな、魔王関係ないけど、まあ、ギャルゲーシナリオみたいな感じでしたね」
吉 井:「ラストでひとひねり」
高 任:「というより、アレは状況説明の一環ですよね」
ラオウ:「確かに」
高 任:「いや、優菜もそうだけどつばさも可愛いよ」
吉 井:「何をいきなり?」
高 任:「いや、なんとなく、フォロー?」
ラオウ:「つーか、更紗最強すぎだろ」
吉 井:「まあ、チョコ先生はキャラ的に存在感を保持しましたからね……正直他のキャラはかなり更紗に食われて影が薄いと思って間違いないというか」
高 任:「というか、さっきから時計をチェックしてるんだけど、この対談異様に偏ってるんですが(笑)」
ラオウ:「何が、とは敢えて聞くまい(笑)」
 
 
高 任:「リセリシアス……つーか、リセ」
吉 井:「天使降臨」
ラオウ:「こう、もうちょっと黒い感情とかあっても良いと思うんだけど」
高 任:「まあ、純粋無垢というか、天使のようなお嬢様という事で」
ラオウ:「つーか、ハンドレッド家最後の1人のはずなんだが、つっこんだら負けかなあ…」
吉 井:「負けですよラオウさん」
高 任:「まあ、人の生き死には泣きシナリオの基本ですが……首筋にかみついて動脈に魔王の唾液を流し込めば病気は治る。その代わり、噛まれた方は、噛んだ相手の記憶を失ってしまう」
ラオウ:「……この設定、リセが先かなあ、優菜が先かなあ(笑)」
吉 井:「つーか、リセが魔王になる体質になったりする可能性があるような」
高 任:「……泣かせるために、とことんリセは良い子に書かれているわけだが……まあ、前半部分は、後半でどうオチをつけるんだろうと心配になる展開でしたが」
ラオウ:「まあ、記憶を失ったりしないようにいっぱい思い出を作ろう……あたりは、やや冗漫な気がする」
吉 井:「リセは確かに良い娘で可愛いんですが、あのエンディングで『現実なめてんじゃねえぞ、ぺっ』と唾を吐きたくなる自分がいる(爆笑)」
高 任:「なんというか、人の生き死にシナリオで、100%ハッピーエンドってのは許されない気がするんですよね」
ラオウ:「そうだなあ…好みによりけりかも知れないけど、何かを失うべきではあると俺も思う」
高 任:「魔王であることが問題視されることもなく…っていうか、更紗はどうなったんでしょうね、あれ?」
ラオウ:「まあ、卒業したんだろうけど、どうなったんだろうなあ、九曜家とか」
吉 井:「ハンドレッド家が、守ってるのでは?」
高 任:「正直、物語の発端である、魔王であること、九曜家の存在…なんかがすぽーんとほったらかしですからね。結局、何も解決してないんですが」
ラオウ:「リセが治った。記憶も戻りそう、良かったなあ……で終わらせてしまえるのは、むしろ不感症だと思う」
吉 井:「リセは可愛いなあ…で、乗り切れませんか?」
ラオウ:「せめて、シナリオで更紗程度の言い訳が欲しい」
吉 井:「まあ、そう言われると何も言えませんが」
高 任:「シナリオ的に仕方ないかも知れませんが、リセは良い娘に書かれすぎて逆に人間味を失った部分にキャラとして弱みがあると思います」
ラオウ:「まあ、『健康な人に私の気持ちがわかるはずがありません』などと、悪態尽きまくるキャラだと、死ぬとか言われてもユーザーが、『まあ、人間いつかは死ぬよねー』などと食いついてくれなくなりますし(笑)」
高 任:「そうか?俺なら反対に、目一杯わがままなキャラで押しますけどね。世の不幸を一身に背負った感じというか……そこに、ある日追われていた魔王と出会う的な…」
吉 井:「いや、自分の病気を治すために、躊躇なく捕まえるのでは?(笑)」
高 任:「いや、そこは魔王だから捕まらないわけですよ……でも、主人公はなんだか少女のことが気になって、また足を運んでしまう的なシナリオの進め方で」
ラオウ:「まあ、それも手だね……そういうキャラがデレると、破壊力ありそうだし(笑)」
高 任:「熱を出した彼女の元に、叔母直伝の特効薬を作って持って行く主人公…『貴方、変な人ね。私は貴方を捕まえようとしてるのよ?』『私は魔王だよ、人の常識で語られるのは不本意だな…』……みたいなやりとりが始まったら、後はもういくらでも転がせますね(笑)」
吉 井:「それはそれで面白そうですが、リセは天使のままでよいです」
高 任:「そうですか(笑)」
ラオウ:「吉井さんは、相変わらずぽんこつ属性なんですね」
吉 井:「う、まあ、確かに…」
高 任:「ぽんこつさん?」
吉 井:「そのぽんこつとは違うよっ!?(笑)」
 
 
高 任:「その他の人たち(笑)」
ラオウ:「いやまあ、友人関係が『つ〇きす』そのまんまじゃん(笑)」
吉 井:「つーか、所(友人の1人)が、フカヒレの役割そのまんまですね。龍二なんかそのまんまで、夜のバイトまで同じかよ…などとついツッコミ入れました」
高 任:「ああ、やっぱり、そういう連想しましたか」
ラオウ:「まあ、最近はゲームに限らずライトノベルなんかでも、『面白い会話』ってのが必須項目みたいになってる感があるようですが」
高 任:「あれというか、そういう流れができたのって、結局『KAN〇N』っつーか、『ONE』つーか、あの頃からだよな。あの後、あの手の会話を取り入れるというか、真似するゲームがやたらめったら増えて……今の流れにつながっているのではないかと」
吉 井:「…言われてみると」
高 任:「正直、面白い会話より先にやることがあるだろう…と思うものもありますが、流行どころを取り入れるのは重要ですね、確かに。ただ、俺的に面白い会話云々は、たがみ先生の漫画からだろうと思いたい(笑)」
ラオウ:「……面白い会話というより、キャラの掛け合いをシナリオに組み込むというか、そういう人間関係が普通に出てくる設定が増えたという見方も出来ると思うが」
吉 井:「なるほど…」
高 任:「まあ、俺個人としては『面白い会話』をだいたい3つに分類してるけど、鍵っ子ゲームは、基本クラッシュ系統でしたね。話のつながりがないというか、無茶なつなぎ方をして笑いを取るというか」
ラオウ:「また、無駄に分析してるな」
高 任:「で、もう一つは、発展会話系というか、知識を挟んだり、言葉尻を捉えてころころ転がして会話の方向をあらぬ方角に導いたりというか…」
吉 井:「……どっちかというと高任君が、書くタイプ?」
ラオウ:「というか、俺らの対談系でしょう、まあ、高任さんはクラッシュ系(?)も使いますが」
高 任:「で、最後の1つが、さっきも触れた『つ〇きす』とかこのゲームでもわりと多めに使われる、特定キャラいじり系つーか、関西の人間には島田〇助系と言った方がよいかも知れないけど」
ラオウ:「なるほど」
高 任:「このゲームだと、所が、結構馬鹿にされるというか……こう、特定のキャラを貶めることによって笑いを取る感じですな。正直、最近このタイプのが増えてるような気がするんですよね」
ラオウ:「そのあたりはあんまり実感ないが……まあ、考えるのが楽だろうな」
高 任:「友人同士の会話で、誰かを上げ下げするのは普通だし、それが全くないってのも問題なんだけど、これが増えるってのは、個人的にあんまり良い気分はしないです」
吉 井:「ああ、まあ、言いたいことはわかるよ…」
高 任:「このゲームの『黙れカス、夢みてんじゃねえぞ、黙れカス』『傷つく言葉のサンドイッチっ!?』みたいなやりとりなんかも、結構趣味別れると思いますよ。そもそも、あれって、人間関係的にこずえが所に言っていい言葉ですか?」
ラオウ:「ゲームだから(笑)」
高 任:「でも、コンシューマーに移植するとしたら、この手の会話全部消去だよ(笑)」
吉 井:「え、そうなの?」
高 任:「(遠い目)コンシューマーの審査は厳しいですからね……つっても、最近のはよく知らないけど」
ラオウ:「くるくるぱーは大丈夫ですか?」
高 任:「おまえ、良くそんな古いネタを覚えてるな……つーか、あれはパソゲーのゲー倫基準だよ(笑)」
吉 井:「ところで、パロディ系のお笑いは高任君的な分類には入らないの?」
高 任:「一応、発展系の一部かなあ、と」
吉 井:「ふーん」
ラオウ:「じゃあ…『桜の木を切ったジョージ少年が何故許されたか知ってるかい?』『そりゃあ、正直に話したからだろ?』『違うね、ジョージ少年がまだ手に斧を持っていたからさ…ははは』などというアメリカンジョークは何に分類されるんだ?」
高 任:「嫌がらせか…まあ、発展系という事で(笑)」
吉 井:「え、ジョーク?」
高 任:「吉井さん、ジョージ少年が、手に斧をぶら下げたまま『悪いな、桜の木を切っちまったよ、こんな風にな』などと、斧を振り回してるんです。そりゃ許すでしょう(笑)」
吉 井:「そりゃ許すよ、怖いもん(笑)」
ラオウ:「お前の解釈というか説明、最悪やな(笑)」
 
 脱線。
 
高 任:「こずえはまあ…更紗シナリオ以外では、何してるんだろう?(笑)」
ラオウ:「それを考えると、ちょっと怖い想像になるんだけどな」
吉 井:「声優さんは大変だ(笑)」
高 任:「いや、案外早口トークは印象ほど大変じゃないという話を聞いたことが」
吉 井:「なるほど」
ラオウ:「ああいう、必然の動きを他のキャラのシナリオでもきちんと組み込めばなあ…」
吉 井:「そういう意味では、九十九さんもちょっと謎でしたね(笑)」
高 任:「リセが、まだ元気だった頃に拾われたって…つっこんだら負けですか?」
ラオウ:「多分、負けだろう」
高 任:「シスターは、結局シナリオの本筋には絡んでこなかったね」
ラオウ:「というか、結局勇者部の存在がなあ…」
吉 井:「まあ、魔王が何故か最初から悪者扱いだし…特に、つばさとか」
高 任:「フロイライン(食堂のおばちゃん…こう、呼ぶと大盛りにしてくれる)は、絵がなかったねえ」
ラオウ:「なかったね。ちょっと興味あったんだけど」
吉 井:「息子の嫁さんと折り合いが悪いとか…こういうところは、きちんと設定作ってるのになあ(笑)」
 
 
高 任:「まあ、自分のお気に入りのキャラといちゃいちゃラブラブするためのゲームですね(笑)」
ラオウ:「設定につっこんだら負けの方向で」
吉 井:「まあ、気恥ずかしいゲームだよね基本」
高 任:「シナリオはさておき…なのに、買えと言えるゲームは非常に珍しい(笑)」
吉 井:「まあ、悪いことは言わないから更紗を見ておけ(笑)」
ラオウ:「他のヒロインがかすむほど強力なキャラは、ある意味バランスが悪いんだけどな、本来は…」
高 任:「眼鏡娘いねえけどなっ!」
ラオウ:「なんかいやなことでもあったんか、お前…」
 
 
お買い得度…… 9
音   楽…… 8
操 作 性…… 8
再プレイ度…… 7
イチャ 度……10
らぶらぶ度……10
更紗たん度……10
絶対値評価…… 4
 
 
 くう、シナリオ重視を自認する人間が、シナリオの破綻を指摘しながらも高評価を与えざるを得ないゲーム……ちょっとした敗北感につつまれましたよ高任は。(笑)
 まあ、シナリオの破綻と言っても、隅から隅まで救いのない…というレベルではないんですが。
 

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