お題……隠れ月(WIN)
 これといったお題が見つからなかったので、リクエストに応えたフリをしてしまえ……というのは嘘で、せっかく掲示板に書き込んでくれたのだから期待に応えるのが人の道。都合良くラオウさんがこのゲームを持ってたからなどということは黙ってれば分かりませんよね。(笑)
 で、制作者サイドのコメントを読んでいると、このゲームは『BOYSゲーム』とのこと。何やら『ギャルゲー』と言う言葉の逆らしく、つまり『いろいろなタイプの男性キャラクターが登場する女性向けのゲーム』というコトとか。
 ……ちなみに主人公は男で、出てくるキャラも男性がほとんどですが、そういうコンテンツは全くないです。(笑)あるとしたら、プレイヤーの頭の中に……
 ゲームのストーリーはこんな感じ。
 
 魔法によって作られた人工生命体である主人公朔夜(さくや)は、何者かの呼ぶ声に目を覚ます。そこは、戦国状態にあるJAPANの一国、その国の中の魔法研究所の一室だった。
『君は、今日から91日間をこの屋敷で過ごすことになる。君が望む教育を、私や弟子達は与えてあげる……君はね、試されているんだよ。どういった成長を望むかも含めてね。』
 朔夜に向かってこう話すのは、主人公を作った男、草壁静真。
 主人公は自分が作られた理由も、またこの研究所に集う人間がどういった思いを抱いているのかも知らない。
 それらは、これから主人公がどうやって過ごすかで明らかになっていくのかもしれない……
 
 と、かなりシリアスな設定なのがこれだけでも分かると思います。ついでに1プレイ40分で終わりそうにないシナリオだと言うことも。
 ところで、我々の対談って打撃系が多いというか極端な対談が多い(友人談)らしいですが……はたして、このゲームの対談ってどんなものを求められていたんでしょう?
 
 
ラオウ:「(しみじみと)……これで強化月間もおしまいかね。(爆笑)」
吉 井:「何の強化月間ですか?」
ラオウ:「言わせるつもりですか?」
高 任:「まあ、いいじゃないですか。毎月毎月ネタを考えるのは面倒ですし。」
ラオウ:「それが本音か、アンタ。」
吉 井:「(手を挙げて)……電話で伝えた通り、このゲームが見つからなかったからプレイしてないんですが。」
高 任:「(ディスプレイを指さして)…じゃあ、今プレイしてください。(爆笑)」
吉 井:「マジですか?」
ラオウ:「大丈夫です、1プレイ40分位ですから。2周目や3周目になれば共有部分のテキストを読む必要もないから、最終的には1プレイ10分で終わります。(笑)」
吉 井:「速っ!(笑)」
高 任:「んじゃ、我々は『ジ〇ニックフロント』をプレイしてますので。(笑)」
ラオウ:「では、吉井さんもごゆっくり。せめて3周はプレイするように。そうしないとミッションが完了しませんから。(笑)」
吉 井:「……鬼ですか、あんたら。」
 
高 任:「うおおー、飛び蹴りだっ!飛び蹴り!俺はシャアになるんだあっ!(大爆笑)」
ラオウ:「そんな攻撃ねえよ!」
 などとエキサイトしていた高任とラオウ氏の肩を、吉井さんが恨めしそうな顔つきで叩いたのは約2時間後のこと。(笑)
 
高 任:「で、誰かクリアしましたか?」
ラオウ:「感覚もつかめたでしょ。」
吉 井:「…まあ、4回プレイすればそれなりには。(笑)」
ラオウ:「言ったとおり全然時間はかからないでしょう。」
吉 井:「確かに、びっくりするぐらいさくさく進みますけど……」
高 任:「なんか歯切れ悪いですね。(笑)」
吉 井:「これが、『ギャルゲー』の逆なんですか?何やら、1人の男として納得できないものが心の中でむくむくと。(爆笑)」
ラオウ:「スタッフによるとそうらしいですね。(笑)」
高 任:「『いろいろなタイプの男性キャラクターが登場する女性向けのゲーム』という定義はまあ納得できるというか、そのまんまですよね。。」
ラオウ:「まあ、性別が違うだけでギャルゲーはそうですから。」
吉 井:「いろんな男性キャラが登場するのはいいにしても、主人公も男性なのが女性向けなんですか?(一同爆笑)」
ラオウ:「えらく守備範囲の狭そうな『女性向け』だな、おい。(大爆笑)」
高 任:「……んー、俺個人の偏見なんだけど、『誰かと誰かをくっつける』という感覚でこの手のゲームをプレイする女性が多くないですかね?」
ラオウ:「と、言われてもなあ。(笑)」
高 任:「プレイヤーは必ずしも主人公に感情移入してないと思うんですよ。言ってみれば、主人公の行動を通して誰かと誰かをくっつけるといった、それがたとえ主人公がらみだとしてもプレイヤーはあくまで第三者として眺めてるみたいな…」
吉 井:「……ああ、なんとなく分かるような。でも、それはあくまで狭い範囲の女性だと思いますが。(笑)」
ラオウ:「この手のゲームをやっているのは、男性にしろ女性にしろ少数派の筈なんだけど。(大爆笑)」
吉 井:「あ、でも『FIRST|LIVE』は主人公が女の子だし。」
高 任:「あれって、正式な呼び名は『乙女ゲームとのことですが。(大爆笑)」
ラオウ:「お、乙女ゲーム(笑)かあ……確かにしっくりくる。あれ?でも、『ギャルゲー』の逆が『BOYSゲー』なら『乙女ゲー』の逆って何よ?」
高 任:「乙女の反対って言ったら…………漢(をとこ)ゲー。(一同大爆笑)」
ラオウ:「(むせながら)…って、なんなんだそれわっ!(笑)」
高 任:「次々と現れる女性を袖にして、ひたすら自分を磨き続けることを目的とする究極の硬派ゲームだっ!(爆笑)」
吉 井:「それって面白いの?(笑)」
高 任:「もちろん、途中でリタイアして女の子とラブラブになるのもおっけーだ。(爆笑)」
ラオウ:「全然漢じゃねえよ。それって、挫折ゲームじゃないか。」
高 任:「ま、まあ、その、あれよ……とにかく、ギャルゲーをプレイする男とは決定的にスタンスが違うような気がしますね、俺は。
吉 井:「……やけにお見合いの話を持ちかけてくるおばさんみたいなものかなあ?(爆笑)」
ラオウ:「……フィクションですか?(笑)」
吉 井:「フィクションです。(笑)」
ラオウ:「……2年も完全に無視してれば、おばさんがあきらめてお見合いの話は来なくなりますよ。(爆笑)」
高 任:「フィクションですか?(笑)」
ラオウ:「フィクションですとも!(爆笑)」
 
 ちょっと脱線。(笑)
 
ラオウ:「独断と偏見ですが……女性の好きそうなシナリオだなと。(爆笑)」
高 任:「…って、ラオウさん、何を根拠に。」
ラオウ:「いや、なんとなく……って、高任さん笑ってる。(笑)」
吉 井:「女性向けというか…同人魂をくすぐる設定と言った方がよさげですが。(笑)」
ラオウ:「同人魂ですか?英語で言うとスピリットオブ・ドウジンですな。(爆笑)」
吉 井:「ラオウさん、全然英語になってません。(笑)」
ラオウ:「スピリットオブ・サムライよりましと思うけど。(爆笑)」
高 任:「なんというか、雰囲気を匂わせただけで終わっているというか、後の部分はユーザーがそれぞれ脳内補完してくれといった感じの……まあ、こういう雰囲気は好きですから俺は別にかまわんです。」
ラオウ:「つーか、高任さんは必要以上に脳内補完やっちゃう人間でしょうに。(爆笑)」
吉 井:「(ラオウさんを見ながら)……まあ、設定ときたら妥協しませんからねラオウさんは。(笑)」
ラオウ:「いや、このゲームは平均点以上だと思うよ。まあ、ゲームアビリティを重視しすぎたんだろうなあ……。」
高 任:「は?」
ラオウ:「このシナリオだとね、ユーザーが自分の中で設定を消化するための時間がそれなりに必要なはずなんだわ。それがね、さくさくと進むコトを重視したせいか、イベント等の説明が言葉足らずになってると思う。要するに、プレイ時間とシナリオの規模が合ってないと言えばいいのかな?」
高 任:「200枚の内容を50枚に詰め込んでしまったような感じですか。
ラオウ:「50枚で大どんでん返しのお話を読まされても。ゲームとしてのボリュームはショートショートなのに、シナリオのボリュームは文庫本一冊分。(笑)」
吉 井:「行間を読ませるにも程があると?(大爆笑)」
ラオウ:「まあ、そんな風に感じたよ。この設定と雰囲気を生かしきるなら、1プレイにもっと時間がかかるように、システムの変更や、イベント及び伏線、他キャラ攻略時にも、違うキャラの伏線をもっとはるような作りが良いと思うんだが……
吉 井:「その代わり、同人活動としては格好の題材なんでしょうね。(爆笑)」
高 任:「いやあ、ゲームの制作ってバランスが難しいねえ。(笑)」
ラオウ:「……2作目の『王子さま…』を制作するにあたって、前作の反省を踏まえたシナリオの規模を重視したのか、と納得できるものがあったんだけど……」
高 任:「確かに、シナリオで言うと『王子さま…』より、『隠れ月』の方がはるかに潜在的ボリュームは大きそうですからね。」
ラオウ:「だから、ゲームとしての完成度は『王子さま…』の方が上だなと思った。まあ、このメーカーの場合これがデビュー作で、『王子さま…』が第2作なんだから順当と言えば順当なんだが。」
高 任:「作品の方向性が違うので、比べるのは難しいと思う。」
ラオウ:「雰囲気は、『隠れ月』の方が好きですけど。」
吉 井:「二人ともちょっと待って。」
ラオウ:「ぬ?」
吉 井:「最近、『女の子向けのゲーム市場』ってのが大きくなりつつあるんだけど、このゲームを企画・開発した当時の状況を忘れてはいけないと思うんです。多分、スタッフはこのゲームをもっと作り込んでみたかったのでは?」
高 任:「ちょっと待ってね……(ファイルを開いたりして)……んーと、開発が始まったのは98年の暮れぐらいからで発売は2000年の2月か。まあ、企画段階でパソゲー市場は18禁男性向けエロゲーの天下だよな。」
ラオウ:「ああ、なるほど。普通、技術者ってのは何かを開発するとき、まず市場の大きさを計算するから。」
高 任:「いや、実際には好きで作ってる人が多いはずなんだけど。(笑)でも、やはりメーカーとして生き残るのは1万円の仕事なら1万円の仕事以上のことをしないメーカーだからなあ。(泣)」
吉 井:「どんなに良いゲームを作っても、ペイしなければ潰れますからね。」
ラオウ:「……採算を無視したところで傑作が生まれるという名言もありますが。」
高 任:「実際の制作者サイドだと、もっと切実なはずですよ。例えば6人でチームを組んでると、開発が一ヶ月遅れたらコスト面で……の計算できる人が少ないうえ、ソフトウェア開発に関しては、人数を倍にすれば速度が約2倍になる訳でもないし。」
吉 井:「高任君…ちょっと洒落にならない話題になってますよ。(笑)」
ラオウ:「話題変えましょ。」
 
 ちょっと休憩。
 
吉 井:「…しかし『ギャルゲー』の逆であるなら、シナリオだけで評価するのは間違ってるでしょう。それとも、二人はシナリオだけでギャルゲーを判断するんですか?
ラオウ:「テキストの完成度と、シナリオが第一じゃないですか。
吉 井:「うわ、一瞬も悩んでないよこの人。(爆笑)」
高 任:「このゲームを『ギャルゲーと同じ次元』で評価するのに抵抗がありますが、もしそうなら、結局はどんな方法であれキャラクターを魅力的に描き出せているかどうかが評価の分かれ目になると思います。」
ラオウ:「まあ、外見だけでオッケーの人もいれば、イベントとかで描かれた内面を重視する人もいるでしょうし。でもこのゲームの場合、キャラクターの情報ってイベントだよりでしょ?」
吉 井:「つーか、イベント起こさないと情報がでてきませんやん。」
高 任:「主人公の苦悩とか各キャラクターの堀下げが、ゲーム内イベントだけではちょっと足りないと思うなあ。
ラオウ:「このゲームはプレイ時間が短いから粗が目立たないけど、本当はもっとシナリオを表面に出さなければいけなかった作品だな。そのうえできちんとまとまれば、多分なかなかの秀作になったはず。」
高 任:「ところで、吉井さん。」
吉 井:「何?」
高 任:「誰と誰をクリアしてるの?」
吉 井:「(手を振って)……ああ、心配ないよ。シーン回想で全部見たから。(大爆笑)」
ラオウ:「……高任さん、あんたもまめやねえ。まあ、俺もクリアしてるけど。(笑)」
高 任:「いや、1つだけ見てないイベントがあるのですが。どうも、条件が良くわからなくて。」
ラオウ:「加代に、尚純、七朗のエンディングはまあ問題ないでしょう。静真と紅玉のダブルフラグエンドも簡単ですし。」
高 任:「いや、エンディングじゃなくてサブイベントの1つですけど。」
吉 井:「ダブルフラグっていうと…んーと、イベント名で言うと『2つの真実』ってやつですか?」
ラオウ:「ああ、それです。静真と紅玉のフラグを同時に立てておくとそれに…。」
高 任:「……このシナリオの本筋から言うと、『3つの真実』だと思うのだが。静真と紅玉、そして七朗の三つどもえを演出して、シナリオの根幹が固まるはずだろうに。」
ラオウ:「どちらかというと、静真および紅玉の目的が表に出すぎてる。七朗の背景を全体として生かさずに、七朗だけのイベントに組み込んでるのが残念。」
高 任:「どうせなら、魔の属性で静真と紅玉を、識の属性で七朗と尚純をそれぞれメインとサブシナリオという形において、4つ巴でシナリオ構成すれば……ますます40分では終わらんな。(一同大爆笑)」
吉 井:「いかにもTRPG経験者らしいシナリオの組み方ですな。(笑)」
高 任:「複数の対立を組み合わせてプレイヤーを混乱させるのが基本ですからね。ただし、ちゃんと説明できないとマスターが叩かれます。(笑)」
ラオウ:「どのみち、程度の差というか各キャラの覚悟の差も存在するんだろうけど、主人公をある目的に対する手段として作り出す。そして、主人公と心を通わす過程において、その決心が鈍っていく、もしくは固まるイベントがきちんと描かれなければこの手のシナリオの面白みは半減するよね。」
高 任:「キャラクターとして非情に徹するか、それとも…という部分が見せ所になるはずなんだけど、その部分がちょっと薄いだけに展開が急に感じると思う。個人的には紅玉のシナリオが一番良くまとまってると思うが。まあ、趣味と言ってもいいけど。(笑)」
吉 井:「その中でも七朗は展開が急すぎたと思いましたが。」
ラオウ:「うん、あのキャラは言ってみれば一番人間的なキャラだから、尚純のイベントと絡めて心情を描ききればかなり見せ甲斐のあるシナリオになるはずだけど……そのあたりが短すぎるシナリオの欠点として出てしまったかなあ。」
高 任:「しかし、主人公の誕生理由に絡めた3人と違って尚純1人がのけ者になってますな。(笑)」
吉 井:「さっき高任君が言ったとおり、尚純の背景にも主人公誕生の理由が絡まってるとある意味平等になってたはずですが。」
ラオウ:「ところで、シナリオ担当者は、化学者スキーとか白衣スキーだったんですかね。(爆笑)」
吉 井:「まあ、全員研究者で白衣も着用しますけど。(笑)」
高 任:「でも、登場キャラクターの中で尚純だけが異質の存在ですよね。」
ラオウ:「主人公にとっての真実に関わりがないという事で、汚い部分をとことんまで拒否したキャラクター設定になってるかな。(笑)」
吉 井:「だから、紅玉に虐められる。(爆笑)」
高 任:「シナリオ全体として紅玉の設定が一番上手く反映されてると思う。」
ラオウ:「……しかし、こう言うとファンの人には喧嘩売るのかも知れないが……尚純というキャラはうじうじしててあんまり好きになれんな。しかし、敢えてこういうキャラが出てくると言うことは女性にはこういうキャラが割と好まれるのか?
高 任:「なんか謎っぽいキャラだったから最初にチャレンジしたんだが、俺も好きになれなかったなあ。(笑)」
吉 井:「男性と女性での考えに違いがあるのは当然かと。男の目から見たいい人と、女性から見たいい人は一致しませんよ。
高 任:「まあ、世の中には自分が叱りつけた時の怯えたようなダンナの顔に愛情を覚える若奥さんもいますし。(笑)」
ラオウ:「高任さんのたとえ話は、実話なのかフィクションなのか判断が付かないのが厄介だな。(笑)」
高 任:「まあ、話半分で聞いといて。」
吉 井:「半分実話でもかなりイヤです。(爆笑)」
高 任:「しかし、尚純ねえ……野球部に入部させられたら、真っ先に倒れるタイプだな。辞めるかどうかはともかく。(大爆笑)」
ラオウ:「……って、アンタのいた野球部は部員の半分以上が辞めていくところだろうが。(笑)」
高 任:「俺の学年なんか最後まで辞めなかったのはたったの9人だよ。(笑)」
吉 井:「ばりばりの体育会系が、どこで道を踏み違えたんですか高任君。(爆笑)」
高 任:「俺に言わせたら、体育会系は多かれ少なかれみなスポーツオタクですよ。仲間の絶対数が多いだけで、結局はスポーツというジャンルを通してしか他人とコミニケーションが上手くとれない人種も多いですし。それって、本質的な社交性において全然駄目な訳じゃないですか。しかも、体力余ってるから余計始末に負えない。(笑)」
ラオウ:「何やら説得力があるねえ。(笑)」
高 任:「何かに熱中すると言う点で、どんなジャンルにかけた人間もみんな同じ穴のムジナですって。仲間の絶対数および、世間の認知度で不当に区別されてるだけです。」
吉 井:「世間一般でいうところのオタクへの風当たりが強いですからねえ。最近では某誘拐事件とかで。」
高 任:「おかしいですよね。これが草野球やってる人間が起こした事件だとしても、野球が悪い!なんて意見は絶対に出てこないでしょ?(大爆笑)」
吉 井:「そりゃ出ません…っていうか、凄い極論だね。」
高 任:「そうですかね、理屈は同じだと思いますけど。」
ラオウ:「まあ、すぐに学校教師の事件やテロ事件の報道でうやむやになってるけど。(笑)」
 
 某テロ事件等について脱線。(笑)
 
ラオウ:「しかし、このキャラの中で女性向けとして一番狙ってるシナリオは、静真なんだろうねえ……。
吉 井:「え?」
ラオウ:「いや、主人公が静真に負けるエンディングの……」
高 任:「ああ、あれですか。静真が子供の頃の着物って……まるっきり女物なんですが?しかもその後の構図は…」
吉 井:「CGに邪念がこもってます。(一同大爆笑)」
ラオウ:「邪、邪念って吉井さん……(笑)」
吉 井:「いやあ、ギャルゲーでも何かそういうのあるじゃないですか。なんてことないイベントCGの筈なのに、妙なオーラが漂ってるとか。」
高 任:「女性向けの邪念まで感じ取れる漢になりましたか!(大爆笑)」
ラオウ:「つーか、あの構図は『抱きしめる』と言うより、『押し倒す』と言った方が正しい構図なのだが。着物の乱れ具合といい。(笑)」
高 任:「こっそりと帯を解いているところが心憎い演出ですな。(大爆笑)」
吉 井:「それ以前に、背景で花を咲かせてますが。(爆笑)」
高 任:「あのエンディングだけは、思いっきり『BOYSラブ』に走ってましたね。」
ラオウ:「わき目もふらずに全力疾走でしょう。(大爆笑)」
吉 井:「一般ゲームなのに……。
高 任:「テキストによる描写が無ければオッケーというものでも無いような気が…」
ラオウ:「まあ、あのエンディングを見るまでは『女性向け』という言葉にぴんと来ませんでしたが……」
高 任:「あれを見れば、大納得です。(爆笑)」
吉 井:「しかし、旅立ちエンドが多すぎませんか?(爆笑)」
ラオウ:「オチを付けるために旅立つ。(笑)」
高 任:「『男坂』ですか?(一同大爆笑)」
 
 文庫本が出てるよーなどとしばらく大脱線。(笑)
 
ラオウ:「しかし、男性である我々が『男性キャラ』について語るのもちょっとなあ……(一同大爆笑)」
高 任:「あ、やっぱり無理して語ってましたか。(笑)」
ラオウ:「俺自身、キャラに対して思い入れの持てない人種だから余計にわからない。好感が持てる持てないぐらいのレベルでしか語れないし。」
吉 井:「……実際口にすることは多いけど、キャラクターを魅力的に描くってなんだろね?」
高 任:「あくまでギャルゲーとしてですが、そのキャラクターにとって、プレイヤーが特別な存在であることをいかに演出するかということに尽きると俺は考えてます。」
二 人:「は?」
高 任:「つまり、ギャルゲーで例を挙げれば『無口だけど主人公とは少し話しをする』とか、『主人公だけにはちょっと素直』とか、反対に『主人公だけに逆らう』とかで、キャラクターの設定に合わせて、その過程の中で時にはさりげなく時にはあからさまに主人公の存在が自分にとって特別であることを印象づけるわけだな。つまるところ初期の性格設定でいかにプレイヤーに印象を与えておいて、ここぞという場面でそれを崩すかというのがシナリオ書きとしての腕の見せ所で……」
ラオウ:「こら、帰ってこい。(笑)」
吉 井:「ノンストップ状態。(爆笑)」
ラオウ:「誰かが止めんと、どこまでも遠くまで行ってしまうからな高任さんは。(笑)」
高 任:「(明るく)……よーし、みんな付いてこい!(笑)」
ラオウ:「1人でいけ、1人で。(大爆笑)」
吉 井:「なんか、今日の対談でラオウさんと高任君が知り合いである理由が分かった気がします。(笑)」
ラオウ:「やな言い方しますね。(笑)」
吉 井:「はっきり言って類友ですよ、二人って。(笑)」
高 任:「こういう話題って妙に気恥ずかしいですね。(爆笑)」
ラオウ:「さっきまで滔々と語ってた人間の台詞かそれが?(笑)」
高 任:「(我に返ってちょっと恥ずかしい)……話は戻るけど、『隠れ月』の場合キャラ同志が惹かれ合うことはあっても、それは恋愛感情からは…少なくともゲームの中では遠いものだろ?だから、このゲームをギャルゲーと同じ視線で語るのは間違ってるんと違います?…いや、あんだけ力説しといてなんだが。(笑)」
ラオウ:「まあ、正論なんだけど相変わらず口が達者だな。」
吉 井:「……だとすると、ジャンルは何?少なくとも恋愛じゃないよな。」
高 任:「うん、だから『BOYSゲーム』。この言葉の本当の定義はこれから作られていくんだよ。その昔、ギャルゲーという言葉がなかったときのように。つまり、我々は新しいジャンルの誕生を目の当たりにしているわけで……
ラオウ:「このゲームの発売は去年だ。全然目の当たりにしてないぞ、おい。(爆笑)」
高 任:「せっかく歴史的に美しくオチがつこうとしていたのに、どうして水を差すかね君は?」
ラオウ:「アンタの言いぐさだと、今は歴史の渦中だろうに。オチを付けるのは後世の人間に任せろよ。」
吉 井:「ギャルゲーもろともジャンルが消滅してるかもしれませんが。(一同大爆笑)」
ラオウ:「……まあ、ジャンルなんてどうでもいいでしょう。ゲームのタイトル名を書き換えたって傑作は傑作だしクソゲーはクソゲーですよ。ましてや、ジャンルでカテゴライズしたってそのゲームの価値が変わるわけでもない。」
高 任:「……」
吉 井:「……」
ラオウ:「何かおかしなコト言いましたか?」
高 任:「いや、前フリもなく真面目なことを言われると、ボケるにもボケられないのですが。(笑)」
ラオウ:「別にボケてくれなくてもいいんだが…」
吉 井:「じゃあ、どの視点で対談すればいいんですか?(笑)」
高 任:「それが問題なんだよな。(爆笑)」
ラオウ:「掲示板に書き込んでくれた人は、どんな対談を望んでいたんだろうねえ。このゲームのように、真面目な作りだとちょっと困ってしまうのだが。(笑)」
高 任:「このカップリングが最高だ!とか我々が言ってもすごく嘘臭いしね。(爆笑)」
吉 井:「嘘臭いと言うよりも、まずいでしょう。(笑)」
ラオウ:「そういや、吉井さんは誰からクリアしたの?」
吉 井:「加代ですが。
 
 注:『加代』…お屋敷にいるお手伝いの(唯一の)女の子一応それらしきエンディングあり。
 
ラオウ:「駄目ですよ、吉井さん!それは何かから逃げてます!(爆笑)」
高 任:「そうですよ、人間背中を見せたらばっさり斬られておしまいですよ。」
吉 井:「背中を向けるって?しかも誰に斬られるんですか?……じゃあ、二人は誰からクリアしたんです?」
ラオウ:「紅玉。」
高 任:「尚純。(一同大爆笑)」
ラオウ:「眼鏡か?こんなゲームでも眼鏡優先なのか貴様は?(爆笑)」
高 任:「紅玉だって眼鏡キャラやんけ。大体4人中2人が眼鏡キャラなんだから単純に考えると確率は2分の1だろう!何故俺の時だけ笑うんですか?」
吉 井:「そりゃ、日頃のおこないというか、高任君が眼鏡スキーだからでしょう。(笑)」
ラオウ:「俺はセーブするときの目印の逆順にクリアしていっただけなんだが。(笑)」
吉 井:「無茶苦茶機械的な順番ですね。」
高 任:「そういえば、加代のセーブマークがなかったね。唯一の女性キャラなのに迫害されてるよ。(一同爆笑)」
 
吉 井:「……」
ラオウ:「どうしました?」
吉 井:「さっきのシューティングといい、この対談といい、なんか真面目な話題が多すぎません?会社で会議やってるみたいでイヤなんですけど。(爆笑)」
高 任:「んー、しかし我々3人が感情の赴くまま対談すると、船頭多くして船が山に登りっぱなしになりませんかね?(大爆笑)」
ラオウ:「いや、そんなことはないと思うが。川はいつか海に注ぐものだよ。(笑)」
高 任:「湖に注いだり、途中で地下に潜ったりもしますが。(爆笑)」
吉 井:「お二人の会話って抽象的に使われる名詞が多すぎやしませんか?」
高 任:「日本人の美徳ですよねえ。」
ラオウ:「違うぞ。(笑)」
吉 井:「(必死で違う話題を探している)……ところで、マンドリンの音を使ってるゲームって珍しいですよね?」
ラオウ:「え、マンドリンなの?大正琴か何かだと思ったんだけど。」
吉 井:「そりゃ、大学生の時聞かされまくったから間違いないです。」
高 任:「なかなか心の落ち着く曲が多かったですね。」
ラオウ:「……マンドリンと聞いて、『アルハンブラ』という単語が浮かんだのは何故だろう…?」
高 任:「アルハンブラ……アルハンブラの調べかな?……ああ、わかった!」
ラオウ:「何?」
高 任:「『私〇学園』だろ?」
ラオウ:「…………ああ、思い出した。(笑)」
吉 井:「何の話ですか?」
ラオウ:「あまり気にしない方が。(笑)」
吉 井:「いや、気になりますって。」
高 任:「……んじゃ、そろそろまとめましょう。」
ラオウ:「しかし、こんな対談で良かったのかなあ?今回の対談では、かなり思いつくまま語ったような気がしますが。」
吉 井:「普段通りにやるしかないと思いますが。」
 
高 任:「……このゲームを一言でいうと、おしい。せっかくの題材を小さくまとめすぎてしまった印象が強いです。ゲームとしてはまあまあの出来ですが、雰囲気的には良いと思います。ただ、そこらは趣味の分かれるところでしょうね。」
吉 井:「しかし、男性キャラがくっと顎を持ち上げられたCGが妙に多いですな。女性はどうか知りませんが、男性の場合反射的に身体を引いてしまうと思いますが。(笑)そこらへんが女性向けと言われる所以でしょう。ゲームの出来としては、男性にとってはまあ平均以上の出来、女性にとってはやっぱりキャラの好みで分かれるのでは。
ラオウ:「平均以上とは言っても男性に無条件でお勧めできるかどうかは別。(笑)ただ、この数ヶ月で得た経験(笑)からすると、ある意味安定したゲームを作り出すメーカーです。ゲームとしてそれなりにまとまってるという点では、全体で見ても高水準かと。
高 任:「……つまり三人とも、男性は買っても買わなくても……という評価なんだな、表現は違うが。(笑)」
吉 井:「それは、今のパソゲーではかなり上位評価だと思うけど。現在のクソゲー率はイチローが凡退する確率より高いし。(爆笑)」
ラオウ:「まあ、何はともあれ……『強化月間』は終了か。(笑)」
高 任:「いや、この冬にア〇デオから乙女ゲームの第2段が。あれはやらねば。」
吉 井:「もちろんですとも!」
ラオウ:「(何かとっても不本意そう)……。」
 
 
 お買い得度…… 6
 操作性………… 7(毎日セーブが出来ないところが……)
 音楽…………… 8
 再プレイ度…… 4(各キャラのエンディングは大体2つ。)
 脳内補完度…… 9(語られない部分が多すぎです。)
 絶対値評価…… 2
(注:これは完全な一般ゲーム。)
 
 
 きちんとまとまっていると言うより、むしろプレイ時間が短いために設定そのものにミスが浮かんでこなかった感じ。
 ゲームとしてはボリューム不足だけど、背後に広げられる設定はかなり大きく、同人魂をくすぐるので高任としてはたまらないものがありますなあ。(笑)
 大きな流れの中の一部分を抜き出すという話ならそれはそれでいいのですが、その一部分の中でも完結していないという印象を与えます。言ってみれば、週刊ジャンプの10週打ち切りみたいな。(笑)
 いや、あれはあれで一種の芸術になり得ますが、ゲームでそれをやるのはちょっと問題かと。
 ゲームそのものとして楽しむには、ちょっと中途半端な出来でしょう。

前のページに戻る