『もちろん助けてくれるわよね!』
 『リンゴのおいしい季節よねえ……』
 『この先何が起こるかわからないからセーブした方がいいわよ…』
 『私も一緒に戦います!』
 『ユーロの思いを受け止め、それをうち砕くのは人間であるあなたの役目よ!』
 『これからもよろしくね、セディ!』
 などの名台詞とあの徹夜明けに見た朝焼けによって、高任の心に深い傷を残した『FRANE』が帰ってきました……つーか、いろんな意味でパワーアップして帰ってきやがりました。
 この心の傷を癒すには、今作においてやつらを乗り越えるしかないと思って購入してしまった高任も高任ですが、スタッフがどういう気持ちで続編を作ったのかが凄く気になるところではあります。
 家に帰ってからパッケージを見てみると、今作は前作の20年後という設定で、前作の主人公(操り人形)であるセディと、妖精さん曰く『ヒロインの鑑』であるところの天使族フランの間に生まれた一人娘、リラが主人公ということらしいです。
 あうっ、いきなりリベンジは不可能ですか?
 それはともかく、やっぱりセディは結局フランによろしくされてしまったのか……などと苦笑いしながらインストール後、即起動。
 相変わらず格好いいオープニング映像で前作の大まかなストーリーをユーザーに説明……あらすじは間違っていないけど、ユーザーにとっての本当の敵は説明されてない。(笑)
 ゲームスタートするといきなり3段階の難易度選択画面に……もちろん、『ハード』を選択……ただし、この後この選択を何度も悔やむことに。
 
 前作から20年……地上世界への不介入を決定した天上界において、新たな不満分子が台頭を始めていた。
 いかにも悪役っぽいキャラが2名登場。
『……ユーロ反乱から20年、地上人の変革は進むどころかセディとフランを新たな求道者とあがめ、相変わらず自己の保身ばかりを欲し、他者に寄りかかるエゴイストな生き物のようですね』
『……だから、地上人を全て滅ぼす…と?』
『フッフッフッ……クローネ、もしあなたがまとっている美しい衣装、洗っても汚れが落ちなければどうしますか?』
『もちろん、すぐに脱ぎ捨てて新しいのを作りますわ。今よりもさらに美しいものをね』
『私もそうします。私はこう見えて潔癖性ですから……フフフ、あなたとは気が合いそうですね』
『あの偽善者の神に一泡ふかす……おほほほほ、面白そうですわね』
『……ただ、残念ながら私達天上人には、地上人の命を奪うことも与えることもできません。それができるのは神の持つ「神の剣」と「神の杖」だけです』
『なら簡単ではありませんの。あの馬鹿な神を騙し、神の剣と神の杖、そして聖杯を奪い地上へ行きましょう』
『……やはり、あなたとは気が合いそうですね……では、はじめましょうか』
 どうやらサクッと神は騙された(笑)らしく、あっさりと3種の神器を手に入れたクルゼーロとクローネは新たな世界を構築するために地上へ。
 まず、手始めにモンスターと人間との争いを激化させ始めたところで画面が切り替わり、忘れように忘れられない懐かしい声が。
『クルゼーロとクローネの奴、ったく何を考えてるのかしら!とっ捕まえて懲らしめてやらなくちゃ!』
 そう、前作で主人公のセディを散々こき使った妖精ルピーの声です。
『……とは言っても、神器がないとどうしようもないのよね。それに、地上世界への直接関与を禁じた「私が」、その禁を破るわけにもいかないし』
 
 ……どうやら妖精さん、この20年で神様にクラスチェンジしたようです。
 
『うーん……こうなったら、またセディに協力してもらうしかないわね!セディ、セディーッ!』
 と、セディの名を連呼しながら地上界へと急ぐ妖精さん(神?)……自己の保身と他者に寄りかかるのが罪ならば、まずこの妖精さんからどうにかしなきゃいけないんじゃないですかねえ?
 そして、セディの元へ辿りついた妖精さんの話を聞くセディ。
『……というわけなの。お願いセディ!もう一度力を貸して!』
 20年前はあどけない少年でしたが、今や一児のパパ。それはともかく、妖精さんの顔を見て昔のイヤな記憶が甦ったのか浮かぬ顔。
『……だが』
『お願いセディ!あなたしかこの地上世界を救える人はいないの!』
 思いっきり断言されましたが、それでも渋るセディの背後にフランが近寄りました。
『あなた……』
『……わかった。私は再び手に剣を握ることにしよう…父の親友であるユーロが芽吹かせた緩やかな変革を守るために』
 勇者セディは間違いなく尻にしかれているようです……
『ありがとう、セディ!』
 妖精さんとっても嬉しそう……今回もただの傍観者なんだろうな、アンタ。
 しかし、フランの方はさすがに気が咎めたのでしょう
『私も一緒に戦います……何か手伝えることができるはずですから』
『だが、リラを1人残すことになる……』
『後のことは私の友達に頼むことにします……ですから』
 などと話し合っているところに、今作の主人公であるリラ・シリングが自分の部屋から出てきました。
『大丈夫よ、お父様お母様。私のことは気にしないで……』
 そして、2人はリラを残して戦いの場へと旅立ちました。
 ここで、勘のいい人ならピンとくるはずです。
 後を任されたフランの友達……そう、奴しかいません
 そして、遊びに行こうと家を飛び出したリラの首根っこを捕まえる1人の美女。相変わらずちょっと露出度は高めですが、見かけは前作とほとんど変わってません……って、フランは思いっきり歳とってるみたいなんですけど、天上界と地上界とでは時の流れの作用が違うのだろうか?
『ふう……セディとフランは甘やかし過ぎのようね。ちゃんと試練を与えないと…』
 
 ふっ、性格の方も相変わらずで安心したよ……いつか倒してやる。
 ちなみに名前はナイラ……前作登場した悪魔族の娘です。
 
『リラ…今日から私が剣と魔法、それに礼儀をみっちり仕込んであげるわ。まずは家の掃除からやるのよ』
『えーっ、私、剣も魔法も強いから必要ないよ。掃除はおばさんが代わりにやって』
『……私に勝ったら掃除でも何でもしてあげるわ。その代わり負けたら私の言うことを聞くのよ』
 こめかみをひくつかせたナイラに向かってリラの魔法が炸裂……と思った瞬間、いきなり魔法を思いっきり叩き返されて吹っ飛ぶリラ。
 相変わらず大人げないですこの人。
『……掃除』
『は、はいっ!』
 見張られながら家の掃除をせっせとさせられる……前作の屈辱に比べればこのぐらいどうということはありません。
『掃除終わりました!』
『……あなた、リンゴは好き?』
 イヤな予感。
『えっ、好きです。何々?ご褒美くれるの?』
『私もリンゴは好きよ』
 
 ……やっぱりな。
 
 と言うわけで、クルゼーロが召還したモンスターがうじゃうじゃいるらしいルーブル山のてっぺんに生えていると言われる幻のリンゴを求めてリラは旅立ちます……もとい、修行に出されます。
 どうでもいいが、前作ユーザーのイヤな記憶をざくざく掘り起こすようなオープニングは勘弁してほしいです。
 戦闘システムは剣と魔法武器のどちらを装備するかで攻撃方法が変わるのを除けばほぼ前作と同じ……敵の遠距離攻撃が障害物を突き抜けてくることまで同じなのは勘弁して欲しいですが。
 剣の攻撃を繰り返せば新しい剣技を、魔法での攻撃を繰り返せば新しい魔法を覚えるのでバランス良く育てるか、それともどちらか一方に偏って育てるかはユーザーの自由のようです。
 どのみちレベルアップする毎に攻撃力、防御力、魔法力、魔法耐性の全てが均一に上昇していく前作のシステムを使用しているみたいなので。
『ゲゲッ、あんなとこまで登るのぉ…』
 ルーブル山の麓に到着したリラは、頂上を見上げてため息をつきます。そしてふと脇を見ると、リンゴの木が。(笑)
『なーんだ、ここにもリンゴの木があるじゃない。ばれっこないからこれとって帰ろう』
 リラが手に入れたのは『傷んだリンゴ』
 本当ならこんなリンゴは無視して頂上を目指さなければいけないんでしょうけど一応お約束と言うことで、思いっきりばればれなのを承知で一旦家に帰ってみます。
 ……やっぱり叩き返されました。(笑)
 仕方なく、障害物を突き抜けてくる敵の遠距離攻撃に手をやきながらも幻のリンゴをゲット。この間、いかにもうさんくさそうな美形の青年リュシアンに出会い、『結婚はできないが愛人にしてやろうか?』などと囁かれたりしましたが、おそらく後々の物語に絡んでくるんでしょう。
『たっだいまぁ!ほら、幻のリンゴをとってたわよ、文句ある?』
『……本物のようね』
『当たり前でしょ!もう、感じ悪いなあ…』
 一度騙そうとしたくせに主人公態度でかいです。
『そう、じゃあ今度は料理の知識を教えてあげる。このリンゴと名水を混ぜるとアップルゼリーができるわ、あなたの部屋の机でできるから作ってみなさい』
 なるほど、キャンプの項目にある『レシピ』が凄く気になってたんですがそう言うことでしたか。相変わらずいろんなゲーム要素を詰め込むのがお好きなようで。(笑)
 ……で、『幻のリンゴ』と『名水』を組み合わせてお料理した結果、『アップルゼリー』が出来上がりました。(笑)
『……良くできたわね』
 絶対馬鹿にされてる様な気がするのは高任の勘ぐりすぎでしょうか?
 話は戻りますが、この時『傷んだリンゴ』と『名水』を合成すると『くさいジュース』が出来上がり、これをナイラに見せると『どれどれ、うわっ、くさっ!何これ?』などと楽しい台詞が聞けます。(笑)
 ちなみに、『幻のリンゴ』と『傷んだリンゴ』とを合成すると普通に『リンゴジュース』ができます……あまり深く考えない方がいいのでしょう。
 まあ何はともあれ必要なアイテムを合成したりするのは楽しそう……って、アイテム説明を見てみるとプレゼントアイテムのようです。(自分には使えない)
 何やら不安を感じた瞬間、家に訪問客が
『あら、この家にお客なんて珍しい……誰かしら?』
 やっぱりというかそれ以前に声でわかったというか(笑)、訪問客はリュシアンでした。
『あ、あんたはあの時の…』
『おやお嬢ちゃん、俺の愛人になる決心はついたのか?』
『お断りです!』
『はは、まあいい……今日は大事な用があってきたんだが、リラ・シリング嬢に取り次いで貰えないか?』
『何をもめている?』
『おお、あなたが我らが英雄セディ・シリング殿の娘リラ嬢ですか、噂に違わず美しい……』
 と、ドアを開けて外に出てきたナイラをリラと勘違いするリュシアン。
『……』
『おっと、申し遅れました。私はハーリア国13代目国王の……』
 と、どうも英雄セディと天使フランの名声を求めた政略結婚くさいですが、リュシアンはリラを王妃に迎えたいという希望を述べます。
『……だそうだが、どうする、リラ?』
『そ、そんなこと急に言われても…』
『は?』
 リュシアンの視線はナイラの視線を追ってリラへ。そして、ため息。
『……淑やかな美しい娘と聞いていたのだが、噂とはあてにならないモノだな』
『むっ、失礼ね』
『まあいい……リラ・シリング、返事は後日聞かせて貰おう。言っておくが私は本気だ。あ、それとそちらのお嬢さん、今なら愛人の座が空いているのだが……』
『……』
『とっとと帰れ、この女たらし!』
 リュシアンがいなくなり、ナイラはリラに言います。
『……どうする?』
『どうするも何も、お父様もお母様もいないのにそんなの返事できるわけが……』
 困ったように呟くリラを見て、ナイラはさらに言葉を続けます。
『リラ…もしフランやセディがこの結婚に同意しなさいと言ったらあなたはそれに従うの?』
『そりゃ、お父様とお母様がそういうなら私に異存はないわ』
 これを聞いたナイラ、柳眉を逆立てました。
『あなたは他人の思惑や意見に自分を委ねるの?どうやら、あなたは剣や魔法の修行よりももっと大事なことを為さねばならないようね…リラ・シリング、悪魔族ナイラの名において、あなたに試練を与えます…』
 見聞を広め、人が何を望み、そして何を思って生きているのか……それを知るためにリラは修行の旅に出ることになりました。
 と、ここまでが大体プロローグのようです。
 しかし……フランが『友人に後を頼む』というのはこういう意味だったのかなあ等と少し疑問に思ったり。(笑)
 
 さあ、取りあえず家の外に出てみると『リラの家』と『ルーブル山』しか選択肢の無かったマップに『ピコット村』という新しい選択肢が……うん、まあ話が分かりやすくていいんだけどさ。(笑)
 定番通り村人達にお話を聞いてまわってみると、どうやらリュシアンが国王の座についたのはつい最近らしいことと、魔物達による村への襲撃があり、村人達が国に収める税金が盗まれたことがわかりました。
 で、いかにもな感じだったので後回しにしておいた老人に話し掛けてみました。
『ほっほっお嬢ちゃん…この村には魔物が出るからあまり近寄らない方がいいぞ』
『大丈夫、魔物が出たら私の剣と魔法でいちころよ!』
 などとリラが言った瞬間、事件が起こりました。
『おい、金を盗んだ魔物を見つけたぞ……残念ながら金は見つからなかったがな』
 乱暴そうな兵隊さんに拘束された女の子……エルフっぽい感じですが、両手首の体毛などから察するに混血獣人かもしれません。
『私お金なんか盗んでいません、お願いです信じてください…』
『こいつ、まだしらを切る気か』
『お前達、マルカに何をするんだ!』
 と、少年が乱入してくるのですが、凄くわかりやすい構図なので以下略。
 ちなみにこの女の子の名前はマルカといい、それを助けようと乱入してきた少年の名前はレイと言います。
 リラが口を挟んだ隙をついて少年はなんとか逃げることができましたが、少女はそのまま兵の駐屯地へ連れ去られていきました。
 そして老人が言います…
『村はずれの洞窟にすむ魔物達がこれまでわしらに害を為すことなどなかったのだがのう……特にあのレイとマルカがそんなことをするとは信じられん。リラ殿、魔物達の洞窟へ行き、魔物達の長に話を聞いてきてくださらんか』
 ここで『頼みをきく』と『きかない』の選択肢。
 普通のゲームならまず9割方さっきの兵士達が金を着服し、罪を魔物達になすりつけようとしているのは間違いないでしょう。第一、魔物と人間との共存が達成されている世界でない限り、魔物達が人間達のお金を何のために奪いますか?(笑)
 しかし、ここでとてつもなく気になることが1つ。
 この村においてリラは自分の名前を一度も名乗らなかったのですが、あの老人はリラのことを名前で呼んだのです。
 考えてみればクルゼーロおよびクローネの2人が、セディやフランのことを野放しにしておくとは考えにくい……とするとこのじじいは?
 等と思ったのですが、この頼みを断ったら話が進まないような気がしたので、二つ返事で引き受けることに。
 すると、画面にあった何かのパラメーターがぐぐっと移動……どうやらこれは、人間と魔物のどちらの肩を持つかで変化していく模様。
 ほう、このパラメーターによってシナリオが分岐したりするんだなと思いながらお店やさんに行ってみると……なんかさっきと違って凄く店員さんの愛想が悪いうえに、定価より高い値段でしか品物を売ろうとしてくれません。
「ま、まさか……」
 あわてて店の外へ飛び出し、村人に話しかけてみました。
『リラちゃん、アンタ最近評判悪いよ…』
『魔物の肩ばっかり持つのは、考え直した方がいいんじゃない?』
 
 な、なんて現金な奴らだ……
 
 どうやらシナリオ分岐以前に、えらくシビアな選択をしてしまったようです。しかし、あの状況で『頼みをきかない』なんつー選択肢をいきなり選べる奴がいるのか?
 お金が足りないので仕方なく初期装備のまま魔物達のすむ洞窟へ…(泣)
 そして洞窟まで後僅かというところで、リラはクローネと出会います。もちろん、リラはクローネのことを知りません。
『はーい、お嬢ちゃん、こんにちわ……』
『こ、こんにちわ…(うわ、綺麗な人)』
 妖艶な笑みを浮かべて去っていくクローネを呆然と見送るリラ……もちろん、人間と魔物の確執を強めるべく足を運んだのでしょうが、リラはそれを知るはずもありません。
 ですので、初期装備で苦労しながらやっとこ魔物達の長の元へ辿りついたのですが、どうも以前から洞窟にすんでいる魔物達と最近新しく姿を現した魔物達とは違う部族のようです。
 しかし、まあ当然のようにリラと長は戦闘になってしまいます。
 ちなみに、今作の魔法攻撃は中距離攻撃になるのでまあ楽な戦いで長を撃破。
『クッ、こんな小娘にやられるとは……儂も老いたと言うことか。……何をしてる、とどめを刺さないのか?』
『だから言ってるでしょ!私は話を聞きに来たって!』
『この期に及んで何をたわけたことを……早く儂の首を持ってゆけ』
 などとイイカンジな雰囲気になったところに熱血少年レイが乱入。
『長ぁっ!』
『レイか…』
『長、何も死ななくても…』
『我が部族に賊の汚名をきせられる事に対して命をかけることも長の義務……ふふ、我らが一族の望みは人間との共存だというのになあ…』
『あ、あの、長……俺』
『どうしたレイ…まさかお前が村を襲撃し、金を盗んだわけではあるまいな?』
『金は盗んでないけど…』
 何やら金は盗んではいないものの、最近村の食料を盗んだことをレイが長に話すと長はがっくりと項垂れます。
『この馬鹿者が……リラ殿、聞いての通りだ……儂の命をもって村人への謝罪としたい。レイ、お前と儂は血はつながってはおらん…だが、それだからこそお前なら人間との共存の道を探すことができるかもしれぬ……』
 と、リラが止めるまもなく長が自害。
『お、おやじっ!』
 と泣き崩れるレイなのですが……どうみてもワーウルフの変形だった長に比べ、レイはどこから見ても人間です。
 しかし、魔物の長の話によるとマルカもまた長の娘らしいから2人は兄妹で……などと不思議に思っていたのですがこういうことらしいです。
 どうやらレイは人間の捨て子だったらしく、それを洞窟にすむ魔物の長が自分の子供として育てていたらしい……って、マルカはどこから見ても人間じゃない上に長と血がつながっているとは思えないんですが、魔物の捨て子ですか?
 
 ……いや、こんな些細なことでツッコミを入れてしまうとは、神経がささくれ立っているせいなのか?
 
『レイ、マルカを助けに行くわよ!』
『そうだ、泣いている場合じゃなかった…』
 と、リラとレイがこの地方の兵の駐屯地へ。
 マルカに会わせてやろうという隊長の言葉にほいほいついていって牢屋に閉じこめられるリラ。前作でセディも同じ手に引っかかっているのですが、やはり血は争えないと言うことか。(笑)
『ちょっと出しなさいよ!』
『鈍いな……魔物達の仕業に見せかけて金を盗んだのは俺達だよ』
 と、案の定お金を盗んだのはこの部隊の兵士達でした。
 まあ、結果としてはレイが牢屋の鍵を開け、怒り狂ったリラが駐屯地を隅から隅まで大殺戮して3人揃って脱出に成功。(笑)
 そんな3人の前に現れたのは、国王リュシアン。
『聞いたぞリラ。魔物の長を倒したそうじゃないか、さすがは俺の嫁
 魔物の長だけではなく、たった今この駐屯地にいる兵士を壊滅状態に陥れもしたんだが。(笑)
『誰がアンタの嫁よ!』
『はっはっ、そう照れるなよ……ん、その2人は何だ?魔物の捕虜か?
 マルカはともかくとして、あくまで人間のレイを見て魔物と言い張るかリュシアン。
『私の友達よ……魔物達の新しい長でもあるわ』
『ほう、新しい長だと…どうだ、俺と剣を交えてみるか?』
 挑発されて剣に手をやりかけたレイをマルカが止めます。
『国王陛下、私達の望みは人間との共存です……剣をおひき下さい』
『リュシアン様、お戯れが過ぎます』
 と、これは一等騎士のリンギット……ちなみにこれまた美形。ただ、どうやらリュシアンと違って魔物達にも理解がありそうな好青年です。
 まあ、そんなこんなでリュシアンに城のパーティに招かれるわけですが……ここでまた1つ凄く気になったことが。
 この駐屯地、兵士に混じって魔物達が大勢うろうろしてたので何か陰謀くさいものを感じてたんですが……魔物達に対して思いっきりタカ派らしいリュシアンが何事もなくこの地にやってくると言うことはどういうことなんでしょう?
 
 そして、このあたりからお話は一気に加速。
 まず、クルゼーロ達を倒しに向かったセディとフランが消息を絶ったとの連絡がもたらされます。
 そして、城に向かうリラの前に妖精さんが登場。
『リラぁー、大変よ!大変!ねえ、聞いてる?』
『ちょ、ちょっと、あんた本当に神様っ?どうしたの、そんなにあわてて?』
 ……やはりこいつが神様なのか?
『クルゼーロが、ナイラのところにクルゼーロが訪ねに来たのよ!』
『えっ!?』
 あわてて家に戻るリラと妖精さん。
 そしてそこには、クルゼーロと話すナイラの姿が。
『……というわけです。どうです、賢明なあなたならわかるでしょうが悪い話ではないはずですが』
『ちょっとアンタ!何勝手なこと話してるのよ!それより、お父様とお母様は…』
 くってかかるリラに冷たい視線を向けるクルゼーロ。
『ほう、この娘がセディとフランの……で、ナイラ返事を聞かせて貰えますか?』
『約束は守るんでしょうね…』
『ええ、もちろん…』
『わかったわ、あなたに協力する』
『ちょっと、ナイラ本気なの!クルゼーロに協力するってことはセディやフラン、リラとも戦うことになるのよ?』
『せ、先生!どうして、どうして…?私、先生と戦いたくない!』
 
 俺は戦いたい……って、奴のことを先生と呼ぶのはやめて。
 
『戦う……?あなたはまだまだ飛び方さえも知らない雛鳥よ、命が惜しかったら家の中でおとなしくしていなさい』
 そう言い残してクルゼーロと共に出ていくナイラ……あの思わせぶりな態度といい、いわばナイラの裏切りに対してある意味で異常に落ち着いている妖精さんといい、どう考えても3文芝居なのがみえみえで、どうやら今回もこの女を叩きのめすことができないようだなと思うとゲームを投げ出したくなりました。(笑)
『どうして…先生?』
 打ちひしがれるリラに対して、底抜けに明るい妖精さんの声が。
本当は巻き込みたくなかったけど……リラ、こうなったらリラに頑張って貰うしかないわ!今の私は力が使えないけれど、豊富な経験と知識があるわ。考えることが苦手そうなリラは力専門、そして私は頭脳専門ってことで……まずは情報を集めにお城に向かうのよ!何か手がかりがあるかも』
 
 今作に限って言うなら、ナイラより妖精さんの方が憎たらしい。(笑)
 
 リュシアンとの会見中に、国の南東部の小さな村の周辺に魔物達が集まっているとの報告が…しかも、その魔物達を率いているのはレイとマルカとのこと。
『チッ、あの時のガキか……やはり殺しておくべきだったな』
 などと不穏当な台詞を呟くリュシアンに向かって、どうやらこの国の宰相のギルダーが口角泡を飛ばさんばかりに熱弁をふるい出します。
 今すぐ軍を動員して魔物達を撃つべきだと。
 それに対して、軍の指揮権を掌握する一等騎士のリンギットが反論……報告によれば魔物達はまだ我々に危害を加えたわけではないし、第一あの少年達がそんな行動に出るとは考えにくいと、実にユーザー寄りの意見です。
『リンギット殿!まさか、魔物どもと内通し陛下を裏切るつもりではないでしょうな……』
『やめよギルダー。リンギットが俺を裏切るはずがなかろう……リンギット、お前はすぐに軍を編成して現地へと向かえ』
『……はっ、かしこまりました』
『陛下、ここは防衛軍にリラ殿も参加して貰うというのはどうでしょう…我が軍の士気があがることは間違いないですぞ』
 この宰相、9分9厘クルゼーロと手を組んでる事は確実。どうでもいいが、ここまでわかりやすいシナリオはRPGとしてどうか。
 そしてここで『防衛軍に参加する』と『話し合いを試みる』という2択。
 正直なところそろそろ初期装備から脱出したいのだが……そんなことで自分を曲げて良いものか?
 ちなみにこのゲーム……前作では最高の装備を揃えたとしても瞬殺されることはざらで、装備が劣悪だと唇を噛み切ってしまいそうなほど困難な戦闘を強いられました。
 多少の逡巡を見せつつ、リラは魔物達と話し合いを試みることに。
『…フン。リンギット、軍を編成するまでどのぐらいかかる?』
『はっ、5日ほどかと…』
『5日ですと!そんなにかかるはずが、精々2日の…』
『やめよギルダー!リラ、リンギットに感謝しておけよ……』
 そう言い残して不機嫌そうに背を向けるリュシアン……実はいい奴なのかも知れません。
 それはさておき、この直後の城下のお店やさんでの心に染みた台詞。
『はやいとこやり直すんだよ、まだ若いんだから……』
 
 もちろんまともな装備は買えません……って言うか、情報を集めることさえ困難になってきました。(笑)
 いろんな意味で泣きそうです。
 とりあえず村に急行してみましたが村には魔物の影さえ見えません……一応レイとマルカの2人はいましたけど、村の子供と仲良く遊んでいたりします。
 どうやらこの村の近くの森にレイの父の親友がまとめる魔物の部族があるらしく、討伐軍がやってくることをレイに告げると、レイはそれを伝えに姿を消しました。
 マルカに話を聞いて、その後を追うリラ。
 ここでどうして追う必要があるんだろう……などと考えたらいけないんでしょうが、魔物達のすむ暗闇の森に足を踏み入れた瞬間、一匹の魔物がリラに近づいてきました。
『キシャー、マタ、バカナニンゲンドモガヤッテキタ。コロセ、ニンゲンドモハミナゴロシダ…』
『ちょ、ちょっと、私はあなた達の長にお話があるだけなのに……』
『コロセ!』
『もう、こうなったら力ずくでも通させて貰うわよ』
 よく考えたら……今この国で一番魔物を殺しているのって。(笑)
 しかし、魔物に攻撃した瞬間あわてて踵を返しました。
 何故かというと、防御力が一番低くなる真後ろから、しかも最も攻撃力の高いダッシュ切りを食らわせたのにノーダメージだったから。(笑)
 仕方ないので再び駐屯地に戻って、レベルアップおよびお金を稼ぐためにひたすらかけまわってみました。
 それでどうにかこうにかそれなりの装備を揃えて再チャレンジして、どうにかこうにか何度も瀕死になりながらこの部族の魔物達の長の元へ。
 ただ、ここの長は既にクルゼーロに協力する事を約束したらしく有無を言わさず戦闘に突入。しかも、クルゼーロによって強力な力を付与されているようです。
 数分後……
『こ、こんな小娘に…』
『へへんだ。こんな小娘に負けた気分はどう?』
『ククッ、これで勝ったと思うなよ……』
 いや、完膚無きまで勝ったつもりなんですけど……
『今頃村は魔物達の別働隊によって……』
『な、何ですって?』
 魔物の長の断末魔を背中で聞きながら、リラはレイと共に村へと駆け戻ります。そして、村を襲撃していた魔物達をリンギット率いる防衛軍が追い払ったのですが……村人の中に犠牲者が1人。
 それは、レイとマルカが仲良く遊んでいたポルンという少年でした……
『ポルンが俺達魔物に何をしたって言うんだ!どうして魔物達はポルンを殺さねばならなかった!?』
 ポルンの亡骸を抱え、天を見上げるレイ。
『一刻も早くこの戦いに終止符を打たねばならない。だが、それは一方の勝利ではなく共存だ…それがどんなに険しい道であっても、リラにレイ、君達2人ならきっとできると信じている…』
 いかにも誠実な人柄を滲ませたリンギットの言葉に、リラは大きく頷きます。ただし、レイは無言。
『……さしずめ、私にできることは君達の歩む道をすこしでも歩きやすくすることぐらいだが…』
 そこに、さっきリラが倒したはずの魔物達の長が再び登場。
『あ、あんた死んだんじゃなかったの?』
『クックックッ、クルゼーロ様にかかればあんな傷一発で治ってしまったわ…』
 いや、傷とかの問題じゃなくってあんた……などというツッコミを無視していきがる長を、リンギットは一刀のもとに斬り捨ててリラ達を振り返って言います。
『邪悪な心を持つ者に、この子達の邪魔はさせん!』
 ……これでこいつがクルゼーロと内通してたら、凄いシナリオになるんだが。(笑)それにしても、人間と魔物の共存っていうテーマがここまで強力に押し出されるって事は、魔物の味方ばかりしてると駄目って事なのかな?
 などと首を傾げながらお城に戻ろうとした瞬間、クローネとすれ違います。
『あ、今の女は!リラ、先にお城に行ってて…』
 と、妖精さんはクローネを追いかけていきました。
 もちろん、リラはクローネのことを名前しか知りませんから無理もないのですが……取りあえずお城に行くと、フラン達が魔物王に捕らえられているとの報告を受けたとギルダーが言います。
『ほう、奴らを攻めるには格好の口実だな…まあ、魔物を攻めるのに口実など必要ないがな…』
 相変わらずタカ派な発言を繰り返すリュシアンを諫めようとリンギットが口を挟みますが、これがリュシアンの不興をかってリンギットは一ヶ月ほど蟄居していろと命ぜられます。
 そして我らが主人公リラは直接自分の目で確かめるために魔物王のいる場所に向かって城を飛び出ました。……そして城下を抜けて……抜けようとしたところ何やらどこかで見たような女の子が。
 話し掛けてみると、やっぱり思った通りだったのですが、さっき魔物達に襲撃された村の子供が何故城下に?
 それよりももっと気になるのが……なんだその会話モードに入った途端現れたこれ見よがしな『グッドフィーリングケージ』ってのは?
 そして『会話』と『プレゼント』の選択肢が出てきた瞬間、やっと自分の部屋で行う合成の意味を理解しました。
 ためしに会話してみますと…
『ねえ、ルピアの好きな食べ物ってなあに?』
『んーとね、魚を使った料理なんかが好きかな……』
 そして好感度が少しアップ。(笑)
 次は自宅待機を余儀なくされているリンギットの家を訪問してみます……って、なんかゲージそのものが青く初期好感度が大分低い上に、会話すると好感度が減少してしまいました。
 何やら自分の想像が当たっているとイヤだなーと思いながら、あわてて城に戻ってリュシアンに会って会話すると、低い好感度がさらに減少。
 ……まあ、よーするにこれまでの自分の選択が反映しちゃうんでしょうね。(笑)そりゃ、これだけ魔物達の味方をしていたら人間達には受けが悪いよ。
 好感度上げたきゃ、せっせとアイテムを合成して彼らの好みに合わせたプレゼントをしなさいってことか……って何のためによ?
 それに合成するための材料を集めようと思っても……早い話が材料一種類につき1つ持つだけで、『かごの中はいっぱいだよ!』の状態になってしまうのである。(笑)
 つまり、アップルゼリーを4個作ろうと思ったら、まずルーブル山の頂上まで登って『幻のリンゴ』を手に入れて少し寄り道して『名水』を手に入れて家に帰って合成。
 そして再びルーブル山の頂上に登って『幻のリンゴ』と『名水』を手に入れてから家に帰って合成して……もちろん、このゲームには家に帰る魔法なんてありません。
 大体、『薬草』と『鉱石』を合成したらなんで出来上がるのが『漬け物石』やねん!
 しらん、こんなゲームでギャルゲーやら『某アトリエ』なんぞ考えたくない!
 と、全てに耳をふさいで魔物王が住むと言われる場所へ移動したところ、妖精さん再登場。
『おっかしーなあ、確かこのあたりだと思ったんだけど……あっ、リラ!』
『神様、どうしたのこんなところで?』
『私見たのよ、私から三種の神器を奪ったクローネの姿を!確かに、この森に入っていったと思ったんだけど…』
『見間違いじゃないの?』
 というリラの台詞に対して、妖精さんの台詞は高任の想像を遥かに超えていました。
 
『あの引き締まったお尻に魅惑の腰つき。そして勤労意欲を駆り立てる見事なボイン……あれは確かにクローネだったわ!』
 
 神様……あんたレズっ娘ですか?それとも、その可愛い女の子の妖精さんの姿は単なる趣味ですか?
 どっちにしろ世界観を破壊する癖は直っていないな。
『……なんで神様が簡単に神器を奪われたのか不思議だったけど、その理由がわかったような気がする』
 これ以上はないリラのツッコミに対して、妖精さんは笑ってごまかし、『さあ、神器を取り戻すわよ!』などとと言いますが、威厳はまったくないです。
 この時点でプレイ時間は約3時間だったんですが、大分自分が投げやりになっているのがわかりました。
 襲い来る魔物達を何百とうち払いながら先に進むと、少し開けた場所に出ました。
 ゲームをやってるとわかるんですが、こういう場所に来たら間違いなく中ボス戦闘が始まります。
 ちなみに数の多いザコ相手には走りながら攻撃できる剣の装備を、ちょっと触れただけでヒットポイントが3割ほど削られる(完全に重なったりするとほぼ即死)ボス戦闘では剣によるダッシュ切りは自殺行為でもあるので離れて戦うために魔法攻撃というのがこれまでの戦闘スタイルだったのですが……シナリオも中盤にさしかかったのか、魔法防御力が異常に高い魔物や、物理防御力が高い魔物などあって機敏に装備を切り替える必要があります。
 ちなみに、中ボス戦闘に入ると装備の変更ができない上に体力と魔力が回復しないため、迂闊に次のステージに飛び込むと往々にしてとんでもない目に遭います。
 
 そう、例えば……この時点でボスに対して魔法攻撃が一切通用しないとか。(笑)
 
 ちなみに前作でもそうでしたが、今作でも背後からの魔物の一撃でリラは瀕死状態になるぐらい厳しいザコ戦闘を戦い抜いているのですが、クローネを相手にしてモノの数秒で次のような台詞を聞く羽目になりました。
『寒いよ……パパ、ママ…』
 このゲームを開始してから初めてのゲームオーバー……前作をプレイしてシステムを熟知した人間にとってはかなりの屈辱です。
 しかたなくこの付近の魔物達を倒しても経験値が貰えなくなるまでレベルを上げてから再び挑戦……ちなみに、この時点でリラが装備している魔法武器はこのゲームを通じての最強の魔法武器だったんですが、やっぱり魔法がききません。(笑)
 で、触れるだけでダメージをもらうクローネに対して剣を片手に特攻する事十数度……やっと攻略の糸口がつかめてきました。(笑)
 ゲームをプレイしながら何か違和感を感じていたんですが、どうもこのゲーム視点位置が関係しているのか当たり判定が少しずれているのです。(笑)
 つまり、クローネに対してある方向からギリギリまで近づいて攻撃すると…(以下略) そして数分後…
『なんで…こんな死に方イヤよ!私は、たくさんの美形に囲まれながら惜しまれつつ死ぬ予定だったのに……』
 なんとか、クローネから神器の1つである『ディバインワース』を奪還。ちなみにこれによって天上人は地上人の命を奪うことができるのだとか。
『さっすが、セディとフランの娘ね。まさかこんなに早く成長するとは思ってもいなかったわ』
 と、妖精さん。
 ……勝てないと思ってたのなら止めろよ。
 そして魔物王のところに辿りつきましたが、当然フラン達の姿はありません。これでますますギルダーへの疑惑が黒いモノに。
 そして魔物王バーンが言うには…
『人間達に争うつもりがないのならそれは結構だ。我々とて無用の流血は……』
『わかったわ、私なんとかリュシアンを説得してみる!リンギットさんもいるし…』
『北に、ラニアンという村がある、古くから魔物と人間が共存している村だが一度見てくるといい…』
 ラニアン村……前作をプレイしているユーザーにとっては懐かしい村です。
 前作の主人公セディはかつてこの村の近くに住んでおり、妖精さんに強要されたとはいえ冒険の始まりはあの村でした。
 早速その村に向かうことにしますが、その途中で南の国からやってきたという魔物から村に蔓延する病気を癒す薬を作って欲しいと頼まれます。
 しかも、合成の仕方まで教えてくれるという親切さ……そこまでわかってるなら自分で合成しろよなどと言いたいところですが、今やリラは完全に魔物達の味方ですから二つ返事で引き受けました。
 もちろん、この事によって再び人間達の間で評判が悪くなったのは言うまでもありません。
 ちなみに、魔物達の村で合成の材料である宝玉を発見。
 『宝玉』と『鉱石』で出来上がった刀は武器屋でそれなりに高く売れます(評判悪いせいでものすごく値引きされますが)のでちょっと嬉しい。
 ただ、『宝玉』と『薬草』を合成すると『高級漬け物石』ができたりするのが不思議でなりませんが。
 それはともかくラニアン村に……ああ、村の外見が前作の使いまわしだ……じゃなくて、懐かしい風景です。
 魔物と人間が共存していることを殊更アピールするように、村の中では人間と魔物達が仲良く歩き回っています。
 そして、この村でレイとマルカを発見しました。
 レイとマルカに話し掛けてみると、これだけ魔物達の味方をしているというのに、レイは『お前と話す事なんて何もないぜ…』ですし、以前会ったときは親しげに笑いかけてきてくれていたマルカはきつい視線をリラに向け、『私、あなたのことが信用できません』などと言い出す始末。
 うん、まあ、英雄の生き様というのは本来孤独であることが多いし……前作に比べたら随分自由度が高いからこんな事で文句言ったら駄目だよね。
 でもね、でもね……このままだと地上界が嫌いになってしまいそうなんですが。(笑)
 余談ですが、この村で魔物達との共存を実現させた女性はレアルというらしいですが……ひょっとして、前作での名台詞『魔物達だって話せばわかってくれるはずです』のあの少女のことでしょうか?
 うん……あの時の志を貫いたんですね、ご立派です。
 まあ、それはさておいて村にいたニワトリから卵を盗んだりしながら(笑)魔物王バーンの意志を伝えるべくリュシアンの元へ。
『ふっ、魔物達との共存だと…笑わせるな!』
 などと相手にされません……ついでに好感度が減少してしまう始末。
 つまり……あれでしょうか。
 魔物王バーンやリュシアン達にプレゼント攻勢をかけて好感度をアップさせないと話を聞いてくれないと言うわけですか?
 
 ……だから、余計なゲームエッセンスを盛り込むことよりもっと大事なことがあるだろうがよ!(涙)
 
 ためしに、リュシアンに『漬け物石』をプレゼントしてみると…
『お前、そんなに俺のことが嫌いなのか?』
 大嫌いだコンチキショー!
 もちろん好感度は減少。
 しかし、やけになる前に全ての人間に話し掛けてみるぐらいはしてみないといけないなと思って『ピコット村』に行ってみると、何やらおばさんが泣いています。
『うっううっ…うちの娘が魔物にさらわれたんだよ』
 よしっ!
 いや、あまり良くはないけど、これで物語が動き出しそうな予感大。ある確信を元に、リラはラニアン村に向かいます。
 すると、そこには仲むつまじく手をつなぎ合った2人(?)のカップルの姿が。どうやら攫われたのではなくて、2人は駆け落ちしてきたようです。
『……母には、私は死んだと伝えてください』
 ここで再び選択肢。
『娘は死んだと伝える』と『娘を村に連れ戻す』
 馬に蹴られて死にたくないのでもちろん前者を選択。
『わかったわ……でも、ほとぼりが冷めたらきっと会いに行くのよ。必ず許してくれると思うわ…』
 そう言い残しておばさんの元へ戻り、娘が死んだと伝えると……
『ううっ、なんてこったい……そんなにも、そんなにまであの魔物を愛していたのかい……こんなことなら許してあげるんだった…』
 …って、待てコラ。
 攫われたって……つまり、あんた俺を騙そうとしたわけか?
 等と、ますます人間不信に陥りかけた瞬間、何を考えているのかあの2人がおばさんの元に姿を現しました。
『騙していてごめんね、お母さん…でも私この人を愛しているの』
『お母さん、温かい目で俺達のことを見守っていてくれませんか?きっと幸せにします』
『いいんだ…いいんだよ、もう…生きてさえいてくれたなら』
 もうどうでもいいが、村の中を魔物が闊歩していても平然としているここの村人達ってすごいな。
 そして、これによってリラの人間と魔物のゲージが共にアップ……ああ、こういう選択ばかりなら楽なのに。(笑)
 さあ、これで話が進むんだろうと思って城に戻ったり、魔物王に会いに行ったり、マップの隅から隅まで動き回ったのですが、女の子1人を除いて好感度を下げるだけに留まりました。(笑)
 ちなみに好感度が表示されるキャラは、今のところリュシアン・リンギット・バーン・レイ・マルカ・ルピア(魔物の襲撃によって幼なじみを殺された村の女の子)の6人。まあ、この後好感度が出てくる新しいキャラが出てきますけど。
 リュシアンの好きな食べ物はワインを使った料理で、レイは肉料理、マルカは野菜を使った料理が好きで……って、こんなゲームやってられっかコンチキショー!
 キャラクターがイヤとか言うレベルを飛び越えて、このゲームがイヤだ!
 
 このままだと夜が明けそうだったので、高任は一旦このゲームを挫折。で、再びプレイする気力を取り戻したのが約一ヶ月後。(笑)
 
 『卵』と『傷んだリンゴ』を合成してひたすら『アップルパイ』を作り続けるリラ……何故かと言うと、『卵』はラニアン村で、『傷んだリンゴ』はルーブル山の麓(つまり最初の画面)で採取できるので時間がかからないから。
 ちなみに、小麦粉やお野菜やお魚などの材料は店で買わなきゃいけないんですが、そのためにはお金が必要になってきて…(以下略)
 くそう、これが『某アトリエ』なら妖精さんを雇って材料を採取させたりするのだが、このゲームの妖精さんはリラのまわりを飛び回るだけで、踊ることすらしない。(笑)
 そうして地道にみんなの好感度を上げていたのですが、突然リンギットがこんな事を言い出しました。
『どうしたんですかリラ殿、何か嬉しそうですがいいことでもあったんですか?』
 ……やっとゲームが動き出しました。
 家に帰ると、ぐったりとしたフランを背負ったナイラが帰ってきたりします。
『せ、先生…』
『馬鹿ね、私が本当にフランやリラ達を裏切るとでも思ったの?』
『えっへん、実は私がナイラに頼んだのよ…』
 などと大いばりの妖精さんに対して、ナイラの話が始まりました。
 片腕であるクローネがリラに倒されたことを知り、クルゼーロは神の盃にフランの力を吸収して新たな魔物を作り出したことなど……
 まあ、早い話クルゼーロをどうにかしなければフランの力は失われたままで、このままだと死を待つのみとのこと。
『そ、そんな…』
『安心なさい……フランは私のただ1人の友人だから。それに、これは私の贖罪でもあるから……』
 そう囁いて、傷ついた身体を引きずりながら家を出ていくナイラ。
 そんな中、話はますます加速していき魔物王バーンの住む村が黒装束の軍隊に襲われたことに腹を立て、バーンが人間側の砦を占領し、またその砦を奪回すべくリュシアン自ら討伐軍を率いて出向いた後、いかにも怪しげなギルダーが自ら署名して講和の使者としてリラとリンギットをバーンの元に使わせたり、リラとバーン達が和やかに酒を飲んでいるときに人間と魔物達の連合軍隊が襲ってきたり…
 そして……
『主君が過ちを犯したとき……命をもってそれをお諫めするのが臣下のつとめであろう。リラ殿、この手紙をリュシアン様に…』
 と、リンギットがリラやバーン達を逃がすために扉を閉め切って武蔵坊弁慶のごとく死亡。(ただし、実際に死んだかどうかはこの時点で不明)
 しかし、リンギットは軍を統括する一等騎士でありながら襲ってきた軍隊の異常さに気がつかなかったのかなあ……まあ、いいシーンだけに野暮はいいこなしって事で。(笑)
 さて……あわててリラがお城に戻ると、リラは指名手配されていました。(笑)罪状は魔物への内通および協力、そして謀略でリンギットを死なせた事云々……はっきり言って、リュシアンが怒り狂ってるのですから手紙を渡すどころではありません。
 ちなみに、魔物達も人間達に騙されたと思っていますので…(以下略)
 
 くわあっ!マジで世界中を敵にまわしちまった!(大爆笑)
 
 もはやリラにとって安息の地は自分の家のみ……と、家に帰ってみるとそこにはギルダーの姿が。
『ほっほっほっ、不良娘がやっとご帰還ですかな……いろんな罪状を読み上げる必要もないと思いますが』
『何よ、全部アンタの仕組んだ策略じゃない!』
『ほう……意外と頭が回るらしい』
『何よ、そんな人数で私を捕まえられるとでも思って…』
 ……リラ、それは思いっきり悪役の台詞です。(笑)
 が、リラは重要なことを忘れていました。
 家の中には天使の力を失ったフランが1人……もちろん、人質にされてます。
『リラ、私のことはいいから…』
『……わかったわ、好きにすればいいでしょ。神様、私のことはいいからお母様についててあげて…』
 リラは無抵抗のまま、狂気の塔の最上階に幽閉されました。
『今、お前にいろいろ動かれてはまずいのでな……そうそう、命が惜しかったら脱走しようとなど思わないことだ。狂気の塔がなぜそう呼ばれているかを身をもって知ることになるからなあ……』
 もちろん、リラは速攻で脱走を試みます。(笑)
 最初は扉に向かって剣を、それが無駄だとわかると針金を使って鍵を……どうでもいいけど、見張りがいるのに大胆だな、リラ。
 そして、リラは最後の手段を。
『ねえーん、そこの見張りのお・じ・さ・ま。私を逃がしてくれたらいいコトしてあ・げ・る』
 あまりの不気味さに吐き出した兵士に腹を立てたリラは、頑丈な扉をモノともせずに蹴破りました。(笑)
 そして、下に降りていけばいくほど強力な魔物がいる塔の中を、ある時は『倉庫番』、ある時は謎を解きながら進撃していくリラでしたがここでイヤなことが1つ。
 敵の遠距離攻撃が障害物を通過してくるのはまあ慣れましたが、その遠距離攻撃がホーミングってのはやめい。狭い場所でどこからともなく飛んできた集中砲火はストレスたまるってばよ!
 しかし、この塔を下に降りていくにしたがって見える景色が細かく変化していくあたり、前作と同じく余計な部分に妙に力が入っているところが感心するというか何というか。
 そして、そろそろ地上と思われるころ…
『あーら遅かったのね、リラ・シリング。待ちくたびれちゃったわ…』
『クローネっ!死んだんじゃなかったの?』
『さすがは神の杖よねえ、私の美貌もそのままに完璧に生き返ることができましたわ。これで夢の続きを見ることができますわ』
『夢?まさか本気で地上世界を魔物達の世界にするつもりなの?』
『まっさかぁー……私の夢は、この地上世界を美形で埋め尽くす事よ。そうね、リュシアンやリンギットほどの美形ならば命は助けて……あ、でも、リンギットはもう死んじゃったのよね。何があっても私のモノにならないなんて言うから…』
『な、そんな馬鹿馬鹿しい夢のために罪もない人間や魔物達を……私、あなたを絶対に許さない!
『それはこっちの台詞よ、ブサイクちゃん』
 と、両雄(雌?)再びの激突ですが、もちろんクローネは以前とは違います。
 姿形はもちろんですが……早い話、空を飛びます。(笑)
 もちろん、空を飛んでいる間は(剣であろうと魔法であろうと)攻撃が当たりません。そしてここでシステム面での重要なルールが関係してくるのですが、走っている途中に攻撃を受けるとリラは歩き出します。
 再び走り出すためにはマウスのダブルクリックかキーボードの連打が必要。そして、生まれ変わったクローネの使う魔法に、主人公の立つ場所から氷柱が連続して突き上げるモノがあるんですが……つまり、回避が不可能。(最初の一撃が当たると走れなくなって逃げ切れない)
 また、ホーミングタイプのエアカッターの連打。
 これはリラの歩く速度より少し早く、またリラに命中しても身体にまとわりつきながら一定時間消えないと言う優れもので大きさはリラの倍。
 もちろん、攻撃を食らっているのでリラは走って逃げることができません。最初の一撃を食らうとエアカッターに囲まれて体力回復魔法のボタン連打しか生き延びる道はありません。
 で、運が良ければ十数秒に一度リラを押しつぶそうとして落下してくる(食らうと一発で瀕死)ので、それをさっとある方向に避けて、そこからクローネに近づき過ぎないように剣で攻撃すること十数分。
『こ、こんなブサイクちゃんに二度までも……』
『ふん、心が醜いあなたに負けるわけないでしょ』
『フフッ、私に勝っても意味なんかないわ……既にクルゼーロ様の計画は最終段階に入っている……今頃はドラクマ平原で人間と魔物の最終決戦が……』
 塔を脱出して平原に行くと妖精さんが……
 
 フランはほったらかしかい!
 
『リラ、早くこの戦いを止めないと。人間達はここから西に、魔物達はここから東にいるんだけどどっちを説得する?』
 で、選択。
 既に戦いが始まっているので説得すると言われても……ただ、魔物達が軍をひいたとしてもリュシアンは絶対に追撃をかけるだろうから、ここはリンギットの手紙もあることだしリュシアンを説得するが良かろうと思い、西へ。
『リラ、道中兵士達をできるだけ殺したらだめよ!』
 言われてるぞ、リラ。(笑)
『わかったわ!』
 ……と言われてもなあ。(笑)
 わらわらとリラを取り囲もうとする兵士や魔物達の手から逃れるためには走らなきゃいけないんだけど、このゲームのシステムでは走っている最中敵が近づくと勝手に技が発動してしまうんですよね。(泣)
 まあ、途中魔物達に囲まれた兵士を助けたりしながらなんとかリュシアンを発見……って、魔物王バーンが兵士に囲まれてます。
『リュシアン!』
『来たか、裏切り者!我が友リンギットを殺し……』
 すいません、私の憶測が甘かったです。とても話し合いとか説得ができる状況ではなくて…
『バーン様!』
 リラの登場で兵士達の注意が一瞬逸れた隙をついて、レイが包囲網の一角を突破してバーンを救い出します。
 それはまあ良かったんですが、兵士達はバーンの後を追ったのでその場に残されたのはリュシアン、そしてリラ。
 雰囲気は最悪。
 が、この状況を救ってくれたのはクルゼーロでした。
 何かの魔法の力でリュシアンをいきなり誘拐。
『クルゼーロ、リュシアンをどこへやったの!』
『私の館ですよ……そうそう、今頃はリュシアンが魔物に攫われたという噂が戦場に溢れていますから』
 などと、リュシアンの命を助けたくばクローネから奪った『ディバインワース(神の剣)』を持って1人で来いと言い残し姿を消すクルゼーロ。
 そして、リラが家に戻るとそこにはセディの姿が……
『リラ…私がクルゼーロと決着をつけてくるからいい子にしてるんだよ』
 そして後に残されたのは、フランとリラ、そして妖精さん、後はいつの間にか帰ってきていたナイラ。
 ああそうか、こいつが帰ってきたから妖精さんはあの平原に来たのか。
『冷たい言い方だけど、1人の人間の命とこの世界を秤にかけることはできない…』
『リラ、あなたはどうしたいの?』
 妖精さん(神様)の言葉を無視して、ナイラはリラに話しかけます。
 そう、ここで物語の始まりであった『自分の意志で行動する』テーマが。
 数分後、ナイラとフランに言いくるめられた妖精さんを残し、リラは神の剣を手にクルゼーロの館に向かって出発。
 無茶苦茶強い魔物達をかき分け(この館だけでレベルが20あがりました)、ついにクルゼーロのいる場所に。
 ……さすが英雄セディ、クルゼーロの喉元に剣を突きつけて既に勝利していました。
 やはりセディにとってリュシアンの命はどうでもいいのか、それともナイラから例の話を聞いて父親としてあわよくば抹殺したかったのか。(笑)
『お前の負けだクルゼーロ……』
『クックックッ、ただでは死にませんよ……』
『お待ち下さいクルゼーロ様!』
 と、やってきたのはギルダー。
 素早くリラの背後から近寄って『ディバインワース』をかすめ取ってそれをクルゼーロに渡します。
『つめが甘かったなセディ…』
 と、セディはクルゼーロの持つ神の盃に吸収されてしまいます。
『後は任せた、ギルダー…』
『はっ!』
 で、このギルダーがまた空を飛んで強いのなんのって……何とか、二回目で撃破することに成功。
 しかし、リラにはクルゼーロを追って天上界に行く方法がありません。(ちなみにクルゼーロの館は地上界に存在)
 そこへ、妖精さん登場。(笑)
『(中略)……私達天上界の存在の力は地上界の侵攻によって支えられているの』
『難しい話は良くわかんない…』
『つまり、地上界のみんなが強く願えば不可能はないって事!』
 そしてその場に現れたのは……バーン・レイ・マルカ・ルピア・ナイラ・そしてさっきまでとらわれの身だったリュシアン。
 その6人が部屋の魔法陣に散らばって強く念じ始め……って、ナイラは地上界の存在と違うだろう?(笑)
 と、とにかくナイラを除いた5人の思いが強かったのか、ついに天上界への道が開けました。さあ、いよいよ最終決戦です!
 一応セーブしてみたところ、これまでのプレイ時間は10時間ちょい……そうか、もっと長い間プレイしてた様な気がするけど、まあ、楽しい時間は早く過ぎると言うからそうのせいだよね。(笑)
 で、クルゼーロ。
 泣きたくなるぐらい強かったです。
 まず、空からまいおちる隕石……早い話、メテオストライクと言った方が通りがいいかも知れませんが。
 これは運不運の問題だと思うんですが、ランダムで落下する隕石を二発食らうと死にます。
 つまり一発食らった瞬間体力回復の魔法をかけるんですが、その魔法よりも早く連続して叩き込まれるとゲームオーバー。
 後の魔法攻撃はクローネやギルダーと似たような感じなので、とにかく運さえ良ければ勝てます。
 ただし、これはクルゼーロの第一形態。
『死なん、ただでは死なん!』
 と、空に舞い上がるクルゼーロを追って、すんごくご都合主義だと思うんですがリラはエンジェルハーフですので背中に羽が生えて空を飛んで追いかけます。(笑)
 だったら、天上界まで飛んでいけばいいじゃないかよ。
 そして、戦闘中ということを忘れて大爆笑してしまったんですが、いきなりシューティングゲームに。
 まあもちろん体力回復の魔法は使えたりしますけど、当たり判定のズレさえ把握すればほとんど無傷で勝てると思います。(笑)
『さあ、覚悟はいい?』
『ククッ、私を殺すとお前は大事なモノを1つ失うことになる…それでもいいのか?』
 どうやらクルゼーロは協力すると言ったナイラを信用していなかったらしく、自分が死ねばまたナイラも死ぬように呪いをかけているとのこと。
『えっ……』
『何をためらっているの、リラ』
 躊躇するリラの背後からナイラがやってきました。
『で、でも先生が……』
『大丈夫だから……早く』
 穏やかな微笑みを浮かべるナイラに勇気づけられ、リラは武器を振りかぶります。
『わかりました』
『ま、待て…呪いは解く、だから命は…』
『見苦しいわよ!』
 クルゼーロを倒した瞬間、神の盃に吸収されていたセディとフランがその場に。
『お父様、お母様…』
 リラがふとナイラの方を振り返ると、穏やかすぎる笑みを浮かべたままナイラの身体が空気に溶けていくように少しずつ霞んでいきます。
『せ、先生っ!』
 リラの悲痛な叫びにも眉1つ動かさず、ナイラはセディに視線を向けて口を開きました。
『セディ……あの日、あなたの父バルボア・シリングから貰った命、悪魔族ナイラの名においてお返しするわ。……これなら、きっとバルボアも許してくれるよね』
 
 注・ナイラは前作に置いてセディの父親バルボアに命を助けられました。ただし、バルボアはそれによって死亡。
 
『ナイラァッ!』
 慌ててナイラの元へと駆け寄るフラン……
『フラン……私の、たった1人の友達……ありがとう、そしてさようなら』
 フランの腕の中で、穏やかな笑みを浮かべたままナイラは消滅します。
 
 そしてエピローグへ……
 魔物王バーンの住む家の中で、バーンとレイ、マルカが集まっている。そこにリラがやってきて淡々と呟く。
『……また、戦いが始まったのね』
『人間達は、我々魔物を完全に殲滅するまでは戦いをやめるつもりはないらしいな』
 寂しげに呟く魔物王バーンに対して、リラの悲痛な声が響き渡る。
『……ごめんなさい!私…私、何もできなかった!』
 ぽろぽろと涙をこぼすリラの頭を、バーンの無骨な手が慰めるようにそっと撫でる。
『和平の道が完全に閉ざされたわけではない……』
『そうだぜ、リラ。あきらめてはいけないと言うことを教えてくれたのはリラじゃないか……まだ俺達は人間との共存をあきらめたわけじゃないぜ!』
『これから始まる私達の戦いは剣を取る戦いよりももっと困難で険しい道です……でも、そこに道があると教えてくれたのはリラでしょう?』
 と、レイとマルカがリラを優しく見つめます。
『これからも、一緒に戦ってくれるんだろう?』
 画面は切り替わり、ラニアン村に佇むマルカとルピアの2人。
……また、戦いが始まったみたいね
この村も、もうすぐ戦場になっちゃうの?また、みんなと笑いながら遊べる日はもう来ないのかな…?』
 さびしそうに呟くルピアを無言で抱きしめるマルカ……その隣ににはレイの姿はない
 そして再び画面が切り替わり荒れ果てた大地を歩く1人の少女は……いや、既に少女とは呼べない程成長したリラは自分の歩いてきた道を寂しそうに振り返って呟き出す。
『……大地が、剣と炎によって切り裂かれていく。人と魔物はお互いの消滅を願うかのように戦い合い、そして傷ついていく……』
 リラは自らの感傷を振り切るように、風に髪をなびかせてキュッと唇を噛んだ。
『……泣かない。私は、砕けてしまった夢のかけらを集めてもう一度夢を見ると誓ったのだから……』
 そして静かにエンディングテーマが…
 
 えーとレイとマルカ、バーンしかエピローグに登場してこないって事は、要するに魔物側の味方をしすぎたって事だよね?
 それ以前に、これはバッドエンドと考えていいんだよね?
 つまり、人間としての良心を無視したような選択とプレゼント攻勢で上手く両者のバランスをとれば魔物と人間の共存が実現して地上界に平和が戻るエンディングが存在すると信じていいんですよね?おそらくは1人の好感度を集中的に高める事でキャラ別のエンディングがあることは間違いないでしょうし。
 いや、それ以前に神器を使えば復活できると言うことがわかってちょっと安心してたんだけど、結局神様はナイラとかリンギットとかの失われた命に対して何もかもばっくれですか?(笑)
 天上界による不当な関与によって乱れた筈なんですが、それでも地上界にはノータッチですか?って言うか、もう一度最初からやり直せと言いたいんだな!
 
 この結末、ユーザーに対しての宣戦布告と判断する。
 
 
 でも、今はしばしの休息が欲しい。
 まあ、あのナイラの死に様を見せられてしまっては、高任としては矛先を収めるしかないんですが。
 何というか、高任の先入観が凄まじすぎるせいもあるんでしょうけど、これって全編を通じてツッコミ所がありすぎるのと、戦闘でいっしゅんたりとも気が抜けないので精神的にかなり疲れるゲームです。
 おそらく今回は選択によってシナリオが分岐すると信じたいのですが、前作が前作だけに……ちょっと今のところは二の足を。(笑)
 ちなみに、エンディングの描写なんかはキャラの台詞の状況から考えて多少高任の創作が入ってますけど冗談抜きでこんな感じです。
 一応総合的な評価は今の時点では避けたいところです。

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