お題……『喧嘩番長』(PS2)
 
 ツッパルこと……それが男にとってたった一つの勲章だった時代があった。
 
 時は平成、私鉄極東線の沿線に突如現れた謎の黒い集団は、極東沿線の名のある猛者どもを次々に取り込み、荒くれ者どもが街で暴れ出す。
 この無法地帯と化した極東沿線の平和を取り戻すため、立ち上がった一人の男。
 
 私立、極東高校番長……田中ヤスオ。(変更可)
 
 極東高校にその人ありといわれ、現役にして既に伝説となりつつある……不良ではあるが、曲がったことが嫌いで正義感もあり、不良仲間はもちろんのこと、一般生徒からも好意を持たれている。
 プレイヤーは、彼となって……その拳をふるう。
 
 ……と、まあ、王道かつアナクロ全開のシナリオというか。
 じゃあ、オリジナリティーのかけらもない……と思うのは当然ですが、このゲームにはあるのです。
 右を向いても左を向いても、続編モノだったり、なんちゃってギャルゲーだったり……(以下略)……飯の種とはいえ、リスクをさけた無難なゲームのあふれかえったこの時代。
 そんな暗い時代を切り裂く一条の……
 
 メンチビーム!!
 
 大体、この『メンチビーム』をウリにしている時点で『おっす。オラ、バカゲー』と宣言しており、その男気が嬉しいじゃありませんか。(笑)
 もう、アレを見た時点で『これを買わねば…』と、高任に決心させるに足る馬鹿度。
 
 さて、このゲームは高任を含めたユーザーを納得させるバカゲーだったのか?
 
 
ラオウ:「……まあ、とりあえず対談の前に一言だけ言わせて貰いたい」
吉 井:「何でしょう?」
ラオウ:「発売してから半年足らずでベスト版なんか売らないように(笑)」
 
 注……ベスト版(通常版の半額以下)が売り出される直前に、ラオウさんはこのゲームを購入。
 
高 任:「まあ、そーだねえ……半年はちょっと早いかなあ」
吉 井:「でも、そういうゲームはわりとありますが」
ラオウ:「いや、せめて一年は待てよ…と」
高 任:「まあ、ベスト版が早く出るのにも色々と理由があって……広告だして、発売直後の出だし快調で『うお、増産しなきゃ、増産』と、慌てて再プレスかけたのはいいものの、販売がぴたりと止まって抱えてしまった在庫の山。2ヶ月、3ヶ月……じりじりしながら推移を見守るが、販売数は伸びず。不良在庫の山を抱えたままになるぐらいなら……と、半年で英断を下してベスト版が出たわけだよ(爆笑)」
吉 井:「た、高任君…見てきたような発言を…」
高 任:「や、実際そんなとこですって。基本的に、早すぎるベスト版の発売のほとんどは在庫整理ですよ(笑)」
ラオウ:「……そう思うと、何か許せるような気がしてきたよ(笑)」
高 任:「と、いうか……基本的に広告に金をかけたゲームの販売曲線は、最初の2週間が勝負なんですけどね。追加生産かけたら、大抵こけます(笑)」
吉 井:「……追加生産じゃなくて、初期生産が在庫の山になってたとか(笑)」
高 任:「いや、わりと売れた……という話を聞いたような気が」
 
 ちょっと脱線。
 
吉 井:「しかし…こう、エンディングの曲を聴いてるとひどくむなしい気分に襲われませんでしたか?(爆笑)」
高 任:「まあ、あの曲を持ってくる時点で、対象年齢は18禁というか、28禁ぐらいですよね(笑)」
ラオウ:「…ああ、なんか聞き覚えあるなと思ったら、もともとあった曲ですか」
吉 井:「知らないんですかラオウさん?」
ラオウ:「いや、どっかで聞いたことあるな…ぐらいで。そもそも、音楽というか、歌謡曲とかまったく興味ないので」
高 任:「まあ、ツッパル事が男にとってたった一つの勲章だった時代があったんですな……少なくともあの曲が世の中に発表される10年以上前に(笑)」
ラオウ:「つーか、そもそもあの曲ってツッパリとか不良をコケにした曲じゃないの?そうとかしか思えなかったけど?(笑)」
高 任:「あの曲をエンディングに持ってきたことで、主人公の行動をある意味全否定ですからね(大爆笑)」
ラオウ:「それはそれで、バカゲーとしては一本筋の通った作りと言えなくもないが…」
高 任:「……今になって思うと、70年代から80年代にかけての不良漫画って、ある種のプロパガンダだったんですかね?」
吉 井:「は?」
高 任:「いや、ツッパリとか不良とかが本当に世の中を闊歩してた頃の漫画は、喧嘩が強くて正義感が強くて、弱いモノいじめはしないってな漫画がほとんどでしたやん」
ラオウ:「で?」
高 任:「つまり、体制側の人間というか、大人の立場としては悪いことばっかり好き勝手されたら困るわけだから、『こういう不良は格好良い』という思想を、子供に刷り込むためにまずはああ描いたとか思えません?」
ラオウ:「むう」
高 任:「で、次の段階で、不良とかツッパリの存在をギャグにした漫画が登場するわけですよ……もう、なめ猫あたりなんかその最たるモノですよね」
吉 井:「いや、それは考えすぎ…と言いきれないかも(笑)」
ラオウ:「つーか、良く読まれる漫画イコール時代の流れに即した内容になるわけだから、そうなってるだけと思うが」
高 任:「まあ、卵が先か鶏が先かってのはあるけども、好き勝手暴れてた時代に、正義感の強い不良像というか、ツッパリ像を与える漫画が異様に多かったのは不自然と思うんだが」
吉 井:「チャンピオン愛読者にしては、またえらくさめた意見だね(笑)」
高 任:「んー、一昔前に『いじめ、格好悪い』ってフレーズありましたやん。あれなんか日本的プロパガンダの最たるモノじゃないですか?ある行動を抑えるために、それを格好悪いという価値観を作り上げる……こう、何故いじめをしてはいけないかを理屈で教えるのではなく、美意識の問題にしてしまう日本的手法とでもいうか……不良漫画云々と根っこは同じじゃないかと。弱いモノいじめをする不良は格好悪い…から、不良そのものが格好悪い…って、もろにそのパターンとしか思えなくて」
ラオウ:「うむ、それなりに興味深い意見だとは思うが、バカゲーの対談としてはどうかと思うのでいますぐ話題を変えよう(笑)」
高 任:「いやまあ、早い話、あのエンディングの曲も、『不良なんて格好悪い』という時代に出た曲ということを…」
 
 
吉 井:「まあ…俺らの時代は、ビーバップ世代になるんですかね?(笑)」
高 任:「個人的にはダチ公世代と思いたい(笑)ですが、中学の時、『ボンタン狩りだぁっ』とか叫びながら、野郎のズボンを脱がせたりする奴がいましたなあ(笑)」
ラオウ:「俺はそもそも学校の制服に金をかけるという事に意味を見いだせませんので(笑)」
高 任:「というか……中学の頃は服装うんぬんより、他の中学と乱闘とか、そっちの方がメインでしたが。違う中学校の校区とかうろついてると絡まれますし、野球部の後輩が他校との喧嘩で骨折したり」
吉 井:「高任君、ボクとキミは同じ世代じゃないよ、きっと(笑)」
ラオウ:「(ぼそぼそと)…野球部の後輩以前に、高任さん自身が…」
高 任:「ラオウさん、何か?」
ラオウ:「ううん、高任さんは気は短くて力持ちだったなあと(笑)」
吉 井:「ドカ〇ンですか。なんとなく想像できますねえ」
ラオウ:「……」
高 任:「(笑ってる)」
吉 井:「おや?」
高 任:「よ、吉井さん…ちゃんと聞かないと(笑)」
ラオウ:「あの頃の高任さんは、気は短くて力持ち(笑)」
吉 井:「気は短くて力持ち……って、ド〇ベンじゃなくてむしろ〇鬼じゃないですかっ!(爆笑)」
ラオウ:「〜気は短くて、ちーからもちっ〜♪」
高 任:「やぁーまだっ!(大爆笑)」
吉 井:「た、高任君…それは笑うところじゃなくて、怒るところでは…」
高 任:「いや、咄嗟のアドリブでうまい表現されたら、怒るよりまず感心しますよ……いや、ボクは中学時代は品行方正の優等生だったから、事実無根なんですけど(笑)」
ラオウ:「ほう(笑)」
高 任:「いや、高校時代に言及されるとアレなんですが……ただ、基本的に俺は自分から喧嘩売ったこと無いです」
吉 井:「高校球児として、それはどうなの(笑)」
ラオウ:「吉井さんは、大学以前の高任さん知らないから(笑)」
高 任:「またそんな誤解を招く発言を(笑)」
 
 さらに脱線。
 
高 任:「……と、いうわけでゲームの話を(笑)」
ラオウ:「いや、ゲームは期待はずれだったし(爆笑)」
吉 井:「えっと…その期待はずれなのは、普通のゲームとしてですか?それともバカゲーとしてですか?(笑)」
ラオウ:「いや、なんというかこう…そもそもバカゲーを期待してたわけですが、普通のゲームとしても、バカゲーとしても中途半端なできというか、失敗作でしょう、これは」
高 任:「バカゲーにありがちな、マニアックなやりこみ要素は豊富ではあるんだけど……要素はあっても、ヤリこもうとさせるだけの魅力に乏しいところが敗因かと」
吉 井:「アルバイト制覇とか、金稼いで服装コンプリートとか、伝説制覇とか…はっきりいって、やりこもうという気になれませんよね、つまらないから(笑)」
高 任:「スカートの長い女子生徒のパンツの色は黒で、短い女子生徒のパンツは白とかいう作り込みはしっかりしてるんですけどね(一同大爆笑)」
吉 井:「た、高任君?下着の色って?」
高 任:「いや、溜め攻撃あるでしょ?あれで、膝蹴りか、アッパー系の技を使うと、相手キャラが吹っ飛んで、女子生徒の場合パンツが見えるんですよ。それに気づいたときは、『努力する場所が間違っとるわぁっ!』とか叫んじゃいましたが(笑)」
ラオウ:「まあ、努力する場所を間違えたり、情熱の注ぎどころを間違えるのは、バカゲーとしてのお約束だから(笑)」
高 任:「そうじゃなくて……いや、努力するところを間違えるのはバカゲーとして間違ってないけど、普通のゲームとしても、バカゲーとしても努力するところを間違ってるんじゃないかと」
吉 井:「日本語って難しいなあ…」
高 任:「道歩いてて、車にひかれる……なんてリアリティがこのゲームに本当に必要なのかってのもありますよね?」
 
ラオウ:「え?あれは、敵を車に向かって突き飛ばす攻撃のためだろ?(大爆笑)」
 
吉 井:「ラ、ラオウさん…」
高 任:「アンタって人は…」
ラオウ:「いや、わざわざ道路に急に飛び出すと車にひかれるとか説明してくれるから……なるほど、喧嘩の最中に敵を車の前に突き飛ばすのもオッケーと判断したんだけど(笑)」
高 任:「黒いよこの人、骨の髄まで真っ黒だよ(笑)」
ラオウ:「こう、敵をつかんで……よしっ、バスがきた、死ねやおんどれっ…と、突き飛ばした敵がバスにひかれて宙を舞う……ある意味、こんな最強の攻撃を使わずにどうしますか(笑)」
吉 井:「武器を使って攻撃すると、男気が下がるんですが…」
ラオウ:「いや、車にぶつけても下がりません。そういう意味でも、道路脇の喧嘩では必須テクニックでしょう(笑)」
吉 井:「ラオウさん、それは人としてどうかと…」
 
 ちょい脱線。
 
ラオウ:「まあ、それはさておき……溜め攻撃というか、チャージ攻撃はほとんど使わなかったなあ。無敵時間のある超必殺技じゃないと、どうにもならないと言うか、チャージ攻撃なんて隙がでかすぎますやん」
高 任:「それはそうですけど……膝蹴りは隙が小さくて使い勝手良かったよ?こう、走り回って追いかけてくる敵に向かって30度ぐらいの角度で、スキップ、スキップ、ランランラン、で(笑)」
ラオウ:「なんだよ、30度って?」
高 任:「そのぐらいの角度がわりと反撃を受けにくい……あくまでも、『わりと』のレベルだけど」
吉 井:「チャージ攻撃って、一度の攻撃で複数人を吹っ飛ばせますけど、3人のうち2人吹っ飛ばしても、後の一人に当て身攻撃されて、転ばされて、多人数に囲まれてリンチにされない?(笑)」
高 任:「されますねえ…こう、やられて立ち上がる時に一応無敵時間はあるけど、立ち上がってからこっちが技を出せるまでのタイミングより、向こうの攻撃のタイミングの方が早いから、いきなりダッシュで逃げ出さないと、無限コンボでリンチされますからね(爆笑)」
吉 井:「番長レベルがあがると新しい技を覚えるのはいいんだけど…威力の強い技を装備しても隙がでかくなって、結局使えないよね」
高 任:「そうですね…結局このゲームは技を出す隙を極限まで抑えることと、超必殺技の使いどころを間違えないこと…の繰り返しですから」
ラオウ:「…というか、そもそもコンビネーションなんて使えませんやン。雑魚戦闘は向こうが複数だから、一人に対して攻撃してると後ろから吹っ飛ばされて、これまたマイムマイムのように、リンチにされますし(笑)」
高 任:「それはそれで、イヤなリアリティあるんですけど(笑)」
吉 井:「と、いうか……雑魚を倒した瞬間にアイテム落としますよね。で、こっちは別の敵に攻撃を加えようとしてつかみボタンがアイテムを拾う動作になって(笑)」
高 任:「アイテムを拾うときの無敵時間ないですよね…あったとしても短すぎて、その隙をつかれてぼこ殴りに」
吉 井:「かといって、拾わずに放っておいたらすぐに消えますし…よっぽど余裕がないと、敵の落としたアイテムは拾えませんよね。もしくは、敵の攻撃を受けてもいいと思わない限り」
ラオウ:「ほとんどアクションゲームやらないのでなんともいえませんが、あれって異常にストレス溜まるんですけど」
吉 井:「同じアクションゲームでも、三〇無双とはえらい違いというか。あれは、初めてプレイしたときは壮快でした(笑)」
 
高 任:「無双といえば、敵を倒したときに落ちる肉まんは、やっぱり人間の肉ですか?(大爆笑)」
 
吉 井:「やめてやめて、想像しちゃうから(笑)」
高 任:「うぐいすパン、鶏肉入り?(笑)」
ラオウ:「やなパンやな、それ(笑)」
高 任:「ま、それはそれとして話を戻しますが……雑魚戦闘の時は、アイテム拾うのは最後の一人を倒してからですね。それまではアイテムに目もくれずに逃げる逃げる(笑)」
 
ラオウ:「いや、下手に逃げたらトレインしますし(爆笑)」
 
吉 井:「あれは、主人公があるエリアに進入した瞬間に敵が出現するようになってるんですよね?」
ラオウ:「分が悪いから逃げようと走り出したら、あっちからこっちから敵がぞろぞろやってきて」
吉 井:「まあ、イヤなリアリティですよね(笑)」
高 任:「単純に立ち止まったまま攻撃して相手を倒すことができないゲームですからね……基本的に逃げ回って距離を取って、一人ずつ倒さないとリンチにされてさようなら…のシステムですし」
ラオウ:「あれって出現する敵の数の上限とかないんですかね?」
高 任:「さあ?俺の記憶では、3回ほどトレインして、群がる敵から逃げ回りつつぶちのめしながら15、6人ぐらいと連戦したような…」
吉 井:「最初、レベルアップしたら、足の速さが早くなって、スタミナ(走り続けられる時間…長く走り続けると息が切れて、その場で動けなくなる)がアップするって何よ…と思ったけど、ゲームを始めたら、納得だった」
高 任:「まあ、足が速くてスタミナがないと、アルバイトもできませんし(笑)」
ラオウ:「別に…アルバイトは、伝説クリアを目指さない限りいらないのでは?」
高 任:「まあ、服装とかアイテムに手を出さない限り、金は必要ないです……そこらのキャラにメンチビーム飛ばして、落とした金を拾う……あれって、冷静に考えたらただのカツアゲですか?(大爆笑)」
吉 井:「あの、喧嘩で倒した相手が落とした金を拾うのはいいけど、こっちにびびって逃げ出した相手の落とした金を拾うと男気がさがるよね」
高 任:「あれって、キャラに話しかけるときのボタンが、これまた落ちているモノを拾うボタンと同じL2でしょ?」
ラオウ:「まあ、つかみ攻撃のためのつかみも同じL2だけど……あとターゲットロックがL1だから、乱戦になると間違って押してしまうよね」
高 任:「あはは…こいつに話しかけてみよう…と近づいてボタンを押す直前に、相手が勝手にびびって金を落とす……で、結局その金を拾って男気を下げてしまう(爆笑)」
吉 井:「行動が多すぎるというか…1つのボタンに、意味を持たせすぎてるから、いざというときににっちもさっちも(笑)」
高 任:「でもまあ……ターゲットロックがないと敵に攻撃当たりませんし。こんな当たり判定の狭いアクションゲーム初めてです(爆笑)」
ラオウ:「普通に当たるというか、当たり判定の広い攻撃って、チャージ攻撃と、超必殺技だけですからね」
吉 井:「いや、バックハンドブローとか、フック系の振り回す攻撃は多少広いですよ」
高 任:「そんな攻撃、隙がでかくなって、こっちの攻撃が当たる前にカウンター入れられますやん(笑)」
ラオウ:「あれだけいっぱい技の種類があっても、家に帰るまで技の変更ができないでしょう?結局…乱戦を想定したコンビネーションというか、ジャブ、ジャブ、ストレートかキック…バリエーションを楽しめるような状況がないですよね?」
高 任:「というか、コンビネーションの最中に、横で別の敵がチャージ攻撃の溜め動作してたりすると怖いですよ。多分一番正しいのは、コンビネーションを発動させずに、ジャブ、ジャブ…で、一旦逃げるんです」
ラオウ:「そ、そこで逃げるんですかっ?」
高 任:「いや、コンビネーションって、3つ目の攻撃で相手をぶっ飛ばすでしょ?そこで隙ができちゃうから、相手が1人じゃない限り3つ目の攻撃をしちゃダメなんですよ(笑)」
ラオウ:「……逃げて逃げて、追いかけてきた敵に超必殺技か、チャージ攻撃、気力のない時は、ジャブを1発か2発入れて、また逃げ回る……伝説の番長として、それはどうかと(笑)」
高 任:「だって勝てねえもん。そりゃ、ザクでガンダムに跳び蹴りかますような人なら、大勢相手に華麗に何とかできるのかもしれないけど(笑)」
ラオウ:「こう……無理な要求かもしれないけど、実用的な勝ち方じゃなくて、魅せる勝ち方ができないってのは、なんかなあ…第一、実用的な戦い方なんて、現実だけで十分というか」
吉 井:「(ぼそぼそと)…この人はこの人で、現実で充分なぐらい何をやってるかな…」
ラオウ:「吉井さん」
吉 井:「は、はい」
ラオウ:「誤解しないで欲しいんですが…『俺は』、やってません」
吉 井:「なるほど、ラオウさんじゃない誰かが…」
高 任:「なるほど、人は皆、心の奥にもう一人の自分を持っている…か(笑)」
ラオウ:「この男は、そういう他人を陥れる話術ばかり巧みになって(笑)」
吉 井:「……」
高 任:「つーか吉井さん。喧嘩の怪我ってね、病院行ったら一発でばれますから。そんなひかなくても、全部冗談ですから(笑)」
吉 井:「なるほど」
ラオウ:「まあ、なんというか……最近は総合格闘技だかなんだか知りませんが、実際に強い弱い、有効無効じゃなくて、こう、現実ばなれした戦い方とか、そういうモノにこそ金を払いたいわけです。だもんで、ゲ−ムの世界でこういうのはイヤだってだけの話です。個人の好みもあるでしょうけど(笑)」
高 任:「そういや、囲まれたら大声を上げて相手をひるませる…ってのが使えることは使えますが……あれも、なんか変なんですよね。前にいる相手はひるんでるのに、後ろにいる敵が攻撃してくると言うか(笑)」
吉 井:「……結論から言うと、アクションシステムダメすぎということで(笑)」
高 任:「まあ…仲間と一緒なら、そんなストレスはあまり感じないですけどね。ただ、敵を見つけた瞬間に仲間が走っていって、プレイヤーが何もしないウチに倒してしまい、妙な疎外感を覚えますけど(笑)」
ラオウ:「あれって…主人公の男気が高くないと、呼んでも来てくれないよね?」
吉 井:「来ないです」
高 任:「システムといえば、あの、画面の暗さはどうにかならないのか、と」
ラオウ:「見えないよね」
吉 井:「多分、朝、昼、夕方、夜…なんだろうけど、周りが、というか敵がちゃんと見えるのは昼だけですよね?」
高 任:「初めてプレイしたとき、敵が見えなくていきなり戦闘準備も取れないままぼこ殴りにされましたからね。反撃しようにも、敵がちゃんと見えなくて全然攻撃が当たらない(笑)」
 
ラオウ:「夜にサングラスをかけてるような視界(爆笑)」
 
高 任:「見えないから家に帰って寝ちゃえ……で、目が覚めたらやっぱりまた暗い。もう一回寝ちゃえ…でも、暗い…もう一回…お、今度は明るい…で、目的地についたら日が暮れて見えなくなった……って、ふざけんなっ!(笑)」
吉 井:「というか、あのゲームでそんな明暗をつけなきゃいけない理由あるんですかね?」
高 任:「プレイヤーに苦痛を与えるためとしか思えないですよね、これに関しては」
ラオウ:「まあ真っ暗でも、イベントが始まったら夕焼けだったりするしな(笑)」
 
 注…夜になると、自分の歩いている道路が認識できないほど真っ暗です。夕方や朝だと、そばに立っている人間が認識できない程度の暗さ。
 もちろん、そんな状況でも敵キャラはこっちに対して的確に攻撃を加えてきます。
 
高 任:「……まあ、とりあえずメンチビームのネタを」
ラオウ:「単なる一発ネタでしたね」
高 任:「……つまるところ、このゲームの唯一のウリがその有様ですからね」
吉 井:「もうちょっと、汎用性のあるシステムだったら良かったんですが」
高 任:「まあ、メンチビームで道を歩いている女性の胸やら尻やら股間やらを見つめて悲鳴あげさせる……のも、すぐに飽きますし」
吉 井:「あれはあれで、伝説があるんだよね?」
高 任:「メンチビームでびびって逃げた人数が500人だったかな?後は、女性のちちしりふとももにメンチビームで悲鳴を上げさせるのが50人だったと」
ラオウ:「……やりこんでるねえ」
高 任:「いや、この手のゲームってどこに面白いネタが隠れてるかわからんから……ちなみに、警察に捕まり続けると、それはそれで伝説の男になれるよ(笑)」
吉 井:「うわ、捕まったこと無いよ、俺」
高 任:「結局、メンチをきって喧嘩が始まる……ってのが、誰に対してもできるわけではないってのが不満でしたな。雑魚相手だけで、その雑魚にしても、決められた相手だけですし」
ラオウ:「メンチ切って、早押しで啖呵を切る……成功すると、こっちのファーストアタックから始まって、時間がかかりすぎたり、ちゃんとした啖呵にならなかったら、相手の攻撃から喧嘩開始……これは、どっちかというとボス戦闘でやった方が盛り上がると思うんだけど」
吉 井:「あ、それはいいかも……ボスが出てきて、プレイヤーとにらみ合い…って言う方が、雰囲気的には盛り上がるような気がします」
高 任:「つーか、番長云々のレベルの人間が雑魚相手にメンチなんか切ったら、普通は馬鹿にされますよね…このゲームで言うところのシャバ僧です」
ラオウ:「そ、そうなんか?」
高 任:「このゲームの中でも説明してたけど、基本的にメンチを切るってことは、『これからお前に喧嘩売るで、いやだったら目そらせや…』って意味ですし(笑)」
 
吉 井:「伝説の番長、雑魚に喧嘩売られまくり(爆笑)」
 
ラオウ:「まあ、所詮は他の学校の生徒が聞いたこともない伝説の番長やし」
高 任:「そういや、メンチ切って、啖呵切るときに、画面に流れた啖呵以外の組み合わせでもオッケーなのがありますけど?」
吉 井:「え?」
高 任:「なんかゲームやってて、『ん?この組み合わせでもいけるのでは?』などと、色々試してみたんですが……基本的に、画面に流れたままの啖呵が正解で、それ以外にもうひとつ正解の組み合わせがあるみたいです」
ラオウ:「重ねて言うが、やりこんでるなあ」
高 任:「で、便宜上、裏啖呵っていいますけど、裏啖呵切って相手を倒すと、落とすアイテムがレアになるというか、高いアイテムを落とすみたいです」
吉 井:「へえ…でも、拾えないし(笑)」
高 任:「それを言っては……個人的に、裏啖呵で『マグロ漁船に乗せるぞ』が笑えました」
ラオウ:「……啖呵には向かないけど、じんわりと怖いな、それ」
 
 
ラオウ:「そういえば…スケバン編って?」
高 任:「ああ、あれは前回のプレイでフラグたてなきゃ、プレイできませんよ(笑)」
ラオウ:「面白いの?」
高 任:「面白いと思うか?(笑)」
吉 井:「……ぶっちゃけた話」
高 任:「おや、吉井さんにしては珍しい(笑)」
吉 井:「このゲームの対談するなら、『龍が如く』の対談した方が(笑)」
高 任:「まあ、コンビニ弁当食って体力回復するわびしさに関しては同じじゃないですか(大爆笑)」
ラオウ:「まあ、他人の噛んでたガムで体力回復しなきゃいけない某市長よりはマシかと(笑)」
高 任:「……アクションゲームの主人公って、つらいよねえ(笑)」
吉 井:「つらいよねえ」
高 任:「ま、それはそれとして……『龍が如く』なんか、俺らがしなくても誰かがやるでしょう(笑)」
ラオウ:「俺はプレイしてませんけど、セガだし、まあ外れないでしょう」
吉 井:「んー」
高 任:「話題作は敢えてスルー……これが、瀕死連合のツッパリの心ですよ吉井さん(爆笑)」
 
 脱線。
 
高 任:「しかしまあ……ストーリー的には、ガラスの貴公子こと蜂屋を見殺しにした方がおいしいのかな?(笑)」
吉 井:「見殺しも何も、普通にゲームを進めていたら、絶対に助けられないよあれは」
ラオウ:「5分以内にたどり着け…と、言われてもなあ(笑)」
高 任:「ちなみに、俺は全マップの雑魚敵を倒してレベルを最大にしてからストーリーを進めていきましたが……あのイベントが始まって、全力疾走でそこに向かったけど、目的地に着くまで3分以上かかったよ(笑)」
吉 井:「絶対無理やん…普通なら敵が出てきて、倒してる間に5分経つし」
ラオウ:「と、いうか……普通にゲームを進めていたら一度も足を踏み入れたことのないマップのどこにいるかもわからない蜂屋を捜す……だけで、ぜったいオーバーしますよね?結局、制作者の意図としては、蜂屋が死ぬのが決まりなのでは?」
高 任:「一応、後で再プレイしてみたけど……敵と出会っては逃げ、メンチを切られても無視して逃げ…で、場所さえわかってたらなんとかギリギリで助けることはできた」
吉 井:「へえ…」
高 任:「ただ、喧嘩相手から逃げると男気がさがりますよね?蜂屋を助けるまでに、10や20回は喧嘩を回避しなきゃいけないから、イベントが終われば立派なシャバ僧のできあがりです(爆笑)」
ラオウ:「むう、友の命を救って伝説をうち立てておきながら、評価はシャバ僧ですか……人生はむなしいですな(笑)」
高 任:「まあ、シャバ僧はシャバ僧で、伝説のシャバ僧を目指せますし……というか、シャバ僧だと相手が絶対に逃げないし、喧嘩を売ってくる相手も増えるし、助けも呼べないわけだから……自動的に、もっともきついプレイができるかも(笑)」
ラオウ:「したくないよ、そんなプレイ」
吉 井:「そもそも、やりこむ気を奪い取られるゲームですし」
高 任:「なんというか……結局は狙って外れたバカゲー…で、いいんですかね?」
ラオウ:「狙って外れたというか……シナリオなり、システムなり、技術やセンスがなさすぎただけの話では?」
吉 井:「まあ…確実に話のネタにはなるけど、きちんと通してプレイするには苦痛という感じですか」
高 任:「……まあ、シナリオに関しては、意識的か無意識かは知らないけど、それっぽい作品のパロディが盛りだくさんなんですけどね(笑)」
ラオウ:「そうなん?」
高 任:「エンディングで主人公がジャイアンにかける言葉は、『ろくで〇しブルース』そのまんまですし、蜂屋のイベントはチャンピオンの某作品の可能性が高いし、決戦の地は東映のやくざ映画からで……まあ、例を挙げればきりがないというか」
吉 井:「どうせまた、高任君だけが気づくレベルのパロディでは…(笑)」
高 任:「まあ、『こなれてるネタは全部パロディ』という名言がありますけど…このゲームのパロディは安易すぎだと思います。ちょっとした小ネタならまだしも、シナリオの各部分が、それぞれ別の作品から持ってきたパロディみたいな感じで、全体の統一感がないこと甚だしいし(笑)」
ラオウ:「バカゲーだから許せる、と?」
高 任:「それはある(笑)」
吉 井:「うわあ」
高 任:「そもそも、ツッパリとか不良という題材を用いたうえで、バカゲーを作ろうとしてるのが勘違いではないかと」
吉 井:「おお、高任君のチャンピオン魂が…」
高 任:「あ、そうじゃなくて…もう、ツッパリとか不良のゲームというだけでバカゲーなんですよ。だから、とことん真面目に作ればいいのに、中身に関してまでバカゲーにしようとしたのところが勘違いかなあ、と」
ラオウ:「あ、なんとなく言いたいことはわかった。要するに、アナクロな内容だけで笑えるのに、わざわざアナクロな内容にさらにギャグにしようとしてわけわかんなくなったと?」
高 任:「俺、オープニングは結構笑ったんですよ。『真の男とは?真の友情とは…』とか言って、『時は平成…』とか言うでしょ。もう俺はあれでかなりニヤリときましたね(笑)」
吉 井:「まあね…『どこの平成だ』って感じに」
高 任:「もう、ノリが60年代の東映映画ですからね……真面目にやるだけで笑いが取れるんですよ。で、シナリオがしっかりしてたら笑い以外のモノもとれるのに…中身そのものもギャグというかバカにしちゃってるから……こう、ある意味ユーザーを拒否した作りになってるというか」
ラオウ:「……しかし、真面目な内容を貫いてエンディングで『ツッパル事が男の〜♪』なんて流れた日には…(笑)」
高 任:「いや、むしろそれでこそオッケーでしょ?たとえは悪いかもしれないけど、『龍が如く』のエンディングであの曲が流れたら、プレイヤー総爆笑ですよ(爆笑)」
吉 井:「い、いや…あの内容で、あの曲は…怒り出すユーザーが…」
高 任:「いやまあ、だからたとえは悪いんですけどね……バカゲーを作るなら、そういうアプローチってのは当然考慮に入れるべきでしょ」
ラオウ:「さすがバカゲー愛好家……一家言持ってるよなあ」
 
 脱線。
 
ラオウ:「……今となっては、ツッパリという言葉がそもそも死語ですか?」
吉 井:「死語でしょう…多分不良も」
高 任:「まあ、ツッパリの精神ベクトルは反抗ですからね……俺らの世代ぐらいから、やってることは同じでも、そのベクトルは確実に別物の気配がしましたし、今はもっとそうでしょう」
ラオウ:「まあ……俺らの頃は不良だけがいて、ツッパリはいなかったね(笑)」
高 任:「音楽で言うところの、ロックをやってる人間と、ロック音楽をやってる人間は全然別物って奴だな」
ラオウ:「まあ、あれかなあ……日本のシステムって、組織というか、社会システムの利点を教えない教育方針だから」
吉 井:「はい?」
ラオウ:「日本において組織なり社会の存在を強く感じるケースって、ルールを破って罰を与えられるときだけなんですよね。組織というか、集団に属することで自分がどんな利益を得ているか…の自覚のない人間にとって、集団ってのは自分に罰を与える存在に過ぎないわけですよ」
高 任:「おお、なるほど」
ラオウ:「それに対して反抗するか、それとも抜け道を探すか……あたりで、世代としての違いが生まれてるような気がしますね」
吉 井:「んー」
高 任:「興味深い意見ではあるけど……何の話よ、一体?」
ラオウ:「いや…(時計を見て)…そろそろテーマっぽいモノを臭わせた発言が必要かなあ、と(笑)」
吉 井:「唐突に臭わせすぎです、ラオウさん(笑)」
高 任:「じゃあ、まあ、このぐらいで締めますか」
ラオウ:「うむ、じゃあ最後に一つ質問を」
高 任:「何よ?」
ラオウ:「このゲーム、仮に最初からベスト版の値段だったとして買いたいですか?」
吉 井:「む…う」
高 任:「『おまカフェ』2本買った方がマシ(大爆笑)」
 
 
お買い得度…… 4
音楽…………… 6
操作性………… 6
番長度………… 3(番長という気分はほぼ皆無)
絶対値評価…… 1
 
 
 バカゲーを狙って作るのは難しいですなあ。
 もちろん、このゲームを楽しんだ人間だっているんでしょうけど……まあ、広い心で見るとそれなりのゲームではあるんですが。まあ、プレイヤーの服装によってメンチの威力が上がったりしますけど…あんまりやる気がしないです。異論会見で魅力の乏しいゲーム内容というか。

前のページに戻る