お題……『悪代官』(PS2)
権限をたてにして悪行三昧、天下万民をおびやかす悪人どもが毎週毎週入れ替わり立ち替わり登場する時代劇の数々。
数え上げれば『水戸黄門』『暴れん坊将軍』『三匹』『仕事人(仕置人)』『大岡越前』『夢日記』……エトセトラエトセトラ、とキリがない。
かのように、時代劇において正義の味方は多かれど、登場する悪人どもは数の上ではともかく種類別としてはそれほどでもないんですよね。(笑)
しかしここで考えてみましょう。
時代劇における主人公……彼らは、悪人ども無しにはその存在価値が疑われる人間とて少なくありません……誰とはいわんが。(笑)
つまり、悪人あっての時代劇。
悪人と言えばみんなが真っ先に思い浮かべるのはアレです……そう、悪代官!
そして、このゲームで悪代官を演じる彼の名は
腹黒主水之介助兵衛(はらぐろもんどのすけすけべえ)
えーと、時代劇に興味のない人にはこういう前フリは結構きついと思いますんで簡単に説明を。
さてこのゲーム、パッケージからして見るからに馬鹿ゲーオーラが実体化していて、一応時代劇パロディの要素もあったりするので大概の人はちょっとためらうと思います。
だがしかし、このゲームのパッケージに騙されてはいけません。
そう、このゲームは馬鹿ゲーの皮をかぶった超馬鹿ゲーなのです。
で、ゲームの内容としては賄賂を手みやげに現れる御用聞き商人どもから運命を共にするパートナーを1人選択し、代官の権限をフルに活用して商人の便宜をはかり、それによって得た富をいかに活用して自分自身の出世を計る立身出世、いわゆる成り上がりゲーム……のわきゃないですから勘違いしないように。(笑)
早い話、『ダンジョンキーパー』というか『ウィズ4』というか……もっと早い話をすれば、ステージが始まった瞬間、いきなり正義の味方がプレイヤーの元に乗り込んでくるんですなあ。(笑)
正確に言うと、結託してる商人によって『奴らが、奴らがやってきます!』という情報を手に入れます。
『おのれ、いつもいつも不意をつけると思うなよ。返り討ちにしてくれるわ!』
とばかりに、正義の味方が乗り込んでくるまでの限られた時間内に用心棒の先生を雇い入れ、屋敷のあちこちに罠を設置し、万全の体制で正義の味方を迎え撃つ。
雇える用心棒の先生はもちろん、設置できる罠の種類も豊富……というか豊富すぎ。
ポピュラーな落とし穴、仕掛け槍はもちろん、全てをなぎ倒すデスローラーや全てを焼き尽くす炎上系統の罠、そして正義の味方の頭上を襲う洗面器まで、いらん部分に気合いが入ってるのは馬鹿ゲーの基本とばかりに、これでもかこれでもかと屋敷内をダンジョンへと改造できてしまいます……ただし、場合によっては用心棒の先生がひっかかりますけど。(笑)
勝てば悪代官の高笑い。
負ければ、テレビで放映されている時代劇でおなじみのめでたしめでたしエンディング。
さあ、運命を切り開くときです……ゲームの始まりはおなじみのあの台詞。
『者ども、出会え出会えっ!』
高 任:「……おお、馬鹿ゲーだ」
A 氏:「見るからに馬鹿ゲーですな」
高 任:「(財布を見て)……よし」
A 氏:「先生、何ナチュラルにレジに持っていこうとしてるんですか!?」
高 任:「Aさん、馬鹿ゲーは自腹を切らないと駄目。自らを痛めつける自虐性が涙を笑いに変えるんです」
ちなみに、このゲームが発売されたのは暑い暑い夏の日のことでした。
高 任:「と言うわけで、男のロマン悪代官です」
吉 井:「高任君の言う男のロマンって一体…(笑)」
ラオウ:「……まあ馬鹿ゲーと時代劇が重なったら買うよな、この男は」
高 任:「かつて、ウルトラマンがバルタン星人の前に倒れた瞬間、テレビにかじりついて涙を流し、強くなってウルトラマンの敵をとってやると誓った1人の少年があったという……」
ラオウ:「何の話ですか?」
高 任:「いや、前田〇明のエピソードにそういう笑い話があって……たぶんに脚色されてるとは思うけど」
吉 井:「高任君、ラオウさんが言いたいのはそれがこのゲームとどういうつながりがあるかってことじゃないかな?(笑)」
高 任:「いやあ、その逆もあるかなって」
ラオウ:「逆?」
高 任:「バルタン星人が倒れた瞬間大勢の子供達が喝采をあげたんだろうけど、『くそう、良くもバルタン星人を!』と思った子供もやっぱりいるんじゃないかと(爆笑)」
吉 井:「いないいない、絶対いない(笑)」
高 任:「まあそれはともかくとして、勧善懲悪の時代劇モノって……どう言ったらいいのかな?彼らは正しいから勝つんじゃなくって、力があるから勝つ的な要素が強いよね」
ラオウ:「いや、でもさ……『もはやこれまで……ええい、上様とてかまわぬ、斬れ斬れ、斬りすていっ!』とか叫んで、ばっさりと暴れん坊将軍が斬り捨てられたらやっぱりまずいんじゃないかと(大爆笑)」
高 任:「俺、あのシリーズは好きですよ……やっぱりね、悪人が悪人らしい意地を見せるってのは暴れん坊将軍シリーズが一番ですよ。あの、『もはや、これまで……』に、日本人、というか武士の美学が込められてますよね」
吉 井:「水戸黄門なんか、印籠振りかざされて悪人はただひれ伏すだけですからね(笑)」
ラオウ:「あれは変でしょう……多分、風車とかが黄門様の先回りをしての出来レース。実は地方ぐるみの黄門様の接待(大爆笑)」
高 任:「つーか、所詮副将軍(笑)」
吉 井:「ああ、そんな漫画ありましたね……将軍が水戸黄門の顔を下からすくい上げるように見上げつつ、『副』と冷笑するの」
高 任:「スピリッツで連載してたほりの〇ゆきさんの時代劇ネタ漫画でしょう……ああ、あれ読んで笑えるかどうかがこのゲームの評価分岐点かもしれないなあ」
吉 井:「……このゲームって、やっぱり随所に時代劇ネタが散りばめられてますよね?」
高 任:「……冷静に考えると、時代劇知らないと笑い所3割減ぐらいかも」
ラオウ:「つーか、一番最初のステージでいきなり乗り込んでくるのが柳生でしょう(笑)」
高 任:「俺、悪代官の台詞で大爆笑しましたよ。『何、柳生だと?いきなりビッグネームが来おったな!』って台詞で」
吉 井:「まあ、時代考証を無視してるのは最初からわかりますし」
ラオウ:「つーか、オープニングムービーで今や死語のボディコンねーちゃんが登場した時点で真面目なゲームを期待する人間は……って言うか、パッケージを見た瞬間にそういうモノを期待する人間はいないと断言できますって(爆笑)」
高 任:「まあ、ステージがすすむと幻の秘宝を求めて飛行船に乗ってエジプトに旅立ったりしますし(笑)」
ラオウ:「世界にはばたく悪代官(一同悶絶)」
高 任:「そ、そうか…日本という国に収まる器ではなかったのか?って感じで(笑)」
吉 井:「あの面も笑いましたよ……『ツタン仮面』でしょう?『これもう、時代劇じゃないだろう!?』っていう悪代官の悲鳴で(笑)」
ラオウ:「まあ、惜しむらくは……ステージそのモノはワンパターンだから、結局各ステージのムービーがプレイヤーの興味の対象になるのでは、と思われるところかな?」
高 任:「好き勝手やってますもんね……ステージタイトルが『闇に浮かぶ網タイツ』とか言って襲いかかってくるくの一に向かって『くそう、網タイツぐらいはいてこいよ!』の絶叫ですし(爆笑)」
吉 井:「新撰組はきつかったですね……全部で38人でしたっけ?」
ラオウ:「いくら罠を仕掛けてても、上手く立ち回らないと無くなってしまう」
高 任:「俺としては、『新撰組のファンを敵にまわすつもりかこのゲーム!』の悪代官の絶叫の方が(笑)」
ラオウ:「そういや、飛行船の舳先に立った悪代官と大黒屋のムービーって……やっぱりタイタニックなんですか?」
吉 井:「タイタニック以外の何ものでもないでしょう」
高 任:「まあ、さすがにやばいと思ったのかそれらしい台詞は全くなかったですけど、あの構図は間違いないでしょう。『お代官様、空を飛んでるみたい…』とか言わせると絶対に版権上まずいでしょうし(笑)」
ラオウ:「そういや、こいつはアレだろう……という時代劇の登場人物の名前はちょっと変化を付けてるというか出てこなかったりするし」
高 任:「柳生とか、大岡越前なんかの、実在する人物の名前を出すのは問題にならないですからね。そういうキャラはそのまんまですが」
吉 井:「そういう意味では確信犯ですよねこのゲーム……問題にならないギリギリのラインを駆け抜ける計算高さというか」
ラオウ:「まあ、悪代官ですし(爆笑)」
高 任:「綺麗にオチが付きましたね」
吉 井:「いきなりオチをつけてどうします(笑)」
ラオウ:「しかしどのステージでも、悪代官が女性の帯をつかんで『よいではないか…』とか囁いているときに乗り込んでくるんだよね(爆笑)」
高 任:「『ああ、なんだよ、こんないい時に!』と、叫ぶ悪代官と(男性)プレイヤーのパルスが一致する瞬間ですな(一同大爆笑)」
ラオウ:「正義の怒りに燃える彼らに対して、男の怒りが爆発する(大爆笑)」
高 任:「おのれっ!不遜不遜であるぞ貴様ら、その罪万死に値するわっ!って感じで容赦なく彼らを葬りさることのできる心境に」
吉 井:「いや、男性プレイヤーはともかくとして女性プレイヤーはどうすればいいんでしょうか?(笑)」
ラオウ:「どうすればいいんだろうねえ?(笑)」
高 任:「(唐突に)…子供の頃から帯もってくるくる回すのに憧れてたんですよ(爆笑)」
吉 井:「子供の頃からって、ちょっと問題ありません?(笑)」
ラオウ:「いや、聞きようによっては今も憧れているように思えますが?(笑)」
高 任:「何かそう言われるとちょっと誤解があるような気がするんですが……俺はただ、帯を引っ張ってくるくると女性を回転させる事に憧れているだけで」
ラオウ:「その後はどうでもいいんですか?」
高 任:「はっきり言って、どうでもいいです(大爆笑)」
吉 井:「……というか、冷静に考えると帯回しって女性の側が協力しないと絶対に回転しないと思いません?」
高 任:「そりゃそうですよ。単純に考えたら、帯を引っ張ったらきつく締まるだけですって……つまり時代劇で見かけるあれは、悪人が町娘を拐かしてるんじゃなくて、ただ単にじゃれ合ってるだけに決まってます(一同大爆笑)」
ラオウ:「その発言も結構問題あるような…」
高 任:「というか、現代における着物って着物を見せるための着付けですから。だから、あんなふうにがちにがちに固めてるわけですよ」
吉 井:「そういや、慣れないと苦しいとか言ってるね、良く知らないけど」
高 任:「つーか、昔って着物が普段着なんですよ。ちょっと動いただけで着崩れる……なんて、いわゆる成人式なんかで見られる現代の着付けは絶対に昔のそれとは違うと思うんですが」
ラオウ:「まあ、それなりの説得力はあるね……そこらは着物業界の人なんかの思惑が絡んでくるんだろうけど」
さて、冗談ではなくこのゲームにはミニゲームとして『帯回し』が存在します。
ゆっくりと回すと制限時間をオーバーし、早く回しすぎると女性が目を回してしまい時間ロス……って事は、やっぱり女性の協力無しには回らないんだなきっと。(笑)
断っておきますが、えっちなシーンはないよ。(笑)
高 任:「さて、そろそろダンジョンのことでも話しますか」
ラオウ:「クックックッ、奴らを殲滅させる方法論ですね」
高 任:「何というか、タイトな罠を仕掛けすぎるとプレイヤーに文句言われますからね、思う存分仕掛けられるのはありがたいッス(笑)」
ラオウ:「ルール無用のマスターに、正義のパーティー全滅だ〜♪(大爆笑)」
吉 井:「うわあ、そういや二人ともテーブルトークRPGやってたんでしたっけ(笑)」
高 任:「そういやこのゲーム、落とし穴プラス水責めとかできないのな…」
ラオウ:「まあ、爆発系をはじめとして炎上系の罠がいっぱいあるからいいじゃないですか……俺としてはデスローラーがあるのがありがたい(笑)」
高 任:「というか、異種の罠を連続して発動させると連鎖になるじゃないですか……トラップラー冥利につきますよね(一同大爆笑)」
吉 井:「ト、トラップラー……って言いたいことはわかるんですけど何ですが?」
ラオウ:「いや、吉井さんの想像通りだと思います(笑)」
吉 井:「いやだ、この二人と話すのが何かイヤ(笑)」
高 任:「まあ、基本は落とし穴、仕掛け槍、撞木(仕掛け丸太みたいなモノ)で部屋の中に吹っ飛ばした瞬間、仕掛け燭台を倒して大炎上および大爆発、そして火にまかれて逃げようとする逃走路にワープ装置を設置して一本道の廊下に転送して前後に矢と火を吐く人形を設置してとどめはデスローラーぐらいが基本ですかね?(大爆笑)」
ラオウ:「ん、部屋の中を大炎上させる前に格子戸がトラばさみで動きを封じた方が効果的だと思うぞ」
高 任:「いや、それやると連鎖が途切れやすくなるから」
ラオウ:「俺としては、連鎖の中に頭上からの洗面器は必須だね……四方に落とせば、それでまた新たに罠のスイッチが発動できるし」
高 任:「ラオウさん、おぬしもワルよのお(笑)」
ラオウ:「いやいや、高任さんの方こそ…(笑)」
吉 井:「すいません、二人の会話がイヤすぎるんですけど(笑)」
高 任:「まあ、ゲームがゲームだけに雰囲気を大事にしようかと(爆笑)」
吉 井:「いや、そういう問題じゃなくて罠の仕掛け方が悪辣すぎます(笑)」
ラオウ:「そりゃ、ただ単に勝つだけだったら部屋中にトラばさみとか、爆発人形とか仕掛けるだけで勝てますけどね…」
高 任:「吉井さん、例えば『ぷよぷよ』の対戦で勝つだけだったら四連鎖ダブルか五連鎖……いや、厳密に言うと本当に勝つだけだったら四連鎖でも充分かも知れないですけどね、そこを敢えて六連鎖七連鎖を組むのが粋ってものじゃないですかね?(笑)」
吉 井:「いや、このゲームでギャラリーをわかせてどうします(笑)」
高 任:「吉井さん、それは誤解ですよ……僕だって良心ぐらいはあります。つまりですね、連鎖することでダメージが大きくなるでしょう……つまり、僕は正義の味方である彼らに長く苦しんで欲しくないんですよ(一同大爆笑)」
ラオウ:「うむ、早く楽にしてやるというのは慈悲の心(笑)」
吉 井:「違う、絶対違う!」
高 任:「あー、でも連鎖の途中で正義の味方が力尽きたりすると何か興ざめですよね……もうちょっとがんばれよ、みたいな(笑)」
ラオウ:「そういうときは、わざとグレードの低い罠を使えばいいんですよ(笑)」
吉 井:「この二人、鬼だ…」
高 任:「でも、連鎖を組んで瞬殺しないとあんまりお金貰えないでしょう?」
ラオウ:「そうそう、新しい罠を開発するためにお金はいくらあっても足りませんからね(笑)」
(注)…このゲーム、後半になればなるほど乗り込んでくる正義の味方はパワーアップするので、平賀源内に依頼して新しい罠および、旧罠のバージョンアップ、主人公自身が使う武器、そして強力な用心棒の先生を開発する必要があります。
例えば落とし穴……梅はただの落とし穴、竹は底に固い石を敷き詰めたバージョン、松は底に槍を備え付けた強力バージョン。
ただ、これだけだと50回ぐらい落ちても死にませんけどね……特に最終面の黄門様と助さん格さんが強いっす。
高 任:「まあ、一番簡単でスイッチを踏む必要のない連鎖なら、落とし穴−仕掛け槍−トラばさみ−茶運び人形(爆発する)ですかね、お手軽4連鎖コンボで破壊力もまあまあですし(笑)」
ラオウ:「基本ですね……って、多分それだけでクリアできると思いますよ」
吉 井:「用心棒の先生は使わないんですか?」
二 人:「(ほぼ同時に)…やつら、罠に巻き込まれて死ぬだけですし(爆笑)」
高 任:「まあ、用心棒の攻撃もあれはあれで連鎖のネタにはなるんですけどね」
ラオウ:「え、あれって連鎖になるの?」
高 任:「なりますよ……でもまあ、やっぱり最後は悪代官自らとどめを刺すのが一番ですが」
吉 井:「え、でもまともに立ち向かったらぼこぼこにやられるだけじゃないですか?」
ラオウ:「まあ、普通の刀が武器だったらちょっと難しいですけど……連鎖の最後にトラばさみを仕掛けて立ち往生してる正義の味方に向かってピストルで、タターンと(一同大爆笑)」
高 任:「まあ、確かに……悪代官自らが囮になって逃げ回っていると、よっぽど上手く罠を配置しないとスイッチとか勝手に発動しちゃって連鎖が壊れてしまうんですよね」
ラオウ:「ただ単に罠を仕掛けるんじゃなくて、正義の味方に注意力ゲージがあるのがこれをゲームとして成立させている肝ですね」
(注)…正義の味方には体力ゲージと精神力ゲージが存在し、体力は罠にひっかかったりすると減少するのですが、ここでポイントなのは精神力ゲージ。これが高いと、正義の味方は罠を察知してしまいます……というか、デスローラーが転がってきても精神力ではね返してしまいます。(ノーダメージ)
この精神力ゲージは、用心棒との戦い、もしくは悪代官を見つけた瞬間(視野に入っている間)から減少し、まわりに敵がいなくなると徐々に快復していく……だからこそ、この対談においてラオウさんは注意力ゲージと発言したわけです。
つまり、悪代官自らが囮となって奥へ奥へと誘い込み、注意力が散漫となった瞬間仕掛けた罠のビッグウエーブで正義を洗い流すという、ある意味お約束なシチュエーションを実現させるためのポイントなわけです。
高 任:「んー、本当に逃げ回っていると罠を発動させる暇が無くなるんですよね……だからこそ、要所要所にトラばさみ系の足止めトラップを設置しとかないと、反対にこっちが瞬殺されてしまう(笑)」
ラオウ:「一度罠がスカって、雷電をはじめとする相撲取り三人に囲まれて瞬殺されました(大爆笑)」
吉 井:「逃げているときに爆発系の罠が作動すると、こっちまでダメージ受けますからね……当然と言えば当然ですが」
高 任:「そういやラオウさんのことだからまたすらすらとクリアしたんでしょうけど、各ステージのバッドエンドも全部オリジナルだから見ておいた方がいいですよ」
ラオウ:「え、そうなの?さすが馬鹿ゲー(笑)」
高 任:「馬鹿ゲーは、スタッフの労力をいらん所に使っているのが第一条件ですからね」
吉 井:「馬鹿ゲーの定義はちょっと……」
ラオウ:「まあ、マップの拡大縮小・視点の回転はあるんだけどちょっと操作が鬱陶しいのが難点であることを除けば……ゲームの本筋としてはまあまあの出来」
高 任:「しかし……悪代官と大黒屋を演じる二人の役者って、わざとかどうかはわからないけど演技を微妙に外してるところがこのゲームの雰囲気にマッチしてますよね」
吉 井:「演技じゃなくてムービーシナリオの問題だと思います(笑)」
ラオウ:「なにげに携帯電話とか取り出すしな(笑)」
吉 井:「ただ、受けるかひかれるかの微妙なラインでは……何というか、馬鹿ゲー好きとか高任さん曰くトラップラーとかの人じゃないと楽しめないのではという不安が」
高 任:「んー、途中ちょっと悪ノリしすぎてる部分もありましたし……まそれはともかく、時代劇ファンとしてちょっと許せないのはあれですな、山吹色のお菓子」
吉 井:「……と、言いますと?」
高 任:「例えば、基本としてはこうなんですよ。お代官様……これはつまらないモノですが(と、包みを広げる仕草)」
ラオウ:「(何故かノリノリで)ふん、本当につまらぬモノを持って来おって…」
高 任:「という風にですね、つまらなそうに箱を受け取った瞬間、悪代官の口元にいわゆる悪代官の笑みが浮かぶわけですよ……」
ラオウ:「(やたらノリノリ)大黒屋……重いのう、この箱は?」
高 任:「ええ、それはもう……と言う感じにですね、箱を開けたらいきなり小判が出たらいけないんですよ。これだけは絶対にやったらいけないタブーなんです!」
吉 井:「何か良くわからないこだわりがあるみたいですね…」
高 任:「お菓子の箱は二重底、小判を隠すなら餅の中!山吹色の輝きは何かに隠されることによってこそその輝きを増すモノなんですよ!」
吉 井:「……つきあい長いんですね」
ラオウ:「ええ、長いんです(笑)」
高 任:「後はもう少しストーリー性が欲しかったかなあ……大黒屋と共に栄える悪代官というか、金を使って出世していくサクセスストーリーみたいな」
ラオウ:「ちゃんと出世するじゃないか、最後の最後で(笑)」
吉 井:「唐突すぎますって(笑)」
高 任:「まあ、いちおう養子と言うことで苦労したらしいし…」
ラオウ:「悪代官の父は……って、何でしたっけ?」
高 任:「えーと…(解説書を探している)……やっぱり代官か(大爆笑)」
吉 井:「(覗き込んで)……子供の顔の形が変わるまで虐待するとは、やっぱり悪代官だったんでしょうか?」
高 任:「いや、虐待の結果顔の形が変わったんじゃなくて、出自を知られぬように顔の形が変わるまで虐待したのでは?」
ラオウ:「おお、ヨミが深い」
吉 井:「でもまあ、グレますよね(笑)」
高 任:「そういや、ムービーの中でそんなこと言ってましたね。盗んだバイクで走り出したり、学校の窓ガラスを壊して回ったり……って、このゲームは購買層をどこに設定してるんだ?(大爆笑)」
ラオウ:「少なくとも、小学生ではないよな(笑)」
吉 井:「いや、それ以前にこのゲームって絶対パロディが支離滅裂すぎでしょう……わからない部分が多すぎる」
ラオウ:「……罠の解説なんかも、こっそりとギャグが入ってたよね?」
高 任:「けっこう笑ったのがデスローラーの名前で『岩石の母』。でも、あれってかなり有効射程の限られたギャグですよね(笑)」
吉 井:「……というか、分からないんですけど?」
ラオウ:「良くわからないが、火〇功さんの本で出てきた『完璧の母』と元ネタは同じですか?(笑)」
高 任:「もっとひねったギャグでいえば、『紺碧の母』とか(笑)」
ラオウ:「……何ですかそれは?」
高 任:「いや、母を訪ねて旅立った子供が旅の最後で出会った母親の瞳が青いねん(爆笑)」
吉 井:「……ますます、ワケ分からないんですけど?」
高 任:「んー、でも『岩壁の母』とか言っても……わかんないですよね?」
ラオウ:「どっかで聞いたような……ひょっとして落語ですか?」
高 任:「まあ、あんまり気にしない方がいいかと。他にも撞木(仕掛け丸太)なんか、バネの部分にチタンを内蔵し、従来とは違うとびを体感できる……って、そりゃ、某ゴルフ用品のコマーシャルのパクリだろっ!ッてなツッコミを入れられるプレイヤーがどのぐらい居るのかは疑問ですな(爆笑)」
吉 井:「落とし穴の解説で大えつ国より輸入って出てきますよね……あれってやっぱり」
高 任:「まあ、大越国っていうとベトナムミャンマー地方のあれですから、ベトコンのあれですよね……つーか、本当に本当に細かいところまでびっしりとギャグか、またはギャグのつもりらしきものを詰め込んでいるんだけど…」
ラオウ:「……馬鹿ゲーですよね」
高 任:「間違いなく馬鹿ゲーです(爆笑)」
吉 井:「まあ、天然じゃなくて狙った馬鹿ゲーでしょうけど」
高 任:「いやあ、狙って馬鹿ゲーを作るのって絶対難しいですよ。大概は馬鹿ゲーもどきのクソゲーになり果てるオチがほとんどですからね(爆笑)」
ラオウ:「ゲームとしてはきっちり成立してるし」
吉 井:「ただ、設定が馬鹿なだけのゲームなら結構ありますが」
高 任:「ゲームとして成立させた上で、そのゲームじゃない部分にこれでもかと力を入れる……本モノですね、馬鹿ゲーのなんたるかを知っているスタッフの仕業でしょう(笑)」
吉 井:「……まあ、繰り返して遊べる作りじゃないことが残念ですが」
高 任:「いやいや吉井さん、正義の味方に対して何連鎖まで組めるかチャレンジし続けるという楽しみもありますよ(笑)」
ラオウ:「10連鎖を越えると、多分に運の要素が強くなってきますからね…」
高 任:「そうなんですよね、最終的に用心棒の攻撃および悪代官の攻撃を加えて終了ってのが理想なんですが」
吉 井:「なんか、それはそれでヤな楽しみ方ですね」
ラオウ:「まあ、正直なところ……かなり評価の割れるゲームでしょう。友達と一緒に一度だけプレイするとか、誰かに借りるとかならともかく……繰り返して遊べないゲームってのは、間違いなく割高感をプレイヤーに与えますから」
高 任:「ごくごく一般的な立場に立って評価を下すと、話の種にはなるが購入するとなるとさてどうだろう?というレベルではないかと」
ラオウ:「そんなとこでしょう」
吉 井:「でしょうね」
高 任:「だが俺は違うぞ!(大爆笑)」
ラオウ:「言うと思った(笑)」
吉 井:「まあ、お約束ですよね(笑)」
高 任:「しかし、このゲームってムービーも全部見たとして、ストレートでクリアすると3時間強ぐらいですよね?」
ラオウ:「んー、つごうよく瞬殺できればあれだけど、必死に逃げ回りながら正義の味方を倒すと結構時間食わないか?」
吉 井:「1人ならともかく、3人でやってくると大がかりな連鎖なんか組めないでしょう……その時はアクションシーンだけで10分以上かかったような気がするんですが」
高 任:「まあ、手こずったとしても5時間程度のモノだろう……ひたすら帯を回し続けたりしなければ(爆笑)」
吉 井:「あれって、何秒でクリアしました?」
ラオウ:「多分、40秒ぐらいが限界かと(笑)」
高 任:「天井突きは、パーフェクトクリアで10秒ぐらいですかね(爆笑)」
ラオウ:「貴様、このゲームやりこんでいるな!」
高 任:「答える必要はない(笑)」
吉 井:「……考えてみると、そのネタも随分古いですよね」
高 任:「花京院でしたよね……って、何年前になるんだか」
ラオウ:「それ言ったら、私の名前なんかはどうなります(笑)」
吉 井:「そういや、ラオウさんって何でラオウなの?この対談の場だけの名前かも知れないけど?」
高 任:「ああ、この人学生の頃…」
ラオウ:「それ以上言ったら、お前を殺す」
高 任:「……何でもないです」
吉 井:「……」
高 任:「しかし悪代官ですか……一応、歴史的な補足を入れさせて貰えば、天領(幕府直轄地)における代官ってのは他の地方に比べてかなり謹厳実直な人が多かったみたいです。時代劇に出てくるような悪人はあまり例がないみたいで」
ラオウ:「おや、そうなんですか?」
高 任:「まあ、幕府の威厳ってやつがありますから……でたらめな人材はすぐに首にしたんだと思いますけど」
吉 井:「考えてみればそうですよね……ん、田沼意次とかは?」
高 任:「ま、『金品は命よりも重く、それを差し出す者はそれだけ誠意に溢れている…』と公言してたらしいですからね。(笑)ただ、権力を握った初期は欲に溺れてるような印象がありますけど、復権後はこの方針こそが経済を発展させるという信念みたいなモノを感じました……もちろん、それによる弊害はありますけど、確実に時代を一歩進めたというか、ある意味経済政策家としては一流だと思います」
ラオウ:「また、ごっつい見解ですな……」
高 任:「そんな時代でも、あんまりあくどい商売人は罰せられたりしてますし……さて、商人と田沼意次のどっちが上手だったのか?なんて考えると楽しいですけどね」
吉 井:「でも、賄賂が貰えるような上はそれでいいとして下はどうよ?(笑)」
高 任:「自分の国の歴史についてあまりに不勉強だったせいか、学生の頃はかなり勘違いしてまして、武士ってなんでそんなに生活苦しいのかなって思ってたんですけど、どうも武士ってのは単純に豪族の集合体みたいな感じだったみたいですね」
ラオウ:「……と、言うと?」
高 任:「まあ同じ江戸時代でも時代によって違うんですが、早い話本来800石の知行地を持つ直参旗本なんかは10人から20人ぐらいの侍を抱えてなきゃいけなかったみたいなんですよ……で、もちろんこれは時代がすすむにつれてそれだけの侍を持つ余裕が無くなっては来るんですけど、侍だけじゃなくて、若党、中間を含めての集合体が800石なわけで」
吉 井:「と言うことは、領地が多くてもそれに応じて家臣が……ああ、なるほど。そりゃ、生活苦しいでしょうね」
高 任:「……結局、江戸時代260年を通じて物価は上昇してるのに石高から入る収入はあんま変わらないワケでしょう?」
吉 井:「倹約令とか出しても意味ねえぞ8代将軍、倹約はしてるんだ……ってなワケですか(笑)」
高 任:「歴史の教科書なんかで言うところの、『武士の生活が豪奢になり……』なんてのは、お殿様レベルはともかくとして、ある意味真実からはかけ離れた姿というか。だから、武士にとって理想的なのは領地が少なくて賄賂をいっぱい貰うわけですよ……それだと養う家臣は少ないから収入が多くて支出が小さいわけです」
吉 井:「賄賂云々はともかく、なんか切ない話ですねえ(笑)」
高 任:「で、賄賂を貰おうと思ったらそれなりの要職に就く必要があるわけで……もちろん、幕府において出世すると家禄も増えるわけですから支出も増えるのか(笑)」
ラオウ:「家禄が増える……って、そんなダイレクトに?(笑)」
高 任:「だって、家禄が増えないと要職に就けませんし」
吉 井:「……なんか、矛盾してません?(笑)」
高 任:「ああ、江戸幕府においては役職に応じての石高ってのが設定されてたんですよ。例えば本来は200石取りの侍が800石の設定になっている役職に就くと、まあ、早い話その役職に応じた家禄に増額される……できるできないじゃなくて、それだけの家禄を持ってないとその役職には就けないわけです」
ラオウ:「ああ、はいはいはい……要するに役職の世襲ってのはそこらが響いてるわけだ」
高 任:「めちゃめちゃうろ覚えなんですけど、確か代官クラスで3000石だったかな?もちろん、どの地域の代官かって事でも細かく分類されてたはずですけど……まあ、家が小さいと役職にも就けないわけで、出世のチャンスすら与えられないわけですなあ……つまり江戸時代のアメリカンドリームは田沼意次なんですよ。和歌山紀州藩の貧乏侍だった父親が吉宗に付いて江戸にやってきて、意次は10代将軍のお側役として老中筆頭まで昇り詰めたんですから(笑)」
吉 井:「……武士って大変ですねえ」
高 任:「ですよね、だから悪代官と言ってもひょっとすると父母の病気を癒すためにお金が必要だったのかも知れないし……そんな事情はそっちのけで、時代劇の主人公はばったばったと斬り捨てていくわけです(爆笑)」
ラオウ:「物事には二面性がある……正義の味方はそのことを常に意識してないと、単に独りよがりの正義を振りまく結果になるわけだ」
吉 井:「すいません、何か無理矢理悪代官に正当性を与えようとしてませんか?(笑)」
高 任:「いやだって、この悪代官の説明文にも『根っからの悪人ではないのだが、大黒屋と知り合ってからワケも分からず悪事に巻き込まれることが多くなり……』とか、書いてますし」
ラオウ:「確かに、ムービーを見る限りでは絶対に大黒屋が悪の権化だよな……でも、正義の味方が殺しに来るのは悪代官(笑)」
高 任:「多分、必死に逃げまどう悪代官を、どこかで見物しながら口元にやつかせているに違いない。おのれ、許せん!(爆笑)」
ラオウ:「『おのれ、許せん!』って言ったら、『3匹が斬る』のアレでしたか?」
高 任:「そーそー、千石さん……って、このゲームには出てこなかったな、3匹(笑)」
吉 井:「そういえば、仕事人も出てきませんでしたね」
ラオウ:「……仕事人は、正義の味方とは言えないからでは?」
高 任:「桃太郎侍、江戸の黒豹(笑)……って、暴れん坊将軍も出てきてねえじゃん!(爆笑)」
吉 井:「遠山の金さんとかはともかく、忍者〇ットリ君とかも出てくるのにねえ(笑)」
高 任:「ああっ、そう言えば!」
ラオウ:「何よ?」
高 任:「子連れ狼の、拝一刀も出てきてねえっ!(大爆笑)」
ラオウ:「高任君、多分そのあたりで止めといた方が……正直なところ、時代劇はポピュラーなモノ以外知らないし」
吉 井:「高任君って、NHKの大河ドラマとか見るわけ?」
高 任:「あ、つまんねえので見ません……というか、殺陣と人情話のない時代劇は時代劇じゃないと思ってますので……仕事人は例外ですけど(笑)」
ラオウ:「また好みが狭いなあ…」
高 任:「んー……やっぱり、時代劇は悪人次第で傑作駄作が決まりますよね」
ラオウ:「光あるところに影がある…(笑)」
高 任:「そーそー。影無くして光はその存在を主張できないワケで……フ、これがまさに持ちつ持たれつの関係というやつですか(爆笑)」
吉 井:「また、豪快にオチをつけましたね」
ラオウ:「って、それがオチなんですか?(笑)」
高 任:「まるで、このゲームのエンディングのようですな(一同大爆笑)」
ラオウ:「いや、オチてないし(笑)」
お買い得度…… 8
音楽…………… 6(もっとこう…何というか時代劇っぽい音楽にして欲しかったり)
操作性………… 7(位置把握の面で、ちょっと難あり)
悪代官度……… 3(実は、悪代官らしさはほとんどなし)
馬鹿ゲー度……10
絶対値評価…… 4
良くも悪くも馬鹿ゲー。
つまりのるかそるかで、製作者にとってもプレイヤーにとってもハイリスクなゲームであります。
まあ、ゲームそのものは対談で述べたとおりごくごくスタンダードなんですけどね。
一般的にはどうなんでしょ?
まあ高任の独断と偏見で言うと、中古価格で2500円から3000円あたりに値頃感ラインが存在すると思います……もちろん、馬鹿ゲーが嫌いという方はやめた方が無難です。
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