荒くれ者揃いの傭兵達の教官としての仕事を終え、ヤングとクレアは2人で温かい食卓を囲んでいた。
「傭兵の中に1人この国の騎士と交代させたい男がいたよ・・。東洋人だが、傭兵らしくない傭兵で。」
 ヤングの言葉にクレアは目を伏せた。
「それは、残念ですね・・。」
 クレアの言葉の意味を理解しかねたように彼は訝しげな視線をクレアに向けた。クレアはその視線に気が付き、呟くような声で言葉をつなげた。
「あなたが気に入るようないい人は戦場では長生きできませんもの・・。・・特にこの国では。」
 ヤングは苦い顔になり、冗談めかした口調で愛する妻に向かった。
「そう言う発言は俺の前だけにしてくれ・・。」
「ええ、わかってますわ。・・・・その方のお名前は何とおっしゃるの?機会があればお会いしたいわ。あなたが気に入る方ですから、いい人なのでしょうね?」
 ヤングはまるで自分のことをほめられたかのように嬉しそうに笑った。
「名前は・・・・」
 
「私は海燕といいます。」
 まだ少年の面影を残した若き東洋人が言った名前。それはクレアの記憶に残っていた。
 自分の夫が目をかけていた人物で、夫の敵をとったという傭兵。クレアにすれば覚えていて当然の名前ではあったが・・。
 彼は二言三言言葉を交わし軽く頭を下げて去っていった。クレアは海燕の後ろ姿を見送りながらその心遣いをありがたく感じた。今はただ夫の墓を前にして独りでいたかった、お悔やみの言葉も慰めの言葉も今は必要ない。そんなものはクレアの心の中には響かないのだから。
 今はただ想い出の中に浸る時期であり、邪魔をされたくなかった。
 ヤングにセイル・・・そしてクレア。若き日々の幸福を分かち合ったあの3人は互いに違う道を歩み始めたのである。同じ道を歩んでいてどこでわかれてしまったのか?今さら詮無き事であった。
「私だけが独り生き残ってしまったのね・・。」
 クレアの自嘲的な呟きが強い風に乗って海の方へと飛ばされていった。
 
 心に空いた穴。
 表面的にはふさがったように見えても日常生活のふとした瞬間にその深淵をのぞき込んでしまう自分に気が付く。
 クレアはため息をつき、棚の上の小箱をとるために椅子を移動させた。クレアの背中越しにそれを取ってくれる人はいないのだから。
 心の穴は真空みたいなモノでいつまでも真空ではいられない。真空はいつも何かによって埋められる運命にあり、それは慌ただしげな日常生活であったり、想い出の日々であったりする。だからこそクレアの悲しみの歯車は延々と回り続けるのだが。
 後2週間も経てば一周忌がやってくる。先月、クレアはまた1つ年をとった。
 イリハ会戦から一年。この前のダナン攻防戦によってまた自分のような女性が生まれたことだろう。
 ヴァルファ八騎将の1人が討ちとられ、その後を追うようにして女性の身でありながら一騎打ちに臨んだ人の話を聞いた。
 もっとも、彼は寂しそうにその話を肯定していたけれども・・。聞いてはいけないことだったのかもしれない。
 時計の鐘の音がクレアに仕事の時間であることを知らせた。急いでクレアは身支度を終え家を出た。
 
 東洋人は実際より若く見えると言うが、それでもまだ二十歳そこそこだという海燕がクレアの目の前でてきぱきと仕事を片づけている。
 考えてみれば、八騎将の内3人までも討ちとった若き英雄が何故アルバイトに精をだしているのだろう。クレアはそのことを不思議に思い先日彼に聞いてみたのだが、国が傭兵に支給する給付金の少なさに驚いてしまった。
 傭兵である海燕の命の代価は彼の生活を保障する金額に値しない。その事実にクレアはやるせなさを感じたものだった。
「騎士と傭兵は何処が違うの?」
「・・・騎士は何かに殉ずることができる集団で、死ぬ覚悟ができているから強い。・・・でもこの国の多くの騎士はどうかな?」
 海燕は寂しそうに答えた。その瞳が自分と同じ誰かをみつめていたと思ったのはクレアの勘違いかもしれない。
「対して傭兵は自分の欲望のために戦い、死を恐れる。・・・それ以上は私はこちらに来て日が浅いから上手く説明できないな。」
「・・・あの人は何に殉じたの?」
 無意識のうちに思いがクレアの口をついてしまったのだろう。海燕がそれに反応して淡々と答えた。
「・・ヤング教官は貴女の笑顔を守るために戦ったのだと思う。」
 それ以上は何も言わずに海燕はクレアの側を離れていった。仕事に戻るためではなく気をきかせたのであろうが。
 
 一周忌の参列者は思っていたよりも少なかった。メッセニ中佐の言葉を信じるなら、この国の騎士団に騎士たる人物が少ないということになる。
 曲がったことが嫌いで余所者だったヤングの騎士団での扱いを思い、海燕は暗い気持ちで式に参列した。
 式の最中だというのに参列者は1人、2人と去り最後まで残っていたメッセニ中佐も所用のため場を去った。・・・寂しい式である。
 海燕がふと顔を上げると、クレアがマントを片手になにやら考え込んでいた。クレアも海燕の視線に気が付いたのか助言を求めるかのように側にやってきた。
「あの人のマント・・。どうすればいいかしら?」
「・・・過去にすがっていてはいけない。」
 クレアが海燕の顔をきっと睨みつけた。
「あの人のことを忘れろとでも?・・あなたには・・」
「過去にすがっていてはいけない。」
 海燕は同じ台詞を繰り返した。その台詞はそのまま自分を納得させようとした言葉であった。クレアは怪訝そうに海燕の顔をみつめた。
「最低の現実を最高の記憶で埋めようとすればするほど、・・現実をひどいものに感じてしまう。貴女には昨日よりも明日をみつめて生きて欲しい。」
 淡々とした海燕の口調に、クレアは長い年月を経た巌のような雰囲気を感じて開きかけた口を閉じた。
「・・・忘れろいうわけじゃない。ただ、想い出は現実とは違う。生きるということは現実に身を置くことだからどんな形であろうと人は前を向いて生きていかなければならないと思う。」
 クレアはしばらく躊躇していたが、炎の上に両手を伸ばして握りしめていた手をゆっくりと開いた。
 炎の赤の中でマントが熱にあおられてゆっくりと踊りだす。ときには激しく、ときには緩やかに舞い続けるかつてマントであった物体。やがて全ては赤色の中に溶けていった。
 クレアが気付いたときには海燕の姿は消えていた。
「・・・明日をみつめて?・・明日って何・・。」
 炎に照らされたクレアの赤い唇からそんな呟きが漏れ出た。
 
 共同墓地は海の側にあるせいかいつも風が強い。
 傭兵仲間が眠る墓地の一角。戦場から帰る度に海燕はここに足を運んでいた。冬の風がマントを引き剥がさんばかりに激しく吹き付けている。
 単なる感傷に過ぎないことはわかっているが、ただ潮騒だけを聞いて眠るのは寂しかろうと思うと自然とここに足を運んでしまう。
 背後から吹き付ける風の圧力が急に弱まった。海燕は振り返って自分のマントでそこに佇んでいる女性を包んでやった。
「・・・お友達?」
「いや・・誰からも祈られない死に方をしたくないだけなんだ。」
 海燕はクレアの手を引いて教会の方へと歩いていった。
「あら、海燕さん。・・・・・ご無事で。」
 シスターのルーナがすっかり馴染みとなった海燕に話しかけた。海燕は軽く頭を下げ挨拶を交わし、海燕の背後に立つクレアも軽く頭を下げた。
 クレアがそのまま教会で祈りを捧げ始めると、海燕はせっかく寄ったからと礼拝堂の掃除を始めた。
「海燕さん、いつもお世話になります。」
「仕事ですから・・。」
 深々と頭を下げるルーナに対して素っ気なく返事を返す海燕。一通り綺麗に掃除をすませると、ルーナが海燕たちに温かい飲み物でも、と誘いをかけた。
「海燕さんはどうして傭兵になられたのですか?」
 悲しげに眉をひそめ、ルーナが海燕に向かって口を開いた。
「・・・・・剣しか能が無いからです。」
 海燕は軽く腰の剣を手で叩いた。その返答にルーナとクレアは2人して首を傾げた。2人から見る限りでは海燕は真面目で働き者であり、いくらでも他にやりようがあるように思えたからである。
 クレアが場を繕うようにして口を開いた。
「貴方の国はどんなところなの?良かったら聞かせて貰えるかしら。」
 クレアに促されて海燕は語りだした。四季とりどりの風景・自然、文化に関するいろんな事。クレア達にとっては全くの異文化の話であるからついつい引き込まれるようにして聞き入ってしまい、気が付くと外は薄暗くなっていた。
「まあ、もうこんな時間。すいませんでした海燕さんにクレアさん、お引き留めしてしまって・・。」
 ルーナに見送られ海燕達は教会を後にした。
 星の降るような夜空を見上げてクレアは呟くように海燕に聞いた。
「こんな遠くの異国に貴方は何を求めてきたのかしら?」
 海燕の耳に届かなかったのかそれとも聞こえないふりをしたのかを判断することはクレアにはできなかった。
 
 1人で暮らすには広い空間。
 そこに夫がいないことではなく、そこに夫がいないと思うこと、またその事に慣れていく自分が時折悲しくなる。・・彼女自身の明日は今だ見つかってはいなかった。
 独りでいること。
 愛する者と2人、人生における時間を重ねる喜びを知ったクレアにとってそれは残酷な拷問であった。
 海燕とのたまの気晴らしは、束の間の忘却をクレアに与えてくれたが、それは新たなる拷問の味付けとなって自分を苦しめることになった。
 メッセニ中佐の件もある・・。事あるごとに自分に対して目をかけてくれる行為に単なる好意以上のものを感じ取り、クレアは彼を少し避けるようになっていた。
 それでいてある程度の壁こそあるものの、海燕の誘いを断らない自分の心に矛盾めいたものを感じて自嘲的な笑みをこぼす毎、クレアは自分の心の真空が少しづつ埋められていくのを理解した。
 ある日、クレアが買い物かごをぶら下げて市場を見て回っていると海燕が困ったような表情で壁に背中を預けているのが目に入った。
「海燕さん、どうしたの?」
「ああ、クレア。・・すまないがちょっと買い物を頼まれてくれないか?」
「それはかまわないけど・・。」
 クレアは首を傾げながら別に何ということもない日常雑貨と食料品を購入して海燕に手渡した。海燕はそれを受け取り、クレアに金額(ちょい多め)を支払った。
「どういうこと?」
「最近外国人傭兵に対する風当たりが強くてね・・。」
「・・台風のシーズンだから。」
 深刻になりそうな雰囲気を和らげるためのクレアの軽いジョークが功を奏したのか、海燕は軽く微笑んだ。
「ま、今までが恵まれすぎてただけなんだが。・・後1・2回大きな戦いがあれば傭兵もお払い箱だろうな。」
 肩を並べて歩き出す2人。海燕が周りを気にするように少し距離をとろうするが、クレアはあまり気にも留めていないようで、しばらくするとまた話しのしやすい元の距離に収まっていく。
「海燕さんの功績なら、当然騎士として任ぜられるのではないの?」
「さて、それはどうかな?」
 年齢こそクレアの方が上だが、人生経験に置いては海燕の方が遙かに勝る。特に世の中の汚い部分に置いての経験については・・。
 海燕の何かをあきらめたような表情にクレアは内心どきりとする。
「戦争が終わったら海燕さんはどうするつもりなんですか?」
「ここに残るのもいいかなと思っている・・。」
 クレアはほんの少し躊躇した後、独り言のような小さな声で呟いた。
「・・・何のために、かしら?少し気になるわ・・・。」
 海燕は何も聞かなかったように黙ったままで歩を進めた。しばらく2人は黙ったままで肩を並べて並木道を歩いていった。とはいっても重苦しい沈黙ではなくどことなく幸せな沈黙であった。
「あの海燕さん、私ちょっと買い忘れた物があって・・ここで失礼しますね。」
「ああ。クレア、気を付けて。」
 手を振る海燕を置いて、クレアはまっすぐに家に帰ると左手に提げていた買い物かごをテーブルの上に置いた。
 クレアは思う。明日をみつめるということと昨日から目を背けるということは違うのだと。今の自分は昨日から目を背けているだけではないかと・・。
 引き出しにしまっておいた亡夫ヤングの肖像画を取り出した。年をとらなくなった夫をみつめ、鏡に映った自分を眺める。
「もう私もすっかりおばさんね・・。あの人もこんなおばさんは嫌でしょうね。」
 無意識に呟いた独り言に対して、クレアは何かに気が付いたようにはっと顔を上げた。
「あの人・・・。」
 何気なく自分が使った言葉の重みにクレアはしばらく動くことができなかった。
 
「ここのところ毎日ですね・・。」
 夫が永遠の眠りにつく墓の前に跪いたクレアにむかって、ルーナの暖かく包み込むような優しい声がかけられた。
 何とも答えようもなく、クレアは黙って頷いた。夫の墓に手向けられた花が風に揺れていた。そして、クレアの右手に握られたままの花束がやわらかな香りを風に乗せてふりまいていた。
 クレアの視線が、この花は貴女が?という風に自分をみつめているのに気が付いてルーナは静かに首を振った。潮騒の音だけが2人の間を支配する。
 沈黙を破ったのはルーナだった。
「本来、私のような立場の者が言うべき事ではありませんが・・・故人に対して安らかな眠りを与えるというのも、残された者の務めだと思うときがあります・・。」
 少し強まった風が墓地の下草を掃くようにして吹き抜けていく。
「墓前をあまり頻繁に騒がすのは良くないと・・・?」
「故人にとっても、また当人にとっても・・・。・・・それに2人がかりで入れ替わりに訪れられてはヤングさんもゆっくりとは眠れないでしょう?」
 雰囲気を和らげるかのように、ルーナはにっこりとクレアに笑いかけた。それにつられてクレアも口元に笑みを浮かべる。
 軽く世間話をした後、会釈して背中を向けたクレアにルーナは問いかける。
「聞かないのですか?」
 主語と目的語の省かれた問いかけにクレアの歩みが止まった。僅かな逡巡。
「誰なのかわかっているつもりです・・。」
 クレアはそう答えると振り返ることなく墓地を去っていった。ルーナはその後ろ姿が見えなくなるまでその場で見送っていた。
 
 ひっそりと眠りについていた街が静かに目覚め始めていた。東の空が白々と明るくなる頃、海燕は共同墓地の入り口に佇む人影に気が付いてその歩みを止めた。目を細めるようにしてその人影がクレアであることを確認すると、海燕は多少のとまどいを覚えた。同すべきが悩んでいる内にクレアも海燕の姿を認めたらしく、突っ立ったままの海燕の方に彼女の方から近づいてきた。
「おはようございます・・。」
「おはよう・・。」
 挨拶を交わすと、クレアは真っ直ぐに墓地の中へと入っていった。どうやら自分を待っていたかのようなクレアの態度に海燕は観念してその後を黙ってついていった。
 墓前で跪いたクレアは、誰に聞かせるともない口調で語り始めた。
「私がヤングと知り合ったのは学生時代の頃でした。当時彼はハンガリアの外交官付き軍人としてこの国に滞在していたのです。」
 クレアの視線が海の方へと向けられる。ただ彼女の目に何が映っているのかは海燕にはわからない事である。
「私は彼を通じて知り合った、彼の同僚であり親友であった男性と交際を始めました。・・・海燕さんの知っている人です。名前はセイル・ネクセラリア・・・疾風のネクセラリアと呼んだ方が海燕さんにはわかりやすいかもしれませんね・・。」
 風もないのに海燕の身体が揺れたように見えた。
「その後セイルはつまらない事件に巻き込まれて、ハンガリア軍を追われ私の前から姿を消しました。うちひしがれた私を足繁く慰めてくれたヤングに私は次第に心惹かれていきました。・・・その後は貴方もご存じの通りだと思います。」
 淡々とした口調で語られたクレアの過去。海燕はまるで訓練のようだった2人の一騎打ちのシーンを思い出す。お互いの手の内を知り尽くしたような戦いにはこういうわけがあったのかと今さらながら納得させられるものがあった。
「二年前のあの日。セイルの名をあのような関わりで再び聞くことになるとは夢にも思いませんでした。・・・私は結果として親友だった彼ら2人を引き裂いたのかもしれません。」
「それは違う。」
 悲しげに目を伏せるクレアに向かって海燕が声をあげた。その声にクレアがびくっと顔を上げた。
「あの2人の戦いに貴女が考えているような感情は存在しなかった。そこにはただ純粋に戦いだけがあったと思う・・。置かれていた立場の違い、それだけだ。」
 口だけではなく、海燕は心からそう信じていた。あの2人の戦いは見事な戦いであったし、その結果として生死が分かれたというだけのことである。自分は疲れていたネクセラリアを討ちとったに過ぎない。自分からではなく彼から望んだ一騎打ちであるからそれを恥とも思わないが名誉であるとも思っていない。
「優しい人の言葉は信用できません・・・。」
 ぽつりと呟いたクレアの言葉は風に乗って海の方へと飛ばされ、海燕の耳に入ることはなかった。
「ハンガリア軍の心ない人はヤングが親友の恋人を奪ったと噂したそうですわ・・。結果だけ見ればそうかもしれません・・・。」
 ハンガリアの狼とまで呼ばれた軍人がドルファンへと移り住んだ理由の一端なのかもしれない・・。とは言っても海燕にはそれ以上尋ねるつもりもなかったし、クレアもまた語ろうとはしなかった。
 結局クレアは何を伝えようとしたのか?・・・それは海燕だけではなくクレアにもわからないことかもしれなかった。
 
 今回も生き残ることができた・・。
 首都城塞戦を終えた後、海燕の偽らざる心境である。ドルファンの国内情勢から考えていくら武功をあげても騎士として採り上げられることはまずあるまい。それどころか、国外退去が待っているかもしれない・・。
 部屋をノックする音は海燕の想像が現実となった音でもあった。
 実務的な通達の後、ミューは一礼して立ち去っていった。ミューが頭を下げていた時間は心持ち長かったように海燕には感じられた。・・・それで充分である。傭兵にとっては過ぎたる報償といえよう。
 3年という月日に少しだけ増えた荷物を整理するのに一日もかからなかった。しかし、心の中の荷物を整理するには1週間という時間は少しばかり短すぎたのかもしれない。
 整理しそこねた荷物。
 この短い手紙を彼女はどう受け止めるだろう?
 
 夕陽を背に受けながら波止場への道を足早に急ぐ女性。もう思い出すしかできないと思っていた少女のような感情を胸に抱いて・・・。
 夫の墓前に別れを告げてきた自分に眉をひそめる人がいるかもしれない。ただ、あの人が眉をひそめないならそれでいい・・。自分でもわかっている、自己満足に過ぎないということ。問いかけるのはいつも自分の心に対してだと言うこと。
 それでこの答えを出した・・・・。
 今あの人は私の目の前で少し困惑したような表情を見せている。
「・・・私はよくよく軍人を好きになってしまうようです。・・・セイルにヤング、軍人であり騎士であったため死に急ぎました。」
 クレアが一旦言葉を切った。
「だから・・貴方が騎士としてこの国に採り上げられなかったことが私には少し嬉しいのです。・・・傭兵なら・・いえ、傭兵は死を受け入れたりはしませんよね?」
「・・・努力はしている。」
 言葉少なに受け答えする海燕の顔をクレアの瞳がのぞき込んだ。
「貴方がヤングの墓の前で何を話したのかは知りません・・。でも明日をみつめて生きろと言ったのは貴方です。・・・私は今明日を見て・・いえ、見ようとしています。」
 クレアの視線が一瞬地面へと落ち、頬が赤く染まった。だが再び海燕の顔へと視線が戻される。
「私は・・・貴方の明日になれませんか?」
 ドルファン国内で後に伝説とまで言われ、常勝無敗の名をほしいままにした海燕はドルファンを立ち去ろうとする最後の日に唯一の敗戦を喫する事になったのだが、それを知るのはただ夕陽だけであった。
 
 
 

 20台後半で自分の事を「おばさん、おばさん」と言われてもぴんとこない。まあ、このゲームの設定からして中世後期だとする。日本だと30で大年増(江戸時代)それ以前だと寿命が50そこそこでしたっけ?平均寿命自体は近世になるまでそう変わらなかったような気がするのでそんなもんでしょうか?今の日本で言うところの50歳位なのかな。・・・ファンに殺されそうですな。でも私の心の中でクレアは上位ランカーです。
 しかし、あんまりイベントがないというかメッセニ悲惨というか・・。断るだけならまだしも花束を空高く投げ捨てることはないでしょう?(笑)
 何か気が付くと書かなくていいことまで書いていることに気が付いて、この文章は心持ちいろいろ省いた文章にしました。・・・まあ、行間を読んでねと言うことで・・。
 しかし、ネクセラリアの話とか勝手に作っちゃったけどオーソドックスな話でありがちだし・・・まあ気にしないことにしましょう。
 個人的に主人公の手紙を出す最後のくだりは気に入ってます。ミューって赤毛のショートカットが似合っててなかなかいいのですが・・・。メッセニ果報者。
 しかし、このためにもう一度クレアをクリアしましたけど・・・いいなあこのゲーム。あまり世間的には騒がれなかったのかもしれないけれど・・・。

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