古い本独特のなんとも言えない匂いが立ちこめる図書室の一角。
 季節は春、窓から差し込む陽射しはぽかぽかで、幸福バロメーターをググンと上昇させていく。
「……このような幸せを独り占めして良いのだろうか」
 などと呟きながらうとうとっとしていた少年の後頭部で乾いた音が炸裂した。
「佐山、うるさい」
「……」
 顎のあたりの強いラインと勝ち気そうな瞳が印象的な少女がそこに立っている。
「図書室はね、寝る場所でもぶつぶつ独り言を呟く場所でもじゃないの!わかる?ここは図書室なのよ、佐山!」
「……」
「ちょっと、何か言いなさいよ…」
 怪訝そうな表情を浮かべる少女にかまわず、少年は顎に手を当ててちょっとだけ遠い眼差しをして呟く。
「まつだいらさんだっけ…?」
 その瞬間、今度は少年の額で乾いた音が炸裂する。
「なに寝ぼけたこと言ってるのよ!私の名字は松平(まつひら)」
「ふむ……松平……松平…」
「……」
 目を閉じて深く考え込む少年をじっと見守る少女。
 その瞳に、何故か淡い期待めいた何かが浮かんでいたりするのだが、少年はそれを知る由もない。
「名前は……葉子さん?」
「まったく……生徒会役員会議をさぼってばかりだから同じ役員の名前すらすぐに出てこないのよ」
「生徒会ったって、有名無実だろ……大体、クラスから最低1人は立候補という時点で、役員に選ばれるということは馬鹿にされてることとほぼ同義と思うんだが」
「私は……自分から立候補したわよ」
「俺は、クラスでそれを決める日に学校をさぼってたからなあ……」
「……知ってるわよ。有名だもの」
「あ、そう……まあ、部活でいっぱいいっぱいの奴と無気力かつ無責任な奴らの集合だったからな、あのクラスは……」
 そう言って少年は大きくあくびをした。
「んー、悪いけど眠いから後で……」
 葉子の表情が険しくなっていく。
「佐山、アンタねえ……生徒会役員として恥ずかしくないの?」
「……生徒達の模範としての姿を求められるならそれなりの権限が欲しい…それより、眠い…」
「寝るなら屋上でも行って来なさいっ!」
 周囲に迷惑をかけてるのは俺じゃなくてこいつの方だよな……などと思いながら、少年は図書室を出て屋上への階段を昇り始めた。
 
「佐山、佐山ったら!」
「ん…」
 自分の名前を呼ぶ声に、徹は自分の意識がゆっくりと上昇を始めたのを感じた。
「ちょっと、起きてよ……」
「ん、後10分……5分でもいい…いや、2分でいいから……」
 などとぐずっていたらいきなり後頭部に強い衝撃。
「うおうっ」
 徹はクラクラする頭を押さえながら起きあがった。
「……まさか本当に屋上で寝てるとは」
 すねのあたりを手のひらでさすりながら、痛みを堪えているのか、顔をしかめている葉子がそこに立っていた。
「んー?」
 周囲に目をやると、空は既に赤く染まっている……どうやら昼休みから放課後まで惰眠を貪っていたのか。
「……おはよう、葉子さん」
「アンタに名前で呼ばれる筋合いはないっ!」
「じゃあ、何と呼べば…?」
「ふっ、普通に松平さんって呼べばいいでしょっ!まあ、後数ヶ月すれば会長って呼んでくれてもいいけど…」
「……は?」
「この夏で生徒会は代替わりするでしょ……つまり、私達二年生の次期生徒会執行部が」
 みなまで言う必要ないわよね、とばかりに言葉を切って徹の顔を覗き込む葉子。
「……で、松平さんが次期生徒会長に決まったと?」
 ちなみに、ここ私立桃山高校では、各学年毎に生徒会役員が選出され、それは3年生まで継続される……つまり、クラブ活動に近い形態だと思っていただきたい。
「そう。で、アンタが副会長」
「は?」
「いい?これからは会議のサボりは許さないから、わかった?」
「ちょ、ちょっと待て!」
「何よ?」
 葉子は腕組みをし、少し斜に構えて徹を見た。
「確か次期生徒会長は他の生徒会執行部の各役員就任についての最終決定権が与えられていたよな?」
「……さぼってばかりのくせに詳しいわね」
「俺なんかが副会長でいいのか?」
「会議はサボってばかりだけど、一度決められたことやイベントの準備なんかに対してアンタは責任感が強いし、それにいてもいなくても変わらない他の役員に比べたらアンタは飛び抜けて有能だもの……」
「まだ何か…?」
「何でもないわよ…」
 葉子はプイと視線を逸らし、話題を切り替えるように口を開いた。
「そんなことより、鍵を閉めなきゃいけないから屋上から出てよ」
「……?」
「戸締まりの確認を先生に頼まれたのよ」
 徹は小さくため息をつき、そして微かに微笑んだ。
「まあ、松平さんで良かったか…」
「え…?」
 夕日に照らされた葉子の頬が少し色合いを強くした。
「いや、実はこれまでに3回ほど屋上で一夜を明かさざるを得なかったことがあってね、だから屋上で寝るのはあんまり好きじゃないんだよ」
「ア、アンタねえ……」
 身体から力が抜けたように、葉子は膝に手をついてがっくりと項垂れた。ひょっとすると徹を副会長に選んだことを少し後悔しているのかも知れない。
「……家族の人、心配したでしょう?」
「まあ…ね」
 微妙に間延びした返事から何かを感じたのか、葉子は困ったように視線を背けた。
「……ごめん、私、おせっかいで無神経ってよく言われる」
「無神経ってのは間違いだろうし、夏澄にくらべりゃおせっかいってのも……あ、夏澄ってのは幼なじみの」
「知ってる、織田さんでしょ……幼稚園から一緒の。もう1人の幼なじみは、斉藤さん」
 自分の幼なじみの名前がさらっと出てくることに驚きを覚え、徹はついまじまじと葉子の顔を見つめてしまった。
「……あいつらと知り合い?」
「2人とは去年同じクラスだったからね……ついでに言うと、2人に会いに来たアンタとも顔を合わせたことがあったはずだけど?」
「悪い、覚えてねえ…」
「……でしょうね」
 葉子は小さくため息をつき、そして徹の背中を出口に向かって押した。
「じゃ、私は戸締まりするから……」
「……手伝おうか?」
「いい。私が頼まれたことだから1人でやるわ」
「生徒会役員だからって、先生にこき使われるいわれはないと思うんだがな…」
「……前から思ってたんだけど、アンタ妙にひねくれてない?」
「そうじゃないとやっていけない人間がまわりに多くてね……夏澄や、綾は例外……松平さんもそのクチかな」
 冗談めかして笑った徹をちらりと見て、葉子はぼそりと呟いた。
「私があなたを知ってるほどに、あなたが私を知ってるとは思えないけど……」
「え、何?何か言った?」
「別に……寄り道しないでさっさと帰るのよ」
「はいはい……確かに世話焼きという点では夏澄といい勝負だ」
 
「アニキ、買い物に行きたいんだけどつき合ってよ……」
「んー?」
「ねえ、ねえってば、ねえ!」
 安眠を貪る休日の朝を強引に粉砕する妹の音々(ねね)……少々、というかかなりブラコン気味のように感じて、以前はかなり不安に思っていたのだが、今では多分自分の思い違いなんだろうな、などと呑気に現実から目を背けていたりする。
「……わかった、今起きるから」
 徹は目を擦りながら身体を起こし、そして聞いた。
「あの人達は?」
「……アニキ、自分の両親に『あの人達』って言い方は無いと思うよ」
「悪い、で、親父かお袋は?」
「いつも通り仕事だよ……多分」
 少し自信がなさそうなのは、本人達の口から直接聞いていないからだろう。
「……そういや、もう2ヶ月ほど直接顔を合わせていないな」
「たまーにテレビ画面では会えるけどね……」
 寂しそうに呟く音々。
 徹はそんな妹の髪をくしゃくしゃっとかき混ぜた。
「ちょっ、やめてよアニキ」
「さて、どこに行く?バイト代が入ったばかりだからそれなりの場所なら……」
「……アニキ」
「何だよ?」
「お小遣い、やっぱり使ってないの?」
「毎月毎月銀行口座に自動的に振り込まれる金はお小遣いと言えるのかね…」
 徹は一旦言葉を切り、音々に八つ当たりした自分を恥じるように軽く首を振った。
「……と、この話はよそうか……遊びに行くんだから楽しい話をしようぜ」
「うん、ごめんね」
「ばーか、謝る必要はないだろ……俺が悪いんだから」
 そう言ってパジャマの上着を脱ぐ……脱ぎかけて、妹に視線を向けた。
「着替えるから出てけ」
「いいじゃない、別に…」
「いいから出てけ」
「はーい」
 冗談なのか本気なのかはわからないが、渋々といった様子で出ていく妹の背中に徹はため息をついた。
 
「……何だよこの人出は?」
「今日、バーゲンだから」
 そう応えた妹の瞳が既に戦闘態勢に入っているのを見て、徹は静かに壁際のベンチまで後ずさった。
「バーゲンってそんなに楽しいものかねえ…」
 ベンチに腰を下ろしながら周りを見回してみると、いかにも手持ちぶさたってな様子の父親や子供達がいっぱいである。
「あら、佐山…」
「ん?」
 名前を呼ばれた方を振り向くと、そこに立っていたのは葉子……ただし、弟なのか、子供2人のオプションつき。
「やば…」
 と、足早にそこを立ち去ろうとした瞬間
「ちょうど良かったわ、弟たち見ててくれる?草太、翼、このお兄さんと一緒にいるのよ、いい?」
 と、否応なしに弟たち2人を押しつけられる。
 そして葉子は戦場に……
「……おまえら、いいねーちゃん持ってるな」
「にーちゃん、ねーちゃんの彼氏だよな?」
「かれし?」
 生意気そうな瞳と、おとなしそうな瞳に見つめられ、徹は2人の子供の顔を見比べながら聞いた。
「……んーと、どっちが草太でどっちが翼だ?」
「俺が草太で、こっちが弟の翼だよ。ほら、翼…あいさつ」
 と、見た感じ10才ぐらいの方が5才ぐらいの弟の頭をつかんでお辞儀させた。
「まつひらつばさ、6才です」
「これはご丁寧に、えーと俺は佐山徹16才…もうすぐ17才だ」
 と、そこに音々が走り寄ってきて買い物袋を徹に手渡した。
「持ってて!」
「…おう」
 そして再び音々は戦場へ…
「……にーちゃん、浮気するとねーちゃんが怒るぞ」
「おこる…」
「……最近のガキは早熟というかなんというか」
 はたしてどう答えていいものやらと悩んでいると、今度は紙袋を抱えた葉子が徹達の元へと走ってくる。
「ゴメン、悪いけど持ってて!もう少しだから!」
「…おう」
 そして葉子は再び戦場へ……
 ため息をつきつつ袋からのぞく子供服に目を留める。
「おや……今日はお前らの服を買いに着てるのか?」
「俺達の服と、とーちゃんの服を買うって言ってた」
「いってた…」
「……」
 弟2人を連れてバーゲン会場、そして弟と父親の服……徹は何となく自分の想像が当たっているような気がしてそのことについて考えるのをやめた。
 そしてしばらく弟たち2人を相手に時間を潰していると、草太が唐突にさっきの話題をむし返した。
「……で、にーちゃんはねーちゃんの彼氏だよな?」
「彼氏以前の問題で、友達未満というか…」
「だって、ねーちゃんはにーちゃんの写真を…ムグッ」
「お、おまたせ佐山君っ!」
「……」
 徹は、紙袋をぶら下げた手で草太の口元を必死に押さえている葉子の顔をじっと見つめた。
「な、何よ?」
「いや、君付けで呼ばれたのが初めてだから、なんか調子が狂った」
「あ、そう…で、あんた達はちゃんといい子にしてた?」
「してたよ、な、にーちゃん」
「ああ、そうだな」
 小さく頷いた徹を見て安心したのか、葉子はほんの少し肩の力をぬく。
「ねーちゃん、お腹空いた…」
「すいた」
「はいはい、もう少し待ってね……」
 そう言って弟たちをあやす葉子を見てると、姉弟と言うよりはまるで親子のように見えて、徹はどことなく居心地の悪さを感じた。
 もちろん、それを顔に出したりはしないが。
「あ、荷物ありがと…」
「えーと…こっちか」
 徹の手に別の買い物袋があるのに気付き、葉子は申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「……ごめん、買い物の途中だった?」
「いや、これは……」
「アニキ、おっまたせー!」
 買い物袋を抱えたまま、周囲の目もはばからず腕にしがみついてきた音々を徹は指さした。
「えーと……ま、そういうことだ」
 徹にべたっとはりついて威嚇するような眼差しを向けてくる音々を見て、葉子はため息混じりに呟いた。
「ああ、この娘が例の……」
「は?」
「あ、何でもない、何でもないからね…」
 葉子は手と首を振ってそれ以上の追求を封じると、優しい表情を浮かべた。
「優しい……お兄さんしてるのね」
「ところでアニキ、この人は…?」
「ねーちゃん、お腹空いた」
「すいた…」
「この人は松平さんといって……」「草太、翼、もう少し我慢してなさい…」
「な、まさかこの人アニキの彼女とかじゃないよね?」
「もう我慢できないよ、ねーちゃん…」
「すいたー」
「アンタ達はちょっと静かにしてなさい!」
 ぱし、ぴし、ぱし。
 と、収拾がつかなくなりかけたのを感じた葉子がいつもの癖で弟たちの頭を軽く叩いていく……勢いあまって音々まで。(笑)
 見知らぬ人間にいきなり頭を叩かれてきょとんとしている音々に気付いて、葉子ははっと我に返った。
「ご、ごめんなさい、私ったらついいつもの癖で」
「あ、いいよいいよ。こいつはいつも甘やかされてるから…」
「アニキが叩かれたわけじゃないでしょ!」
 軽く頭を叩かれたぐらいでがたがた言うなよ…などと思わないでもなかったが、徹はその言葉をのみ込んだ。
 
「さ、佐山……妹さん怒ってた?」
「……まあ、あの後クレープとパフェを奢らされる程度には」
 徹はそう言って肩をすくめ、流れていく雲に視線を向ける。
「あは、あはは……甘やかしてるのは佐山じゃないの?」
「俺の他に甘やかす人間はいないからな」
「あ、ご両親が厳しいの?」
「まあ…厳しいっちゃあ、厳しいか」
「ふーん…」
 葉子は曖昧な返事をし、徹の横に並んで空を見上げた。
 気のせいか、微妙に2人の間の距離が近い。
「うちは母さんがいなくてね……って、死んでないからね。病気でここ数年入院中というか……で、私が家を見てるわけなんだけど、やっぱり弟たちにはついつい厳しくなっちゃうのよ。たまには甘やかせてあげないと、とは思うんだけどね」
 前髪をかき上げながら話す葉子の表情に暗さはない。
 むしろ、屈託のない明るさだけが見てとれた。
 もちろん、その表情だけで全てを判断するほど徹は子供でもない。ただ、母親が家にいないと言うことだけで、周囲のあらゆる視線が彼女や弟たちを特殊な目で見ることは想像に難くはなかった。
 葉子自身はもちろん、弟たちが何か問題を起こせば、『母親がいないから…』……そんな逆風を受けるのは常に葉子だっただろう。
「……どうしたの、難しい顔して?」
「いや……今日は学食で何を食べようかなと思って」
 葉子が小さくため息をつく。
「いいわね、悩みが少なそうで」
「悩みの少ないのが悩みでね……まあ、他人に話せるような悩みは悩みじゃないと思うし」
「そりゃそうね……私にも悩みがあるけど、佐山には絶対話さないわ」
 少し怒ったような葉子の表情が、何故か徹には笑っているように見えた。
「おやおや……自分の言を翻すようで何だけど結構深刻な悩み?」
「深刻なのかな……まあ、少しずつ深刻になりつつあるといえばそうかもしれないわね」
「……まあ、頑張ってとしか言えないけど」
「頑張ってはいるわよ……私なりに」
 そう言って徹の顔を覗き込む葉子の表情を見ていると、やはりそんな深刻な悩みがあるようには思えない。
「……?」
 徹の胸中を察したのか、葉子は小さく笑うとくるりと身体を半回転させて徹に背を向けた。
「でもね……いつか私の悩みを聞いて貰うことになるかも知れないわ」
「えっ?」
 自分には絶対話せない悩みだと言い、それなのにいつかそれを教えてくれるという。いったい葉子が何を考えているのかわからず、徹は浮かんだ疑問をそのまま口にしてみた。
「なんか、矛盾してないか?」
 徹の問いかけには答えず、葉子はいつもの凛々しい表情を浮かべて振り向く。
「今日の役員会議、サボるんじゃないわよ!」
 
「にーちゃん!」
「草太に翼。元気にしてたか?」
 まるで本当の兄弟のようにじゃれ合う3人を見ながら、葉子はほんの少しだけ寂しげな表情を浮かべた。
 だがそれも一瞬で、すぐにいつもの表情を取り戻す。
「ごめんね、佐山。弟たちがどうしてもあなたと一緒に遊園地に行きたいって言うから」
「ねーちゃん、俺達別に……」
 鈍い音と同時に、草太が頭を抱えてうずくまる。
「もう、草太ったら照れちゃって……ねえ、翼?」
 こくこくと首を縦に振る翼を見て、徹はほんの少しだけ姉弟の将来に思いを馳せた。
「いや、それはいいんだけど……」
 徹は何やら曖昧な笑みを浮かべた。
「どうしたの、佐山?」
「うん、実は……こいつがどうしても一緒に行くと言って」
 徹の背後に立っていた看板の影から、ぴょこんと音々が顔を出す。
「こんにちわ松平さん。アニキがいつもお世話になってます」
 言葉こそ丁寧だが、頭も下げずに葉子の手を握る音々。
「よ・ろ・し・く」
 にっこりと微笑みながら、葉子の手の親指の付け根あたり(人体の急所のひとつ…痛いよ)に爪を食い込ませてギリギリと締め上げる。
「あ、あーら、こちらこそ…」
 葉子はにっこりと微笑み返し、左手で音々の手を握った……もちろん、同じように親指の付け根をギリギリと締め上げながら。
「ウフフッ」
「フフッ」
 手を握り合ったままにこやかに微笑む二人を見て、徹は感心したように呟いた。
「へえ、この前のこともあったから心配してたんだけど、相性がいいのかな?」
「どこに目を付けてんだよ、にーちゃん……」
 ぼそりと呟いた草太の言葉に、翼もまたコクコクと頷いた。
 
「佐山、そっちの書類は?」
「ん……今終わった」
「そう、ならこれで全部ね……」
 葉子は書類の束を持ち、とんとんと机の上で上下を揃えた。
「しかし思ったんだが……」
 手元の書類を葉子に手渡しつつ、徹はしみじみと呟いた。
「なんで、先輩はこれぽっちの仕事であたふたしてるんだ?」
「もっともな意見だとは思うけど、人前では言わない方がいいわね」
 少しは生徒会の仕事になれておいた方が……などと、現生徒会長および、役員の先輩に押しつけられた仕事なのだが、二人の手に掛かってものの30分で片が付いた。
「さて……」
 何がさてなのかはわからないが、そう呟いて大きくのびをした徹に向かって葉子が話しかけた。
「昨日はありがとう佐山。弟たちも喜んでたわ」
「ああ、俺も楽しんだし……そっちは随分と音々と話が弾んでいたように見えたけど」
「そ、そう?あれが弾んでる様に見えたんだ?」
 葉子の表情が微妙に強ばる……が、すぐにいつもの表情に。
「織田さんから話は聞いてたけど……本当に、可愛い妹さんよね」
 本当に、というところにアクセントをつける葉子。
「うん、兄の俺が言うのも何だけど可愛いと思うよ……ただ」
「ただ…?」
 徹はほんの少し口ごもると、敢えて冗談っぽくそれを口にした。
「あいつ、なんかブラコン入ってると思わない……なーんて」
「絶対入ってる(断言)」
「……」
 徹の視線に対し、静かに頷く葉子。
 徹は小さくため息をつき、耳の後ろを手でかきはじめた。
「……やっぱり入ってるかなあ?」
「入ってるって……身に覚えはない?」
 徹は顎に手をやってしばらく考え込み、くるりと葉子の方を振り向いた。
「あんまり実感ないんだけど」
「……織田さんに聞いてみたら?」
「何で夏澄に?」
「そりゃ……織田さんが、佐山の妹さんに散々嫌がらせを受けているから」
 瞬きを二回ほどする間があった。
「…は?」
「佐山に電話をかけても取り次いでもらえないとか、一緒に帰ろうと思っても、ここから正反対の方角の中学校に通ってる妹さんが何故か通りがかって邪魔されるとか……まあ、私の口から言う事じゃないけど」
「……ひょっとして、放課後俺の下駄箱を覗き込んだりしてるのは」
「チッ…」
「え、何?何?」
「ううん、別に…」
 葉子がわき上がる怒気をおくびにも出さずに首を振ると、徹は腕組みしてため息をついた。
「考えてみると、特に用事のない休日はやたらと音々に出会うような…」
「もう、どこからツッこんでいいのか分からないわね」
 徹はさらに考え込み、ふとあることに気が付いた。
「待てよ…雪恵さんは?」
「雪恵…って、新体操部の武田先輩のこと?」
「ああ、家が隣同士なんだ……というわけで、昔からあれなんだけど、音々のやつ雪絵さんとは仲が良いぞ」
「……」
「絶対に本当だ」
 葉子はため息をついた。
「佐山……アンタって馬鹿でしょ」
「は?」
「織田さんに少しばかり同情するわ…ったく」
「えーと、全然意味が分からないんだけど?」
「だから、アンタの妹さんが織田さんを目の敵にするのは、織田さんがアンタの事を……ごめん、何でもない」
 何やら葉子が焦りまくっているのだが、徹は首をひねるだけ。
 
「……なるほどねえ」
 テーブルから下げてきた皿を……ちょっとしたコツと力が必要とされるお皿三枚保持を難なくこなし……厨房の洗い場に置きながら、葉子がぽつりと呟いた。
「何が、なるほどなワケ?」
 油汚れと格闘しつつ、徹が聞き返す……視線をそちらに向けたりはしないが、仕事中なので葉子がそれを咎めることはない。
「いや、アンタが毎日眠そうにしてる理由というか……ここ終わった後、深夜バイトも入れてるんですって?」
「若くて健康ということは素晴らしい財産なもんで……つーか、フロアで何かトラブってるぽいけど」
 葉子が慌ててフロアの方に視線を向け、ため息をついた。
「……ったく」
 オーダーミスか何かで揉めていたウエイトレスのフォローおよびテーブル片づけ、客席への案内……滞っていたフロア業務が見る見るうちに円滑に流れ出す。
「はい、洗い物追加」
「……お見事でございます」
 何気なく繰り出されるお皿4枚保持(残飯あり)に目を見張りつつ、徹はささやかに賞賛を送った。
「……役立たずばっかり」
「もう少し声量は押さえた方が」
「あ・の・連中と私の時給が同じってむかつかない?」
「いちいちご高説はもっともなのですが、ただのしがないバイトにそういう事を仰られてもデスね……あ、揉めてる」
 葉子がフロアに舞い戻っていく。
「……佐山君」
「あ、店長……私語、すいません」
「いや、仕事的にはいい娘を紹介してくれたけど……彼女、なかなかキッツイね。お客に対する人当たりに問題があるわけじゃないからアレなんだけど」
「……一応弁明しておきます。彼女、一生懸命頑張ってるけどできない人間にはああいうこと言いませんから」
 店長の目が少し柔らかくなった……もちろん、皿を洗い続けている徹がそれを見ることはなかったが。
「……と、言うと?」
「できるのにやらない……そういう人間を許せないというか、言うことキツイんで誤解されやすいですけど優しい娘ですよ。おおかた、他のフロアの娘が……彼女が仕事できるから自分達は楽しちゃえってな気持ちでいるんでしょう。普段は、こんなにフロア業務を詰まらせたりしませんし」
 そう言いながら、種類別に分けておいた皿を一気に引き上げた徹の背中を、店長は何も言わずに見守っていた。
 
「……バイト、今週一杯の約束だったっけ?」
「ま、草太達のクリスマスプレゼント代が欲しいだけだから……母さんの入院代やらなんやら家計が厳しいのは確かだけど、あんまり家を空けるわけにもいかないし」
 クリスマス用にライトアップされた大通りを2人で歩きながら。
「もうちょっと割のいいバイトとか紹介できたら良かったんだけど…」
「ああ、いいのいいの」
 葉子が手を振った。
「なんかね……割りのいいバイトってあんまり好きじゃないから」
「そりゃ……変わってるね」
「もちろん、『働けど働けど……』ってのはイヤだけど、当たり前の仕事を当たり前にして、ごくごく当たり前のお金を貰う……って事に、私は安心するんだ」
「わかるようなわからないような」
 徹の曖昧な返事に腹を立てた風でもなく、葉子が言った。
「そういえば、佐山のクリスマスの予定は?」
「バイト」
「……私が言うのも何だけど、クリスマスぐらい妹さんと一緒にいてあげたら?」
 葉子はちょっと言葉を切り、足下を見つめた。
「なんかね……先にご飯食べてていいって言ってるのに、草太と翼ってば私が帰るまでずっと待ってるのよ」
「……へえ」
「家族だからってずっと一緒にいられるワケじゃないけど……そういうのって、結構大事だと思うわ」
「……了解」
「……っと、次のバイトの時間、大丈夫なの?」
「ん、ああ…これから家に帰って3時間ほど仮眠するつもりだから」
「……身体、壊すわよ」
「松平さんも、結構無理はしてそうだけど……」
 葉子は空を見上げ、ぽつりと呟いた。
「ありがとうね」
「……って、何が?」
 徹はちょっと立ち止まり、葉子の方を見た。
「佐山の言うとおり、そんなつもりはないのに色々と誤解される事が多くてね…」
「……」
「まあ、誤解っていっても……それが他人に与えている印象なら甘受せざるを得ないのかなとも思いはするんだけど…」
「えっと……聞こえてた?」
「まあね」
「うわ…」
 困ったなという表情を浮かべた徹をじっと見つめたまま、葉子は口を開いた。
「私、他人に誤解されるのは慣れてる……ううん、気にしないようにしてきた。それでもやっぱり、誤解されたくないなと思う人はいて…」
 葉子が一旦言葉を切り、言葉を続けようとして顔を上げた瞬間
「アニキ、迎えに来たよ!」
 狙い澄ましたようなタイミングで現れた音々は徹の身体にべたっと抱きつき、氷のような視線を葉子に向けた。
「あ、いたんですか松平さん。こんばんわ」
 こめかみのあたりをヒクヒクさせながらも、葉子はなんとか口元に笑みを浮かべる事に成功した。
「こ、こんばんは……わざわざ迎えに来るなんて、お、お兄さん思いなのね…」
「さ、アニキ。この後もバイトあるんだからさっと帰って、ちゃんと寝てなきゃ身体壊しちゃうよ」
「……」 
「あ、何か言いました?今日は風が強いからちょっと…」
 そういう音々の視線が、こころなしか柔らかいように感じたのは葉子の気のせいか。
「……風、強いか?」
 首をひねりながら風を確かめるように広げた徹の手を、音々はきゅっと抱きかかえた。
「アーニキ、たまには腕組んで帰ろ」
「お、おい…」
「じゃ松平さん。そういうワケだからさようなら」
 これ見よがしにぺこりと頭を下げると、音々は徹の腕を抱えて引っ張っていく。
「じゃ、じゃあね、松平さん…」
「あ、うん…」
 2人の姿が見えなくなってから、葉子は夜空を見上げて呟いた。
「がっでむ…」
 
「佐山、放課後の会議忘れるんじゃないわよ」
「わかってるって…」
 くどいほどに念を押し、葉子はちょっとため息をついた。
 3学期が始まり、卒業生を送るための行事やら何やらで生徒会は結構忙しい。
 生徒会なんて暇そうじゃん……などという認識を持っている生徒は多いが、もちろん学校にもよるが、実際にやってみるとこれはこれでかなり忙しいもので。
 生徒達の自主性に任せて……などと、ただ単に決めることだけ教師が決めて、雑用を生徒会に押しつける学校がほとんどなので、70年代の少女漫画にありがちな生徒会を想像されても困るが。
「松平さん」
「あ、織田さん」
 葉子がちょっと右手を挙げた。
「どうしたの、こんなとこ(生徒会室)に?」
「うん、ちょっとね…」
 そう呟き、織田夏澄は徹が去った方角に目を向けた。
「あ、佐山を待ってたの?だったら…」
「違う違う……本当に通りがかっただけ」
 大声を出しかけた葉子を制し、夏澄は微笑んだ。
「それより……なんか自然な感じになったね」
「何が?」
「うん……徹君と一緒にいるのが」
「そう……まあ、それなりに頑張ってるし」
 葉子はちょっと笑い、そして首を傾げた。
「それより……織田さんは最近どう?なんか、佐山ともあんまり会ってないような……悪いけど、私遠慮とかしないわよ」
「あはは…」
 夏澄は口元を手で隠して笑った……が、その瞳だけはどこか遠くを見ていて。
「結局……音々ちゃんを言い訳にしてたって事なのかな」
「……?」
「ごめんね、松平さん」
「……何が?」
「今年のバレンタイン……色々と考えてるかも知れないけど、多分台無しにしちゃうから」
 葉子がちょっと首を傾げた。
 これが音々の発言だとしたら背中にうそ寒いモノを感じるのだろうが…。
 葉子の困惑に気付いたのか、夏澄は笑ったまま呟く。
「その日……2月14日に決まったの」
「何が?」
「引っ越し……お父さんの仕事の関係で」
「……どこに?」
「オーストラリア……今は夏真っ盛りだろうな」
 そういう夏澄の目は冬のように冷えていて。
 沈黙を経て、葉子が口を開く。
「織田さん……佐山にはちゃんと伝えた方が良いと思う」
「……」
「好きなら……それ以前に、ずっと一緒にいた幼なじみとして、織田さんは佐山にそれを伝える義務があると思う」
 葉子は一旦言葉を切った。
「……ツライのは想像できるけど、言いたくないのも想像できるけど……私なんかに言われたくないのもわかるけどっ……それでも、言わなきゃ」
「……綾もそう言ってくれた」
 俯きながらぽつりと。
「多分、綾や松平さんの言うとおりなんだろうけど……きっと私、徹君に余計なことも言っちゃうだろうから」
「……」
「だから……言えないよ」
 そう言って顔を上げた夏澄に……葉子はもう何も言えなかった。
 
 学校からの帰り道、歩きながらチョコレートを食べる女子高生……それが2月14日となるとそれなりに想像力を刺激されるのか、すれ違う人間が葉子に視線を向ける。
「……アニキに渡すチョコじゃないんですか、それ?」
「……ん?」
 葉子が足を止め、後ろを振り返った……すれ違ったのか、尾行けられていたのかはわからないが、そこにいたのは音々。
「2月14日だけに、結構寂しい姿ですけど」
「まあ……今日はちょっとね」
 葉子はちょっと空を見上げた。
「そこまで無神経なつもりはないし…」
 引っ越しのことを告げる手紙とチョコを残し、オーストラリアへと旅だった夏澄。
 朝からずっと徹は屋上にいた……夏澄が乗っているだろう飛行機を差がしていたのか、それとも他の理由があったのかは葉子の知るところではないが。
「あんまり仰々しいのはまずいかな……なんて悩んでね、その時決めたらいいかと思って3つほど違う包装のを用意してきたのよ」
「……アニキのためだけに3つですか?」
 ちょっと驚いたように、音々が呟いた。
「で、これはそのうちの1つ……1つ食べる?結構自信作なんだけど」
「……じゃあ、いただきます」
 音々は素直に頷き、それを口に入れた。
「……普通のチョコですね」
「ぶっちゃけた話、トッピングは別にして、溶かして固めただけだから」
「……で、『手作りなの、すっごく苦労した』なんて主張するんですか?」
「義理も含めたら、手作りの方が安いのよ」
 葉子はちょっと空を見上げた。
「……弟たちのおやつにもなるしね」
「……ごめんなさい」
「まあ、あなたの家に比べたらとんでもなく貧乏だけど……謝られたらどう対応していいか困るわね」
「……」
「……って言われたら、音々ちゃんの方でも対応に困るわよね。この話題はお終い」
 そう言って手を叩いた葉子にちらりと視線を向け、音々はぎこちなく微笑んだ。
「……今日はあんまり突っかかってこないのね?」
「夏澄さん、すごくいい人でしたから…」
「……だったら、あそこまで妨害しなきゃいいじゃない」
「何言ってるんですか、アニキがくらっときそうないい人だから妨害するんじゃないですか!」
 頭悪いんですか、と言わんばかりの視線を葉子に向ける音々。
「……もう、どこから突っ込めば…?」
 葉子はちょっと顔を上げ、ぽつりと呟いた。
「え、私って音々ちゃんから見て佐山がくらっときそうにいい人っぽいの?」
「いえ、単にあなたが嫌いなだけです」
「あら、そう…」
「ええ、そうです」
 表面上はにこにこと、そして水面下では火花を散らしつつ。
「それはつまり……貴女の屍を越えていけ、と?」
 ロボットのような動きで右手を固く握りしめながら葉子。
「ボキャブラリーの少ない人って、すぐに暴力に走りますよね」
 ちょっと距離を置き、喧嘩上等とばかりに半身になって左手を前に出す音々。
 そんな2人に向かって、いつも通りの声が飛ぶ。
「……何やってんだ、二人して?」
「あ、アニキ〜なんかね、松平さんが恐いこというから」
 徹に抱きつきながら、音々が葉子に舌を出した……が、それが見えていないはずの徹が音々の頭を軽く小突く。
「松平さんは理由もなくそういう事しないぞ。音々がなんかやったんだろ?」
「あ、アニキは私より松平さんを信じるの?」
「……と言うか、佐山の認識で私はそういう人間ってワケ?」
「あ、いや…なんというか…」
 鉄拳に備えて、腰がちょっと引き気味に……しかし、徹の予想に反して葉子は握りしめていた右手を開いてため息をついた。
「まあ……そういう部分があるのは否定できないけど」
「へ?」
 徹は拍子抜けしたように首をひねる。
 葉子の表情は、怒っているというよりもどことなく複雑そうで。
「え……と?」
「……そのくせ、肝心な事に気付いてくれない」
「……?」
「……なんか腹立ってきたわね」
「え?」
 葉子は右手を握りしめ、無警戒な徹の腹部に叩き込んだ。
「う、おっ…」
 葉子は鞄の中から一番地味な包装のチョコをとりだして、腹部を押さえてよろける徹の胸に押しつける。
「……な、なに?」
「生徒会長から、副会長へのご褒美……お返しは要求しないから、有り難く頂戴しなさい」
「あ、う…ありがとう」
 葉子はちょっと俯き……勢いよく顔を上げた。
「じゃ、また明日」
「あ…さよなら」
 いつもより多少早足で去っていく葉子の後ろ姿を見送る徹の横で、音々が小さくため息をついた。
「どうかしたのか?」
「別に……不器用極まる人だなと思って」
 返事は素っ気なく、葉子の背中を見送る視線はほんの少しだけ優しく。
 首をひねる徹を見るでもなく、音々は言葉を続けた。
「……嫌いじゃないけどね」
 
 そして、季節は流れ……春。
 
「……やはり来たのね」
 呆れたように呟きながら、葉子は桃山高校の制服に身を包んだ音々を見つめた。
「えっと、ここの制服に憧れてて…」
「嘘おっしゃい」
 可愛くうそぶく音々を容赦なくシャットアウトする葉子……が、心配そうな表情を浮かべて言葉を続けた。
「……というか、今年1年は良くても残りの2年は本当にここで良いの?」
「学校なんて、どこでも同じですよ」
「んー、まあそうかも知れないけど」
 葉子はちょっとため息をつき、そして笑った。
「まあ、やることなすこと全てに理由付けしてたら息が詰まるわね」
「……そうですね」
 音々は曖昧に頷き、そしてため息混じりに呟いた。
「あきらめて…くれませんよね」
「あなたには悪いんだけどね」
 そう応えて、葉子はちょっと笑った。
「そう決めたの」
「……」
「とはいえ……佐山にその気がなけりゃそれまでなんだけど」
「……アニキに構って、弟さんの事ほったらかしにしない方がいいですよ」
「うん、ありがとう……心配してくれて」
「嫌味で言ったんです、嫌味でっ」
 音々はちょっと首を振り、大きくため息をついた。
「……何はともあれ、これからよろしくお願いします」
「……何をよろしくするんだか」
「信号機は……いつまでも赤じゃないんですけどね」
「……?」
「じゃあ、精々頑張ってください…私、これから入学式なので」
 そう告げて、音々は走り去っていく……桜の花びらを一枚二枚と舞わせつつ。
「……入学式は、当然生徒会長も出るんだけどね」
 そう呟く葉子は、信号機が赤から青に変わったことに気付いていなかった……。
 
 
                     完
 
 
 なんか、途中から葉子と音々の掛け合いを書く方が面白くなって一体何の話やら。
 まあ、このゲームの場合……バレンタインで告白してエンドか、ストーリーイベントを最後までこなしてエンドの二択なので、パロディでストーリーを追うわけにもいかんわ、バレンタインは状況を考えたらそれどころじゃないわで、難しいというか。
 何というか……このキャラの名前の葉子がちょっと問題で、『偽チョコ』の世羽子と一緒だから変換間違いまくってストレスが溜まるからとりあえず仕上げちゃえ……ってのが本音ですかね。
 一応、あっちが落ち着いてからリベンジ希望と言うことで。

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