「……しかし、あれよね」
道路の雪を引っかき回しつつじりじりと歩を進める変な集団……の一人である紗智が感慨深げに呟いた。
「先月の大雪の時って、私は風邪ひいてそれどころじゃなかったけど……こんだけ積もったらかまくらとか作れるんじゃないかしら?」
「かまくら…」
「……かまくら」
麻里絵と御子がちょっと遠い眼をして呟く。
「そういや、まともなかまくらなんて実際に作ったことないな……」
そう呟く尚斗の表情も、新しい遊びを思いついた子供を思わせるソレで。
ちなみに、雪のほとんど降らない地方の人間は、かまくらづくりにはある種のあこがれを持っている事が多い……多分。
「いいですねえ〜かまくら」
ぽんと手を叩く安寿……を、青山がちらりと見た。
「ま、何はともあれ今は御子ちゃんの落とし物とやらを…」
「す、すみません…」
ちょっと頭を下げる御子……が、何かに気づいたように顔を上げた。
「そ、そういえば…」
「ん?」
「この服は……一体、どなたの…?」
御子はちょっと両手を広げ、上下のトレーナーを尚斗達の視線にさらして見せた。
「あ、それ私の……」
ちょっと手を挙げて麻里絵。
「あ、ちゃ、ちゃんと洗濯してお返ししますので…」
深々と頭を下げる御子に向かって、麻里絵が手を振った。
「あ、あっ、わ、私が中学の時に着てたやつだから……汚したって、破れたってどうって事ないよ…」
ちなみに、御子が着ていた制服は洗濯されてただいま乾燥中……ついでに言うと、御子の携帯は尚斗の家の洗面所。
「へえ…物持ち良いのね、麻里絵」
「というか……私、中学に入って急に背が伸びたから」
ちょっと照れたように、麻里絵がうつむいた。
「ほとんど着てないのに、着られなくなった服とか結構残ってて…」
「そういや麻里絵って、中学に入る前は140なかったよな?」
「尚斗くんだって、150なかったじゃない」
「え、そうなのっ!?」
ちょっと驚いたように紗智が尚斗を見る。
「あれ、前に言わなかったか?中1の時、150そこそこだったって…」
「……そういや、言われたように気がするわね」
「世羽子の方が余裕で大きかったからな……あいつ、中1の時から165あったし」
紗智、麻里絵、尚斗のやりとりを、御子がちょっとうらやましそうな表情を浮かべて聞いている。
ふっと、青山の視線があらぬ方向を向いた……それにやや遅れて、安寿と尚斗がそちらを向く。
「噂をすればですねえ〜」
「……にしても、何をあんなに急いでるんだか…おーい」
こちらに向かってひた走ってくる世羽子に、尚斗がちょっと手を挙げて……
「何をのんきにっ!」
走ってきた運動エネルギーをそのまま叩き付けるかのように、軽く曲げられた右肘を尚斗の顎に叩きこむ世羽子……が、尚斗の反射神経は間一髪のところで、顎と肘の間に手のひらを挟み入れることに成功する。
もちろん、背中から雪の上に叩き付けられはしたのだが……急所さえかばえば、尚斗にとってさほどダメージはない。
「……ラ、ラリアットとはまた通な技を」
顎の先をカバーしたままの態勢で倒れている尚斗に向かってため息をつき、世羽子は携帯をとりだした。
「弥生、妹さん見つけたから……うん、全然無事」
青山がぽつりと呟く。
「……周回遅れの認識だな」
そして、紗智は冷や汗を流しながら。
「……ま、麻里絵…秋谷さんに絶対ケンカ売っちゃダメよ」
「紗智、今頃気づいたの…?」
「……そうですか、色々な方に心配をおかけしていたのですね」
「一応、お母様や入谷さんには連絡入れておいたから……後で御子からもお願い」
「わかりました…」
「……にしても」
ふっと、弥生が御子の身体を抱きしめる。
「お、ねえ…さま?」
「無事で良かった…良かった…」
『良かった』と呟き続ける弥生に抱かれるまま、御子は目を閉じて小さく頷いた。
「……はい」
そんな二人の姿に、安寿がちょっと目元を拭う。
「良い話です〜」
「理由を考えると、俺には喜劇としか思えないが」
「……まあ、受け取り方は人それぞれですから」
何かをあきらめたように安寿。
「悪かったな、世羽子……確かに、弥生がそっちにいるのはわかってたんだから連絡入れておくべきだった」
「冷静に考えると……そこまで望むのは無理ね」
世羽子はちょっと微笑み、弥生と御子に視線を向けた。
「むしろ……妹さんがどういう行動に出るかに思い至った弥生に感心するわね」
「あれ、御子ちゃんが俺に会いに来た理由がわかるのか?」
「……」
「な、何だよ……その表情は」
世羽子は大きくため息をつき、紗智と麻里絵を肩越しに振り返って言った。
「そこの2人……自分たちのやってることが馬鹿馬鹿しくなってこない?」
「……多少はね」
「まあ、尚斗くんだし…」
紗智はため息をつきつつ、麻里絵はちょっと肩をすくめて。
「……って事は、みんなわかってるって事か?」
などと首をひねる尚斗にちらりと視線を向け……世羽子がぽつりと呟いた。
「中学の時にも言った記憶があるけど……今日、何の日かわかって…」
「わーっ!」「ストップ、世羽子っ!」「待ってくださいっ!」
大声を上げながら、世羽子にまとわりつく紗智、弥生、御子……紗智はともかく、さっきまで家族の絆を演じていた弥生と御子の素早い反応は瞠目に値するかもしれない。
「あのねえ……何がしたいの、アンタ達」
「いや、心の準備というより……渡すモノ今持ってないし」
と、弥生。
「……おねえさまもですか」
と、御子。
「行き倒れた時に落としたらしいわ」
弥生の耳元で、世羽子が囁く。
「……じゃあ、みんなで探してたって事?」
「はい…」
弥生はぽんと巫女の肩に手を置いた。
「御子、あてもなく探すぐらいならもう一回作りなさい。まだ材料とか残ってる……っていうか、私も取りに戻らないといけないし」
「ですが……我ながら良い出来だったんです」
御子はちょっとうつむきながら。
「あれだけのモノは……」
「何言ってるの御子…次に作ったら、もっと良いのが出来るかもしれないじゃない」
「……」
「あのね御子、華道でも何でもそうだけど……確かに、今の自分しか出来ないモノってのはあると思うし大事だと思う。でもね、そこが頂点なんて考えたらダメ」
「……やはりすごいですね、おねえさまは」
「……秋谷さん、この姉妹ってまわりが見えなくなる性質?」
と、少し呆れたような紗智の呟きに、世羽子は苦笑を浮かべた。
「かもね」
「御子ちゃん、ホントにもういいの?」
「はい…大丈夫です」
「でも、大事なモノなんじゃ…」
「大事なモノではありますが……取り返しのきくモノに執着して、取り返しのきかない大事なモノを失っては何にもならないとおねえさまが教えてくださいましたから」
そう言って微笑む御子に、尚斗はもう何も言えず。
「そうだ、有崎……この後、何か予定あるの?」
ごくさりげない口調で弥生……微かに頬が赤いが。
「まあ、あると言えばあるというか……とりあえず、昼飯食ったら学校に行こうかと」
「え、学校?」
と、これは紗智。
「男子校への引っ越しの準備……この天気とはいえ、中止の連絡が回ってきてるわけでもないし。ついでに演劇部の様子なんかも…」
「有崎」
「ん?」
「引っ越しの準備なら多分春休み頃になると思うが」
春に吹くそよ風のようにさらりと青山。
「何を……やった?」
対照的に、尚斗の声は掠れて。
「自分たちの義務を放り投げて脅迫に屈した奴らには、脅迫した人間と同じぐらいの罰を与えてやらないと不公平だと思わないか、有崎?」
「青山、何を……っていうか、そのための徹夜か?徹夜で何をやった?」
「さあな」
それはまさに、にやりとという擬音が聞こえてきそうな笑みで。
「……と言うワケで、今日一日やり過ごしたらなんとかなるなどと、甘いことを考えない方がいいな」
「は?」
首を傾げる尚斗の背後で、紗智が雪玉を塀に向けて投げつけた。
どうやら、青山本人にぶつけるという事はあきらめたらしい……が、その行為は紗智がある意味で完全に青山を信頼している事の証明でもあろう。
「そういや御子、アンタ携帯も落としたの?」
「あ、え…え?」
ぽんぽんぽんと、トレーナーのあちこちを叩く御子に向かって、ちょっと困ったような表情を浮かべて麻里絵が告げる。
「あ…制服を洗濯する時に、洗面所においたけど……そのままかな?」
「……まあ、御子が無事だったからどうでもいいけど」
弥生はため息をつき……気分を切り換えるように視線を尚斗に向けた。
「じゃあ、御子の服と携帯もって、一旦私たちは帰るから」
「ん、弥生達もなんか用事あるのか?」
「あ、あはは…」
弥生はちょっとらしからぬ乾いた笑い声をあげて、手をひらひらと振った。
「もう、ありあり」
「あ、ありあり…です」
弥生につられるように御子。
などとやっているうちに、尚斗の家が見えてきて……。
「おや、宮坂」
「よう……って、随分と大所帯だな」
ちょっと呆れたように呟くと、宮坂が紙包みに手を突っ込んで何かを口の中に放り込んだ。
「……ぁ」
御子の声に最も早く反応したのは青山だったが、実際に行動したのは世羽子だった。
「宮坂君、ちょっと…」
と、宮坂の腕をとる。
「え、あ?最近の女の子って積極的?」
すごく幸せそうな表情を浮かべ、宮坂は世羽子に引っ張られるまま。
と、ここでやっと紗智と麻里絵がそれに気づいた。
「な、尚斗っ、寒いからさっさと家の中に入ろ」
それを気づかせまいと、紗智と麻里絵と安寿が尚斗の背中を押して門をくぐらせる。
「つ、ついに、この宮坂幸二にも春の訪れが…」
などと、浮かれた言葉を残して宮坂の姿が塀の影に消え……10秒ほどして、世羽子だけが帰ってきた。
「……えっと、野良犬にかまれたと思って」
と、小さく折り畳んだ紙包みを御子に手渡す。
「……はい」
「……ついに野良犬扱いか、宮坂」
青山の呟きが、冬の風に吹かれて消えた。
ぎゅっぎゅっぎゅっ。
雪を踏みしめつつ、弥生は御子に視線を向けた。
「大丈夫、御子?」
「はい……なんだか、すごく体が軽くて」
「ならいいけど……」
「……弥生の方が息切れしてるじゃない」
と、世羽子。
「そ、そんなこと無いわよっ」
「ふうん……ギターがどうこう言う前に体力トレーニングした方がいいかしら」
「世羽子は体力あまりすぎっ!」
「そりゃ、小さな子供の頃からずっと鍛えてたし……誰かさんには冗談抜きで血反吐を吐くまでしごかれたしね」
後半部分はそばにいた弥生達にも聞きとれないような音量で……それでいて、どこか懐かしげに呟く世羽子の横顔をじっと見て御子。
「……何か、スポーツをなさってたんですか?」
「ううん……ただ、鍛えてただけ」
「珍しい……と思います」
「でしょうね」
そう言って、世羽子は御子にちょっと微笑みかけた。
「あ、あの…」
「なに?」
「秋谷先輩は……その、有崎さんとつきあってたんでしょうか?」
「……」
世羽子はちらりと弥生に視線を向けた。
「弥生……妹さんの方が、よっぽど鋭いみたいだけど」
「ちぃっ、なんでみんなわかるのよっ!?」
弥生は悔しそうに天を仰ぎ……はっと、御子を見た。
「ま、まさか……御子も、誰かとつきあった事があるとか…」
「あ、ありませんっ」
羞恥なのか、はたまた怒りなのか……御子がちょっと顔を赤らめて強く否定する。
「なら、私とレベルは同じねっ」
「そ、そんな……私がおねえさまと同じレベルだなんて…おこがましいです」
「何言ってるの御子、あなたはね、すんごく可愛いのよっ」
「そ、そうでしょうか…?」
「……私はどこからツッコミを入れたらいいのかしら?」
「ツッコミ?」
弥生は不思議そうに……御子もまた、首を傾げて世羽子を見る。
「いや、何というか……二人とも言葉の使い方に気をつけた方がいいと思うわ」
「……さて、ちょっと早いけど昼飯でも作るか」
尚斗はちょっと背後を振り返る。
「えーと、5人か……っていうか、青山。あの馬鹿(宮坂)は?」
「外で寝てる……どうやら、関節を極められたまま撃ち抜かれたようだ」
「……世羽子を怒らせるなんて、何やったんだあの馬鹿…」
などと呟いた尚斗の死角で麻里絵は空ツッコミを入れ……紗智がぽつりと呟いた。
「……宮坂君はほったらかしなんだ」
「さっさとお昼ご飯たべて、学校に行きましょう〜♪」
などと、唐突に切り出した安寿を、紗智と麻里絵が不思議そうに見つめる。
「安寿さん、ちょいと…」
「あ、はい〜?」
手首を捕まれ、安寿はよろけるように尚斗の後に続く。
「……朝も言ってたけど、ここにいるとまずいのか?」
「まずいというか〜なんというか〜」
困ったように安寿。
「信じてください〜」
「むう……安寿がそこまで言うなら」
頭が倒れそうになっては起きあがり……またしばらくして倒れそうになる。
いわゆる舟をこぐ前の……準備運動にいそしんでいる結花に、おそるおそる演劇部兼夏樹親衛隊の一人が声をかけた。
「い、入谷さん…?」
「はっ」
結花は気を付けの姿勢をとり、ぶんぶんと首を振った。
「ね、寝てなんかないですっ」
「え、えっと……少し休んでいた方が」
「何を言ってますか?」
と、振り返る結花の表情はいつもと同じで。
「みんながんばっているというのに、私一人がのうのうと休むワケにはいきませんっ」
「い、いや……入谷さんは、いつも人一倍がんばってるんだからこんな時こそ…」
などと囁く少女の声が聞こえているのかいないのか。
結花は、ちょっとばかし怪しげな足取りでその場を立ち去った。
『……大雪の影響で、ダイヤが乱れております…』
電車の運転が再開された……といっても、通常の運行を行える状況ではなく、駅の構内は、人数規模以上の喧噪に包まれている。
「……演劇部のみんな、大丈夫かしら」
乗り換えの時刻を確認するため、夏樹は電光掲示板を眺めつつ心配そうにため息をついた。
「あら…おはようございます、橘さん」
「え…」
周りの喧噪にそぐわぬ、落ち着いた声……は、もちろん知ったソレだったのだが、場所的にちょっと認めがたい意識が働き、夏樹は軽い驚きを持ってそちらに振り向いた。
「ふ、藤本先生……今日は一体」
みなまで言わずとも夏樹の質問はわかっている……とばかりに、綺羅はちょっと微笑んで見せた。
「雪道運転になれているわけでも、自信家でもありませんから」
「それで……電車ですか」
「ふふ……橘さんこそ」
「あ、私は……今日は、運転手の方がお休みで…」
夏樹はちょっと恥ずかしげにうつむいて言葉を続けた。
「……昔は電車で通学してましたから」
「……大変ですわね」
「不思議ですね……」
「何が…でしょう?」
綺羅はちょっと小首を傾げた。
「いえ……イヤで仕方なかったことも、ちょっとしたきっかけで懐かしく思えたりしますから」
「ふふ…想い出とはそういうモノですよ」
綺羅はちょっと視線を背けてぽつりと呟いた。
「イヤな事も…ちょっとしたきっかけで」
「え?」
「いえ、こちらの話です…」
「は、はあ…?」
何やらいつもと綺羅の様子が違うように思えた夏樹だったが、それを口に出せるほど親しくしているわけでもなく。
「さて…では、私はこれで」
ちょっと頭を下げ、背を向けて歩き出した綺羅に夏樹は声をかけた。
「……藤本先生?」
「はい?」
「……学校に、行かれるのではないんですか?」
女子校に行くのなら、向かうべきホームが違う。
「いえ、学校に行きますよ」
「でしたら…」
「その前にちょっと…寄るところがありますの」
「あれ?」
家を出て、逆方向に歩き出した青山に紗智が首をひねった。
「どこ行くの、青山君」
「学校」
「はあ?」
「青山」
ちょっと首を傾げて尚斗。
「何だ?」
「……今日、午後からウチの関係者とか役人が集まって、校舎建設工事の検分をする予定だったよな?」
「有崎も来るか?」
「わ、私っ、聞かないからねっ!無関係だからねっ!」
と、紗智が自分の耳を押さえながら麻里絵の背中を押した。
「……つーか」
尚斗は晴れてきた空を見上げ……次に、雪の積もったあたりを見渡しつつ言った。
「その予定、延期になってるんじゃねーのか?」
「いや、延期にはなっていないようだな…」
「……」
「どうした?」
「……程々にな」
「有崎じゃあるまいし……俺が、程々以上の事をやったことがあるか?」
「いや……俺らの感覚で言う程々っつーか」
「既に、有崎さんや青山さんの感覚の程々からして普通じゃないですからねえ〜♪」
尚斗と青山はしばらく安寿を見つめ……同時にため息をついた。
「じゃ、俺らは女子校行って来るわ…」
「……携帯は、持っとけよ」
尚斗はちょっと青山を見つめ、不思議そうに首を傾げた。
「なんで?」
「有崎、携帯電話ってのは、携帯するから、携帯電話なんだが……」
「んー今日はそんな気分じゃない…」
面倒そうに空を見上げた尚斗に向かって、青山は言葉を重ねた。
「今日は、持っとけ」
「……ま、そこまで言うなら」
と、尚斗が再び家の中に戻ったのを確認してから、青山は紗智と麻里絵に声をかけた。
「そこの二人」
「……何も聞こえません」
「そう言ってる時点で、聞こえてるのばればれだよ紗智…」
麻里絵はため息をつき、紗智をおいて青山のそばに寄った。
「……何言われてもやめないよ」
「別にそれは椎名達の自由だからな……ただ、一ノ瀬のそれと椎名のそれは動機が別だろう」
麻里絵はちょっと青山を見つめ……微笑んだ。
「青山君って、冴子先輩と似てるね」
「まあ、椎名と一ノ瀬が似てる程度にはな」
麻里絵は、相変わらず耳を押さえたまま背中を向けている紗智にちょっと視線を向けて呟いた。
「紗智も臆病だから……ただ、私とは向かう方向が違うけどね」
「……」
「確かに尚斗くんが誰かとつきあい始めるのは私もイヤだけど……告白を断ることで尚斗くんがひどく落ち込む方がイヤかな」
そう言うと、麻里絵は手を伸ばして足下の雪をすくった。
「何年も昔の……私や、秋谷さんの件であれだけ心を引きずっちゃうぐらいだし、1日4人も5人も断らせるわけにはいかないでしょ」
「なるほど…良い悪いはともかく、深い心配りです〜♪」
安寿が感心したように頷く。
「天野」
「はい〜♪」
「椎名は嘘つきだから、全部が全部信用しない方がいいぞ」
「また、そういう事を〜」
麻里絵は何も言わず、ただ微かに微笑んだ。
最終話完結編へ続く
どこまでも。(笑)
前のページに戻る