黒く濁った空から、白い雪が落ちてくる。
 風はない……白い塊がただ静かに落ちてくる中で、尚斗くんと2人きり。
「やれやれ、雪に始まり、雪に終わるか…」
 肩をすくめ、尚斗が空を見上げた。
「雪が降らなきゃ……」
「……ん?」
「私と、尚斗くんは……ずっと、再会できなかったのかな」
 じっと、尚斗くんの顔を見つめたまま……落ちてきた雪が時折自分の視線を遮るのが少しもったいなく思う。
 瞬きする間も惜しいぐらい、ずっと見つめていたかった。
「……かもな」
「だったら……」
 一瞬だけ足下に視線を落とし……そして、私は笑った。
「雪に、感謝だね…」
「そうだな…」
 そう呟くと、尚斗くんは落ちてきた雪を手のひらで受け止めた。
「ダメだよ……そんなコトしたら、すぐに溶けちゃう」
「……え?」
「……1秒でも長く、そのままの姿でいさせてあげて」
 尚斗くんはちょっと微笑む。
「優しいな、麻里絵は…」
 そう言って引っ込めようとした手をつかんで、私は尚斗君の手に自分でラッピングしたチョコを置いた。
「……」
 じっとそれを見つめている尚斗くん。
「ま、まさか……バレンタイン知らないなんて言わないよね?」
「あ、いや…そうじゃなくて」
 尚斗くんは首を振り。
「すぐに溶けたりしないかなって心配になって」
「溶けないよ…」
「……」
 鏡の前で練習した、最高の笑顔を浮かべて。
「きっと、ずうっと、いつまで経っても溶けないから……」
「麻里絵…」
 そして私は、尚斗くんの手にもう1つチョコを乗せた。
「……?」
「ずっと昔から…だよ」
 首をひねる尚斗くんの手に、さらにもう1つ置きながら。
「小学生になったときだったかな……あげようと思ってチョコを用意してたのに、いつも渡しそびれて……えっと、これは、10歳の私から」
「麻里絵…俺は…」
「これは11歳の私からの分、これは12歳の私からの分……」
 ちょっと風が出てきたらしく、白い雪が踊り出している。
「ゴメンね……中学からの4年間はみちろーくんに悪いからあげないけど」
 そう言って、私は最後の1個を尚斗くんの手のひらにのせた。
「これは……17歳の私からの分」
「麻里絵…」
「……ちょっと重かったかな」
 どこか遠くでベルが鳴っている。
「麻里絵」
「……なに、尚斗くん?」
「6個も7個もチョコ買うぐらいなら、金返せ」
 
「……最悪」
 目覚まし時計のベルを止めた体勢のまま、麻里絵は大きくため息をついた。
「なんか、都合が良すぎると思った…」
 麻里絵は踏ん切りをつけるようにベッドから起きあがり、ちょっと首をひねった。
「……今日は、暖かいのかな」
 
『……今夜から明日の昼にかけて大雪の恐れがあり、各種方面に注意を呼び掛けて……』
 テレビに視線を向け、弥生は確認するように言った。
「……世羽子、今夜から雪だって」
「……そうみたいね」
「また積もったりするのかな…」
 どこかうんざりしたような口調で呟き、弥生はテーブルの上を布巾で拭く。
「雪、嫌いなの?」
「ううん、雪自体は結構好きだけど……融けたときのことを考えるとね」
「まあ、そればっかりは……ね」
 水切りをした茶碗を食器かごにしまうと、世羽子はタオルで手を拭った。
「こっちは終わったわよ」
「あ、ごめんごめん…」
 弥生はきゅっと口を閉じて、一度拭いたテーブルの上を今度は木目に沿って丁寧に拭きあげていく。
「拭き掃除って、やっぱり木目とか関係するのよね?」
「……当たり前でしょ」
 弥生はちょっとため息をつき。
「世羽子って頭良いのに……たまにそういう事言うのね」
「まあ、母さん倒れるまで家事全般に関してほぼノータッチだったから……大目に見てよ」
「……」
 弥生が口を閉じ、テーブルを拭く手の速度がちょっと鈍った。
「ごめん、そういうつもりじゃなかったから」
「あ、いや……世羽子に謝られると、私の立場が…」
「……結局」
「…え?」
「私は教えられたことを上手に出来るタイプなのよ……」
 そう呟いた世羽子の視線はテレビの画面に……ただ、その瞳がテレビを見ているかどうかは疑問で。
「普通……というか、大抵はそうじゃない?」
「そうね……贅沢言うと、罰が当たるわね」
「そうそう」
 ピンポーン。
「……珍しいわね、こんな朝早く」
 首をひねり、世羽子が玄関へと向かう。
 がちゃ。
「お、おはようございます…秋谷先輩…」
 小さな頭が深々と下げられて。
「おはよう……また、随分と遠回りをしたわね」
「い、いえ……今日は、降りる駅を変えましたから…」
 女子校の最寄り駅ではなく、男子校に通学する生徒が乗る沿線を使ったと言うことだろうが……普段降りている駅から女子校までの歩きの時間と、今日降りた駅から世羽子宅までの歩きと世羽子の家から女子校までの歩きの時間の合計……それはどう考えても、遠回りとしかいいようが無く。
「……ま、弥生に用事があるならあがって」
「い、いえ……久しぶりに…弥生おねえさまと一緒に歩きたくなって…その…」
 御子の頭がちょっとずつ下がっていく……のを、世羽子の手がぐっと押し戻した。
「顔あげなさいって…」
「は、はい…」
 
「突然……申し訳ありませんでした」
「まあ、別に構わないけど……世羽子も気にして無かったみたいだし」
 2人で先に行きなさい……世羽子に言われて、弥生と御子は2人並んで歩いていく。
「……で、何か話があるんでしょ」
「そういうわけでは……いつも、おねえさまと一緒に通学していましたので…その…」
 弥生はちょっと笑い。
「電車の中で……つぶされそうになってない?」
「できるだけ…車両の中央に乗ってますから」
「そう…」
 ふっと、御子の目が弥生を見つめた。
「……何?」
「そんな風に、おねえさまは…いつも、私を守ってくれていたのですね」
「まーた御子は難しいこと考えてる…」
 御子の視線から顔を背け、弥生は空を見上げた。
 良く晴れている……が、風が妙に温かい。
「おねえさま…」
「何よ?」
「御自分の道を…歩んでくださいね」
 弥生はゆっくりとした動作で、御子に顔を向けた。
「……どういう意味?」
「私は、おねえさまを尊敬しています」
「……」
「ですが…私に気兼ねして、有崎さんをあきらめたりしたら……一生許しません」
 弥生はちょっとため息をつき、軽く御子の頭を叩いた。
「妹が生意気言うんじゃないの」
「あは…」
 痛みもないだろうに、御子は頭を押さえて泣き笑いの表情を浮かべた。
 
「……ふう」
 女子校の校門を前にして、宮坂が感慨深げに雪山賛歌を口ずさむ。
「〜俺たちゃ、街には、住めないからに〜♪」
「なら、何故帰ってきた、宮坂」
「くっくっくっ」
 不気味に笑いつつ、宮坂は後ろを振り返った。
「なんてったって、明日はバレンタインだからな……」
「……有崎は、まだ怒ってるぞ」
「そう思って修行を積んだ」
「……ほう」
 青山の視線が宮坂の全身に走る。
「お前はともかく、ブンブンと振り回す有崎の打撃なら耐えられる自信はついた」
「……それで、帰ってきたと」
 ふっと、青山の視線が横を向き、それにつられるように宮坂が視線をそちらに向けた。
 ずどむっ。
「……以前と変わらないように見えるが」
 腹を抱えて地面にうずくまった宮坂を見下ろし、青山がちょっと肩をすくめた。
「いや…だから…そうじゃなくて…」
「まあ、帰ってきたモンは仕方がない…」
「いや、だからな…」
 みぞおちの部分をさすりつつ宮坂が立ち上がる。
 2度、3度と深呼吸してから、ダランと腕を垂らして青山に向かって顔を突き出す。
「フェイントは無しで……本気で殴るなり蹴るなりしてみろよ」
「……ほう」
 すっと、青山の重心が落ち……何かの気配に気がついたように横を向く。
「……え?」
 ずどむっ。
「……だ、だからフェイントは…無しだって…」
「この程度でフェイントと言われてもな……」
 青山は肩をすくめ、ちょっとため息をついた。
「まあ、鍛えたのは事実みたいだが……どうかな?」
 
 人目に付かない校舎裏。
 人目に付かないからこそ……白目をむいて失神している宮坂の存在は誰にも気付かれることが無く。(笑)
「……もういいのか、有崎?」
「ん……もう、いい…」
 首を一回だけ鳴らし、尚斗が振り返ることなくその場から去っていき……青山はちょっとため息をついてから、宮坂のみぞおちに踵を叩き込んだ。
「ぐはっ…」
「……目、覚めたか?」
「あ、あれっ…」
 腹を押さえながら上体を起こし、宮坂は今の自分の状況を把握しかねたようにあたりを見回した。
「……有崎のパンチは完全に殺して…」
「最初の3発はな……」
 攻撃に対する予測、持って生まれた肉体の柔軟性、ずば抜けた反射速度に加えて、最小の円の動きで衝撃を受け流す技術……は、見事だったが。
「まあ、高校からのつき合いだから仕方ないが……有崎は本来力に任せてブンブン振り回すタイプじゃないからな……」
「……あれ?」
 自分がどうやってのされたのか認識できずに、宮坂が再び首をひねる。
「俺……どうやってやられた?」
「3発目……有崎の撃ち下ろしの右を、首ひねりプラス身体全体のひねりを加えて殺しただろ…」
「あ、ああ…」
「一旦撃ち抜いた右手を手元に引き戻す動きでの肘うち……衝撃を殺すために回転してからカウンターになったな」
「カウンター……の、割には」
 宮坂の手が、自分の顔や胸を触りながら首を傾げる。
「有崎……というか、藤本先生に感謝しろよ」
「……?」
「こめかみに肘ってのが嫌なこと思い出させたんだろ……撃ち抜くんじゃなくて、肘を置いただけだったからな」
 宮坂の表情が強ばり、おそるおそるこめかみに指先をあてた。
「こ、こめかみっていうか……ここって思いっきり霞(合気道や柔術で言うところの人体の急所の1つ。頭蓋骨の継ぎ目があるというか、強打すると打撃の角度によっては骨がずれて死に至る……可能性があるので殴っちゃダメ。)じゃねえかっ!」
「心配ない……叩き込むと言うより、カットする角度だったからな」
「……ま、これぐらいですんでラッキーだったか」
 宮坂はちょっと首を振り、何でもないように立ち上がった。
「……早いな、切り替えが」
「ま、明日に向けて色々とやりたいこともあるしな……」
 宮坂がお気楽な足取りでその場を立ち去り、入れ替わるように世羽子がそこに現れる。
「……そういえば、尚斗と藤本先生の関わりって私は聞いてないんだけど」
「……」
「さっきの、こめかみに肘とか藤本先生に感謝しろとかいう台詞が気にもなるし」
「……さて?」
「とぼけたってダメよ」
 世羽子はきっぱりと言った。
「青山君は、私がいることを知ってて聞かせた筈なんだから」
「……俺の思惑にのるのか?」
「と、いうか……」
 世羽子はため息をつくように呟いた。
「結局なに?青山君は、尚斗を修羅場の中に叩き込みたいわけ?」
「40点」
「……」
 青山はちょっと空を見上げて言った。
「修羅場というか……こう、有崎がそういう方面でどうにもならない状況に直面したら、どういう行動を取るかという事に興味があってな」
「……ちょっと」
 世羽子がじりっと間合いを詰める。
「半分は冗談だ」
「は、半分は本気なのね…」
「いや、残り半分は嘘だが」
 世羽子は精神的に3歩ほどよろめいた。
「ごめん…私の負け。とりあえず、尚斗と藤本先生の関わりだけ聞かせてくれる?」
 
「……ふむ」
 屋上で、両手を広げて寝ころんだ体勢で空を見上げつつ尚斗。
「ふむ、ふむ」
「……ふむふむふむ」
「ふむ、ふむ、ふむ、ふむ」
 尚斗は身体を起こし、いつの間にか隣で同じように寝ころんで空を見上げていた安寿に向かって言った。
「何の真似かな、安寿さん」
「ちょっとぽかぽか陽気に誘われまして〜♪」
 安寿はにっこりと微笑みつつ。
「『ひなたぼっこに真実の幸せは存在するかっ?』というテーマで実験中です…」
「……気を使ってくれてありがとうな」
「天使ですから〜♪」
「なるほど…」
 尚斗は曖昧に頷くと、頭をかきながらあぐらを組んだ。
「そういえば……俺達にばっかり質問してるけど、安寿の幸せって何だ?」
「……天使の幸せは、みなさんを幸せにすることです〜♪」
「いや、天使じゃなくて安寿の…」
 安寿はちょっと困ったような表情を浮かべた。
「……天使は、あまりそういう考え方をしませんから」
「でも、安寿は考えるのか…」
 安寿がちょっと身体を起こし、膝で歩くようにして尚斗の背中に回りこんだ。
 ぱたぱたぱたぱたぱたぱた……。
「まあ、気が済むまで確かめてくれ…」
「いえ、無いのはわかってるんですけど〜」
 しょぼんと肩を落としつつ、それでも安寿は尚斗の背中をはたくように叩き続ける。
「……わかってるんですけどね」
「……?」
 安寿にしては珍しく、しぼんでいく語尾。
「あ、忘れてたけど…」
「は、はいっ!?」
「昔の記憶取り戻させてくれて…ありがとな」
「……あまり、取り戻したくなかった記憶なのでは…」
「まあ……でも、忘れてしまうことで他人を傷つけることもあるワケだし……思い出せて良かったと思うよ」
 あいも変わらず安寿に背中を叩かれながら、尚斗は空を見上げた。
「安寿はさ…」
「はい?」
「誰1人幸せにも不幸にもさせないってのと、誰かを幸せに出来るけど、その反面誰かを不幸にしてしまうんだったらどっちを選ぶ?」
「どっちも選びません〜♪」
 にこやかに微笑みつつ安寿。
「な、なるほど…」
 尚斗はちょっと笑った。
「やっぱり……天使ってのは空の上に住んでたり?」
「……秘密です〜♪」
「そりゃそうだな……ばれたら大騒ぎになる」
「大騒ぎですねえ〜♪」
 と、安寿が楽しげに答える。
「……そういや、何で俺の記憶が消せないか、わかったのか?」
「え、えっと…」
「いや、昔の記憶とかとり戻すのは出来たわけだろ……だったら…」
 安寿は恥ずかしげに頬を赤らめ……と言っても、尚斗には見えていないのだが。
「企業秘密です〜♪」
「そっか……悪かったな、変な質問して」
「いい……え?」
 安寿がちょっと首を傾げた。
「じゃあ……青山さんには何で…?」
「安寿…?」
 尚斗の呼びかけにも応えず、安寿はぶつぶつと呟き続けた。
「ここに残りたくて……無意識に力をセーブしたのは間違いないにしても……」
 
「……という夢を見たの」
 こう、自分の知らない間に成長した我が子の姿に驚愕した親のような表情を浮かべ、紗智は呟いた。
「それ……昨日麻里絵が言ってた作戦ってやつ?」
「うん……我ながら良い作戦かなって思ってたんだけど」
「そ、そうね……ちょっと重いような気もするけど、相手によっては結構いいカンジにツボにはまるような気がするわね…」
 ちなみに紗智と麻里絵がいるのは教室ではなくて、紗智が部長を務めるインターネット部の部室というか活動室というか……早い話、パソコン教室の中。
 
 余談ではあるが、麻里絵達の教室における現在の状況を説明すると……窓際、一番前の座席の世羽子、その右隣の青山、2人の後ろの安寿と尚斗、そして尚斗の右隣の麻里絵、安寿の後ろの紗智が全員揃って授業に出ていなかったり。(笑)
 教師から見て右手前にぽっかりと空いた空間がやたら目立っているため、宮坂の不在が目立っていないのは何よりだが。
 
「何はともあれ明日よ…」
 キラリ、と目を光らせて紗智が麻里絵の首を抱いて顔を引き寄せた。
「明日は、朝から2人で尚斗にはりつくわよ……出来れば、尚斗と一緒に登校するのがベストね」
「う、うん…」
 何やら納得がいかないような麻里絵の様子に気付いたのか、紗智は眉をひそめた。
「麻里絵……アンタ、誰かが見てる前で尚斗に告白できる?」
「そっ、それは恥ずかしいよっ」
「……」
「……あ、そういう事なんだ…」
 麻里絵がぽつりと呟くと、紗智が小さく頷いた。
「後、誰かが尚斗にチョコを渡そうとした時はね…」
「ふんふん…」
 メモを取りだし、麻里絵は紗智の作戦を書き込んでいく……。
 
「しかし、なんだなあ…」
 保健室の天井を見つめ、水無月はポケットにバラで入れておいたタバコを一本取りだして火をつけた。
「どうしたんです、いきなりしみじみと…」
「いや……」
 水無月は一旦タバコをくわえ、紫煙を吐き出してから言葉を続けた。
「…男子校の生徒を受け入れる事に対して色々懸念するような意見が出てたらしいが、おとなしいもんだったなと」
「そりゃそうでしょうね…」
 ちょっと含むような笑みを浮かべ、冴子は窓の外に視線を向けた。
「……と言うと?」
「何か問題が起きたら、責任問題が持ち上がるじゃないですか…」
 事も無げにそう言った冴子の横顔を見つめ、水無月は再びタバコをくわえた。
「……香月」
「はい?」
「アタシにも理解できるように言ってくれないか?」
「……深く考えすぎですよ、水無月センセー」
 冴子は肩越しに振り返って水無月を見た。
「男子生徒の誰かが問題を起こす……と、女子校から追い出される。ほとんどの男子生徒は今の環境に満足しているわけだから、そんな原因を作った生徒は他の男子生徒からとんでも無い目に遭わされると…」
 水無月は足下に向かって煙を吐き出す。
「……一応理屈は通ってるが」
「いろいろ考えてるみたいですよ藤本先生は……他の私立校と提携して、交流教育みたいなのも考えてるようですし、今回は趣味と実験を兼ねてってとこじゃないですか?」
 冴子は再び窓の外に視線を向け、水無月はタバコを灰皿に押しつけて、複雑な表情を浮かべて天井を見上げた。
「……正直なところ、綺羅はあいつに本気なのか?」
「……気になりますか、センセー?」
 ちょっと口元を隠し、冴子がちらりと水無月を見た。
「アタシが勘当されたのも、ここで保険医やってるのもみんな綺羅のせいだからな……ちょっとぐらいは復讐させてもらう」
 冴子は意地悪そうな笑みを浮かべて言った。
「復讐って……どうするつもりです?」
「邪魔するに決まってるじゃねえか…」
「……センセーが出しゃばる必要ないと思いますよ」
「……?」
「藤本先生も……あまり自分の状況が見えて無いというか、近々酷い目に遭わされますよ、多分」
 
 
                    完
 
 
 ちなみに、この話は2月13日の午前中。

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