2月2日(土)。
 
「おはよー」
「…おはよう、温子」
「ふむん?」
 と、温子はちょっと首を傾げることで、言葉を選ぶ時間を稼ぎ。
「聡美ちゃん、テストの結果でも悪かった?」
「ん、いつも通り…だと思うけど」
 そう答える少女の表情……というより、目の動きと口調に意識を集中させつつ、温子はさらに一歩踏み込んだ。
「そっか…テスト前に色々あったから、ちょっと心配だったんだけど」
「……わざと成績を落とすという選択肢も、考えなくはなかったんだけど」
 少女はちょっと微笑んで。
「世羽子、そういうの嫌いだから」
「なるほどね」
 ふむ、すると聡美ちゃんの気がかりは……と流れかけた温子の思考を、少女の言葉が遮った。
「温子はどうなの?世羽子の牙城は崩せそう?」
「ケアレスミスの分、私の負けじゃないかな、今度も」
「……」
「なに?」
 と、何か言いたげな聡美を促す温子。
「と、いうか……そもそも、温子には勝つ気がないように思えるんだけど」
「執着がほとんどないのは確かだけど……仮に、私が世羽子ちゃんに勝ったら、聡美ちゃん、怒らない?」
 ちょっと間をおいて聡美が口を開く。
「面白くはないかな」
 などと、きっぱりと、真顔で。(笑)
「だよね……じゃあ仮に、聡美ちゃんが世羽子ちゃんに…」
「あり得ないよ」
 温子の言葉を遮るように、聡美。
「……」
「誰もが満点を取れそうな難易度のテストで、世羽子の精神的コンディションが最悪で何らかのミスをおかすすような特殊な状況なら話は別だけど」
「……なるほど」
 と、頷きつつも……温子の意識はさらに聡美に集中。
 妙に多弁というか、条件付きであろうと、『自分が世羽子より優れている』などと目の前の少女が口にするはずがないから。(笑)
 それと同時に、聡美の意図しないところで温子はヒントを得た。
 少なくとも聡美は、今回の試験について世羽子の精神的コンディションがあまりよろしくなかったと判断している、と。
 なぜかというと。
「……そうじゃなきゃ、口にしないよね」
 『世羽子に勝てそうか?』…などと。
「え?」
 ちょっと戸惑ったように、聡美の視線が泳いだ。
 口を開くたびに、謎が暴かれていく……あの何とも言えない恐怖を思い出したのか。
「あ、あの、温子…私、何か…?」
「……」
 意図したモノではなかったが、温子の無言は聡美に対する強烈なプレッシャーとなり。
「よ、余計なこと…を?」
 おろおろおろ。
「そっか…」
「な、何が?」
「何がって…」
 ここで温子は思考のために伏せていた目を聡美に向けて。
「以前、世羽子ちゃんと付き合っていたドラムの人は、今世羽子ちゃんと同じクラスに存在するんだね」
「…っ!?」
 温子に言わせれば『当然の結論』も、聡美にとってはオカルト的な何かを覚えたらしく、慌てて温子から距離をとって、胸や口元などを手で探る。
「いや、隠したいなら、そこは『面白い推理だね』ぐらいにしらばっくれようよ、聡美ちゃん…」
 ため息混じりの温子の言葉が聞こえているのかいないのか。
「ま、まさか温子『も』、探偵とか雇って色々と…」
「うわあ、今のは聞かなかったことにしたいなあ、さすがに…」
「え、え?」
「とりあえず深呼吸しようか、聡美ちゃん」
 などと温子が聡美を落ち着かせようとしたとき、電車を待つ上客で混雑するホームにアナウンスが流れた…。
 
 いつも同じ時刻に登校というわけにもいかないが……尚斗にとって、ある意味平均的な登校時間であるにもかかわらず、目の前の光景はあまり平均的ではなく。
「ん?」
 いつもなら、電車通学でやってきた生徒達がぞろぞろと……のはずなのに。
 今、1人の生徒が昇降口に姿を消したが……後ろを振り返れば、こちらに向かってやってきている学生の姿は1人もなく。
「……?」
 首をひねりながら、尚斗は校門から昇降口に向かい……『その気配』に気づいたことで、とりあえずある種の理解を得た。
「保健室ですか?」
 と、誰もいないはずの方角へと声をかける。
「そっちじゃないわよ」
 と、逆の方角から冴子の声。
 それには構わず、尚斗はもう一度さっきと同じ方角に声をかけた。
「何をやったか知りませんが、そんなに人目に付きたくないんですか?あらかじめ一本、俺に電話連絡でも入れてくれればすむ話だと思いますよ」
「……色々事情があるのよ」
 と、これもまた逆の方角から。
 尚斗はちょっと眉をひそめ。
「……人が来る前に、この場を離れたいんじゃないんですか?」
「まあ、それはそうなんだけど…」
 と、苦笑しつつ……尚斗が視線を向けている方角、その物陰から冴子が姿を現した。
「じゃ、行きましょうか」
 と、尚斗の隣に身を寄せつつ。
「腕、組むわね」
「何かたくらんでる気配がぷんぷんするので、お断りします」
「あら、残念…」
 そう呟きつつも、距離間はそのまま……寄り添うように、というか冴子が一方的に身をすり寄せる形なのだが。
 どこか笑いをこらえているような表情で自分を見つめる冴子に向かって、尚斗は問いかけた。
「……なんですか?」
「無防備とは、思わない?」
「何がです?」
「さっきキミは、『何をやったか知りませんが』って言ったのよ?登校する生徒であふれかえる時間帯の空白を、『私』が作ったって判断してる発言よね」
「まあ、青山ならできそうですし」
「……できるでしょうね」
 と、控えめに冴子。
「つーか、電車さえ止めれば、何とかなりそう……でもないですね」
「……」
「……いや、実際にやるやらないはともかく、『電車を止めるだけ』なら、子供でもできますよ?」
「まあ、それはそうなんだけど…」
 と、冴子は……苦笑から一瞬だけ真顔に戻り。
「キミは、キミのままでいてね」
「……成長するな、と?」
「成長はいいの。でも、変化はしてほしくない」
「成長は、変化じゃないんですか?」
「さあ、どうかしら…」
 冴子はすっと尚斗の手を取り、微苦笑を浮かべた。
「あ、そうそう…今日の行き先は、図書室だから」
「はい」
「……保健室じゃないんですね、とか返してくれたら、会話が広がると思うんだけど」
「毎度毎度、水無月先生に気を遣わせるのも、あれじゃないですか」
 冴子はちょっと尚斗を見つめ……ぽつりと呟いた。
「……50点」
 
「ううぅぅ…」
「……どうしました、Y沢先生?」
 と、机に……正確には机の上に積み上げた答案用紙の上に突っ伏したままうなり声を上げ続けているY沢先生の様子を見て心配になったのか、同僚教師が声をかけた。
 ……が、それも耳に届いていないのか。
「もう、知らないっ!」
 がばっと顔を上げ、ヒステリックな声を上げた。 
「テストにおいては作成者が神っ、神なのよっ!」
 などと、何かを吹っ切るようにバンッと机をたたき、猛烈な勢いで積み上げられた答案用紙にペンを走らせていく。
「……えっと?」
 いったい何が……と首をひねる同僚教師の袖を引く手。
「問題の答えに自信が持てなくなったそうですよ」
「え?」
「サービス問題のはずだったらしいんですけどね……秋谷さんと香神さんが、そろって違う答えを書いたらしくて」
「え、あの二人が…」
 と、教師がちょっと眉をひそめ。
 教師の間で、秋谷世羽子と香神温子の存在は特別な意味がある。
 1人だけなら、書き間違いなどのケアレスミスで済ませることも可能だろうが、2人そろって別の答えを選択したとなると…。
「……何か?」
 ペンを止め、くわっとかみつきそうな表情で同僚教師2人をにらむY沢先生。
「いえ、別に…」
 そんな、別に問題設定が間違っていたんじゃ…なんて思ってませんよ〜。
 みたいな愛想笑いを浮かべて、その場から離れていく教師2人。
「…ふう」
 ため息をつき、再びペンを走らせるY沢先生。
 しかし彼女の頭の中は、この答案を手渡したとき、世羽子がどういう目で自分を見るか……それでいっぱいだった。(笑)
 
「……近結構広いんですね、ここの図書室」
「そうね、蔵書数もそこそこ…」
 冴子はちょっと口をつぐみ、背後を振り向いて尚斗に目を向けた。
「青山君は、何度かここをうろついてたみたいだけど?」
「俺は一回だけですね…」
「ああ、夏樹が忘れ物したあの時だけ…ね」
「そういうことです」
「ふーん」
 と、冴子が再び歩き出す。
 本棚の間を抜け……普段、あまり人が出入りしないのか、微妙なかび臭さの漂うエリアへと。
「ああ、そこの奥よ」
 と、冴子が指さす先は……大きな本棚と大きな本棚の隙間を埋めるような、半端な幅の本棚。
「……」
「そう見えるだけで、そこは通り抜けられるから」
 どこかおもしろがるような冴子の表情……だが、目が笑っていない。
「手とか足とか伸ばして確かめたりしちゃダメよ…顔からどーんと行って」
「俺からですか?」
「先に私が行くと、キミは何故自分がここにいるかも忘れてしまうから」
「……良くわかりませんが、冴子先輩がそう言うなら」
 と、尚斗はのれんをくぐるような感じで、そこに頭をつきいれた。
 
「……冴子先輩の隠れ家ってとこですか?」
「隠れ家というか…まあ、そんなところね」
「つーか、誰か間違って…」
「あはは、ないない」
 と、冴子が手を振った。
「いや、本に手を伸ばして…とか?」
「本棚と思った人間にとって、あれは本棚以外の何ものでもないから」
「……」
「まあ、さすがに青山君は何かを感じてたみたいだけどね……ほんの少しでも疑問を持つと、あそこは通り抜けられない……そういうものなの」
「……あぁ」
「どうしたの?」
 女子校にお邪魔をすることになった最初の土曜日、その放課後の青山の言葉をあらためて思い返しつつ、尚斗が呟く。
「いや…『せっかくだから、図書室の品揃えを確認しにいく』という言葉はなかなかに深いなあと」
「……彼がそう言ったの?」
「はい」
「なるほど…ね」
 と、ここで冴子は悪戯っぽく微笑んで。
「彼のことはさておき、正直、キミには一度ぐらい顔面アタックを敢行してもらおうと思って、わざと疑われそうな素振りで接したのに」
「目が真剣でしたし」
「……それだけじゃないわ」
 と、冴子が優しい目と口調で。
「私じゃなくて、キミが説明して、実際に通り抜けるのを見せたとしても……青山君は、絶対にここには来られない」
「……」
「彼が信じているのは自分だけだから……キミや、秋谷さんを信用はしても、そこに自分の判断をいれるし、何らかの保険をかけようとする」
 冴子はいったん口を閉じ……苦笑混じりに言葉を続けた。
「でもそれは、彼に限ったことではないけど」
「……それはつまり、俺が底抜けのお人好しだと?」
「ほめてるのよ?」
「はあ…」
「多分ね、現時点でここに入ってこられる可能性があるのは……麻理絵だけだと思うわ」
「……」
「あの娘は、キミを無条件で信じているから」
「……えっと」
「もちろん、キミの言いなりになるお人形さんという意味ではないわよ」
「そりゃそうでしょ…」
 と、尚斗はちょっと言葉を切って。
「麻理絵は、『母さんのお気に入り』でしたから」
 わずかな、間。
「…へえ」
「……」
 尚斗の視線を、むしろ楽しむように冴子が微笑む。
「……なあに?」
「今日はずいぶん無防備…というか……」
 尚斗はちょっと冴子を見つめ。
「何か……いや、何があったんですか?」
「……どういう意味?」
「こう言ったらなんですけど、冴子先輩は『目立たないこと』を意識してましたよね?」
「ええ、そうよ」
「だったら…」
「心配してくれてるの?」
「余計なお世話でしたか」
「あ、そういう意味じゃないの…」
 と、冴子は申し訳なさそうな表情を浮かべ。
「皮肉でも何でもないのよ……ただ、身に余る光栄かなって」
「……冴」
 言葉を遮るようにぽんと手を打ち、冴子は『いつもの』表情で尚斗と向き合った。
「時間もないし、そろそろ本題に入るわね」
「……」
「キミは放課後に大事な用があるんでしょ……と、その前に」
 冴子はちょっと微笑み、尚斗に向かって手を伸ばした。
「触ってもいいかしら?」
「どうぞ」
「じゃ、遠慮なく…」
 と、冴子は尚斗の額に触れ……。
「……あら?」
 と、首をかしげた。
「どうしました?」
 そんな尚斗の問いかけが聞こえているのかいないのか、冴子は、何度も首をひねり……そのたびに眉間のシワが深くなっていく。
 やがて……冴子は、途方に暮れたようなつぶやきを漏らした。
「何なのこれ……壊れて…?」
「『壊れて』って、さすがにへこむんですが…」
 控えめな抗議を口にしつつ、尚斗はそういえば安寿にも似たようなこと言われたなあと苦笑する。
 あれは確か……。
 と、尚斗が思いを巡らせた瞬間……何かスイッチが入ったかのごとく、先日の、保健室での出来事がよみがえった。
「……やっぱり、この前は1週間ぶりじゃなかったじゃないですか」
「え…」
 戸惑ったように、冴子が尚斗を見た。
「あ、いや、えーと…」
 年頃の少年にとって、少々刺激的に過ぎる冴子の白い肌と2つの膨らみの記憶を振り払いつつ。
「その、この前の…保健室の…背中とか」
「……」
「これからする話に、あの記憶があった方が都合がよいってことですよね?」
 冴子の表情が、やや険しいものへと変化する……が、その視線は尚斗そのものではなく、その先に向けられているような感じで。
「……あれ、今、俺の記憶戻したの…冴子先輩っスよね?」
 2秒、3秒……ふっと、冴子の気配が緩んだ。
「ええ、そうよ」
「えっと、何か問題でも…?」
「ないわね」
 にこっ。
 その笑顔はなかなかに破壊力を秘めたモノではあったが、『いつもの』笑みでもなく、自然なモノとも思えなかったので。
「……目の奥が笑ってないっスけど」
「今日はやけに絡むのね?」
「絡みたくなるぐらい、今日の冴子先輩はまともじゃないですから」
「……」
「青山と何か話した…ぐらいしか理由が思いつかないんですけどね」
 尚斗はちょっと言葉を切り……。
「策略家が我を忘れると危ないですよ……余計なお世話かもしれませんが、だから心配です、俺は」
「…本当に、キミは」
 と、冴子はちょっとうつむいてから呆れたように呟き……しばらくしてから顔を上げて言った。
「大丈夫よ、私は」
 
 少女の目的が尚斗ではないことを知りつつ、青山は自分の机の前に立った結花に声をかける。
「有崎なら今日はまだ姿を見せていないが?」
「いえ、今日は有崎さんではなく青山さんにお話がありまして」
「ほう」
 ざわ。
 騒がしい、というほどでもなかったにせよ、朝の教室内が一瞬ざわめき、すぐに静まりかえった。
 これは、結花よりも青山という存在に対しての周囲の評価であろう。
 まあ、男子生徒のそれと、女子生徒のそれは、意味が異なるのだが。
「ご迷惑でなければ、今日の放課後お時間をいただけますか?」
 尚斗を相手にしているときとは全く別の……といっても、これは尚斗を相手にしているときが例外というべきか……落ち着きのある口調と仕草で青山に向かって頭を下げる結花。
「放課後といわれても、素直にうなずけんな。話の内容にもよるし、そっちも演劇部がらみで、それほど自由に時間が使えるというわけでもないだろう」
「あまり、短い…という話ではありません。私だけの都合をいわせていただくなら、夕方以降が良いのですが」
「そうか、わかった」
「…よろしいのですか?」
「いい」
「でしたら…」
「入谷は演劇部の方の用事が終わったら、いつものように帰宅しろ」
「は?」
 と、ちょっと『地』が出た結花に向かって。
「その途中で顔を出す。連絡先を教える気もないし、そうするしかないだろう」
「……わかりました。よろしくお願いします」
 『連絡先を教える気もない』の部分だけ微妙に声のトーンが強かったことに気がついたのだろう、多少の間が開いたとはいえ、素直に頭を下げることのできた結花はなかなかに人物だと言えよう。(笑)
 そして、結花が教室を出て行った後。
 と、とととと…。
 青山の隣の席から、指先で机をたたく音が響き出す。(笑)
 それをさらりと聞き流しながら、青山は誰に聞かすともなく呟いた。
「さて、俺の身体は1つしかないからな…」
 
 本題に入る……と宣言しておきながら、冴子は目を閉じたままずっと沈黙を守り、尚斗は、ただそれをじっと見守るのみ。
 そうして30分ほどが過ぎただろうか……ようやく、冴子が目を開けた。
「最初に断っておくわね」
「はい?」
「これから私がキミに話すこと……それは、キミのためを思って話す内容ではないの」
「……知ってること全てを、話してくれるわけではないって事ですね」
「怒っても良い……というか、ここは怒るべき場面だと思うんだけど」
 冴子はちょっと苦笑し、頭を下げた。
「でも、助かるわ…そう言ってくれると」
「いやまあ、これまでがこれまでですし。いきなり『キミのために、私ができることを全てするわ』なんて言われたら、反対に戸惑うというか」
「……」
「……何か?」
「……勘違いしないでほしいけど、私、キミのこと好きよ?」
「そりゃまあ、悪意を感じたことはないですけど…」
「……けど?」
 続きを促され、尚斗はちょっと困ったように手で頭の後ろをかいた。
「……俺のこと怖がってますよね?」
 冴子の瞳が微かに見開かれたが……微笑みがすぐにそれを消した。
「何故、そんな風に思うの?」
「いや、俺に近寄るときというか……さっきの、腕を組もうとした時とか、なんつーか自分の感情を無理に抑え込む気配みたいな、そういう緊張が微かにですけど伝わってくるんで」
「……なるほど」
 と、冴子は小さく頷き。
「警戒されてるんじゃなくて、キミは私の事を気遣って距離をとろうとしてくれていたのね」
「……対人恐怖症という意味では、リアリティありましたから」
 尚斗の呟きに冴子はちょっと笑い……俯いた。
「少し、訂正させてね」
「と、言うと?」
「私は、キミじゃなくて、キミのお母さんが怖いの」
「……」
「キミの存在って言うか、雰囲気って言うか……えっと、どう説明したらいいのかしら?『私達』は、こう、他人の感情を感じ取る能力があるのだけど、キミの感情そのものじゃなくて、こう…それが伝わってくるときの感覚が、あの人にそっくりなの」
 冴子は顔をあげ、言葉を続けた。
「簡単に言うと、キミは否応なく私にあの人を思い出させてしまうの……だから、キミを怖がっている訳じゃないわ」
「……その背中、母さんがやったんですか?」
「いいえ」
 中途半端な言葉では、尚斗を説得させられないと思ったのか……冴子は、笑みを消して尚斗を見つめ返しながら言った。
「私達の仲間が……いえ、こういう言い方は責任のがれでしかないわね。私達は、キミのお母さんに殺されても仕方のないことをしたの。でも、私にはどうしても守りたい相手がいて……だから、私はキミのお母さんの目の前で自ら翼をもぎ取って命乞いしたの」
 かた、かたかたかた…と、冴子の身体が震え出し、顔から血の気が引いていく。
 おそらく、そのときの恐怖に精神を蝕まれつつあるのだろうが……冴子は許しを請うようにただじっと尚斗を見つめて続けて。
「まあ、母さんが許したなら、俺は別に何も」
 筋合いじゃないでしょう、という感じに、尚斗はあえて素っ気なく答えた。
「……」
「すんません、怖いこと思い出させて」
「まだ、気遣ってくれるのね…」
「母さんは母さん、俺は俺ですよ……だから、何をやったのかも聞きません」
 まだ何か言いたげな冴子の言葉を封じるように。
「母さんがね、俺に言いましたよ。『自分で決めて自分でやる。他人を利用はしても助けられることは最初から期待しない』って」
「……」
「多分、母さんは自分に腹を立てたんじゃないですかね?そうじゃなかったら、ここに冴子先輩はいませんよ……」
「……キミは、あの人のこと…お母さんのこと、好きだった?」
「はい」
「そう…」
 青山が自分の母親に対して『俺は嫌いでしたよ』と言ったのとは対照的ね……と、冴子は目を閉じながら思った。
「冴子さんの話に関係ないなら、母さんの話はもうやめませんか?」
「……キミは、関係ないと、思う?」
 どこか作りものめいていたが、冴子の悪戯っぽい笑いに対して。
「……まるっきり、無関係って訳じゃないんでしょうね」
 と、尚斗は苦笑で応えた。
「ええ、でも……さっき言ったとおり、私は、私にとって都合の良い事だけキミに話すわ」
「断るようなことじゃないですよ、それって」
 穏やかに、尚斗。
「……それは、諦めなの?」
「え?」
「いえ、今のは忘れて…」
 
「あれ?」
「んー?」
 自分の中でほとんど価値を持たないとはいえ、やはりいつもより大幅に向上したテスト結果に心浮き立つものがあったのか。
「温子、なんでこんな問題間違えてるの?」
「おや、弥生ちゃんにしては珍しい」
 のぞき込まれたテスト用紙を隠すでもなく、温子は弥生を見つめた。
「あ…」
 自分らしからぬ失礼さに気づいたのか、弥生は羞恥に顔を赤らめる。
「ご、ごめんなさい…」
「いや、私は別にいーんだけど」
 と、手を振ってから。
「それはさておき、この問題は弥生ちゃんが言うように、『こんな問題』に過ぎないのかどうかについては疑問だけど」
 弥生が指摘した問題を指さす温子。
 何故かというと、温子が間違えた問題はそこだけだったから。(笑)
「え、だって…」
 弥生はちょっと困ったように。
「私が言うのも何だけど、これはいわゆるサービス問題でしょ?」
 弥生がそう言うのも仕方ないというか……『恋愛』という言葉において、次から同じような成り立ちの言葉を選べ……という、それはありふれた問題。
「『恋』も『愛』も似た意味だから……少なくとも、逆の意味を持つ漢字を組み合わせた『左右』はないでしょ?」
 などと、『授業中』という事を忘れた弥生の声は少々大きく。(笑)
 さて、それを教師がとがめたかと言うと……。
「あの…Y沢先生?」
「しっ、ちょっと黙って」
 などと、それに対してどう温子が答えるか聞き逃すまいと授業そっちのけで集中していたり。(笑)
「ふむ、少なくとも『逆』はないかね?」
「え、違うの?」
「気になるなら、自分で調べよう」
 温子はちょっと笑い。
「学力はね、試験の結果じゃないよ。本来は学ぼうとする力のことだよ」
「……」
「私が思うに、弥生ちゃんにとって『音楽』はそういうものじゃないのかなあ?」
「ミスを、ごまかそうとしてる訳じゃないのよね?」
「さあ、案外そうかもね」
「むー」
 などという2人のやりとりの陰で。
「あの…先生?」
 頭を抱えて悩むY沢先生が、生徒たちに心配されていたそうな。(笑)
 
「強運と、幸運の違いってわかる?」
「強運と、幸運…ですか?」
 尚斗はちょっと首をかしげ。
「一時期、雑誌の裏とかに『〇運がうなり、〇運が炸裂し、〇運が荒れ狂う…』ってな、イカしたキャッチフレーズがあったのは覚えてますが?」
「その記憶、忘れた方がいいんじゃないかしら?」
「すんません、茶化すつもりは……大事な話なんですよね」
「……多分この先、この話の意味をキミが本当に理解することはないと思うわ」
「でも、大事なんでしょう?」
「ええ…『そういう未来』があるかもしれないから」
「……まあ、言葉通りに考えれば、『強運』ってのは強い運で、『幸運』は…本人にとって都合の良い巡り合わせをもたらす運って感じですか」
 冴子は2秒ほど尚斗を見つめ。
「まあ、そうね……でも『幸運』の持ち主はたいてい幸せだけど、『強運』の持ち主が幸せとは限らないわ」
「つーか、言葉通りに定義すると、『強い運』ってのはあんまりピンと来ませんね」
「そのままの意味よ」
「と、いうと…?」
「『強運』にもレベルがあるけど、その持ち主は自分の周囲にいる『自分より運の弱い』人の生活を歪めてしまう…」
「え…?」
 冴子はちょっと目を伏せて。
「オカルトめいた話として、多少伝わっているから聞いたことあるかもしれないけど……そうね、たとえば魔女と呼ばれた女性……彼女の周りでは、いわゆる不審な事故や偶然が続出した」
「……」
「勉強でどうしても勝てない相手が転校する…彼女をいじめた相手が交通事故に遭う…スポーツや仕事、彼女に害を与えたり、彼女の希望を阻止する存在が、次々といなくなる」
「……それは」
「もちろん、警察も調べたわ……その事故によって利益をもたらされたのはいつも彼女だもの。でも、それらは全て『偶然』でしかなかった」
 冴子はちょっと間を置き……。
「……これは、彼女の強すぎる運が招いたことなの」
「本人のせいでは…ない?」
「そうね……でも、強すぎる運は、本人の願いを否応なしに叶えてしまう。周囲の、自分より弱い運の持ち主を犠牲にすることでね」
「……それで?」
「本人がそれに気づいてしまった時、大抵は欲望を肥大化させるか、己の存在を否定するかに分かれ……どちらにしても、幸福とは言い難い終焉を迎えるわね」
 その言葉を境に、2人の間に沈黙が訪れ……ようやく、尚斗が口を開く。
「……周囲の犠牲がひどくなりそうな時は…」
 言葉尻を捨てて、尚斗は冴子を見つめた。
「……否定はしな…いっ!?」
 身体を硬直させ、おびえた表情で冴子が首を振る。
「待って、違うっ」
「世羽子に何かしようっていうなら…」
「だから、違うのっ…そういう話じゃなくてっ」
 青い顔で、冴子が叫ぶ。
「確かに彼女は強運の持ち主だけど、落ち着いてっ!」
 
 閑話休題。(笑)
 
「……大丈夫ですか?」
「……そう、見える?」
「つーか、失神するほど凄んだつもりはないんですが…」
「だから……キミじゃなくて、キミのお母さんに対する恐怖が骨の髄までしみこんでるの『私達』は」
「……すんません」
「……まあ、不用意に話を進めたのは確かだけど」
 と、冴子はため息をつき。
「そこまで過敏に反応されるとは思わなかったわ」
「まあ…なんつーか…大事な仲間ですから、そりゃ怒ります」
「……麻理絵だったら?」
「当然怒ります……っ?」
 尚斗が冴子に視線で問いかける。
「たとえばの話よ……麻理絵は、強運の持ち主とは言えないわね」
「……なんか含みのある言葉ですね」
 と、多少疑いを含む視線を尚斗が向けるも。
「ノーコメント」
 と、冴子があっさり受け流す。
「……」
「私は、私に都合の良い話しかしないって断ったわよね?」
「それはつまり…」
「ノーコメントと言った以上、私は麻理絵について何も話すつもりはないわよ」
「そうですか」
「さて……」
 冴子はちょっと頭を振ってから、『話を戻すわね』と切り出した。
「秋谷さんの運の強さはそれほどじゃ……というより、何かをほしがるという欲求が極端に少ないの……そばにいたキミなら…」
 と、冴子はちょっと口をつぐみ。
「……キミもそうだから、ピンと来ないかもしれないかしら」
「くじ運が強いから、ひきたがらない……とか?」
「……そういうことも含めてよ」
「……」
「彼女が、周囲の人間にとって災厄となる可能性はきわめて薄いわね」
「……」
「そろそろ、別の話をしたいんだけど」
「…わかりました」
 
「この学校、他と比べて警備が厳しいでしょ?」
 そう切り出す前、冴子はちょっと遠い目をしていた。
「……他を知らないので、なんとも」
「まあ、キミや青山君にすればおままごとに感じるかもしれないけど」
 と、ため息混じりに。
「何故だかわかる?」
「生徒たちの安全のためでしょ……青山あたりは保護者に対するアピールってな言い方をするかもしれませんが」
「……」
 冴子はちょっと考え込み。
「私、キミに言ったわね…『夏樹に興味があるなら、もうちょっと昔のことを調べてみてね』って」
「あー…」
 尚斗はポリポリと頭をかきながら。
「言ってましたね…最初は『演劇部について調べた方がよい』でしたっけ?」
「……」
「すんません、調べてないッス」
 と、素直に頭を下げた尚斗にちらりと見て。
「夏樹に…興味はない?」
「いや、そういうわけでは…ただ、ちびっこのことも含めて、ちょおっと手詰まり気味ですかね」
「……と、いうと?」
「どうもね…2人が、どこかですれ違ってるような気がしまして。単純にそれを指摘すると、これがまた嫌な予感しかしねえっつーか」
「……2人同時に、踏み込んだせいね」
「は?」
「いえ、こっちの話」
 ぷい、と冴子がそっぽを向き。
「……夏樹を『夏樹さま』と呼ぶのは、下級生と外部入学の3年生の一部だけなのには理由があってね」
 唐突に冴子の話が始まったモノだから、尚斗はちょっと戸惑って。
「はい?」
「夏樹は、幼稚舎に入ったときから背が大きかったから……甘やかされて育った人間は、すぐに誰か頼れる人間を捜すの」
「え、えっと…」
「もちろん、小さな頃からきちんとしつけられて育った夏樹は頼るのに値する存在だったとは思うけど……幼い彼女たちにとって、夏樹は『背が大きいからお姉様』ぐらいの感覚だったのね」
「冴子先輩、ちょいとストップ」
「なに?」
「話がぽんぽん飛躍して理解しづらいというか、そもそも夏樹さんの許可を得ずして俺が聞いていい話なんですかこれは?」
「大事な話よ」
「……」
「……みんなを引っ張っていく性質じゃないというより、でしゃばらずに一歩控えてという、いわゆる古風なしつけられ方をされた夏樹には、その能力はあっても『お姉様、お姉様』と頼られることに困惑し、ストレスを感じていたのね」
 冴子は何かを懐かしむように微笑んで。
「ある日それが爆発して、夏樹はみんなの前で泣き出した…『私、お姉様じゃないもん』ってね」
 それを想像して、尚斗は曖昧な表情を浮かべた。
「あぁ…」
「……まあ、色々あって…忘れてる人もいるかもしれないけど、事態を収拾するために教師が決めた『夏樹をお姉様扱いしない』って言いつけは、当時のクラスメイトにとって暗黙の了解というか」
「……で、猫背ですか」
「まあ、そうね……それからも、夏樹の身長は意に反してすくすくと成長したけど」
「ちなみにちびっこはそれを…」
「知らないと思うわよ…彼女、初等部の中途編入でもあるし」
 冴子はちょっと笑って。
「昔の話だし…多分、恥ずかしがりはするけど、今の夏樹には笑い話ですむわね」
「……」
「……そうして、夏樹をお姉様扱いしない事が決まって新しい関係を模索する集団に、病気のせいで入園が遅れていた女の子が新しくやってきた」
 口調は変わらなかったが、何かを感じて尚斗は冴子を見つめた。
「その女の子の名前は、香月冴子」
「……」
「彼女は、明るく活発で、幼くはあったけど思いやりがあって、道理に合わないことや間違いが嫌いな……いわゆる、集団を引っ張っていく能力と資質に溢れていた」
 他人を語るように、淡々とした口調。
「そんな彼女が、一番仲良くなったのは夏樹だった……周囲からは抜けて精神的に大人だったから、余計にウマがあったのかもしれないわね」
他人を語るように……ではなく、今まさに目の前にいる冴子が、他人のことを語っているのだと気づかない尚斗ではなく。
 何かが溢れそうな緊張感が張り詰めていくのを感じて、尚斗は居住まいを正した。
 そこでふっと……冴子の瞳が尚斗をとらえて。
「キミは、夏樹が合気道を習っているのは知ってる?」
「ん、あぁ…そんな感じというか、かなりの腕前ですよね」
「……何故、とは考えなかった?」
「……」
「護身術…といえば聞こえはいいけど、いわゆる良家のお嬢様の手習いとして違和感を覚えなかった?」
「……変なんですか?」
 冴子はため息をつき。
「さっき話した、学校の警備が厳重な理由……と無関係じゃないわ」
「……だとすると」
 尚斗は、じっと冴子の目を見つめて。
「冴子先輩の言う香月冴子と夏樹さんの2人に、何かあった……という事ですか?」
「……はぁ」
 冴子が再びため息をついた。
「本当に何も調べてないのね、キミは…」
「まあ、一応宮坂のやつに頼もうとはしたんですが…」
 いきなり逃げましたからね…と心の中で尚斗。
 その呟きを聞き取ったかのように、冴子が言った。
「その後の事よ……全く気にならなかった?」
「……前も聞きましたけど、宮坂と…」
「ノーコメント」
「……まあ、いいです」
 と、尚斗は小さく頷き……冴子のそれが伝染ったわけでもないだろうが、淡々とした口調で言った。
「誘拐かなにか……それが元で、香月冴子は対人恐怖症となった」
「……表向きはそんな感じよ」
「……だと、夏樹さんの合気道の理由付けとしては弱いですね」
「……そうね」
「第一、冴子先輩が香月冴子を名乗らなきゃいけない理由にならない」
「ええ、そうよ…」
 ちょっとだけ冴子から視線をそらし、尚斗は問いかけた。
「……冴子先輩でいいですか?」
「ええ、かまわないわ」
「そうですか…じゃあ、冴子先輩」
 と、そらした視線を尚斗が戻す。
 すっと……突き刺さってくるような圧力に対し、冴子は正面から向かい合うことを余儀なくされた。
「言えないことが多いでしょうから、1つだけ確認しておきます」
「なに?」
「夏樹さんのため…ですね?」
「ええ、半分以上は」
「……残りは?」
「大半は、私自身のため……後は言えない」
「……何故ですか?」
「どういう…意味?」
「冴子先輩は言いましたよね。『私は夏樹の友人』だって…」
「ええ」
 冴子が……尚斗の圧力に耐えると言うより、過去の記憶そのものに耐えているからか、どこか無理をした感じの笑みを浮かべて。
「私が…香月冴子の記憶を見たから」
「……」
「人の記憶を見るとき、注意しなければいけないことがあるわ」
「……?」
「もちろん、能力の強弱や他の条件にも左右されるけど……影響され過ぎないこと」
「影響…ですか?」
 冴子が小さくうなずく。
 尚斗の圧力が弱まった分、心に余裕が生まれたのか。
「人の記憶は、感情の込められた主観であることがほとんどだから……それを見るということは、どんなに意識していても記憶の持ち主の価値観や感情に影響を受ける」
 冴子は、ちょっと自分の手に視線を落とした。
「相手が同じならまだしも…価値観から性別にいたるまで異なる相手の記憶を見るたびに影響を受ければ、自分の心が引き裂かれてしまうわ…」
 自分の手のひらを見つめたまま、冴子が自嘲的な笑みを浮かべ。
「いえ、ひょっとしたら、『私達』は特別な存在ではなく、心を手に入れたかのように錯覚してしまっただけだったのかもしれないわね」
「……つまり、冴子先輩は…香月冴子の記憶に影響を受けた?」
「ええ、そうよ……『私達』の間では、人に呪われたって言うの」
「呪い…ですか」
「ええ、滑稽でしょ……理屈じゃなくて、夏樹のことが大切でたまらないのよ、こう見えても」
「わざわざ自分を悪く見せる必要はないと思いますよ……というか」
 尚斗は真面目な顔で冴子に向き直り。
「香月冴子は、殺されたんですか?」
「ええ、香月冴子は、あの時勇敢と言うより無謀だった……死の直前になって彼女は、自分の行為が夏樹の命を危うくしたことを悟ったの」
 冴子はちょっと言葉を切り……尚斗を見た。
「……なに?」
「もう一度聞きます……見殺しにしたんですか?」
 何かがちぎれてしまいそうな沈黙を経て……ようやく、冴子が口を開く。
「甘くないわね、キミも」
「状況はともかく、死ぬ直前の香月冴子の記憶を見る行為そのものが不自然としか思えませんから……助けようと思えば、助けられたとしか思えません」
「そうね、見殺しにしたわ…それは間違いない」
「……誘拐犯の目的は、夏樹さんだった?」
「ええ」
「……香月冴子は、夏樹さんと間違われて誘拐されたって事になってます?」
「ええ…関係する人間の記憶はすべて手を入れたわ」
 尚斗はちょっと考え込み。
「だったら、何故俺にそれを話すんです?」
 冴子は、穏やかな微笑みを浮かべて言った。
「もうじき、香月冴子がいなくなるからよ…」
 
 
続く。
 
 
 さて、長らくお休みをいただきました。(笑)
 去年(2009年)に遊んだというかクリアしたゲームが6本しかないことに気づいた瞬間、高任の心がちょいとちぎれそうになったので(以下略)。
 
 まあ、ちょっと無茶振りした感もありますが……かなり核心に近づくお話。
 深読みの好きな人のため、尚斗と冴子の会話の中に、あえて爆弾を2,3個仕込んでおきました。
 
 余談ですが、各個撃破をもくろんだとき、各キャラのシナリオはSSで書いたようなお話が展開され、同時攻略に踏み込むと、各キャラの裏背景というか、そういうモノが明らかになる二段構成になっているのかも。(笑)

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