「ねえ、この教室って開かずの教室って言われてるの知ってる?」
「え、やだ脅かさないでよ。」
 ぱたぱたぱた。
 この教室から遠ざかる足音を耳にしてさつきはため息をついた。気がつくと幽霊(?)でした・・・と言う事実はともかく暇で暇で仕方がない。どこかうろつけばいいのかもしれないけれどこの場所を離れるのが不安で仕方がない。
 これが地縛霊ということなのかしら、と自分で自分を納得させている。これが普通の教室だったら授業も受けられるし、一杯人もいるだろうから昼間はあまり退屈しなくてすむはずなのに・・・。
「ここなら誰も来ないよ。」
「え、ここって幽霊が出るって噂の・・。」
 がらがらがら・・・。
「だから、誰も来ないんだよ。」
 むう、侵入者発見。とりあえず話しかけてみましょうか・・。
(いらっしゃーい!まいどおおきに!)
「やだ、埃っぽい。こんなとこじゃ制服が汚れちゃうわ。」
「じゃあ、立ったままがいいのか?」
「もう、エッチなんだから・・・。」
 ・・・どうやら私の声は聞こえないみたいです。それよりこんなところに何しにきたんでしょうこの人達は?
 えっ?ちょっとなんでいきなり下着を脱いだりするんですか?そこの男の人、にたにた笑ってないで止めてくださいよおっ!
 わっわっわっ・・・。
(もしもしーここは聖なる学舎ですそういうことはどこかよそでやってください!)
 ダメ、こんなの見てられない。慌てて目を手のひらで覆ったけれどすかすかです。
 ・・・そうでした、私幽霊でした。・・・・って落語のオチつけてる場合じゃなくて、しかも私地縛霊だし・・・。
 ええい、私にも幽霊としてのプライドがあります。絶対に邪魔してやる。
(注意一秒ケガ一生!一時の迷いが一児の元!もしもし、聞いてますか?)
「さゆり、なんか言ったか?」
「・・・えっ、別に・・そんなことより、ねえ。」
(ねえ、じゃないです!そんな自ら誘うようなこと言ってどうするんですかあなたは!もっと高く売りつけ・・・・じゃなくてもっと自分を大切にですねえ!)
 ええいっ、必殺ポルターガイスト現象!
 ・・・だめです!私幽霊として、どうも役立たずみたいです。
 こうなったら全生命力を込めて・・・って私死んでるんですけど、とにかく『こんにちわ赤ちゃん!』歌います!
「ちょっとどうしたのよ!」
「いや、なんか急に気分が・・・・。」
「もうだらしないわね・・・もう帰りましょなんかしらけちゃったし・・。」
 がらがらがら・・・。
 やりました。さつきやりました。天国のお父さんお母さんさつきは純潔を守り通しました。
 ・・・でも純潔の乙女が死んだら妖精さんになるって聞いたことがあるようなないような・・・それよりお父さんお母さんはまだ死んでるとは限らないですね。
 ・・・・また暇になっちゃいました。誰か来ないかなあ・・・・。
 
                完
 
 
 一発ネタ第二段。
 一カ所か二カ所笑えるか笑えないかというところでしょう。笑えない人には全然笑えないでしょうけど・・・。私は大学の時に休講通知が出てるのを知らずに教室に駆け込んで元気なカップルさんを一度だけ目撃しましたが、気まずかったなあ。(笑)
 つーかそんなとこでやるな!見られたいなら見られて逃げるな!まるで私が悪者みたいじゃないですか。

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